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第39話:16歳になりました
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エヴァン様と婚約破棄をしてから、早半年、来週は私の16歳の誕生日だ。さらに婚約破棄から半年たったという事もあり、正式に婚約者を結び直せる状態になった。
ただ私は、まだ誰とも婚約を結ぶつもりはない。幸い卒業までまだ5ヶ月程度残っているし、何より誰と婚約を結んでいいのか分からないのだ。
婚約破棄をした頃はたくさんの令息たちが私に言い寄ってきたが、一過性の物だった様で、今はほとんど誰も言い寄ってこない。そう、一人を除いては…
「ルーナ、来週は君の誕生日だね。君の瞳の色に合わせたドレスとアクセサリーを贈らせてもらうよ。サファイアはパレッソ王国のミレー殿下に頼んで、最高級品を手配してもらったんだ。今までの物とは輝きが違うから、楽しみにしていて欲しい」
なぜか私の隣をしっかりキープしているエヴァン様が、嬉しそうに呟いている。
「ありがとうございます、それは楽しみですわ。ですがもう私たちは婚約者ではないのです。ですからこのような事は…」
「何度も言っているが、僕は君に酷い事をしたんだ。せめてこれくらい、僕にさせてくれないかい?僕は君に喜んでもらえる事が、一番嬉しいんだよ。もう二度と、君の悲しそうな顔は見たくないからね」
くっ!こんな顔をされたら、反論できないじゃない。もう!どうしていいか分からず、プイっと反対側を向いた。
「そういえばアイザック殿下だが、かなりミレー殿下からしごかれている様で、“国に帰りたい“と泣き言を言っていた様だよ。ただ、もう大々的に婚約発表をした後だからね。それにミレー殿下からは、そう簡単には逃げられないから、このままずっと尻に敷かれながら生活していく事になるだろう」
「やはりアイザック殿下は、ミレー殿下の勇ましさに怖気づいてしまわれたのですね…」
きっとミレー殿下の事だから、しっかりアイザック殿下を教育しているのだろう。
「ルーナはミレー殿下の話になると、興味を示すね。なんだか悲しいな…」
だから、そんな悲しそうな顔をしないで欲しいわ。もう!
「別にミレー殿下の話だけ興味を示すわけではございませんわ。エヴァン様が準備してくださったドレスとアクセサリーも、楽しみにしておりますわ」
「それは本当かい?よかった」
嬉しそうな顔をするエヴァン様、その顔を見るとなぜか私も嬉しくなる。つい半年前、ずっと無視されていたうえ、一方的に婚約破棄されたのが、大昔の様に感じる…て、ダメよ、このまま流されたら!私はエヴァン様の事は、未だに信用していないし、許していないんだから!
「そういえば、ルーナの誕生日にはナタリー嬢も来るんだよね。最近は直接君に暴言を吐く事は少なくなったけれど、極力僕の見える範囲にいて欲しい。何かあれば、すぐに助けに行くから」
ナタリー様か…
確かに来週の私の誕生日パーティーには参加するとの連絡を受けている。でも、ミレー殿下の一件以来、なぜか私に絡んでくることが無くなった。ただ、ものすごい形相で睨まれるが、暴言を吐かれない事を考えると随分とマシになった。
「最近は本当に絡んできませんので、多分今回も大丈夫ですわ。きっと令息たちが私から離れて行ったので、ナタリー様の心も少し落ち着いたのかと」
「ナタリー嬢はそんな聞き分けのいい令嬢はないよ。とにかく、油断は出来ないよ」
随分とナタリー様を警戒しているエヴァン様。彼は一度ナタリー様に騙されているから、警戒しているのだろう。とにかく、私の誕生日パーティーは何事もない事を祈ろう。
そんな思いを抱きつつ、誕生日パーティー当日を迎えた。今日は、沢山の貴族が来てくれるのだ。メイドたちがいつも以上に磨き上げ、エヴァン様が贈ってくれたドレスに袖を通し、アクセサリーを身に付ける…て、どうしてドレスがエメラルドグリーンなの?
「ねえ、ドレス、どう見てもエヴァン様の瞳の色の、エメラルドグリーンだわ!もしかして、エヴァン様!」
「お嬢様、細かい事は気になさらずに。それよりも、このサファイア、本当にお美しいですわ。こんなにもお美しいサファイアは、初めてしました」
「そうですわね、こんなにも美しいサファイアを贈って下さるなんて、エヴァン様は本当に素敵なお方ですわね」
なぜかメイドたちが、一斉に宝石の方を褒め始める。私は宝石よりも、このドレスの方が気になるのだ!
