9 / 63
第9話:寂しそうなヒロインを放っておくことは出来ません
しおりを挟む
王太子をギャフンと言わせ、クラウド様が“呪われた人間”というふざけた噂を打ち破いてから1ヶ月が経過した。有難い事に少しずつではあるが、クラウド様に話しかけてくれる令息たちも現れだした。
ハニカミながらも嬉しそうに令息たちと話しているクラウド様を見ていると、私まで嬉しい気持ちになる。
そんなある日の朝。
「お嬢様、今日は黒く髪を染める事は出来ません!」
ファリアにそうはっきりと告げられてしまった。
「どうしてよ!」
そう反論したのだが
「髪が随分と痛んでしまっています。このままだと、パサパサになってしまいますわ!とにかく一度髪を集中ケアいたしましょう!」
確かに髪がかなり傷んでいる。そもそもこの国には髪を染める文化が無いため、今回はあるもので代用したのだ。そのため、いくら毎日しっかりケアをしても、どうしても髪が傷んでしまう。今髪に優しく染まりやすい毛染め剤を開発しているが、何分その分野に関しては素人だ。思う様に開発も進んでいないのだ。
「分かったわ。今日は金髪のまま行く事にするわ」
「そうして下さい!とにかくしっかりとトリートメントさせて頂きますので、しばらくは金髪でお過ごしください」
支度を整え、朝食を食べに食堂へと向かった。
「おや、今日は金髪なんだな。なんだか今まで黒髪姿をずっと見て来たせいか、なんだか違和感があるな」
そう言ったのはお父様だ。最初は黒髪なんて!と、反対していたくせに!
「本当ね。そう言えばミレニア。あなたの髪染めはどうやって行っているの?どうやらあなたの黒髪があまりにも美しかったようで、社交界でも話題になっているの。中には黒く髪を染めたいという令嬢まで現れている様で、婦人たちに毛染めについて聞かれたのよ」
そう言えば、学院でも何人かの令嬢に毛染めについて聞かれたわね。まさか社交界でも話題になっていたなんて…
「お母様、ご覧の通り私が使っていた毛染めもどきは粗悪品だったの。その証拠に、どんなにトリートメントしても、こんなに髪が傷んでしなったのよ。今髪が傷みにくく染まりやすい毛染めを開発中だから、それまで待っていてもらって」
「なんだ、そんな開発をしていたのか!それなら優秀な研究者たちを派遣しよう!そうすれば、毛染めも早く開発できるだろう」
お父様が有難い提案をしてくれた。優秀な研究者の手に掛かれば、きっと早く開発できるはずだわ!
「ミレニア、その開発、俺にも携わられて貰えないだろうか!」
なぜか目を輝かせるお兄様。
「別に構わないけれど…そうだわ。頭繋がりで、薄毛で悩んでいる人の発毛剤なんかも開発出来たら面白いかもしれないわね」
前世では色々な発毛剤が売られていた。この国でも、薄毛で悩んでいる人は沢山いる。ちなみに前世では、家の父親も一生懸命発毛剤を使っていたわ。思い出したら、なんだか懐かしくなってきた。
「アメリア、お前は天才なのか!確かに薄毛で悩んでいる男性は多い。もしそんなものが開発できれば、かなり画期的だ!なんだかやる気が出て来たぞ。早速研究者たちを集めよう!」
俄然やる気を見せるお兄様。とりあえず開発段階の資料をお兄様に渡し、学院へと向かった。
学院に着くと、私の髪を見た令嬢たちが話しかけて来た。
「あら、ミレニア様。今日は黒髪ではありませんのね。せっかくよく似合っていらしたのに」
「髪が傷んでしまって、黒く染める事が出来なかったの。今急ピッチで髪が傷みにくい毛染め剤を開発しているのですが、中々進まなくて。髪が元に戻るまで、しばらく髪の毛を染めるのはやめる事にしましたの」
「まあ、そんな研究をなさっているのね。ぜひ研究が上手く行ったら、商品化して欲しいですわ。ミレニア様を見て、私も黒く髪を染めてみたいと思っていたのですわ。」
