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第47話:何も起こらない?
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貴族学院に入学してから、早半年。入学してからずっと気を張り詰めて来たのだが、なぜか私に対する悪い噂が立たないのだ。
おかしいわね、そろそろイザベルが動いてもいいはずなのに…
コテンと首をかしげる。
「リリアナ、首をかしげてどうしたのだい?そんな姿も、また可愛いけれどね」
「クリス殿下、すぐにリリアナ様に抱き着くのはお止め下さい。暑苦しいですわ。リリアナ様、何か悩みでもあるのですか?もし悩みがあるなら、私にお話しください」
「カーラ嬢こそ、あまり馴れ馴れしくリリアナに話し掛けないでくれ。リリアナ、悩みがあるなら僕に話してごらん?何でも解決してあげるよ」
2人が真剣な表情で見つめている。後ろではカシス様が、そんな2人を見つめながら苦笑いをしているのだ。
カーラはともかく、クリス様の様子がおかしい。漫画ではリリアナとはあまり一緒に過ごしていなかった。その代わり、マーデン様と一緒によくいたし…
でも今回は、マーデン様とももちろん一緒にいるが、私たちといる時間が明らかに多い気がする。それにクリス様って、こんなに積極的にリリアナに絡んでいたかしら?
とはいえ、クリス様は婚約を結んでから、ずっとこの調子だし。学院に入ったら、変わるのかと思ったのだけれど…
「リリアナ、本当にどうしたのだい?もしかして、誰かに虐められているのかい?可哀そうに、僕のリリアナを虐める奴がいるのなら、僕が叩きのめしてあげるよ」
「お口ばかり立派なのですから…」
「カーラ嬢、何か言ったかい?」
「いいえ、何でもありませんわ」
相変わらずクリス様とカーラは、仲があまり宜しくない。もしかして、カーラが動いてくれている?ついそんな事を考えてしまう。
あのイザベルが、私に何もしてこないなんてやっぱり考えられない。チラリとイザベルの方を見ると、こちらを睨みつけていた。と思ったら、にっこり微笑んだのだ。
やっぱりあの女は、私を消そうとしているに違いないわ。それなら、どうして漫画通りに動かないのかしら?彼女が動いてくれないと、こちらも動けないじゃない。もしかして私の知らないところで、悪い噂が既に入っているのかしら?
そうだわ、他の令嬢に聞いてみよう。
そう思った私は、クリス様とカーラの目を盗み、そっと令嬢たちに近づいた。
「あの…皆様、私の事で、何か噂などを聞いていませんか?」
ちょっと単刀直入だったかしら?そう思ったが、まあ大丈夫だろう。すると
「いえ、特に聞いていませんわ。そういえば以前…」
「リリアナ様、こちらにいらしたのですね。あら?なんのお話しですか?私も混ぜて下さい」
「何の話をしているのだい?楽しそうだね」
私達の元にやって来たのは、カーラ様とクリス様だ。この2人、仲良しなのか?そう思うほど、絶妙なタイミングで一緒にやって来たのだ。
「いえ…何でもありませんわ。それでは、リリアナ様、カーラ様、クリス殿下、ごきげんよう」
なぜか令嬢たちが、焦って去って行ってしまった。一体どうしたのだろう。令嬢たちによれば、特に聞いていないとの事だ。令嬢はもちろん、令息たちにも変わった様子はない。
漫画では皆ヒソヒソしていて、明らかにリリアナを避けるそぶりをしていた。そのせいで、リリアナはずっと孤独で、いつも1人ため息をついていたっけ。時には校舎裏で、涙を流す姿もあった。
思い出しただけで、胸が張り裂けそうになる。
「リリアナ、また悲しそうな顔をしてどうしたのだい?令嬢たちに、何か酷い事を言われたのかい?」
「あの子たち、ちょっとおしゃべりなのですわ。ちょっとあの子たちに、文句を言って参ります」
「待って、カーラ。あの子達は、何もしていないわ。クリス様もカーラも、心配をかけてごめんなさい。私は大丈夫ですので」
そう、特に何かをされたわけではない。ただ、何もされなさすぎて、不気味に思っているだけだ。一体どうなっているのかしら?何も起こらないまま、無事すぎていくのかしら?
もしかしたら私、あの漫画が好きすぎて、自分で勝手に漫画の世界に転生したと思い込んでいるだけとか?
