7 / 48
第7話:学院生活は想像以上に楽しいです
しおりを挟む
「ユリア、今日あなた、遅刻ギリギリだったでしょう?もしかして体調でも崩したの?今日も顔色があまり良くないし…」
休み時間、友人たちが心配そうに私の周りに集まってきてくれた。
「心配かけてごめんね。ちょっと色々とあって。見た目はこんなんだけれど、皆が思っている以上に元気なのよ」
「何言っているの?ちょっと歩いただけで、息が切れるのでしょう?それに走る事だって出来ないくらい、体力がないくせに。とにかく、無理をしないでね。私達に何か出来ることがあれば、何でも言って」
「皆、ありがとう。私ね、ずっと独りぼっちだと思っていたの。でも、そうじゃなかったのね。最後に皆に再会できて、幸せだわ」
「もう、最後とか言わないでよ…ねえ、助かる方法はないの?そもそも何の病気なの?」
「えっと…」
魔力の使い過ぎで命を削ったなんて、言えない。どうしよう…
「ごめん、嫌な事を聞いて。そうだわ、今日は天気がいいから、中庭で昼食を食べましょう。お日様の光を浴びるのは、病気にもいいのですって。昨日お父様が言っていたわ」
「ありがとう。外で食事、素敵ね。なんだか楽しみになって来たわ。早くお昼にならないかしら?」
「ユリアったら。そんな嬉しそうな顔をして」
そう言って友人たちが笑っていた。こんな風に誰かと笑いあえたのって、何年ぶりかしら?学院生活は、私が想像していた以上に楽しい。あぁ、早くお昼にならないかしら?
そして待ちに待ったお昼休み。友人たちが気を使って手を引いて中庭まで連れてきてくれた。
「さあ、お昼にしましょう」
待ちに待ったお昼だ。伯爵家の料理人が作ってくれたお弁当箱を広げる。すると、ステーキにサラダ、フワフワのサンドウィッチ、デザートまで付いていた。なんて豪華な食事なのかしら?こんな豪華な料理、私が食べてもいいものなの?
つい目を輝かせてしまった。すると友人たちが
「もう、ユリアったら。”こんな豪華な食事、見た事がないわ”みたいな目で見ないでよ。普通のお弁当じゃない」
「ごめんなさい。最近調子が良くなくて、それであまりこういった食事をしていなくて…」
まさかいつもは自分で作った固いパンにスープを飲んでいるだなんて、言えないわよね。
「さあ、早速食べましょう。そうだわ、お弁当を交換して食べましょうよ。ほら、ユリア。あなたサーモンが好きだったでしょう?」
「ありがとう、それじゃあ私は、このステーキをあげるわ。実は私、お肉があまり食べられないの」
昔は好きだったお肉も、衰弱していくにつれ、ほとんど受け付けなくなったのだ。正直こんな豪華なご馳走を作ってもらっても、ほとんど食べられない。
「まあ、そうなの…それじゃあ、食べられそうなものはある?これなんてどう?」
「ありがとう、さっぱりしていて美味しそうね」
友人たちとお弁当を交換しながら、話しに花を咲かせる。どうやら友人たちは、この6年で婚約した子もいた。皆令嬢として楽しい時間を過ごしているのだろう。
少しだけ…そう、ほんの少しだけ羨ましいと思った。もし両親が生きていれば…て、今更そんな事を考えても仕方がない。私は残された人生を、目いっぱい生きようと決めたのだ。
友人たちと楽しいランチタイムを終えたあと、皆で教室へと戻ってきた。教室でも話に花を咲かせる。なぜだろう、話しても話しても話し足りないくらい、いくらでも話が出来るのだ。
学院生活を楽しみにしていたが、まさかここまで楽しいだなんて。学院に入るまでは、死ぬことに対し何も思っていなかった。むしろ早く両親に会いたいと思っていた。
でも今は…もう少しだけ長く生きたい、そんな風に思っている自分がいる。
でもこれ以上贅沢を言ってはいけないわよね。最後に神様がくれた楽しい時間、その時間を大切にしていきたい。友人たちの笑顔を見ながら、強くそう思ったのだった。
休み時間、友人たちが心配そうに私の周りに集まってきてくれた。
「心配かけてごめんね。ちょっと色々とあって。見た目はこんなんだけれど、皆が思っている以上に元気なのよ」
「何言っているの?ちょっと歩いただけで、息が切れるのでしょう?それに走る事だって出来ないくらい、体力がないくせに。とにかく、無理をしないでね。私達に何か出来ることがあれば、何でも言って」
「皆、ありがとう。私ね、ずっと独りぼっちだと思っていたの。でも、そうじゃなかったのね。最後に皆に再会できて、幸せだわ」