「私もです!ぜひお願いしますわ」
目を輝かせる令嬢たち。これは、責任重大ね。
「おはようミレニア。髪の色を戻したんだね。やっぱりミレニアは金髪の方が似合っているよ」
出た!王太子だ。この男、頭が悪いのか知能が無いのか知らないが、何度言っても私を呼び捨てにして来るのだ。
「殿下、いい加減にしてください。婚約者でもない令嬢を呼び捨てにしてはいけないと、何度言ったら分かるのですか!」
「ごめんごめん。でも、やっぱり金髪のミレニアが一番可愛いよ」
そう言うと、私の髪をひと房取り、口付けをする王太子。
「殿下、そのような事を令嬢にしてはいけません。そもそも、あなたにはソフィー様という恋人がいるでしょう!そんな事をしていると、ソフィー様に嫌われてしまいますよ!」
一応ヒーローでもある王太子、小説ではこんなに残念ではなかったのだけれど…
ふとソフィー様を見ると、寂しそうな顔をしていた。ヒロインにあんな顔をさせるなんて!一体このバカ王太子は何を考えているのかしら?
王太子でなければ、ぶん殴ってやりたいぐらいだわ!そう言えば、最近1人でいる事が多いソフィー様。少し心配ね。
そしてこの日の授業は、学院の中庭で好きな絵を描くという授業だ。自慢じゃないが、私は天才的に絵を描くのが下手なのだ。これは前世から変わっていない。どうして貴族が絵を描かなければいけないのかしら?そう思いつつ、中庭へと向かった。
「ミレニア嬢、一緒に絵を描かないかい?」
クラウド様に誘われ、花壇へとやって来た。皆何人かで集まって絵を描いていた。私たちの周りにも、他の令嬢や令息たちが集まって来た。その時、ふと1人で寂しそうにウロウロとしているソフィー様を見つけた。
王太子は何をしているのよ!周りを見渡すと、令嬢に囲まれて鼻の下を伸ばしているバカマシューを見つけた。
あいつ、一体何なのよ!体中から怒りが込み上げて来た!
「少しお待ちを!」
クラウド様達に一言断りを入れ、ソフィー様の元へと向かった。
「ソフィー様、よろしければ私たちと一緒に描きませんか?」
声を掛けると、明らかに動揺している。
「でも…私なんかが加わったらご迷惑じゃあ…」
迷惑だなんて!そう言えばソフィー様は家族からずっと無視され、使用人同様(いや、それ以下)の生活を送っていたのだったわよね。だから、人一倍周りを気にするタイプだったわ。
「迷惑な訳ございませんわ。さあ、行きましょう!」
ソフィー様の手を掴み、皆の元へと戻った。私の隣にソフィー様を座らせ、早速絵を描いていく。
自分で言うのも何だが、この絵は一体何なんだろう…そう思う程、へたくそだ。ふとクラウド様の絵を見ると、まるでプロが書いたような仕上がりだ。
「クラウド様は物凄く絵を描くのが上手なのですね!まるでプロが描いた様ですわ」
「ありがとう。ミレニア嬢の絵も…」
頬を赤らめお礼を言ったクラウド様だったが、私の絵を見た瞬間固まってしまった。でも、すぐに我に返り
「ミレニア嬢のお花の絵も上手だよ」
と、褒めてくれたのだが…
「クラウド様、これは奥の建物を書いたものですわ…」
「ごめん、正直どっちか迷ったんだ!そうだ、建物だったね。僕の見間違いだったようだ」
慌てるクラウド様。その姿を見た令嬢や令息たちが一斉に笑い出した。中には私の絵をチラ見しながら笑っている人までいる。
そんな私をフォローしようと
「ミレニア嬢の絵は、皆を笑顔に出来る絵だね」
そう言ったクラウド様。さらに笑いが起きた。クラウド様、それ、フォローになっていないわ。中にはお腹を抱えて笑っていたり、私の絵を指さして笑っている人までいるわ。
本当に、失礼しちゃうわね!
