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第26話:相変わらずどうしようもない親子だ~エヴァン視点~
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ルーナを見送った後、念のためルーナに付けている護衛騎士に確認をとりながら家に帰る。どうやらルーナは、無事屋敷に着いた様だ。それにしてもナタリー嬢め。僕の可愛いルーナにあんな怖い思いをさせるなんて!
急いで屋敷に戻り、父上に今日起こった事とナタリー嬢に叩かれた傷痕を見せると、すぐに陛下に連絡を取ってくれた。
「兄上からヴィノーデル公爵とナタリー嬢も王宮に呼び出したとの事だから、私たちもすぐに向かおう。それにしても、ナタリー嬢は本当にどうしようもない令嬢だね…」
そう言ってため息を付く父上。王宮に着くと、既に陛下とハドソン殿下、ヴィノーデル公爵とナタリー嬢が待っていた。明らかに不機嫌そうな顔のナタリー嬢が、僕を睨みつけている。
「陛下からお話は聞きました。この度エヴァン殿を娘が暴力を振るったとの事ですが、どうやらエヴァン様を叩こうとして叩いた訳ではないとの事で。まあ、簡単に申しますと、不可抗力という事ですね」
そう言って笑っているヴィノーデル公爵。こいつ、僕をバカにしているのか?
「確かにナタリー嬢は僕を叩こうとしたわけではありませんが、罪もない令嬢を扇子で叩こうとしたのですよ!見て下さい、この痕!服の上からでもこの様な痕が残るほどなのに、直接令嬢の顔をめがけて叩こうとしたなんて、有るまじき行動です!」
「お言葉ですがエヴァン殿、ナタリーの話では、令嬢がナタリーをバカにしたそうではないか!ナタリーは次期王妃になる人間ですぞ。それなのに、ナタリーをバカにするなんて」
「ヴィノーデル公爵、その場に私もいましたが、ナタリーが勝手に令嬢に因縁をつけ、殴りかかっていましたよ」
すかさずハドソン殿下が、僕の援護をしてくれた。
「それでしたら、ナタリーが令嬢に因縁をつけたと言う証拠はあるのですか?証拠は?もちろん、映像か何かが残っているのですよね!」
出た、証拠を見せろ!か。相変わらず性格の悪い男だな。
「分かりました、それではご覧ください」
僕は近くに控えていた従者に、今日の映像を映す様指示を出す。まず最初は教室の様子、そしてわざわざルーナを呼び出して暴言を吐く映像も流した。
何度見ても胸糞悪いな!本当ならすぐにルーナを助けたかったのだが、この映像を撮るため、あえて出ていくのを我慢していたのだ。ただ…あまりの暴言に加え暴力を振るおうとしたため、我慢できなくなって出て行ってしまったが…
「ナタリー、この映像はどういう事だ!アルフィーノ侯爵令嬢を呼び出し、一方的に暴言を吐くだなんて。それも暴力まで…信じられない」
さすがのハドソン殿下も声を荒げた。
「これで言い逃れは出来ませんね」
「確かにナタリーが令嬢に暴言を吐き、暴力を振るおうとしていますが、アルフィーノ侯爵家からもバレッスレィー侯爵家からも我が家に抗議はきておりません。それなのに、外野がギャーギャーおっしゃられてもねぇ」
ヴィノーデル公爵が呟いた。ナタリー嬢も頷いている。こいつら、僕たちをなめているのか?我慢できなくなって文句を言おうとした時だった。
「ヴィノーデル公爵、実際に怪我をしたのはエヴァンです。見て下さい、この痕。どれほど強く叩いたらこれほどの痕が残るのですか?それに令嬢が、ましてや次期王妃になる予定の人がこのような暴力を振るって、公爵令息に怪我を負わせるだなんて、どんな理由であれ許される事ではありませんぞ!」
