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第28話:王太子とソフィー様がよく絡んできます【前編】

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「それではクラウド様、また明日学院で」

「ああ、気を付けて帰るんだよ!また夜に通信を入れるからね」

クラウド様に見送られて馬車に乗り込んだ。少しずつ離れて行く王宮を眺める。きっとまたすぐにここに来る事になるのよね。王妃様、マッサージを相当気に入っていたみたいだし。

そうなれば、またクラウド様の離宮に行けるわ!やっぱり定期的に離宮に行って、反王政派の女が潜入していないか様子を見ないといけないものね。でも潜入したところで、クラウド様はきっとあの女には、なびかないだろう。そうなれば、諦めてくれるかしら?

もしかしたら、既に諦めて撤収した後だったりして。そうだったら嬉しいわ。それにしても、今日のクラウド様は物凄く怖かったわ!普段優しい人が怒ると、あんなにも迫力があるのね。

だって、笑顔で淡々と怒るのですもの!あれならいっその事、怒鳴られた方がまだましよ!とにかく、クラウド様を怒らせない様にしないと!


そして翌日
今日も早起きをして、卵焼き作りだ!それしか作れないのか!そう言われそうだが、はい、作れません。前世では仕事に熱中しすぎて、料理まで手が回らず、毎日コンビニ弁当で過ごしていたのだ。

卵焼きを一生懸命作っていると、料理長が話しかけて来た。

「お嬢様、卵焼きに具材を入れてみてはいかがでしょう」

そう言えば、実家の母はよく卵焼きにネギやサラダスティックを入れていたわ。

「料理長、ありがとう。そうね、何か入れてみるといいかもしれないわね、何がいいかしら?」

私の問いかけに、何種類かの具材を用意してくれた。料理長が用意してくれたのは、枝豆、チーズ、ハム、ホウレン草、小魚だ。

せっかくなので、1つずつ入れて卵焼きを焼いて行く。ちなみに今日の卵焼きも、甘くないだし巻きだ。

料理人たちにも手伝ってもらい、全種類の卵焼きを焼き上げた。せっかくなので、料理人たちにも味見をしてもらう。

「お嬢様、どれも美味しいです。具材を入れるだけで、味がこれほどまでに変わるのですね」

「これはかなり美味しいです!他にも色々な具材で試してみると、面白いかもしれませんね」

次々と料理人たちが、味の評価とアドバイスをくれる。今回作った5種類は、概ね好評の様だ。

「確かにそうね。色々と入れてみるといいわね。アドバイスありがとう」

これからは色々な具材を入れていけば、バリエーションが増えたように見えるわ。その作戦で行きましょう。早速焼きあがった5種類の卵焼きも一緒に、お弁当に詰めてもらった。少し卵焼きが多いけれど、まあいっか!

制服に着替え、急いで馬車に乗り込む。今日のお昼が楽しみだわ!学院に着くと、まず私の元にやって来たのは、王太子だ。

「ミレニア、昨日母上とお茶をしたのだよね。その後、一緒にお茶を飲もうと待っていたんだよ」

そう言って頬を膨らます王太子。そんな話は聞いていない。そもそも、あの後はクラウド様の離宮に行く約束をしていたのだ。

「そうだったのですか?存じ上げませんでしたわ。でも、あの後はどちらにしろ、予定がありましたので」

「知っているよ。第二王子の離宮に行ったんだろ?そう言えば、母上がミレニアからオイルを使ったマッサージを受けたと言っていたよ。物凄く気持ちよかったと大絶賛でね。俺にも同じマッサージをしてもらえるかい?」

それはマズイわ…昨日クラウド様に、もう二度と他の男性にアロマオイルを使ったマッサージを行わないと約束したのよね。どうしよう…

「王太子殿下、申し訳ございません。ミレニアには他の男にアロマオイルを使ったマッサージをする事を、禁じております。たとえ王太子殿下であろうと、施術を行わせるつもりはありませんから」

後ろから現れたのはクラウド様だ!王太子にビシッと断ってくれた。さすが私のクラウド様だわ!

「随分とけち臭い事を言うんだな。別にマッサージくらい、いいだろう?減るもんじゃないんだし。そもそも、俺とミレニアは今後婚約を結び直す可能性が高いんだ!お前にとやかく言われたくはないよ!」

おいおい、どうして私があんたと婚約を結び直さないといけないのよ。王妃様といい王太子といい、本当にしつこいわね。

「それでしたら、ぜひ婚約を結び直せたら、ミレニアにマッサージをしてもらってください!」

そう言い放ったクラウド様。今日のクラウド様は随分と強気ね。でも、そんなクラウド様も素敵!そっとクラウド様にくっ付く。そう言えば、昨日はクラウド様の生腹筋を拝めたのよね。

素敵な生腹筋だったわ。あの生腹筋に触れてみたい。1人で妄想していると、今度はソフィー様が話に入って来た。

「何をそんなに大きな声で騒いでいますの?廊下まで聞こえて来ていましたよ」

「ソフィー、聞いてくれ。第二王子が俺にミレニアのマッサージを受けさせないと、けち臭い事を言っているんだ」

「さっきからけち臭いけち臭いって、人聞きの悪い!そもそも、アロマを使ったマッサージは裸になる必要があるのです。なぜ僕の可愛いミレニアに、裸の王太子殿下のマッサージをさせないといけないのですか?常識的に考えてもおかしいですよ!」

クラウド様が、珍しく王太子に食って掛かっている。それにしても、僕の可愛いミレニアだなんて!キャー嬉しいわ!!

「まあ、アロマを使ったマッサージがあるのですか?私も受けてみたいです。マシュー様、さすがに裸になって女性にマッサージをしてもらおうなんて、ちょっと図々しいですわよ!でも私は女性ですから、問題ないですよね。」

ものすごく笑顔で私に聞いてくるソフィー様。禁止されているのは男性だけだものね。

「ええ、いいですわよ。それでは今日の放課後、我が家に来て」

「まあ、よろしいのですか?嬉しいです」

そういうと、私にすり寄って来たソフィー様。私より小柄なソフィー様にすり寄られ、可愛くてつい抱きしめた。

でも、なぜかクラウド様に引き離された。

「ちょっとクラウド殿下、何をするのですか?」

ソフィー様がクライド様に文句を言っているが、当のクラウド様は聞こえていないのか無視している。

「ミレニア、ソフィー嬢と2人きりだと心配だから、僕も行くよ」

「ちょっと、それ、どういう意味ですか?」

「そういう意味だけれど、なにか?」

そっけない態度のクラウド様。ソフィー様もクラウド様を睨んでいる。やっぱりあの2人、仲が良くない様ね…


※少し長くなってしまったので、前編と後編に分けました!
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