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第31話:何が起こっているの?

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3年生になって半年ほどが経過した。ずいぶん物語が進んでいるはずだが、有難い事に平和な日々を送っている。クラウド様とは相変わらずラブラブだし、ソフィー様は可愛いし、王太子は…若干うざいが、それでもなんだかんだで仲良くやっている。

最初はぎこちなかった王太子とクラウド様も、毎日一緒にご飯を食べているせいか、随分と普通に話すようになってきた。

そして最近またソフィー様と王太子は、よく2人で楽しそうに過ごしている。これはもしかして!そう思って、ソフィー様と王太子にそれとなくよりを戻したのか聞いたのだが

「そんな事は絶対にありません!私がお慕いしているのは、ミレニア様だけです!」

「俺だって好意を抱いているのはミレニアだけだ!」

と、息ぴったりで否定された。なぜか私に執着しているようだが、そもそも2人はヒーローとヒロインなのだ。途中手違いですれ違ってしまったが、このまま行けば、またよりを戻すのも時間の問題だと思っている。

それに、学院内でも既に王太子とソフィー様は再び付き合い始めたという噂で持ち切りだ。何よりクラウド様が、2人がよりを戻すのを熱望しているのだ!

今日も4人でお昼ご飯を食べている。

「もう、マシュー様、お口にご飯が付いていますよ」

そう言ってご飯粒を取るソフィー様。

「ありがとう。ソフィー」

そう言って嬉しそうに笑う王太子。どう見てもラブラブカップルだ!やっぱりストーリーの強制力と言うものが働いているのかしら?

そんな2人を見ていたクラウド様が、嬉しそうにこっちに寄って来た。

「向こうは向こうでイチャイチャしているんだ。僕たちもイチャイチャしても問題ないよね」
そう言って口を開けるクラウド様。これは食べさせろと言うことね。早速私の唯一の得意料理、卵焼きをフォークで刺した。

「クラウド様、あ~ん」

そう言いながら、クラウド様の口に食べ物を運ぶ。

「ミレニアの卵焼きは世界一おいしいよ!」

そう言って嬉しそうに頬張っている。

「クラウド殿下、ずるいですわ!私もあ~んして下さい!」

そう言って口をかけてくるソフィー様。その姿がかわいくて、ソフィー様の口にも卵焼きを放り込んだ。

「俺も俺も」

なぜか王太子まで口を開けて待っている。するとクラウド様が王太子のフォークに食材を差し、乱暴に口の中に入れていた。

「おい、第二王子!何でお前が俺に食べさせるんだよ!俺はミレニアに食べさせてもらいたかったのに!」

「何度言ったらわかるんですか?ミレニアは僕のものです!あなたはソフィー嬢で十分でしょう!ソフィー嬢、あなたも少しは現実を見てください。どう転んでも、ミレニアは手に入らないのです。それならいっその事、元さやに戻ったらいかがですか?そもそも、2人は愛し合っていたのでしょう?」

クラウド様の言葉で、なぜか考え込む2人。

「私もそれが良いかと思いますわ。一度は本気で愛し合った2人ですもの。確かに、途中で間違った方向に進んでしまったかもしれません。でも、人間間違いはあるものですわ」

そもそも、2人はヒーローとヒロインなのだ!物語上、2人がくっつく事は必然的な事なのだ!

私とクラウド様の言葉を聞き、お互い見つめ合う王太子とソフィー様。

「でも、俺はソフィーをものすごく傷つけてしまった。そんな俺が、ソフィーを再び愛する資格はない」

そう言って俯く王太子。

「マシュー様、それは違いますわ!私もいけなかったのです!それに初めて人の温もりを教えてくれたマシュー様には、本当に感謝しております。だから、愛する資格がないなんて事は言わないで下さい」

「ソフィー…」

良い感じの雰囲気になってきたところで、クラウド様に腕を引っ張られた。きっと2人きりにさせてあげようという事なのだろう。

そっと2人から離れた。

「ねえ、クラウド様。あの2人、また付き合うと思いますか?」

「それはどうだろう。たとえ付き合ったとしても、多くの障害がある事は事実だ。それに、あの王妃が黙っていないよ」

確かにクラウド様の言うとおりだ。でも後3ヶ月もすれば、ソフィー様が隣国の王女だとわかるはずだわ。そうすれば、きっと障害も取り払われるはず!

でも…
結局2人は、良き友達としてしばらくは付き合って行く事になったらしい。やはりクラウド様が言ったように、障害も多いからだろう。まあ、2人が話し合って結論を出した事なら、私がとやかく言う事は出来ない。しばらくは見守る事にしよう。

そして放課後
私とクラウド様はグラディス先生の研究室に向かう為、ソフィー様と王太子とは教室で別れた。ふと2人を見ると、楽しそうに会話をしながら帰っていく姿を目に付いた。

やっぱり2人は、とてもお似合いだ。

「ミレニア、あの2人が気になるのかい?」

隣にいたクラウド様に話しかけられた。この顔は、ご機嫌が悪い時の顔ね。

「ええ、あの2人はあんなに仲良しだから、いつか幸せになってくれたらと思ったの」

「そっちか…ミレニアがあまりにも寂しそうに2人を見ていたから、僕はてっきり…」

「クラウド様?何か言いましたか?」

「いいや!何も言っていないよ!ミレニアの言う通り、僕も2人がくっ付いてくれたら嬉しいよ。そうなってくれたら、僕たちももっと2人でいられるしね」

そう言うと、ギューッと抱きしめてくれた。最近2人きりになると、よく抱きしめてくれるクラウド様。そのまま、顔が近づいてきて…

ヴーヴー
唇が触れる寸前で、通信機に通信が入った。たぶんグラディス先生から、早く来いと言う連絡だろう。

ちょっと、いい所だったのに!
そう思っていたのだが、「チュ」と唇に触れたクラウド様。でも、一瞬だったわ。もう1度、そう思っていたのだが

「先生が待っているから急ごう!」

クラウド様に手を引かれ、歩きはじめたので、もう1度はお預けとなった。グラディス先生め!

ちなみに今日は、ついにマッサージ機第1号が完成したという事で、出来具合を確認しに行く事になっていたのだ。研究室に付くと、先生が待っていた。

「やっと来たか!遅いぞ2人とも。早速マッサージ機第1号が完成したんだ。見てくれ」

嬉しそうにマッサージ機を見せるグラディス先生。どうやら機械をマッサージしたい場所に当てるタイプのものの様だ。という事は、誰かに機械を当ててもらわないといけないのね。

早速先生が、マッサージ機を使ってクラウド様の肩をもみ始めた。

「あぁぁ、先生。これ結構気持ちいです。もっと右をお願いします!」

「ここか?」

「そうです、そこ!あぁ、ミレニアのマッサージには劣るけれど、気持ちいい!」

どうやらクラウド様には好評のようだ。その次に私も使わせてもらったが、ものすごく気持ちが良かった。

「でも、これは自分1人で出来ないのがネックですね」

「そうなんだよ、何かいいアイディアはないかい?」

そういえば、前世の記憶では椅子に座るタイプのマッサージ機があったわね。

「先生、椅子に座るタイプのマッサージ機を作ってみてはいかがですか?もちろん、高さ調節ができれば最高ですね」

「確かに座るタイプのものなら、誰かに手伝ってもらわなくてもマッサージが受けられるな!ありがとう、早速作ってみるよ」

「すごいね、ミレニア!そんな発想僕には全くなかったよ!」

なぜか2人にものすごく褒められたが、私は前世の知識を話したまでだ。それも、すでに開発されていたものを、そのまま伝えただけ…全く凄くも何ともない!

先生が開発に入ったので、とりあえず部屋の片づけをして家に帰ってきた。

夜、クラウド様といつも通り通信をして、布団に潜り込む。今日も平和だったわ。それにしても、ソフィー様と王太子、早く付き合ってくれるといいな!やっぱり2人には、幸せになってほしいものね!

そう願いながら、眠りについたのであった。


そして翌日
朝起きると、お父様に呼び出された。深刻そうな顔をしている。一体何があったのかしら?

「ミレニア、落ち着いて聞きなさい!昨日、マルティーノ男爵家の屋敷から火災が発生してね。全焼したそうだよ」

「何ですって!ソフィー様の家が!それで、ソフィー様は!ソフィー様は無事なの?」

「今病院で治療を受けているが、意識が無いらしい。ただ、早期に救出されたおかげで、やけど等のケガは大した事は無い様だ」

「何ですって…意識がないだなんて…どうしてこんな事に…」

ショックでその場にへたり込んだ。どうしてこんな事になってしまったの?ソフィー様の家が火事になるなんて、そんな話、小説にはなかったわ!一体何が起こっているの?
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