「もう、最後とか言わないでよ…ねえ、助かる方法はないの?そもそも何の病気なの?」
「えっと…」
魔力の使い過ぎで命を削ったなんて、言えない。どうしよう…
「ごめん、嫌な事を聞いて。そうだわ、今日は天気がいいから、中庭で昼食を食べましょう。お日様の光を浴びるのは、病気にもいいのですって。昨日お父様が言っていたわ」
「ありがとう。外で食事、素敵ね。なんだか楽しみになって来たわ。早くお昼にならないかしら?」
「ユリアったら。そんな嬉しそうな顔をして」
そう言って友人たちが笑っていた。こんな風に誰かと笑いあえたのって、何年ぶりかしら?学院生活は、私が想像していた以上に楽しい。あぁ、早くお昼にならないかしら?
そして待ちに待ったお昼休み。友人たちが気を使って手を引いて中庭まで連れてきてくれた。
「さあ、お昼にしましょう」
待ちに待ったお昼だ。伯爵家の料理人が作ってくれたお弁当箱を広げる。すると、ステーキにサラダ、フワフワのサンドウィッチ、デザートまで付いていた。なんて豪華な食事なのかしら?こんな豪華な料理、私が食べてもいいものなの?
つい目を輝かせてしまった。すると友人たちが
「もう、ユリアったら。”こんな豪華な食事、見た事がないわ”みたいな目で見ないでよ。普通のお弁当じゃない」
「ごめんなさい。最近調子が良くなくて、それであまりこういった食事をしていなくて…」
まさかいつもは自分で作った固いパンにスープを飲んでいるだなんて、言えないわよね。
「さあ、早速食べましょう。そうだわ、お弁当を交換して食べましょうよ。ほら、ユリア。あなたサーモンが好きだったでしょう?」
「ありがとう、それじゃあ私は、このステーキをあげるわ。実は私、お肉があまり食べられないの」
昔は好きだったお肉も、衰弱していくにつれ、ほとんど受け付けなくなったのだ。正直こんな豪華なご馳走を作ってもらっても、ほとんど食べられない。
「まあ、そうなの…それじゃあ、食べられそうなものはある?これなんてどう?」
「ありがとう、さっぱりしていて美味しそうね」
友人たちとお弁当を交換しながら、話しに花を咲かせる。どうやら友人たちは、この6年で婚約した子もいた。皆令嬢として楽しい時間を過ごしているのだろう。
少しだけ…そう、ほんの少しだけ羨ましいと思った。もし両親が生きていれば…て、今更そんな事を考えても仕方がない。私は残された人生を、目いっぱい生きようと決めたのだ。
友人たちと楽しいランチタイムを終えたあと、皆で教室へと戻ってきた。教室でも話に花を咲かせる。なぜだろう、話しても話しても話し足りないくらい、いくらでも話が出来るのだ。
学院生活を楽しみにしていたが、まさかここまで楽しいだなんて。学院に入るまでは、死ぬことに対し何も思っていなかった。むしろ早く両親に会いたいと思っていた。
でも今は…もう少しだけ長く生きたい、そんな風に思っている自分がいる。
でもこれ以上贅沢を言ってはいけないわよね。最後に神様がくれた楽しい時間、その時間を大切にしていきたい。友人たちの笑顔を見ながら、強くそう思ったのだった。
31
お気に入りに追加
3,504
あなたにおすすめの小説
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした
Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。
約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。
必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。
そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。
そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが…
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」
そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが…
甘く切ない異世界ラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる