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第92話:義両親には敵いません~グレイソン視点~
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屋敷に着くと、義母上が出迎えてくれた。
「おかえりなさい、グレイソン。今日は随分と早いわね。騎士団の稽古はどうしたの?」
「ただいま帰りました。義母上、大事な話があるのです。義父上は?」
「今外出中よ。夜までには帰って来ると思うけれど。それよりもグレイソン、随分と顔色が悪いわ。一度医者に診てもらいましょう」
「僕は大丈夫です。義父上が帰ってきたらお話しがあるので、呼んで頂けますか?」
「ええ…分かったわ」
義母上が不安そうな顔をしている。僕はどれだけ義両親に負担を掛けたら気が済むのだろう。僕の事を本当の息子の様に育ててくれた義両親。
彼らに恩返しをするどころか、心配ばかりかけて。
本当に僕は…
て、こんな事を考えていたら、またアルフレッドに怒られてしまう。今まで苦労を掛けてしまった分、これから義両親を大切にしよう。もっともっと頑張って、義両親には楽をしてもらわないと。
それにしても、ルージュは大丈夫なのだろうか。使用人たちを連れているとはいえ、たった1人で国を出ていくだなんて。一刻も早く、連れ戻したい。部屋でのんびりなんてしていられない。
そんな思いから、玄関を出て義父上の帰りを待つ。
「グレイソン、そんなところで待っていないで、屋敷に入って。風邪をひいたら大変よ」
「いいえ、ここで待たせてください」
「でも…」
義母上とそんな会話をしていると、義父上が帰ってきたのだ。
「おかえりなさい、義父上。大切な話があるのです。どうかお時間を!」
「グレイソン、落ち着きなさい。分かったよ、すぐに着替えてくるから、居間で待っていてくれ」
義父上が急いで屋敷に入っていった。僕も義母上と一緒に、居間へと向かった。心なしか義母上はとても不安そうな顔をしている。僕は本当にどこまで義母上を不安にさせたら気が済むのだろう。
申し訳なさすぎて、胸が張り裂けそうになる。そして今から、もっと図々しいお願いをしようとしているのだ。なんだか胃が痛くなってきた。でも、もう僕は逃げないと決めたのだ。
しばらくすると、義父上が居間へとやって来た。
「グレイソン、それで今日は、どんな話だい?やっぱり養子縁組を解消したい、今すぐこの家を出ていきたいだなんて言わないよね?」
「その件なのですが…今まで本当に申し訳ございませんでした。僕が間違っていました。僕はこのまま公爵令息として、生きていきたいです。そしてずっとこの家で、義父上や義母上と一緒にいたいです。僕にとって2人は、本当の両親の様な存在なのです。僕をあの地獄から救ってくれた上、本当の息子の様に接してくれていた2人に、僕はなんて酷いことを…」
1度目の生の僕といい、今回といい、僕は本当にどうしようもない人間だ。それでも僕は、こらからも義両親の傍にずっといたい。そんな思いを、2人にぶつけた。
「グレイソン、それは本当かい?本当に私たちの傍にいてくれるのかい?」
「グレイソン、よかったわ…ずっと不安だったの、本当にあなたが出ていくのではないかと。今日もこの家を出ていく話ではないかと思って…」
義父上と義母上が、僕を強く抱きしめてくれた。この家にいたくないと啖呵を切った僕に、どうしてこの人たちはこんな風に優しくてくれるのだろう。
「義父上、義母上、本当にごめんなさい。僕はあなた達を傷つけ、恩を仇で返したのです。それなのに、どうして怒らないのですか?僕は息子として失格なのに…」
「あなたは息子として失格な訳ないでしょう。私達こそ、グレイソンにあんな酷い言葉を言わせてしまってごめんなさい。辛かったでしょう?」
「すまない、グレイソン。妻の言う通り、君の苦しみに気が付いてあげられなかった私たちの責任だ。私達こそ、親失格だ」
「そんな、義父上も義母上も、僕にとって最高の両親です。どうかそんな事を言わないで下さい。本当にごめんなさい。僕の我が儘のせいで、2人を振り回して…」
2人の優しさに、一気に感情が溢れ出し、子供の様に声を上げて泣いた。そんな僕を強く抱きしめてくれる義両親。まるで本当の両親に抱きしめられている様な、そんな気持ちになる。
しばらく泣いた後、少し落ち着いた僕に義父上が話しかけて来た。
「グレイソン、辛い思いをさせてすまなかったね。これからも公爵令息として、この家で暮してくれるという事でいいのだよね?」
「はい、僕はヴァレスティナ公爵家の次期当主として、今まで以上に頑張るつもりです。どうかご指導の程、よろしくお願いします。それから…僕はその…ルージュの事が…」
今更何を恥ずかしがっているのだろう。ゆっくり深呼吸をして、義両親の方を向いた。
「僕はルージュがやっぱり大好きです。僕の思い込みで、ルージュを深く傷つけてしまいました。こんな僕が、ルージュを好きでいること自体図々しい事は百も承知です。でも…もう一度ルージュと話がしたいのです。しっかり話し合って、謝罪したいと考えています」
僕は義両親に、自分の勘違いでルージュと義両親にとって、僕がいない方がいいと判断して、この家を出ようとしていたことを正直に話した。もちろん、殿下から聞いた1度目の生の話は伏せながら。それでも出来るだけ、僕が感じていた気持を、洗いざらいぶちまけたのだ。