「さあ、お嬢様、もうお時間がありません。早くパーティー会場へ」
「えっ…ちょっと…私は着替えを」
他のドレスに着替えようとしたのだが、メイドたちに背中を押され、部屋から追い出されてしまった。こうなったらどうする事も出来ない。仕方ない、エメラルドグリーンのドレスを着て、パーティーに参加するしかない。
本当にエヴァン様ったら、絶対にわざとだわ!姿をお見掛けしたら、一言文句を言ってあげないと。
ただ私は、まだ誰とも婚約を結ぶつもりはない。幸い卒業までまだ5ヶ月程度残っているし、何より誰と婚約を結んでいいのか分からないのだ。
婚約破棄をした頃はたくさんの令息たちが私に言い寄ってきたが、一過性の物だった様で、今はほとんど誰も言い寄ってこない。そう、一人を除いては…
「ルーナ、来週は君の誕生日だね。君の瞳の色に合わせたドレスとアクセサリーを贈らせてもらうよ。サファイアはパレッソ王国のミレー殿下に頼んで、最高級品を手配してもらったんだ。今までの物とは輝きが違うから、楽しみにしていて欲しい」
なぜか私の隣をしっかりキープしているエヴァン様が、嬉しそうに呟いている。
「ありがとうございます、それは楽しみですわ。ですがもう私たちは婚約者ではないのです。ですからこのような事は…」
「何度も言っているが、僕は君に酷い事をしたんだ。せめてこれくらい、僕にさせてくれないかい?僕は君に喜んでもらえる事が、一番嬉しいんだよ。もう二度と、君の悲しそうな顔は見たくないからね」
くっ!こんな顔をされたら、反論できないじゃない。もう!どうしていいか分からず、プイっと反対側を向いた。
「そういえばアイザック殿下だが、かなりミレー殿下からしごかれている様で、“国に帰りたい“と泣き言を言っていた様だよ。ただ、もう大々的に婚約発表をした後だからね。それにミレー殿下からは、そう簡単には逃げられないから、このままずっと尻に敷かれながら生活していく事になるだろう」
「やはりアイザック殿下は、ミレー殿下の勇ましさに怖気づいてしまわれたのですね…」
きっとミレー殿下の事だから、しっかりアイザック殿下を教育しているのだろう。
「ルーナはミレー殿下の話になると、興味を示すね。なんだか悲しいな…」
だから、そんな悲しそうな顔をしないで欲しいわ。もう!
「別にミレー殿下の話だけ興味を示すわけではございませんわ。エヴァン様が準備してくださったドレスとアクセサリーも、楽しみにしておりますわ」
「それは本当かい?よかった」
嬉しそうな顔をするエヴァン様、その顔を見るとなぜか私も嬉しくなる。つい半年前、ずっと無視されていたうえ、一方的に婚約破棄されたのが、大昔の様に感じる…て、ダメよ、このまま流されたら!私はエヴァン様の事は、未だに信用していないし、許していないんだから!
「そういえば、ルーナの誕生日にはナタリー嬢も来るんだよね。最近は直接君に暴言を吐く事は少なくなったけれど、極力僕の見える範囲にいて欲しい。何かあれば、すぐに助けに行くから」
ナタリー様か…
確かに来週の私の誕生日パーティーには参加するとの連絡を受けている。でも、ミレー殿下の一件以来、なぜか私に絡んでくることが無くなった。ただ、ものすごい形相で睨まれるが、暴言を吐かれない事を考えると随分とマシになった。
「最近は本当に絡んできませんので、多分今回も大丈夫ですわ。きっと令息たちが私から離れて行ったので、ナタリー様の心も少し落ち着いたのかと」
「ナタリー嬢はそんな聞き分けのいい令嬢はないよ。とにかく、油断は出来ないよ」
随分とナタリー様を警戒しているエヴァン様。彼は一度ナタリー様に騙されているから、警戒しているのだろう。とにかく、私の誕生日パーティーは何事もない事を祈ろう。
そんな思いを抱きつつ、誕生日パーティー当日を迎えた。今日は、沢山の貴族が来てくれるのだ。メイドたちがいつも以上に磨き上げ、エヴァン様が贈ってくれたドレスに袖を通し、アクセサリーを身に付ける…て、どうしてドレスがエメラルドグリーンなの?
「ねえ、ドレス、どう見てもエヴァン様の瞳の色の、エメラルドグリーンだわ!もしかして、エヴァン様!」
「お嬢様、細かい事は気になさらずに。それよりも、このサファイア、本当にお美しいですわ。こんなにもお美しいサファイアは、初めてしました」
「そうですわね、こんなにも美しいサファイアを贈って下さるなんて、エヴァン様は本当に素敵なお方ですわね」
なぜかメイドたちが、一斉に宝石の方を褒め始める。私は宝石よりも、このドレスの方が気になるのだ!
「さあ、お嬢様、もうお時間がありません。早くパーティー会場へ」
「えっ…ちょっと…私は着替えを」
他のドレスに着替えようとしたのだが、メイドたちに背中を押され、部屋から追い出されてしまった。こうなったらどうする事も出来ない。仕方ない、エメラルドグリーンのドレスを着て、パーティーに参加するしかない。
本当にエヴァン様ったら、絶対にわざとだわ!姿をお見掛けしたら、一言文句を言ってあげないと。
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