ふとソフィー様の方を見ると、彼女も笑っていた。良かったわ、笑ってくれている。ソフィー様を笑顔に出来たのなら、このビックリするほど下手な絵も、無駄ではなかったわね。
それにしても、ソフィー様も絵がとても上手だわ。
「ソフィー様も絵がとても上手ですわね。まるで背景がそのままスケッチブックに入り込んだみたいですわ」
私の言葉で、他の人たちも一斉にヒロインの絵を見た。
「本当だ、クラウド殿下もうまいが、ソフィー嬢も上手だな」
「本当ね。どうしたらこんなに上手に書けるのかしら?」
「まさにプロだな。それに比べて、ミレニア嬢は、どうしたらこんな風になるのか、ある意味天才なのかもしれない…」
1人の令息の言葉で、さらに笑いが起きた。一応私、公爵令嬢なのだが、完全に忘れられている様だ。でも前世の記憶が戻った今、身分制度なんて煩わしいだけだ。
とりあえずソフィー様も楽しそうだし、これはこれでいいか。
ハニカミながらも嬉しそうに令息たちと話しているクラウド様を見ていると、私まで嬉しい気持ちになる。
そんなある日の朝。
「お嬢様、今日は黒く髪を染める事は出来ません!」
ファリアにそうはっきりと告げられてしまった。
「どうしてよ!」
そう反論したのだが
「髪が随分と痛んでしまっています。このままだと、パサパサになってしまいますわ!とにかく一度髪を集中ケアいたしましょう!」
確かに髪がかなり傷んでいる。そもそもこの国には髪を染める文化が無いため、今回はあるもので代用したのだ。そのため、いくら毎日しっかりケアをしても、どうしても髪が傷んでしまう。今髪に優しく染まりやすい毛染め剤を開発しているが、何分その分野に関しては素人だ。思う様に開発も進んでいないのだ。
「分かったわ。今日は金髪のまま行く事にするわ」
「そうして下さい!とにかくしっかりとトリートメントさせて頂きますので、しばらくは金髪でお過ごしください」
支度を整え、朝食を食べに食堂へと向かった。
「おや、今日は金髪なんだな。なんだか今まで黒髪姿をずっと見て来たせいか、なんだか違和感があるな」
そう言ったのはお父様だ。最初は黒髪なんて!と、反対していたくせに!
「本当ね。そう言えばミレニア。あなたの髪染めはどうやって行っているの?どうやらあなたの黒髪があまりにも美しかったようで、社交界でも話題になっているの。中には黒く髪を染めたいという令嬢まで現れている様で、婦人たちに毛染めについて聞かれたのよ」
そう言えば、学院でも何人かの令嬢に毛染めについて聞かれたわね。まさか社交界でも話題になっていたなんて…
「お母様、ご覧の通り私が使っていた毛染めもどきは粗悪品だったの。その証拠に、どんなにトリートメントしても、こんなに髪が傷んでしなったのよ。今髪が傷みにくく染まりやすい毛染めを開発中だから、それまで待っていてもらって」
「なんだ、そんな開発をしていたのか!それなら優秀な研究者たちを派遣しよう!そうすれば、毛染めも早く開発できるだろう」
お父様が有難い提案をしてくれた。優秀な研究者の手に掛かれば、きっと早く開発できるはずだわ!
