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第52話:真実が明らかになります
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ドアの方を見ると、そこにはエヴァン様とハドソン殿下の姿が。
「やっと来たか…遅いぞエヴァン!」
「申し訳ございません、父上、少し編集に手間取っておりまして」
ホッとした表情のクリスティロソン公爵。よく見るとクリスティロソン公爵はもちろん、エヴァン様もハドソン殿下も、髪の毛はボサボサ、目も充血し目にくっきりとクマが出来ている。
「裁判員の皆さん、お待ちください。今回のアルフィーノ侯爵と令息の毒物栽培及び売買の罪に関して、不服申し立てを行います。これが不服申し立て状です」
「な…今更何をおっしゃるのですか?エヴァン殿。あなた様がルーナ嬢に熱をあげている事は知っております。でも、アルフィーノ侯爵家はこれほどまで決定的な証拠があるのです。それを今更不服申し立てを行うだなんて。それもハドソン殿下まで一緒に」
あり得ないと言った表情のヴィノーデル公爵。隣でナタリー様も怖い顔をして、エヴァン様達を睨んでいる。
「ヴィノーデル公爵、僕は王太子として、罪もない人間が裁かれようとしているのを黙って見ているほど愚かではありません。とにかく、これをご覧ください。エヴァン」
王太子殿下の指示で、エヴァン様が映像を流し始めた。これは、お父様の書斎ね。そこにはお父様専属の執事が、キョロキョロと辺りも見渡し、書類を入れている映像が。お父様とお兄様に偽の書類にサインさせている映像も流れた。
さらに、執事が手に入れた書類を別の使用人に渡す映像や、使用人と執事の会話も流れる。そこには
“旦那様と若旦那様から直筆のサインを手に入れた。これで私の家族は、解放してくれるのだろうな?”
“ああ、お前の家族は解放してやる。これをあのお方に渡せば、アルフィーノ侯爵家もおしまいだ”
“旦那様…若旦那様…お許しください…”
その場で泣き崩れる執事の姿が…
「アルフィーノ侯爵の専属執事は、何者かによって脅され、侯爵と令息に嘘のサインをさせました。さらに毒物の栽培や売買に関する書類も、こっそりと侯爵の部屋に置いたのです。そこで質問したいのですが、ヴィノーデル公爵、あなた様が持ってきた栽培契約に関する書類は、どうやって手に入れたのですか?」
エヴァン様がヴィノーデル公爵に詰め寄っている。
「そ…そんな物、私の家にタレこみに来たものに貰ったのだ。第一、こんな映像は偽物だ!どうやってこんな映像を撮る事が出来ると言うのだ?」
「アルフィーノ侯爵家には、本宅はもちろん、別宅にも監視用映像機が至る所に設置されておりました。元々はルーナをナタリー嬢から守るために設置されていたのですが、まさかこの様な目的で使う事になるなんてね」
「たとえその映像が本当だったとしても、アルフィーノ侯爵と令息は、実際サインをしているではないか?それに彼らは侯爵家で雇っていた使用人だぞ。使用人の不始末は、主である侯爵の不始末でもあるんだ!」
一歩の引かないヴィノーデル公爵。エヴァン様が一生懸命調べてくれた映像、このままでは判決は覆らないわ…
「そうですね…これだけでは意味がない事くらい、僕たちも分かっていますよ。それでは、これならどうですか?」
次に映し出された映像は、ヴィノーデル公爵と先ほど書類を受け取った使用人だ。
“ヴィノーデル公爵、例の書類を手に入れました。それから、栽培や売買に関する書類も、全てアルフィーノ侯爵の部屋に仕込んでおきました。これでアルフィーノ侯爵の有罪は確定です”
“よくやってくれた。これでアルフィーノ侯爵を潰すことが出来る。ただ…今まで我が家で栽培していた毒物を失う事にはなるが、これもナタリーの為だ。仕方がない。また新たな栽培場所を探さないとな”
“それにしても、公爵様が行っていた悪事を、そのままアルフィーノ侯爵に擦り付けるだなんて。そうそう、全ての毒物を失う訳にはいかないと考え、一部をヴィノーデル公爵家が所有する山岳部に移しておきましたよ。そうすれば、毒物収入をこれからも得られますからね”
“さすが私の執事だけの事はある。さすがだ”
ガハガハと笑うヴィノーデル公爵の顔を最後に、映像が消えた。
「何だこの映像は!まさか我がヴィノーデル公爵家も盗撮していたのか?公爵家を盗撮するだなんて、犯罪だぞ!」
今さらりと罪を認めたヴィノーデル公爵だが、自分の家が映し出された事に腹を立てている様で、その事に気が付いていない様子。
「盗撮?そんな事はしておりません。僕たちはアルフィーノ侯爵家に潜入していたスパイに、盗撮機を付けていたのですよ。この男、事件を起こす前から怪しい動きをしていたので、陰の護衛騎士にこっそりと盗撮機を付ける様に指示したのです。まさか、こんな映像が撮れるなんて。こっちはスパイに盗撮機を付けたところ、たまたまあなた様の家が映っただけです。さあ、もう言い逃れは出来ませんよ!アルフィーノ侯爵家に自分の罪を擦り付け、陥れようとしたのはあなたですね?ヴィノーデル公爵」
エヴァン様の言葉に、悔しそうに唇を噛むヴィノーデル公爵。エヴァン様とハドソン殿下、さらに周りの皆も公爵に注目している。
「やっと来たか…遅いぞエヴァン!」
「申し訳ございません、父上、少し編集に手間取っておりまして」
ホッとした表情のクリスティロソン公爵。よく見るとクリスティロソン公爵はもちろん、エヴァン様もハドソン殿下も、髪の毛はボサボサ、目も充血し目にくっきりとクマが出来ている。
「裁判員の皆さん、お待ちください。今回のアルフィーノ侯爵と令息の毒物栽培及び売買の罪に関して、不服申し立てを行います。これが不服申し立て状です」
「な…今更何をおっしゃるのですか?エヴァン殿。あなた様がルーナ嬢に熱をあげている事は知っております。でも、アルフィーノ侯爵家はこれほどまで決定的な証拠があるのです。それを今更不服申し立てを行うだなんて。それもハドソン殿下まで一緒に」
あり得ないと言った表情のヴィノーデル公爵。隣でナタリー様も怖い顔をして、エヴァン様達を睨んでいる。
「ヴィノーデル公爵、僕は王太子として、罪もない人間が裁かれようとしているのを黙って見ているほど愚かではありません。とにかく、これをご覧ください。エヴァン」
王太子殿下の指示で、エヴァン様が映像を流し始めた。これは、お父様の書斎ね。そこにはお父様専属の執事が、キョロキョロと辺りも見渡し、書類を入れている映像が。お父様とお兄様に偽の書類にサインさせている映像も流れた。
さらに、執事が手に入れた書類を別の使用人に渡す映像や、使用人と執事の会話も流れる。そこには
“旦那様と若旦那様から直筆のサインを手に入れた。これで私の家族は、解放してくれるのだろうな?”
“ああ、お前の家族は解放してやる。これをあのお方に渡せば、アルフィーノ侯爵家もおしまいだ”
“旦那様…若旦那様…お許しください…”
その場で泣き崩れる執事の姿が…
「アルフィーノ侯爵の専属執事は、何者かによって脅され、侯爵と令息に嘘のサインをさせました。さらに毒物の栽培や売買に関する書類も、こっそりと侯爵の部屋に置いたのです。そこで質問したいのですが、ヴィノーデル公爵、あなた様が持ってきた栽培契約に関する書類は、どうやって手に入れたのですか?」
エヴァン様がヴィノーデル公爵に詰め寄っている。
「そ…そんな物、私の家にタレこみに来たものに貰ったのだ。第一、こんな映像は偽物だ!どうやってこんな映像を撮る事が出来ると言うのだ?」
「アルフィーノ侯爵家には、本宅はもちろん、別宅にも監視用映像機が至る所に設置されておりました。元々はルーナをナタリー嬢から守るために設置されていたのですが、まさかこの様な目的で使う事になるなんてね」
「たとえその映像が本当だったとしても、アルフィーノ侯爵と令息は、実際サインをしているではないか?それに彼らは侯爵家で雇っていた使用人だぞ。使用人の不始末は、主である侯爵の不始末でもあるんだ!」
一歩の引かないヴィノーデル公爵。エヴァン様が一生懸命調べてくれた映像、このままでは判決は覆らないわ…
「そうですね…これだけでは意味がない事くらい、僕たちも分かっていますよ。それでは、これならどうですか?」
次に映し出された映像は、ヴィノーデル公爵と先ほど書類を受け取った使用人だ。
“ヴィノーデル公爵、例の書類を手に入れました。それから、栽培や売買に関する書類も、全てアルフィーノ侯爵の部屋に仕込んでおきました。これでアルフィーノ侯爵の有罪は確定です”
“よくやってくれた。これでアルフィーノ侯爵を潰すことが出来る。ただ…今まで我が家で栽培していた毒物を失う事にはなるが、これもナタリーの為だ。仕方がない。また新たな栽培場所を探さないとな”
“それにしても、公爵様が行っていた悪事を、そのままアルフィーノ侯爵に擦り付けるだなんて。そうそう、全ての毒物を失う訳にはいかないと考え、一部をヴィノーデル公爵家が所有する山岳部に移しておきましたよ。そうすれば、毒物収入をこれからも得られますからね”
“さすが私の執事だけの事はある。さすがだ”
ガハガハと笑うヴィノーデル公爵の顔を最後に、映像が消えた。
「何だこの映像は!まさか我がヴィノーデル公爵家も盗撮していたのか?公爵家を盗撮するだなんて、犯罪だぞ!」
今さらりと罪を認めたヴィノーデル公爵だが、自分の家が映し出された事に腹を立てている様で、その事に気が付いていない様子。
「盗撮?そんな事はしておりません。僕たちはアルフィーノ侯爵家に潜入していたスパイに、盗撮機を付けていたのですよ。この男、事件を起こす前から怪しい動きをしていたので、陰の護衛騎士にこっそりと盗撮機を付ける様に指示したのです。まさか、こんな映像が撮れるなんて。こっちはスパイに盗撮機を付けたところ、たまたまあなた様の家が映っただけです。さあ、もう言い逃れは出来ませんよ!アルフィーノ侯爵家に自分の罪を擦り付け、陥れようとしたのはあなたですね?ヴィノーデル公爵」
エヴァン様の言葉に、悔しそうに唇を噛むヴィノーデル公爵。エヴァン様とハドソン殿下、さらに周りの皆も公爵に注目している。
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