それならそれで、いいのだけれど…
何かおかしい気がするわ。
おかしいわね、そろそろイザベルが動いてもいいはずなのに…
コテンと首をかしげる。
「リリアナ、首をかしげてどうしたのだい?そんな姿も、また可愛いけれどね」
「クリス殿下、すぐにリリアナ様に抱き着くのはお止め下さい。暑苦しいですわ。リリアナ様、何か悩みでもあるのですか?もし悩みがあるなら、私にお話しください」
「カーラ嬢こそ、あまり馴れ馴れしくリリアナに話し掛けないでくれ。リリアナ、悩みがあるなら僕に話してごらん?何でも解決してあげるよ」
2人が真剣な表情で見つめている。後ろではカシス様が、そんな2人を見つめながら苦笑いをしているのだ。
カーラはともかく、クリス様の様子がおかしい。漫画ではリリアナとはあまり一緒に過ごしていなかった。その代わり、マーデン様と一緒によくいたし…
でも今回は、マーデン様とももちろん一緒にいるが、私たちといる時間が明らかに多い気がする。それにクリス様って、こんなに積極的にリリアナに絡んでいたかしら?
とはいえ、クリス様は婚約を結んでから、ずっとこの調子だし。学院に入ったら、変わるのかと思ったのだけれど…
「リリアナ、本当にどうしたのだい?もしかして、誰かに虐められているのかい?可哀そうに、僕のリリアナを虐める奴がいるのなら、僕が叩きのめしてあげるよ」
「お口ばかり立派なのですから…」
「カーラ嬢、何か言ったかい?」
「いいえ、何でもありませんわ」
相変わらずクリス様とカーラは、仲があまり宜しくない。もしかして、カーラが動いてくれている?ついそんな事を考えてしまう。
あのイザベルが、私に何もしてこないなんてやっぱり考えられない。チラリとイザベルの方を見ると、こちらを睨みつけていた。と思ったら、にっこり微笑んだのだ。
やっぱりあの女は、私を消そうとしているに違いないわ。それなら、どうして漫画通りに動かないのかしら?彼女が動いてくれないと、こちらも動けないじゃない。もしかして私の知らないところで、悪い噂が既に入っているのかしら?
そうだわ、他の令嬢に聞いてみよう。
そう思った私は、クリス様とカーラの目を盗み、そっと令嬢たちに近づいた。
「あの…皆様、私の事で、何か噂などを聞いていませんか?」
ちょっと単刀直入だったかしら?そう思ったが、まあ大丈夫だろう。すると
「いえ、特に聞いていませんわ。そういえば以前…」
「リリアナ様、こちらにいらしたのですね。あら?なんのお話しですか?私も混ぜて下さい」
「何の話をしているのだい?楽しそうだね」
私達の元にやって来たのは、カーラ様とクリス様だ。この2人、仲良しなのか?そう思うほど、絶妙なタイミングで一緒にやって来たのだ。
「いえ…何でもありませんわ。それでは、リリアナ様、カーラ様、クリス殿下、ごきげんよう」
なぜか令嬢たちが、焦って去って行ってしまった。一体どうしたのだろう。令嬢たちによれば、特に聞いていないとの事だ。令嬢はもちろん、令息たちにも変わった様子はない。
漫画では皆ヒソヒソしていて、明らかにリリアナを避けるそぶりをしていた。そのせいで、リリアナはずっと孤独で、いつも1人ため息をついていたっけ。時には校舎裏で、涙を流す姿もあった。
思い出しただけで、胸が張り裂けそうになる。
「リリアナ、また悲しそうな顔をしてどうしたのだい?令嬢たちに、何か酷い事を言われたのかい?」
「あの子たち、ちょっとおしゃべりなのですわ。ちょっとあの子たちに、文句を言って参ります」
「待って、カーラ。あの子達は、何もしていないわ。クリス様もカーラも、心配をかけてごめんなさい。私は大丈夫ですので」
そう、特に何かをされたわけではない。ただ、何もされなさすぎて、不気味に思っているだけだ。一体どうなっているのかしら?何も起こらないまま、無事すぎていくのかしら?
もしかしたら私、あの漫画が好きすぎて、自分で勝手に漫画の世界に転生したと思い込んでいるだけとか?
それならそれで、いいのだけれど…
何かおかしい気がするわ。
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