「ミレニア、その開発、俺にも携わられて貰えないだろうか!」
なぜか目を輝かせるお兄様。
「別に構わないけれど…そうだわ。頭繋がりで、薄毛で悩んでいる人の発毛剤なんかも開発出来たら面白いかもしれないわね」
前世では色々な発毛剤が売られていた。この国でも、薄毛で悩んでいる人は沢山いる。ちなみに前世では、家の父親も一生懸命発毛剤を使っていたわ。思い出したら、なんだか懐かしくなってきた。
「アメリア、お前は天才なのか!確かに薄毛で悩んでいる男性は多い。もしそんなものが開発できれば、かなり画期的だ!なんだかやる気が出て来たぞ。早速研究者たちを集めよう!」
俄然やる気を見せるお兄様。とりあえず開発段階の資料をお兄様に渡し、学院へと向かった。
学院に着くと、私の髪を見た令嬢たちが話しかけて来た。
「あら、ミレニア様。今日は黒髪ではありませんのね。せっかくよく似合っていらしたのに」
「髪が傷んでしまって、黒く染める事が出来なかったの。今急ピッチで髪が傷みにくい毛染め剤を開発しているのですが、中々進まなくて。髪が元に戻るまで、しばらく髪の毛を染めるのはやめる事にしましたの」
「まあ、そんな研究をなさっているのね。ぜひ研究が上手く行ったら、商品化して欲しいですわ。ミレニア様を見て、私も黒く髪を染めてみたいと思っていたのですわ。」
「私もです!ぜひお願いしますわ」
目を輝かせる令嬢たち。これは、責任重大ね。
「おはようミレニア。髪の色を戻したんだね。やっぱりミレニアは金髪の方が似合っているよ」
出た!王太子だ。この男、頭が悪いのか知能が無いのか知らないが、何度言っても私を呼び捨てにして来るのだ。
「殿下、いい加減にしてください。婚約者でもない令嬢を呼び捨てにしてはいけないと、何度言ったら分かるのですか!」
「ごめんごめん。でも、やっぱり金髪のミレニアが一番可愛いよ」
そう言うと、私の髪をひと房取り、口付けをする王太子。
「殿下、そのような事を令嬢にしてはいけません。そもそも、あなたにはソフィー様という恋人がいるでしょう!そんな事をしていると、ソフィー様に嫌われてしまいますよ!」
一応ヒーローでもある王太子、小説ではこんなに残念ではなかったのだけれど…
ふとソフィー様を見ると、寂しそうな顔をしていた。ヒロインにあんな顔をさせるなんて!一体このバカ王太子は何を考えているのかしら?
王太子でなければ、ぶん殴ってやりたいぐらいだわ!そう言えば、最近1人でいる事が多いソフィー様。少し心配ね。
そしてこの日の授業は、学院の中庭で好きな絵を描くという授業だ。自慢じゃないが、私は天才的に絵を描くのが下手なのだ。これは前世から変わっていない。どうして貴族が絵を描かなければいけないのかしら?そう思いつつ、中庭へと向かった。
「ミレニア嬢、一緒に絵を描かないかい?」
クラウド様に誘われ、花壇へとやって来た。皆何人かで集まって絵を描いていた。私たちの周りにも、他の令嬢や令息たちが集まって来た。その時、ふと1人で寂しそうにウロウロとしているソフィー様を見つけた。
王太子は何をしているのよ!周りを見渡すと、令嬢に囲まれて鼻の下を伸ばしているバカマシューを見つけた。
あいつ、一体何なのよ!体中から怒りが込み上げて来た!
