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第47話:王宮図書館へと向かいます

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王太子がソフィー様を庇って怪我をした翌日、クラウド様に連れて来てもらい、王太子の病室へと向かった。王太子が入院しているとあって、護衛騎士が厳重に警備している。

「この時間は王妃がいないからね。王妃がいると、病室に入れてもらえないんだよ」

そう言ったクラウド様。どうやら王妃様とクラウド様の確執はかなり深い様だ。身体検査を行った後、やっと病室に入る事が出来た。

「マシュー様!」

ベッドで眠っている王太子に駆け寄るソフィー様。まだ意識の戻らない王太子の手をギューッと握った。

「マシュー様、ごめんなさい!私のせいでこんな事になってしまって」

そう言って涙を流すソフィー様。

「クラウド様、王太子殿下の意識はどうして戻らないのかしら?」

「僕にもよく分からないんだ!2~3日したら戻ると医者も言っていたし、そんなに心配しなくても大丈夫じゃないかな?」

「何を呑気な事を言っているのですか!マシュー様の意識が戻らないのに、よくそんな平然とした顔をしていられますね!それでも弟なの?クラウド殿下の薄情者!」

どうやらクラウド様の発言が気に入らなかった様で、ソフィー様が泣きながらクラウド様に抗議をしている。困った顔のクラウド様。

「ソフィー様、落ち着いて!とにかく王太子殿下は、最悪の自体を脱しているのだから」

そう言って涙を流すソフィー様の背中を撫でた。その後しばらく王太子の様子を見て、病室を後にした。

「ソフィー嬢、兄上が目覚めたらすぐに知らせるから、そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。きっと君が悲しそうな顔をしていたら、兄上も心配するよ」

「クラウド殿下、ありがとうございます。さっきは酷い事を言ってすみませんでした。そうですね、マシュー様が心配しない様に、出来るだけ笑顔でいる様にします」

そう言って力なく笑ったソフィー様。一度ソフィー様を馬車で公爵家まで送った後、私とクラウド様は王宮図書館に行く為、再び馬車へと乗り込んだ。

「クラウド殿下、ミレニア様!どこに行くのですか?」

馬車に乗り込んだ私たちを追いかけて来たソフィー様。

「ちょっと王宮図書館に行って来るわ。ソフィー様は屋敷でゆっくり休んでいて」

王太子の事でかなり疲労が溜まっているソフィー様に、これ以上負担を掛けたくはない。そう思ったのだが…

「王宮図書館に行くって事は、今回の事件と何かしら関係があるのですよね。お願いします!私も連れて行ってください!私に出来る事なら何でもしたいのです。お願いです」

何度も頭を下げるソフィー様。

「分かったわ。一緒に行きましょう。ただグラディス先生も一緒に行きたいと言っていたから、一度学院に寄らせてもらうわね」

「はい、ありがとうございます!」

そう言って、嬉しそうに馬車に乗り込むソフィー様。

「それで、今回は何を調べる為に王宮図書館に向かうのですか?ミレニア様、お願いです。あなた様が知っている事を、私にもどうか教えてください!」

真剣な眼差しのソフィー様。ふとクラウド様を見ると、“教えてやれ”と言った目をしていたので、ソフィー様に今までの経緯を説明する事にした。

「実は今回王太子の矢に塗られていた毒は、ミラレス草という草を使って作られた毒だったの。このミラレス草は、25年前に滅んだポレスティレイ王国でのみ、栽培されていた草なのよ。ちなみにソフィー様に使われた毒も、この草から作られた毒だったの。さらにクラウド様を陥れた組織も、どうやらポレスティレイ王国が絡んでいる様なの。だから今から王宮図書館で、ポレスティレイ王国について調べようと思っているのよ」

「そうだったのですか!異国の毒が使われていたと聞いてはいましたが、まさか滅んだ国の毒だったなんて…という事は、この国のどこかに、その王国の生き残りの方がいらっしゃるのですね?その方が犯人なのですか?」

「犯人かどうかは分からないけれど、何らかのかたちで関わっているのは事実よ。とにかく、謎が多いポレスティレイ王国を調べる必要があると思ったの」

「分かりました、私もその王国をしっかり調べますわ!」

なぜか俄然やる気を見せるソフィー様。その後グラディス先生を馬車に乗せ、王宮へと向かう。

「ここが王宮図書館だよ!父上には許可を取ってあるから」

クラウド様が受付で何かの紙を渡している。その後私たちも身分証明書を提出し、図書館の中に入った。さすが王宮の図書館、物凄く広い。

「それにしても広いな。ちょっと司書に聞いて来るわ」

そう言って司書に聞きに行くグラディス先生。こういう時のグラディス先生の行動力はさすがだ。しばらくしてグラディス先生が戻って来た。

「他国に関する資料はあっちみたいだ」

グラディス先生に連れられ、他国の資料が沢山ある場所へとやって来た。それにしても凄い量だ。ここから探すのね…

「さあ、手分けして探すぞ!そうそう、地域別に分かれていると言っていたから、多分この辺りだ」

「それじゃあ、この辺りを重点的に探しましょう」

早速4人がかりで探し始める。とにかく本の量が多いせいか、中々見つからない。本当にポレスティレイ王国に関する資料なんてあるのかしら?そう思った時だった。

「おい、あったぞ!これだ!」

そう叫んだのは、グラディス先生だ。急いで先生の元へと駆け寄る。先生が握っている本を見ると、確かにポレスティレイ王国に関する資料の様だ。資料によると、ポレスティレイ王国は、気候も良く作物もよく育つ土地だった為、主に農業に力を入れていた事。

貿易にも力を入れており、我がパルメラーネ王国とも貿易が盛んにおこなわれていた様だ。そんな中今から28年前、グレム王国に攻め込まれた。3年間の戦いの末、ポレスティレイ王国は戦いに敗れ25年前に滅亡した。その際、王族や伯爵以上の貴族は皆殺されたか自ら命を絶ったとの事。

当時の国王は何とか王子だけでも逃がそうとしたようだが、3人の王子はいずれも捕まり殺された様だ。

またポレスティレイ王国の王族にのみ代々受け継がれている、身体的特徴がある。


「すみません、そろそろお時間です!」

司書の人が呼びに来た。え~!今良いところなのに!

「もう少し時間を延ばして貰えませんか?」

そう伝えるクラウド殿下。

「申し訳ございません。規則ですので」

どうして役人はすぐに規則ですので!て言うのかしら。そう言えば、日本でも規則規則てうるさかったわ。

「仕方ない。続きはまた今度にしよう!」

クラウド様に従い、仕方なく王宮図書館を後にした。

「どうやら私が以前から聞いていた情報と、あの本の内容はほぼ一致していたな。ただ途中までしか読めなかったから、新たな情報を手に入れられる可能性はまだあるだろう」

グラディス先生の言った通り、きっとまだ新たな情報を手に入れられる可能性は高い。一刻も早く、もう一度王宮図書館に足を運ばないと!

「クラウド様、出来るだけ早く次回の王宮図書館への入館許可を取って下さいね!」

「ああ、分かったよ…」

私の勢いに押され、若干引き気味のクラウド様。とにかくもう一度王宮図書館に行かないと!そう意気込むミレニアであった。
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