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第33話:他国から王女様がいらっしゃるようです
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「ルーナ、知っているかい?明日パレッソ王国からミレー殿下が我が国にやってくる事になっているんだ」
「パレッソ王国から、殿下がですか?」
パレッソ王国と言えば、この国の東に位置する天然資源が豊かな国。その国の次期女王がミレー殿下だったわね。非常に美しい女性と聞いた事がある。
「ルーナ…そんな端っこの方にいなくても、僕は何もしないよ」
あきれ顔で呟くエヴァン様。
私達は今、貴族学院から帰る途中だ。1ヶ月ほど前、学院から帰る途中盗賊に襲われた。その時助けてくれたのが、エヴァン様だった。それからと言うもの、心配したエヴァン様がこうしてずっと送り迎えをしてくれているのだ。
私は多分ナタリー様の仕業ではないかと思っているが、なぜかエマはエヴァン様を疑っている。
“あの男、口ではああ言っているけれど、絶対にルーナと婚約を結び直したいと思っているはずよ。だからあえてあなたを襲わせて、自分で助けるふりをしたのよ!絶対にそうだわ、腹黒いったらありゃしない”
そう言っていた。いくら何でも、エヴァン様はそんな事はしない。ただ…何となくだが私に護衛を付けているのは分かる。きっとその護衛に、ずっと私を監視させているのだろう。
お母様の話では、1ヶ月もの間、お父様の元に通い、許しを乞うていたみたいだし…という事はきっと、お父様も私に護衛が付いている事を知っているのだろう。
全くこの人は、何を考えているのかしら?
「今度は僕を睨んで、本当にルーナは表情がコロコロ変わるね。そんなところも君の魅力だけれど」
そう言ってエヴァン様がほほ笑んだ。もう、すぐに私をからかうのだから。
「それで、どうしてパレッソ王国からわざわざ王女様がいらっしゃるのですか?」
「実はね、ミレー殿下は婿を探しているそうなんだ。それで、アイザック殿下がいいんじゃないかって事になって。ほら、あの国は資源が豊富だろう?我が国の王族をパレッソ王国の次期女王と結婚させることが出来れば、国益にもなるし。なによりアイザック殿下が、ぜひミレー殿下に会ってみたいと言っていてね。ミレー殿下は美しい女性と評判だから」
「なるほど、確かにアイザック殿下は、美しい女性がお好きとおっしゃられていましたものね。ぜひお2人がうまく行くといいですわ!」
それで最近、私に絡んでこなかったのね。私よりも美しいお姫様を見つけたから。
「随分と嬉しそうだね。ルーナはアイザック殿下に苦手意識をもっているものね。僕も全力で2人をフォローするつもりだよ」
「あの…私は別に…」
「嘘を付かなくてもいいんだよ。僕はルーナの事は何でも知っているから」
そう言うと、なぜかエヴァン様が私の隣に座った。
「私たちはただの友人です。お隣に座るのはお止めください」
すかさず抗議をするが
「隣に座るくらいいいだろう?それに万が一、矢でも飛んできた時、向いだとルーナを守れない」
「矢なんて飛んできませんから、大丈夫ですわ…」
そう言ったものの、盗賊に襲われたとき、矢がいくつも飛んできて馬車のガラスが割れたのだ。思い出したらなんだか怖くなってきた。
「ごめんね、ルーナ。怖い事を思い出させてしまったね」
そう言うと、エヴァン様が私を抱きしめる。
「は…離してください。私は大丈夫ですわ」
「何を言っているんだ。震えているだろう?大丈夫だよ、僕が傍にいるから。ずっと…」
暴れてみたものの、全く動かない。本当にこの人は!でも、エヴァン様の腕の中は温かくて落ち着く…て、何を考えているのよ!私ったら。とにかく、私は絶対にエヴァン様と婚約なんて結び直さないのだから。
と、次の瞬間、馬車が停まった。もしかして、また盗賊が?そう思ったのだが
「君の家に着いたようだね。それじゃあ、また明日」
スッと私から離れたエヴァン様に馬車から降ろされ、そのまま笑顔で去って行った。
何なのよ、私1人緊張して、バカみたいじゃない!
