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第40話:エヴァン様の両親に久しぶりに会いました

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パーティー会場に行くと、既に両親と兄夫婦が待っていた。

「ルーナちゃん、そのドレス、とても似合っているわ。あら?その宝石、サファイア?それにしては、とても綺麗ね」

「ええ、そうですわ。パレッソ王国で採れたサファイアだそうで、とても質がいいものとの事です」

「そうなのね、とても良く似合っているわよ」

「ありがとうございます、お義姉様」

いつもの様に、お義姉様が笑顔で私を褒めてくれる。

「あら、そのドレス、素敵じゃない。エヴァン様の瞳の色ね。もしかして、ルーナ、あなた」

お母様がニヤニヤしながら私のドレスを見つめている。

「もう、お母様ったら。勘違いしないで下さい。エヴァン様からは私の瞳の色に合わせ、水色のドレスを贈ってくれると聞いていたのに、なぜかエメラルドグリーンのドレスが届いたのですわ。本当にエヴァン様ったら」

「でも、エメラルドグリーンのドレス、とてもよく似合っているのだから、いいじゃない」

「“似合っているからいいじゃない”だなんて、適当な事を言わないで下さい!そもそも、エヴァン様の瞳の色のドレスを着ていたら、また私たちが婚約を結び直すと他の貴族が勘違いしますわ。ただでさえ、最近私に興味を持ってくれる殿方が少なくなったのに。このままでは、私は一生結婚できなくなってします!」

「あら、ルーナは他の殿方と結婚するつもりだったの?その割には、殿方から逃げ回っていたそうじゃない」

「それは…殿方たちがあまりにもすごい勢いで迫っていらしたので…その…」

「追い掛け回されても不満、来なくなるのも不満だなんて、そんな我が儘を言っていては、一生結婚できないわよ。それで、気になる殿方はいるの?」

「…いいえ…」

「はぁ~、ルーナ、あなたはこの半年、何をしていたの?やっぱりあなたには、エヴァン様しかいないわね…」

「どうしてそこでエヴァン様が出てくるのですか!本当にお母様まで、エヴァン様の毒牙にかかっちゃって。あら?その首に光っているルビー、もしかしてパレッソ王国の宝石ですか?」

明らかに輝きが違うルビーのネックレスを首から下げているお母様。

「…ええ…エヴァン様が私の為に準備してくださったのよ…それに、エリーにもエヴァン様の事で何度も泣きながら謝られてしまったし…エリーには昔、お父様との結婚の件で、本当にお世話になったし…」

モゴモゴと話すお母様。そういえばお母様とエヴァン様のお母様は、幼馴染の親友だったのよね。親友に泣いて謝られたら、許してしまいたくなる気持ちもわかるわ。でも…

「とにかく私は、エヴァン様とだけは結婚しませんから。そのつもりで!」

そうはっきりと告げた。すると…

「ルーナ、そんなにはっきりと言われると、さすがに傷つくな…でも、僕はそれだけ君を傷つけてしまったのだから、仕方がないか…」

この声は…
ゆっくり声の方を振り向くと、そこには悲しそうな顔をしたエヴァン様と、ご両親が立っていた。

「ルーナちゃん、エヴァンが本当にごめんなさい。でもこの子、誰よりもあなたの事を愛しているのよ。それだけは分かってあげて!」

すかさず私の手を握り、目に涙をいっぱい浮かべ、訴えかけてくるエヴァン様のお母様。私達の婚約破棄を知って、しばらく寝込んでいたくらい、ショックを受けていたと聞いた。

「あの…エリーおば様、エヴァン様が今私の事をとても大切にして下さている事は、嫌というほど分かっておりますわ。ただ…」

「まだ許せないのよね!わかるわ、1年も酷い仕打ちを受けて来たのですもの。本当にごめんなさい。私、今日あなたにどんな顔をして会えばいいか分からなくて…本当に私…」

そう言って泣き出してしまったエヴァン様のお母様。

「エリーったら、いつからこんなに泣き虫になったのよ。大丈夫よ、ルーナはちょっと頑固なところがあるけれど、賢い子だからきっと分かってくれるわ。それに見て、なんだかんだ言って、エヴァン様が贈ってくれたエメラルドグリーンのドレスもしっかり着ているのだし」

ニヤニヤしながら私の方を見るお母様。婚約破棄していた時は、あんなに怒っていたのに。何なの!この切り替えの早さは!

「これは仕方なく…」

「ルーナ嬢、本当に息子がすまなかったね。でも、今日君が息子の瞳の色のドレスを着てきてくれた事、本当に嬉しく思うよ。ありがとう」

私の手を取り、何度も頭を下げる公爵。そんな事を言われたら、これ以上何も言えないじゃない。

「ルーナ、本当にそのドレス、良く似合っているよ。やっぱり君には、エメラルドクリーンのドレスが一番似合うね」

そう言ってほほ笑んでいるエヴァン様。もう、エヴァン様ったら!そんな思いから、エヴァン様を睨んだ。

「そんな可愛い顔をして睨まれても、全然怖くないよ。ルーナ、16歳のお誕生日、おめでとう。君の大切な誕生日を、今年は祝えた事、本当に嬉しく思うよ」

「そういえば去年の私のお誕生日は、プレゼントだけ贈って挨拶にすら来てくれませんでしたものね…」

「それは…その、本当に申し訳ないと思っている。でも、これかは毎年君の誕生日を祝うよ。僕の命が尽きるまで、ずっとね」

そう言うと、それはそれは美しい微笑を浮かべたのだ。その瞬間、なんだか急に恥ずかしくなってしまった。

「もう、別にずっと祝ってくれなくてもよろしいですわ」

そう答え、プイっと反対方向を向く。

「あら?ルーナちゃん、照れているの?可愛いわね」

そう言って私をからかうのは、お義姉様だ。

「お義姉様、私をからかうのはお止めください!」

すかさず抗議の声をあげたが、なぜか笑っているお義姉様。周りも皆笑っている。もう、何が可笑しいのよ!
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