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第19話:僕も強くなってルージュを守りたい~グレイソン視点~
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「グレイソン、次は打ち合いだ。気を引き締めて行けよ」
「はい!」
竹刀を握り、真剣に打ち合いを行う。
「よし、こそまで。グレイソン、随分と強くなったな。まだ騎士団に入って、3ヶ月足らずなのに」
「僕はまだまだだよ。それにしても、アルフレッドは本当に強いね。11歳でもう副隊長を任されているのだろう?」
「俺は子供の頃からずっと騎士団で稽古を積んできたからな。それに比べ、グレイソンはまだ3ヶ月だろう?もしかしたらグレイソンは、騎士団でも相当上の方に行けるかもしれないよ」
そう言って笑っているアルフレッド。あのお茶会の後、すぐに義父上に騎士団に入団したい事を打ち明けた。最初は驚いていたが
“グレイソンがこの家に来て、何かをやりたいと言った事は初めてだね。ぜひやってみるといい。でも、無理はいけないよ。私から早速騎士団長に、話しをしておくから”
そう言ってすぐに入団の手続きを行ってくれたのだ。最初は心配そうな顔をしていたルージュや義母上も、今では笑顔で見送ってくれる。
「僕は別にずっと騎士団を続けるつもりはないよ。ルージュを守れるくらい強くなりたいだけなんだ」
「グレイソンは本当にルージュ嬢の事が好きなんだな。まあ、グレイソンはいずれ公爵家を継ぐのだろう?そう考えると、一人娘のルージュ嬢と結婚するのが普通だと思うのだが。公爵はなんと言っているのだい?」
「義父上は、僕の気持ちを尊重したい、ルージュには別の家に嫁がせるから、ルージュの事は考えなくていいと言ってくれているよ。でも僕は、ルージュと一緒に公爵家を守っていきたいと考えているよ。その為にも、もっともっと強くなって、ルージュに男として見てもらわないと。僕は一応兄の立場だけれど、どう見ても弟の様な扱いをされているのだよね…」
ルージュはいつも僕を気にかけてくれている。ただ、どう見ても僕の事を手のかかる弟の様にしか思っていない様だ。僕だってこれでも男だ。いつかルージュに認めてもらいたい、そんな思いで今、必死に騎士団の稽古に励んでいる。
とはいえ、騎士団の稽古は楽しくてたまらない。どうやら僕は体を動かすのが好きな様だ。それに騎士団に入団してから、沢山の友人が出来た。中でもアルフレッドとは、随分親しくなった。
彼は騎士団長の娘のマリーヌ嬢が好きらしい。ちなみに、中々素直になれない2人の仲を取り持ったのは、なんとルージュだそう。
その為アルフレッドもルージュには恩があるらしい。僕の恋も全力で応援してくれると言っていた。
ちなみに叔父上や従兄弟達だが、先日彼らの裁判が終わった。僕の両親の遺産も勝手に使い果たしていた様で、結果有罪判決が言い渡された。叔父上は爵位をはく奪され、犯罪者が収容される施設に移送されたらしい。従兄弟(クザイの兄)が新たに爵位を受け継いだが、侯爵から一気に男爵にまで落ちたらしい。
その上僕が相続した財産の返金と僕に対する慰謝料の支払いで、財政はほぼ破綻していると聞く。使用人もほとんどおらず、必死に働いて生きているとの事。
少し気の毒な気もするが、ルージュ曰く“自業自得”らしい。
今回の件で色々と動いてくれたアルソン侯爵やミシェル嬢には、本当に感謝している。
「グレイソン、何をぼっとしているのだい?そろそろお昼だ。皆で食事にしよう」
「ああ、そうだね」
こうやって騎士団で過ごす時間は、楽しくてたまらない。それもこれも、僕をあの地獄から救い出してくれた義両親やルージュのお陰だ。まさかこんなにも楽しい日々が僕を待っていただなんて…
彼らは本当に僕を家族の様に接してくれる。2ヶ月前の僕の11歳のお誕生日も盛大に祝ってもらった。ちなみに僕のお誕生日の手配は、ルージュがメインで行ってくれたらしい。
ルージュはどこまでも僕を大切にしてくれる優しい子だ。だから今度は、僕がルージュを守りたい。僕が彼女を幸せにしたいのだ。その為にも、もっともっと強くならないと!