それが義両親に対しての誠意だと感じたからだ。
「おかえりなさい、グレイソン。今日は随分と早いわね。騎士団の稽古はどうしたの?」
「ただいま帰りました。義母上、大事な話があるのです。義父上は?」
「今外出中よ。夜までには帰って来ると思うけれど。それよりもグレイソン、随分と顔色が悪いわ。一度医者に診てもらいましょう」
「僕は大丈夫です。義父上が帰ってきたらお話しがあるので、呼んで頂けますか?」
「ええ…分かったわ」
義母上が不安そうな顔をしている。僕はどれだけ義両親に負担を掛けたら気が済むのだろう。僕の事を本当の息子の様に育ててくれた義両親。
彼らに恩返しをするどころか、心配ばかりかけて。
本当に僕は…
て、こんな事を考えていたら、またアルフレッドに怒られてしまう。今まで苦労を掛けてしまった分、これから義両親を大切にしよう。もっともっと頑張って、義両親には楽をしてもらわないと。
それにしても、ルージュは大丈夫なのだろうか。使用人たちを連れているとはいえ、たった1人で国を出ていくだなんて。一刻も早く、連れ戻したい。部屋でのんびりなんてしていられない。
そんな思いから、玄関を出て義父上の帰りを待つ。
「グレイソン、そんなところで待っていないで、屋敷に入って。風邪をひいたら大変よ」
「いいえ、ここで待たせてください」
「でも…」
義母上とそんな会話をしていると、義父上が帰ってきたのだ。
「おかえりなさい、義父上。大切な話があるのです。どうかお時間を!」
「グレイソン、落ち着きなさい。分かったよ、すぐに着替えてくるから、居間で待っていてくれ」
義父上が急いで屋敷に入っていった。僕も義母上と一緒に、居間へと向かった。心なしか義母上はとても不安そうな顔をしている。僕は本当にどこまで義母上を不安にさせたら気が済むのだろう。
申し訳なさすぎて、胸が張り裂けそうになる。そして今から、もっと図々しいお願いをしようとしているのだ。なんだか胃が痛くなってきた。でも、もう僕は逃げないと決めたのだ。
しばらくすると、義父上が居間へとやって来た。
「グレイソン、それで今日は、どんな話だい?やっぱり養子縁組を解消したい、今すぐこの家を出ていきたいだなんて言わないよね?」
「その件なのですが…今まで本当に申し訳ございませんでした。僕が間違っていました。僕はこのまま公爵令息として、生きていきたいです。そしてずっとこの家で、義父上や義母上と一緒にいたいです。僕にとって2人は、本当の両親の様な存在なのです。僕をあの地獄から救ってくれた上、本当の息子の様に接してくれていた2人に、僕はなんて酷いことを…」
1度目の生の僕といい、今回といい、僕は本当にどうしようもない人間だ。それでも僕は、こらからも義両親の傍にずっといたい。そんな思いを、2人にぶつけた。
「グレイソン、それは本当かい?本当に私たちの傍にいてくれるのかい?」
「グレイソン、よかったわ…ずっと不安だったの、本当にあなたが出ていくのではないかと。今日もこの家を出ていく話ではないかと思って…」
義父上と義母上が、僕を強く抱きしめてくれた。この家にいたくないと啖呵を切った僕に、どうしてこの人たちはこんな風に優しくてくれるのだろう。
「義父上、義母上、本当にごめんなさい。僕はあなた達を傷つけ、恩を仇で返したのです。それなのに、どうして怒らないのですか?僕は息子として失格なのに…」
「あなたは息子として失格な訳ないでしょう。私達こそ、グレイソンにあんな酷い言葉を言わせてしまってごめんなさい。辛かったでしょう?」
「すまない、グレイソン。妻の言う通り、君の苦しみに気が付いてあげられなかった私たちの責任だ。私達こそ、親失格だ」
「そんな、義父上も義母上も、僕にとって最高の両親です。どうかそんな事を言わないで下さい。本当にごめんなさい。僕の我が儘のせいで、2人を振り回して…」
2人の優しさに、一気に感情が溢れ出し、子供の様に声を上げて泣いた。そんな僕を強く抱きしめてくれる義両親。まるで本当の両親に抱きしめられている様な、そんな気持ちになる。
しばらく泣いた後、少し落ち着いた僕に義父上が話しかけて来た。
「グレイソン、辛い思いをさせてすまなかったね。これからも公爵令息として、この家で暮してくれるという事でいいのだよね?」
「はい、僕はヴァレスティナ公爵家の次期当主として、今まで以上に頑張るつもりです。どうかご指導の程、よろしくお願いします。それから…僕はその…ルージュの事が…」
今更何を恥ずかしがっているのだろう。ゆっくり深呼吸をして、義両親の方を向いた。
「僕はルージュがやっぱり大好きです。僕の思い込みで、ルージュを深く傷つけてしまいました。こんな僕が、ルージュを好きでいること自体図々しい事は百も承知です。でも…もう一度ルージュと話がしたいのです。しっかり話し合って、謝罪したいと考えています」
僕は義両親に、自分の勘違いでルージュと義両親にとって、僕がいない方がいいと判断して、この家を出ようとしていたことを正直に話した。もちろん、殿下から聞いた1度目の生の話は伏せながら。それでも出来るだけ、僕が感じていた気持を、洗いざらいぶちまけたのだ。
それが義両親に対しての誠意だと感じたからだ。
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