1人で怒っていると、お義姉様がロードを連れ、私元へとやって来た。
「おかえりなさい、ルーナちゃん。あら?顔が赤いわよ。大丈夫?それにしてもエヴァン様は、毎日毎日送り迎えをしてくるだなんて…最初はあんなくそ男、最低!と思っていたけれど、これだけルーナちゃんに尽くしてくれる姿を見ると、やっぱりルーナちゃんには…」
「お…お義姉様、変な事を言わないで下さい。私は絶対に絶対にぜぇったいに、エヴァン様とは結婚しませんから」
「あらあら、向きになっちゃって可愛いわね。ルーナちゃんは、変なところで頑固だから。エヴァン様も大変ね」
そう言ってお義姉様が笑っている。もう、お義姉様ったら、私をからかって!
「さあ、ルーナちゃん、そんなところで怒っていないで、家に入りましょう。実はね、領地から海の幸を届けてもらったの。生きたまま連れてきたから、新鮮でお刺身にして食べる事も出来るのだから」
「まあ、それは本当ですの?領地のお魚は本当に美味しいですものね。また海にも入りたいですわ」
エヴァン様に婚約破棄され、領地で心の療養をていたのが、もうずいぶん昔の様に感じる。あの時は本当に楽しかった。
「またルーナちゃんの学院が休みになったら、皆で行きましょう。その時はもしかすると、エヴァン様も一緒かもしれないわね」
そう言ってお義姉様が笑っている。
「もう、お義姉様、からかわないで下さい!」
本当にこの人は。あれほどまでエヴァン様に怒っていたお義姉様も、なぜか最近エヴァン様に寛大だ。もしかしてエヴァン様、お義姉様に賄賂とか…て、お義姉様は賄賂で動くような人間ではないわね。
本当にどんどん周りを味方につけているのだから。でも私は、絶対に婚約なんて結び直さないのだから!
「パレッソ王国から、殿下がですか?」
パレッソ王国と言えば、この国の東に位置する天然資源が豊かな国。その国の次期女王がミレー殿下だったわね。非常に美しい女性と聞いた事がある。
「ルーナ…そんな端っこの方にいなくても、僕は何もしないよ」
あきれ顔で呟くエヴァン様。
私達は今、貴族学院から帰る途中だ。1ヶ月ほど前、学院から帰る途中盗賊に襲われた。その時助けてくれたのが、エヴァン様だった。それからと言うもの、心配したエヴァン様がこうしてずっと送り迎えをしてくれているのだ。
私は多分ナタリー様の仕業ではないかと思っているが、なぜかエマはエヴァン様を疑っている。
“あの男、口ではああ言っているけれど、絶対にルーナと婚約を結び直したいと思っているはずよ。だからあえてあなたを襲わせて、自分で助けるふりをしたのよ!絶対にそうだわ、腹黒いったらありゃしない”
そう言っていた。いくら何でも、エヴァン様はそんな事はしない。ただ…何となくだが私に護衛を付けているのは分かる。きっとその護衛に、ずっと私を監視させているのだろう。
お母様の話では、1ヶ月もの間、お父様の元に通い、許しを乞うていたみたいだし…という事はきっと、お父様も私に護衛が付いている事を知っているのだろう。
全くこの人は、何を考えているのかしら?