午後の稽古も終わり、それぞれが家路につく。
「グレイソン、また明日」
「ああ、また明日ね」
笑顔で挨拶をかわし、馬車に乗り込んだ。家に帰ったら義父上と領地の勉強をしないと。それから、自主練もしたいな。でも、ルージュとの時間も大切にしたいし。
そんな事を考えているうちに、屋敷に着いた。すると
「グレイソン、おかえりなさい」
「おかえりなさい、グレイソン様。今日も疲れたでしょう?もうすぐ晩御飯よ。今日はグレイソン様の好きな牛タンのシチューを料理長が作ってくれたのですよ。早く食べましょう」
僕の為に出迎えて入れたのは、義母上とルージュだ。毎日こうやって僕の帰りを待っていてくれる2人。
「まだ義父上は帰っていないのでしょう?夕食は皆そろってからにしようよ」
「お父様は今日遅くなるのですって。ガブディオン元侯爵の件で、ミシェルの家にお礼に行っているそうよ。晩御飯もご馳走になって帰って来るらしいわ」
「お礼に行って晩御飯をご馳走になるだなんて。本当にあの人は…さあ、もう中に入りましょう」
「そうね、グレイソン様、疲れたでしょう。私が部屋まで連れて行ってあげるわ」
そう言って僕の手を握ったルージュ。後ろでは義母上が優しい眼差しで見つめている。
この何気ない日常が僕にとって幸せでたまらないのだ。
これからもずっと、この幸せを守っていきたい。できれば僕の手で…
※次回、ルージュ視点に戻ります。
そろそろ王太子、クリストファー登場かな?
よろしくお願いしますm(__)m
「はい!」
竹刀を握り、真剣に打ち合いを行う。
「よし、こそまで。グレイソン、随分と強くなったな。まだ騎士団に入って、3ヶ月足らずなのに」
「僕はまだまだだよ。それにしても、アルフレッドは本当に強いね。11歳でもう副隊長を任されているのだろう?」
「俺は子供の頃からずっと騎士団で稽古を積んできたからな。それに比べ、グレイソンはまだ3ヶ月だろう?もしかしたらグレイソンは、騎士団でも相当上の方に行けるかもしれないよ」
そう言って笑っているアルフレッド。あのお茶会の後、すぐに義父上に騎士団に入団したい事を打ち明けた。最初は驚いていたが
“グレイソンがこの家に来て、何かをやりたいと言った事は初めてだね。ぜひやってみるといい。でも、無理はいけないよ。私から早速騎士団長に、話しをしておくから”
そう言ってすぐに入団の手続きを行ってくれたのだ。最初は心配そうな顔をしていたルージュや義母上も、今では笑顔で見送ってくれる。
「僕は別にずっと騎士団を続けるつもりはないよ。ルージュを守れるくらい強くなりたいだけなんだ」
「グレイソンは本当にルージュ嬢の事が好きなんだな。まあ、グレイソンはいずれ公爵家を継ぐのだろう?そう考えると、一人娘のルージュ嬢と結婚するのが普通だと思うのだが。公爵はなんと言っているのだい?」
「義父上は、僕の気持ちを尊重したい、ルージュには別の家に嫁がせるから、ルージュの事は考えなくていいと言ってくれているよ。でも僕は、ルージュと一緒に公爵家を守っていきたいと考えているよ。その為にも、もっともっと強くなって、ルージュに男として見てもらわないと。僕は一応兄の立場だけれど、どう見ても弟の様な扱いをされているのだよね…」
ルージュはいつも僕を気にかけてくれている。ただ、どう見ても僕の事を手のかかる弟の様にしか思っていない様だ。僕だってこれでも男だ。いつかルージュに認めてもらいたい、そんな思いで今、必死に騎士団の稽古に励んでいる。
