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第15話:やっぱり俺がアリスを幸せにしたい~エドワード視点~

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アリスがアーロと婚約したのはいいが、あいつはどうやら根っからの女好きの様で、あろう事かアリスと言う婚約者がいるのに他の令嬢と仲良くしている。

それは学院に入ってから、一気に加速した。毎日別の令嬢を側に置き、鼻の下をビヨーーーンと伸ばしているのだ。そんなアーロを辛そうに見つめるアリス。

俺はこんなに辛そうなアリスを見る為に、アリスへの思いを封印したのではない!アリスに幸せになって欲しいから諦めたのに!体中から怒りが込み上げて来た。

さらにあろう事かあの男は

「本当はアリスとなんか婚約したくなかった。でも親が決めた事だから仕方がない」
「僕とアリスでは釣り合わないよ。そう思わないかい?」

などと言って、アリスの悪口を令嬢に吹き込んでいたのだ。それを知った時、俺は決意した。こんな男がアリスを幸せに出来る訳がない!何が何でも婚約破棄させてやると!

でも、女のままではたとえ婚約破棄させられたとしても、また別の男にアリスを取られるかもしれない。そう思った俺は、母上に

「15歳の誕生日を境に、男に戻りたいです!たとえ男に戻った事で命を落とそうとも本望です!」

そう告げた。最近も第1王子が何者かに毒殺された。だから王宮内ではかなりピリピリした空気が流れている。さらに俺の下にも、王子がまだ4人もいる。今後さらに激しい王位争いが起こるかもしれない。それでも俺は男に戻って、アリスを幸せにしたいのだ!

俺の熱意が通じたのか

「分かったわ。陛下にも話してみましょう。ただ、今まで女性だと思っていたあなたが、急に男性として現れたとしたら、きっとアリスちゃんは混乱すると思うの。その事は頭に入れておきなさい。それから、アリスちゃんには婚約者がいるのよ。無理やり奪い取るなんて事は、くれぐれもしないで頂戴ね」

「分かっています。無理やり奪い取るなんてそんな野蛮な事はしませんから、安心して下さい!」

その後父上に話を付けてくれた母上。さらに父上も色々と思う事があった様で、これ以上息子が命を落とさない様にと、第2王子を正式に王太子にすると発表したのだ。

よし、こっちの方は問題ない。後はアーロとアリスを婚約破棄させるだけだな。そうだ、直談判しよう!そう思い、早速アーロを呼び出した。

「アーロ様、こんな事を申し上げたくはないのですが、アーロ様とアリスはまったく釣り合っておりません。あなた様も、アリスとの婚約をあまり良く思っていないのでしょう?どうか婚約を破棄して頂けないでしょうか?」

そうはっきりと伝えた。お前にはアリスは勿体なさすぎる!そう言う意味で伝えたのだが、何を思ったのか頬を赤らめ始めたアーロ。そして俺の手を握り

「エドリーン王女もそう思いますか?そうですよね。僕とアリスはあなたが言う通り、全く釣り合っていない。僕に合うのはそう、君の様な美しい女性だ!」

そう言い切ったのだ。何だこいつ!気持ち悪いな!お前なんかに手なんか握られたくはない!俺が触れたいのはアリスただ1人だ!そう思ったが、待てよ。こいつをうまく利用すれば、婚約破棄出来るかもしれない。そう思った俺は、時間を見つけてはアーロに会いに行った。

そして
「アーロ様。どうか婚約破棄をして下さいませ!お願いします」

と、上目使いで伝え続けた。もちろん、俺は1言もアーロを好きだとは言っていない。でも、勝手に勘違いしたアーロはついに

「分かったよ。僕も男だ!必ず君を幸せにするからね」

そう言って鼻息荒く去って行った。きっと近いうちに婚約破棄をアリスに言い渡すだろう。でも、きっとアリスは悲しむのだろうな…そう思ったら、胸が締め付けられた。そう、俺はアリスが悲しむ姿を見るのが何よりも辛いのだ。

でもこれは俺とアリスが幸せになる為の試練なんだ!そう自分に言い聞かせた。

数日後
学院に行くと、鼻息荒く迫って来るアーロ。相変わらず気持ち悪い男だ。そう思っていると、なぜか俺の前で跪いた。

「先日アリスと正式に婚約を破棄した。もう僕は自由の身だ。エドリーン、僕は君を心から愛している!どうか僕と婚約して欲しい!」

こいつはバカなのか?何でこんな教室でプロポーズをしているんだ。それも大きな声で叫ぶから、別のクラスの生徒まで集まってきているではないか!

「アーロ様。申し訳ございませんが、私はあなた様と婚約する事は出来ません!」

そうはっきりと告げた。どうやら俺に断られるとは思っていなかった様で、口をポカリと開け、目を見開いて固まっているアーロ。しばらくすると我に返った様で

「なぜだい?もしかしてアリスの事を気にしているのかい?その点は心配しなくてもいい!もしアリスが何か言って来ても、僕が全力で守るから!それにアリスには適当な令息でも与えておけばいいだろう!だから僕と婚約して欲しい!」

こいつは何を言っているんだ!アリスに適当な令息を与えるだって!ふざけるな!体中から沸きあがる怒りを抑える事が出来ず

「私はあなたなんてこれっぽっちも好きではありません!私が心から愛しているのは、アリスただ1人です!アリスという婚約者がいるにもかかわらず、鼻の下をビヨーーーンと伸ばして浮気しまくるあなたからアリスを取り返す為に、あなたに婚約破棄をお願いしたまでです!あなたなんかと誰が婚約するものですか!いいですか!もう一度言いますよ!私が愛しているのは、アリスただ1人です!」

本当はもっと酷い暴言を吐き捨ててやったが、喉に取り付けている器具が上手く変換してくれた。まあ別に変換してくれなくても良かったのだが…

俺の言葉を聞き

「嘘だ…そんな…」

そう呟いてフラフラと教室から出て行ったアーロ。ふん、ざまぁみろ!アリスを傷つけた罰だ!

でも、問題はアリスだ。きっとあのバカに婚約破棄をされて泣いているはずだ!とにかくアリスの元に向かわないと!
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