父上が声を荒げた。
「確かにエヴァンの傷痕は酷いな。こんな強い力で令嬢を叩こうとするななんて。ヴィノーデル公爵、私は何度も警告した。これ以上傲慢な態度が続くようなら、ハドソンとの婚約は白紙に戻させていただくと!いいかい?王妃とは、弱いものに手を差し伸べ、どんな時も公平な判断が出来ないといけないのだ。自分の権力を利用して、威張り散らし人々をしたがわせる人間では困る!次に問題を起こしたら、ハドソンとの婚約は白紙に戻させていただく」
陛下がヴィノーデル公爵にはっきりと告げたのだ。
「陛下、お言葉ですがナタリーは王妃教育もしっかり受けておりますし、令嬢たちの評判も上々です!それに、ナタリーが決定的な犯罪を犯したわけではないのに、簡単に婚約破棄なんて認められませんから!」
何をどうしたらナタリー嬢に対する評価が上々なんだ。どう見ても皆に嫌われているだろう。一部の取り巻きたちを除いて…
「ヴィノーデル公爵、はっきり言う。ナタリー嬢に関するクレームが、日に日に増えているんだ。このままナタリー嬢とハドソンを結婚させたら、最悪謀反を起こされ王政が危なくなる可能性だってあるんだぞ!そこまで言うなら、これ以上ナタリー嬢が暴走しない様、父親としてしっかり見張っていてくれ!」
「…わかりました。とにかくナタリーとハドソン殿下の婚約破棄は、絶対に認めませんから。ナタリー、帰るぞ」
そう言うと、ナタリー嬢を連れて帰って行ったヴィノーデル公爵。相変わらず話が出来ない男だな。
「兄上、ヴィノーデル公爵は何を考えているのですか?エヴァンに謝罪すらしなかったのですよ。それにあの映像、どう考えてもナタリー嬢は王妃にはふさわしくありません。義姉上とは天と地ほどの差があるではありませんか?」
現王妃様は慈悲深く、時間があれば孤児院に出向いている様な人だ。さらに謙虚で誰にでも優しいとの事。父上がおっしゃる通り、天と地、女神とゴリラほど差があるのだ。
「そんな事、分かっている。とにかく、しばらく様子を見よう。エヴァン、この映像は私が預かってもいいだろうか?万が一ハドソンがナタリー嬢との婚約破棄を本格的に進めるとき、こういった映像があるといいからな」
「ええ、もちろんです。今後もこの様な映像を撮影できましたら、陛下に提供いたします」
「そうしてくれると助かる」
「それでは私たちはこれで失礼します。兄上、ヴィノーデル公爵とナタリー嬢の事、そろそろご決断を下した方がよろしいですよ」
父上が陛下にそう伝え、そのまま僕たちは王宮を後にしたのだった。
急いで屋敷に戻り、父上に今日起こった事とナタリー嬢に叩かれた傷痕を見せると、すぐに陛下に連絡を取ってくれた。
「兄上からヴィノーデル公爵とナタリー嬢も王宮に呼び出したとの事だから、私たちもすぐに向かおう。それにしても、ナタリー嬢は本当にどうしようもない令嬢だね…」
そう言ってため息を付く父上。王宮に着くと、既に陛下とハドソン殿下、ヴィノーデル公爵とナタリー嬢が待っていた。明らかに不機嫌そうな顔のナタリー嬢が、僕を睨みつけている。
「陛下からお話は聞きました。この度エヴァン殿を娘が暴力を振るったとの事ですが、どうやらエヴァン様を叩こうとして叩いた訳ではないとの事で。まあ、簡単に申しますと、不可抗力という事ですね」
そう言って笑っているヴィノーデル公爵。こいつ、僕をバカにしているのか?
「確かにナタリー嬢は僕を叩こうとしたわけではありませんが、罪もない令嬢を扇子で叩こうとしたのですよ!見て下さい、この痕!服の上からでもこの様な痕が残るほどなのに、直接令嬢の顔をめがけて叩こうとしたなんて、有るまじき行動です!」
「お言葉ですがエヴァン殿、ナタリーの話では、令嬢がナタリーをバカにしたそうではないか!ナタリーは次期王妃になる人間ですぞ。それなのに、ナタリーをバカにするなんて」
「ヴィノーデル公爵、その場に私もいましたが、ナタリーが勝手に令嬢に因縁をつけ、殴りかかっていましたよ」
すかさずハドソン殿下が、僕の援護をしてくれた。
「それでしたら、ナタリーが令嬢に因縁をつけたと言う証拠はあるのですか?証拠は?もちろん、映像か何かが残っているのですよね!」
出た、証拠を見せろ!か。相変わらず性格の悪い男だな。
「分かりました、それではご覧ください」
僕は近くに控えていた従者に、今日の映像を映す様指示を出す。まず最初は教室の様子、そしてわざわざルーナを呼び出して暴言を吐く映像も流した。
何度見ても胸糞悪いな!本当ならすぐにルーナを助けたかったのだが、この映像を撮るため、あえて出ていくのを我慢していたのだ。ただ…あまりの暴言に加え暴力を振るおうとしたため、我慢できなくなって出て行ってしまったが…
「ナタリー、この映像はどういう事だ!アルフィーノ侯爵令嬢を呼び出し、一方的に暴言を吐くだなんて。それも暴力まで…信じられない」
さすがのハドソン殿下も声を荒げた。
「これで言い逃れは出来ませんね」
「確かにナタリーが令嬢に暴言を吐き、暴力を振るおうとしていますが、アルフィーノ侯爵家からもバレッスレィー侯爵家からも我が家に抗議はきておりません。それなのに、外野がギャーギャーおっしゃられてもねぇ」
ヴィノーデル公爵が呟いた。ナタリー嬢も頷いている。こいつら、僕たちをなめているのか?我慢できなくなって文句を言おうとした時だった。
「ヴィノーデル公爵、実際に怪我をしたのはエヴァンです。見て下さい、この痕。どれほど強く叩いたらこれほどの痕が残るのですか?それに令嬢が、ましてや次期王妃になる予定の人がこのような暴力を振るって、公爵令息に怪我を負わせるだなんて、どんな理由であれ許される事ではありませんぞ!」
父上が声を荒げた。
「確かにエヴァンの傷痕は酷いな。こんな強い力で令嬢を叩こうとするななんて。ヴィノーデル公爵、私は何度も警告した。これ以上傲慢な態度が続くようなら、ハドソンとの婚約は白紙に戻させていただくと!いいかい?王妃とは、弱いものに手を差し伸べ、どんな時も公平な判断が出来ないといけないのだ。自分の権力を利用して、威張り散らし人々をしたがわせる人間では困る!次に問題を起こしたら、ハドソンとの婚約は白紙に戻させていただく」
陛下がヴィノーデル公爵にはっきりと告げたのだ。
「陛下、お言葉ですがナタリーは王妃教育もしっかり受けておりますし、令嬢たちの評判も上々です!それに、ナタリーが決定的な犯罪を犯したわけではないのに、簡単に婚約破棄なんて認められませんから!」
何をどうしたらナタリー嬢に対する評価が上々なんだ。どう見ても皆に嫌われているだろう。一部の取り巻きたちを除いて…
「ヴィノーデル公爵、はっきり言う。ナタリー嬢に関するクレームが、日に日に増えているんだ。このままナタリー嬢とハドソンを結婚させたら、最悪謀反を起こされ王政が危なくなる可能性だってあるんだぞ!そこまで言うなら、これ以上ナタリー嬢が暴走しない様、父親としてしっかり見張っていてくれ!」
「…わかりました。とにかくナタリーとハドソン殿下の婚約破棄は、絶対に認めませんから。ナタリー、帰るぞ」
そう言うと、ナタリー嬢を連れて帰って行ったヴィノーデル公爵。相変わらず話が出来ない男だな。
「兄上、ヴィノーデル公爵は何を考えているのですか?エヴァンに謝罪すらしなかったのですよ。それにあの映像、どう考えてもナタリー嬢は王妃にはふさわしくありません。義姉上とは天と地ほどの差があるではありませんか?」
現王妃様は慈悲深く、時間があれば孤児院に出向いている様な人だ。さらに謙虚で誰にでも優しいとの事。父上がおっしゃる通り、天と地、女神とゴリラほど差があるのだ。
「そんな事、分かっている。とにかく、しばらく様子を見よう。エヴァン、この映像は私が預かってもいいだろうか?万が一ハドソンがナタリー嬢との婚約破棄を本格的に進めるとき、こういった映像があるといいからな」
「ええ、もちろんです。今後もこの様な映像を撮影できましたら、陛下に提供いたします」
「そうしてくれると助かる」
「それでは私たちはこれで失礼します。兄上、ヴィノーデル公爵とナタリー嬢の事、そろそろご決断を下した方がよろしいですよ」
父上が陛下にそう伝え、そのまま僕たちは王宮を後にしたのだった。
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