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第53話:全てが終わった~クリス視点~
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「クリス殿下、どうかリリアナの為にも、イザベル嬢を厳罰に処してください。既に主人も王宮であなた様のお戻りを待っております。リリアナは私が見ておりますので、どうか王宮へ」
真剣な表情の夫人。さらに
「私は大丈夫ですので、どうか王宮にお戻りください」
リリアナまでも、そう言ったのだ。
「分かったよ、君を陥れた2人を、僕は絶対に許さない。本当ならリリアナの心のケアを最優先させたいのだが、まずはあいつらを処罰する事が専決だね。夫人、どうかリリアナの事を、よろしくお願いします。それでは、僕はこれで」
リリアナのおでこに口づけをし、馬車に乗り込んだ。僕に手を振ってくれるリリアナと夫人。1度目の生の時、僕を泣きながら睨みつけていた夫人の顔が、脳裏に浮かんだ。その後すぐにリリアナの兄の住むイラルザ王国に向かってしまったため、あれ以降夫人に会う事はなかった。
リリアナを生んでくれた大切な人を、今回の生では泣かせなくて済んでよかった。僕はリリアナだけでなく、リリアナの家族も地獄に叩き落してしまったのだ。彼らを含め、僕はこれからも償っていきたい、そう考えている。
王宮に着くと、すぐに執事がやって来た。
「殿下、話しを聞きつけた貴族たちが、既にお集まりです。カシス様もわざわざ王宮に足を運んでいただいております。すぐに会議室へ」
もう貴族たちが集まっているのか?きっと貴族学院に通っている生徒たちの親たちが話を聞きつけて、集まって来たのだろう。
「分かったよ、すぐに行くよ」
「証拠の品などは、会議室に送ってあります。それから、カシス様が集まっている貴族たちに、話しをして下さっている様です」
カシス殿、さすがだな。きっと僕がリリアナのケアに専念したいと考え、面倒な仕事を買って出てくれたのだろう。今回の生で、カシス殿という強い味方が出来たことも、僕にとっては有難い事だ。
でも、これ以上カシス殿に迷惑をかける訳にはいかない。急いで会議室へと向かう。
「皆様、遅くなり申し訳ございません。カシス殿、色々とありがとう。助かったよ」
「僕は何もしていませんよ。それよりも殿下、リリアナ嬢のケアは大丈夫なのですか?」
「ああ、夫人が傍についていてくれているし、問題はないよ。それよりも、カーラ嬢の方は大丈夫だったかい?」
「カーラも今回の件、物凄く驚いていましたが、きちんと話をしましたので問題ありません。きっと今頃、リリアナ嬢の元に向かっている頃でしょう」
カーラ嬢は、リリアナの元に向かったのか。正直これ以上カーラ嬢に首を突っ込んで欲しくはないが、今はリリアナの気持ちを落ち着かせることが専決だ。悔しいが、リリアナはカーラ嬢を慕っている。きっとリリアナも、カーラ嬢が傍にいてくれた方が喜ぶだろう。
「それよりも殿下、今回の件、息子から聞きました。今カシス殿から、詳細を伺ったところなのですが、あまりにも衝撃的な内容で、私はまだ頭が混乱しています」
「まさかイザベル嬢が、自分が王妃になりたいからという理由で、リリアナ嬢を陥れようとするだなんて。一歩間違えれば、リリアナ嬢は極刑に処されたかもしれなかったのですぞ」
「その上、イザベル嬢はマーデン殿と関係を持っていた様ですな。殿下と結婚できた暁には、マーデン殿の子を、殿下の子として育てようだなんて、身の毛もよだつ恐ろしい計画を立てていた様ではありませんか」
「このような恐ろしい事が、現実で起こるだなんて…殿下やカシス殿が、事前に彼らの悪事を把握してくれていなければ、我が国は滅茶苦茶になっていた事でしょう。カルソル公爵殿も、さぞ心を痛めていらっしゃるのではないのですか?」
「はい、私はクリス殿下からこの話を聞いた時、腸が煮えくり返る程怒りを覚えました。それと同時に、その様な恐ろしい令嬢が我が国にいる事に、恐怖を覚えたのです。正直このような事件に巻き込まれる恐れがあるのなら、私は娘を殿下の婚約者になんてしたくはありません。私は娘の命の方が、大切ですので。だからこそ、二度とこの様な愚かな事を考える令嬢が現れない様に、厳罰を望みます」
カルソル公爵が、拳を強く握りながら、そう叫んだ。怒りから手が震えているのが、周りから見てもわかるほどだ。
「カルソル公爵の言う通りです。殿下とカシス殿によって、既に決定的な証拠もそろっているのです。陛下、議論する余地すらないと、私は考えております」
「今回事件に関与した、イザベル・ルミリオンとマーデン・カラッソルは極刑。その家族も国外追放が妥当でしょうな。もちろん、ルミリオン侯爵家とカラッソル侯爵家は取り潰しですな」
「私もそれが良いと思います」
「「「「私もです」」」」
「皆の気持ちは分かった。ただ、ここにいる貴族だけでは決められない。明日改めて、伯爵以上の貴族を集め、彼らの処罰を決めよう」
翌日、伯爵以上の貴族が集められ、改めて今回の事件の詳細を説明した。その結果、前代未聞、異例の速さで2人の極刑が決まった。そして各侯爵家は取り潰し、家族は国外追放となったのだった。