「今度は僕を睨んで、本当にルーナは表情がコロコロ変わるね。そんなところも君の魅力だけれど」
そう言ってエヴァン様がほほ笑んだ。もう、すぐに私をからかうのだから。
「それで、どうしてパレッソ王国からわざわざ王女様がいらっしゃるのですか?」
「実はね、ミレー殿下は婿を探しているそうなんだ。それで、アイザック殿下がいいんじゃないかって事になって。ほら、あの国は資源が豊富だろう?我が国の王族をパレッソ王国の次期女王と結婚させることが出来れば、国益にもなるし。なによりアイザック殿下が、ぜひミレー殿下に会ってみたいと言っていてね。ミレー殿下は美しい女性と評判だから」
「なるほど、確かにアイザック殿下は、美しい女性がお好きとおっしゃられていましたものね。ぜひお2人がうまく行くといいですわ!」
それで最近、私に絡んでこなかったのね。私よりも美しいお姫様を見つけたから。
「随分と嬉しそうだね。ルーナはアイザック殿下に苦手意識をもっているものね。僕も全力で2人をフォローするつもりだよ」
「あの…私は別に…」
「嘘を付かなくてもいいんだよ。僕はルーナの事は何でも知っているから」
そう言うと、なぜかエヴァン様が私の隣に座った。
「私たちはただの友人です。お隣に座るのはお止めください」
すかさず抗議をするが
「隣に座るくらいいいだろう?それに万が一、矢でも飛んできた時、向いだとルーナを守れない」
「矢なんて飛んできませんから、大丈夫ですわ…」
そう言ったものの、盗賊に襲われたとき、矢がいくつも飛んできて馬車のガラスが割れたのだ。思い出したらなんだか怖くなってきた。
「ごめんね、ルーナ。怖い事を思い出させてしまったね」
そう言うと、エヴァン様が私を抱きしめる。
「は…離してください。私は大丈夫ですわ」
「何を言っているんだ。震えているだろう?大丈夫だよ、僕が傍にいるから。ずっと…」
暴れてみたものの、全く動かない。本当にこの人は!でも、エヴァン様の腕の中は温かくて落ち着く…て、何を考えているのよ!私ったら。とにかく、私は絶対にエヴァン様と婚約なんて結び直さないのだから。
と、次の瞬間、馬車が停まった。もしかして、また盗賊が?そう思ったのだが
「君の家に着いたようだね。それじゃあ、また明日」
スッと私から離れたエヴァン様に馬車から降ろされ、そのまま笑顔で去って行った。
何なのよ、私1人緊張して、バカみたいじゃない!
1人で怒っていると、お義姉様がロードを連れ、私元へとやって来た。
「おかえりなさい、ルーナちゃん。あら?顔が赤いわよ。大丈夫?それにしてもエヴァン様は、毎日毎日送り迎えをしてくるだなんて…最初はあんなくそ男、最低!と思っていたけれど、これだけルーナちゃんに尽くしてくれる姿を見ると、やっぱりルーナちゃんには…」
「お…お義姉様、変な事を言わないで下さい。私は絶対に絶対にぜぇったいに、エヴァン様とは結婚しませんから」
「あらあら、向きになっちゃって可愛いわね。ルーナちゃんは、変なところで頑固だから。エヴァン様も大変ね」
そう言ってお義姉様が笑っている。もう、お義姉様ったら、私をからかって!
「さあ、ルーナちゃん、そんなところで怒っていないで、家に入りましょう。実はね、領地から海の幸を届けてもらったの。生きたまま連れてきたから、新鮮でお刺身にして食べる事も出来るのだから」
「まあ、それは本当ですの?領地のお魚は本当に美味しいですものね。また海にも入りたいですわ」
エヴァン様に婚約破棄され、領地で心の療養をていたのが、もうずいぶん昔の様に感じる。あの時は本当に楽しかった。
「またルーナちゃんの学院が休みになったら、皆で行きましょう。その時はもしかすると、エヴァン様も一緒かもしれないわね」
そう言ってお義姉様が笑っている。
「もう、お義姉様、からかわないで下さい!」
本当にこの人は。あれほどまでエヴァン様に怒っていたお義姉様も、なぜか最近エヴァン様に寛大だ。もしかしてエヴァン様、お義姉様に賄賂とか…て、お義姉様は賄賂で動くような人間ではないわね。
本当にどんどん周りを味方につけているのだから。でも私は、絶対に婚約なんて結び直さないのだから!
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