とはいえ、騎士団の稽古は楽しくてたまらない。どうやら僕は体を動かすのが好きな様だ。それに騎士団に入団してから、沢山の友人が出来た。中でもアルフレッドとは、随分親しくなった。
彼は騎士団長の娘のマリーヌ嬢が好きらしい。ちなみに、中々素直になれない2人の仲を取り持ったのは、なんとルージュだそう。
その為アルフレッドもルージュには恩があるらしい。僕の恋も全力で応援してくれると言っていた。
ちなみに叔父上や従兄弟達だが、先日彼らの裁判が終わった。僕の両親の遺産も勝手に使い果たしていた様で、結果有罪判決が言い渡された。叔父上は爵位をはく奪され、犯罪者が収容される施設に移送されたらしい。従兄弟(クザイの兄)が新たに爵位を受け継いだが、侯爵から一気に男爵にまで落ちたらしい。
その上僕が相続した財産の返金と僕に対する慰謝料の支払いで、財政はほぼ破綻していると聞く。使用人もほとんどおらず、必死に働いて生きているとの事。
少し気の毒な気もするが、ルージュ曰く“自業自得”らしい。
今回の件で色々と動いてくれたアルソン侯爵やミシェル嬢には、本当に感謝している。
「グレイソン、何をぼっとしているのだい?そろそろお昼だ。皆で食事にしよう」
「ああ、そうだね」
こうやって騎士団で過ごす時間は、楽しくてたまらない。それもこれも、僕をあの地獄から救い出してくれた義両親やルージュのお陰だ。まさかこんなにも楽しい日々が僕を待っていただなんて…
彼らは本当に僕を家族の様に接してくれる。2ヶ月前の僕の11歳のお誕生日も盛大に祝ってもらった。ちなみに僕のお誕生日の手配は、ルージュがメインで行ってくれたらしい。
ルージュはどこまでも僕を大切にしてくれる優しい子だ。だから今度は、僕がルージュを守りたい。僕が彼女を幸せにしたいのだ。その為にも、もっともっと強くならないと!
午後の稽古も終わり、それぞれが家路につく。
「グレイソン、また明日」
「ああ、また明日ね」
笑顔で挨拶をかわし、馬車に乗り込んだ。家に帰ったら義父上と領地の勉強をしないと。それから、自主練もしたいな。でも、ルージュとの時間も大切にしたいし。
そんな事を考えているうちに、屋敷に着いた。すると
「グレイソン、おかえりなさい」
「おかえりなさい、グレイソン様。今日も疲れたでしょう?もうすぐ晩御飯よ。今日はグレイソン様の好きな牛タンのシチューを料理長が作ってくれたのですよ。早く食べましょう」
僕の為に出迎えて入れたのは、義母上とルージュだ。毎日こうやって僕の帰りを待っていてくれる2人。
「まだ義父上は帰っていないのでしょう?夕食は皆そろってからにしようよ」
「お父様は今日遅くなるのですって。ガブディオン元侯爵の件で、ミシェルの家にお礼に行っているそうよ。晩御飯もご馳走になって帰って来るらしいわ」
「お礼に行って晩御飯をご馳走になるだなんて。本当にあの人は…さあ、もう中に入りましょう」
「そうね、グレイソン様、疲れたでしょう。私が部屋まで連れて行ってあげるわ」
そう言って僕の手を握ったルージュ。後ろでは義母上が優しい眼差しで見つめている。
この何気ない日常が僕にとって幸せでたまらないのだ。
これからもずっと、この幸せを守っていきたい。できれば僕の手で…
※次回、ルージュ視点に戻ります。
そろそろ王太子、クリストファー登場かな?
よろしくお願いしますm(__)m
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