※次回、リリアナ視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
真剣な表情の夫人。さらに
「私は大丈夫ですので、どうか王宮にお戻りください」
リリアナまでも、そう言ったのだ。
「分かったよ、君を陥れた2人を、僕は絶対に許さない。本当ならリリアナの心のケアを最優先させたいのだが、まずはあいつらを処罰する事が専決だね。夫人、どうかリリアナの事を、よろしくお願いします。それでは、僕はこれで」
リリアナのおでこに口づけをし、馬車に乗り込んだ。僕に手を振ってくれるリリアナと夫人。1度目の生の時、僕を泣きながら睨みつけていた夫人の顔が、脳裏に浮かんだ。その後すぐにリリアナの兄の住むイラルザ王国に向かってしまったため、あれ以降夫人に会う事はなかった。
リリアナを生んでくれた大切な人を、今回の生では泣かせなくて済んでよかった。僕はリリアナだけでなく、リリアナの家族も地獄に叩き落してしまったのだ。彼らを含め、僕はこれからも償っていきたい、そう考えている。
王宮に着くと、すぐに執事がやって来た。
「殿下、話しを聞きつけた貴族たちが、既にお集まりです。カシス様もわざわざ王宮に足を運んでいただいております。すぐに会議室へ」
もう貴族たちが集まっているのか?きっと貴族学院に通っている生徒たちの親たちが話を聞きつけて、集まって来たのだろう。
「分かったよ、すぐに行くよ」
「証拠の品などは、会議室に送ってあります。それから、カシス様が集まっている貴族たちに、話しをして下さっている様です」
カシス殿、さすがだな。きっと僕がリリアナのケアに専念したいと考え、面倒な仕事を買って出てくれたのだろう。今回の生で、カシス殿という強い味方が出来たことも、僕にとっては有難い事だ。
でも、これ以上カシス殿に迷惑をかける訳にはいかない。急いで会議室へと向かう。
「皆様、遅くなり申し訳ございません。カシス殿、色々とありがとう。助かったよ」
「僕は何もしていませんよ。それよりも殿下、リリアナ嬢のケアは大丈夫なのですか?」
「ああ、夫人が傍についていてくれているし、問題はないよ。それよりも、カーラ嬢の方は大丈夫だったかい?」
「カーラも今回の件、物凄く驚いていましたが、きちんと話をしましたので問題ありません。きっと今頃、リリアナ嬢の元に向かっている頃でしょう」
カーラ嬢は、リリアナの元に向かったのか。正直これ以上カーラ嬢に首を突っ込んで欲しくはないが、今はリリアナの気持ちを落ち着かせることが専決だ。悔しいが、リリアナはカーラ嬢を慕っている。きっとリリアナも、カーラ嬢が傍にいてくれた方が喜ぶだろう。
「それよりも殿下、今回の件、息子から聞きました。今カシス殿から、詳細を伺ったところなのですが、あまりにも衝撃的な内容で、私はまだ頭が混乱しています」
「まさかイザベル嬢が、自分が王妃になりたいからという理由で、リリアナ嬢を陥れようとするだなんて。一歩間違えれば、リリアナ嬢は極刑に処されたかもしれなかったのですぞ」
「その上、イザベル嬢はマーデン殿と関係を持っていた様ですな。殿下と結婚できた暁には、マーデン殿の子を、殿下の子として育てようだなんて、身の毛もよだつ恐ろしい計画を立てていた様ではありませんか」
「このような恐ろしい事が、現実で起こるだなんて…殿下やカシス殿が、事前に彼らの悪事を把握してくれていなければ、我が国は滅茶苦茶になっていた事でしょう。カルソル公爵殿も、さぞ心を痛めていらっしゃるのではないのですか?」
「はい、私はクリス殿下からこの話を聞いた時、腸が煮えくり返る程怒りを覚えました。それと同時に、その様な恐ろしい令嬢が我が国にいる事に、恐怖を覚えたのです。正直このような事件に巻き込まれる恐れがあるのなら、私は娘を殿下の婚約者になんてしたくはありません。私は娘の命の方が、大切ですので。だからこそ、二度とこの様な愚かな事を考える令嬢が現れない様に、厳罰を望みます」
カルソル公爵が、拳を強く握りながら、そう叫んだ。怒りから手が震えているのが、周りから見てもわかるほどだ。
「カルソル公爵の言う通りです。殿下とカシス殿によって、既に決定的な証拠もそろっているのです。陛下、議論する余地すらないと、私は考えております」
「今回事件に関与した、イザベル・ルミリオンとマーデン・カラッソルは極刑。その家族も国外追放が妥当でしょうな。もちろん、ルミリオン侯爵家とカラッソル侯爵家は取り潰しですな」
「私もそれが良いと思います」
「「「「私もです」」」」
「皆の気持ちは分かった。ただ、ここにいる貴族だけでは決められない。明日改めて、伯爵以上の貴族を集め、彼らの処罰を決めよう」
翌日、伯爵以上の貴族が集められ、改めて今回の事件の詳細を説明した。その結果、前代未聞、異例の速さで2人の極刑が決まった。そして各侯爵家は取り潰し、家族は国外追放となったのだった。
※次回、リリアナ視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
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