「少しお待ちを!」
クラウド様達に一言断りを入れ、ソフィー様の元へと向かった。
「ソフィー様、よろしければ私たちと一緒に描きませんか?」
声を掛けると、明らかに動揺している。
「でも…私なんかが加わったらご迷惑じゃあ…」
迷惑だなんて!そう言えばソフィー様は家族からずっと無視され、使用人同様(いや、それ以下)の生活を送っていたのだったわよね。だから、人一倍周りを気にするタイプだったわ。
「迷惑な訳ございませんわ。さあ、行きましょう!」
ソフィー様の手を掴み、皆の元へと戻った。私の隣にソフィー様を座らせ、早速絵を描いていく。
自分で言うのも何だが、この絵は一体何なんだろう…そう思う程、へたくそだ。ふとクラウド様の絵を見ると、まるでプロが書いたような仕上がりだ。
「クラウド様は物凄く絵を描くのが上手なのですね!まるでプロが描いた様ですわ」
「ありがとう。ミレニア嬢の絵も…」
頬を赤らめお礼を言ったクラウド様だったが、私の絵を見た瞬間固まってしまった。でも、すぐに我に返り
「ミレニア嬢のお花の絵も上手だよ」
と、褒めてくれたのだが…
「クラウド様、これは奥の建物を書いたものですわ…」
「ごめん、正直どっちか迷ったんだ!そうだ、建物だったね。僕の見間違いだったようだ」
慌てるクラウド様。その姿を見た令嬢や令息たちが一斉に笑い出した。中には私の絵をチラ見しながら笑っている人までいる。
そんな私をフォローしようと
「ミレニア嬢の絵は、皆を笑顔に出来る絵だね」
そう言ったクラウド様。さらに笑いが起きた。クラウド様、それ、フォローになっていないわ。中にはお腹を抱えて笑っていたり、私の絵を指さして笑っている人までいるわ。
本当に、失礼しちゃうわね!
ふとソフィー様の方を見ると、彼女も笑っていた。良かったわ、笑ってくれている。ソフィー様を笑顔に出来たのなら、このビックリするほど下手な絵も、無駄ではなかったわね。
それにしても、ソフィー様も絵がとても上手だわ。
「ソフィー様も絵がとても上手ですわね。まるで背景がそのままスケッチブックに入り込んだみたいですわ」
私の言葉で、他の人たちも一斉にヒロインの絵を見た。
「本当だ、クラウド殿下もうまいが、ソフィー嬢も上手だな」
「本当ね。どうしたらこんなに上手に書けるのかしら?」
「まさにプロだな。それに比べて、ミレニア嬢は、どうしたらこんな風になるのか、ある意味天才なのかもしれない…」
1人の令息の言葉で、さらに笑いが起きた。一応私、公爵令嬢なのだが、完全に忘れられている様だ。でも前世の記憶が戻った今、身分制度なんて煩わしいだけだ。
とりあえずソフィー様も楽しそうだし、これはこれでいいか。
36
お気に入りに追加
2,629
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、ヒロインが鬼畜女装野郎だったので助けてください
空飛ぶひよこ
恋愛
正式名称「乙女ゲームの悪役令嬢(噛ませ犬系)に転生して、サド心満たしてエンジョイしていたら、ゲームのヒロインが鬼畜女装野郎だったので、助けて下さい」
乙女ゲームの世界に転生して、ヒロインへした虐めがそのまま攻略キャラのイベントフラグになる噛ませ犬系悪役令嬢に転生いたしました。
ヒロインに乙女ゲームライフをエンジョイさせてあげる為(タテマエ)、自身のドエス願望を満たすため(本音)、悪役令嬢キャラを全うしていたら、実はヒロインが身代わりでやってきた、本当のヒロインの双子の弟だったと判明しました。
申し訳ありません、フラグを折る協力を…え、フラグを立てて逆ハーエンド成立させろ?女の振りをして攻略キャラ誑かして、最終的に契約魔法で下僕化して国を乗っ取る?
…サディストになりたいとか調子に乗ったことはとても反省しているので、誰か私をこの悪魔から解放してください
※小説家になろうより、改稿して転載してます
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは小説の世界だ。
乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私は所謂モブ。
この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。
そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった
白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」
な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし!
ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。
ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。
その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。
内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います!
*ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。
*モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。
*作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。
*小説家になろう様にも投稿しております。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない
亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ
社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。
エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも……
「エマ、可愛い」
いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる