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第44話:どうして邪魔をするの?~カーラ視点~
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「まあ、そうなのですね…それが本当なら、大問題ですわ。でも、あなた様だけの意見を信じる訳にはいきませんので、本人に聞いてみますね。カシス様、イザベル様がこうおっしゃっていますが、本当ですか?」
隠れているであろうカシス様に向かって、大きな声で叫んだ。すると、ゆっくり姿を現すカシス様。
そして
「僕は3日前の放課後、調べ物をするために、1人で図書館にいたよ。司書に色々と質問していたから、彼に聞けばわかると思うよ。それから、僕はリリアナ嬢と2人で会った事はない。本当に僕とリリアナ嬢が、口づけをしていたのを見たのかい?」
今まで聞いたことがないほど低い声で呟くカシス様。いつも笑顔のカシス様が、鋭い眼差しでイザベルを睨んでいる。
「えっと…その…間違いだったかもしれませんわ…」
「間違い?イザベル嬢、リリアナ嬢は王太子殿下の婚約者だ。王太子殿下の婚約者に手を出したら、国家反逆罪で厳罰に処される事もある。それを間違いでしたで済ませるのかい?さすがに見逃せないな」
「あの…申し訳ございません。私、カーラ様がお気の毒だと思って、その…」
「私の何がお気の毒なのかしら?さすがにこの件は、黙っている訳にはいきませんわ。そもそもリリアナ様は、王太子殿下の婚約者なのですよ。それなのに、不貞を働いたという虚偽をおっしゃるだなんて。さすがに大問題です。今回の件は、正式にルミリオン侯爵家に抗議をさせていただきますわ」
「僕からも抗議をさせてもらうよ。さすがに許せない」
「そんな…あの…本当にごめんなさい。私の勘違いだったのです。どうか許してください」
必死に頭を下げるイザベル。いくら謝られても、許すつもりはない。
その時だった。
「カシス殿、カーラ嬢、イザベル嬢も勘違いだと言っているのだ。今回の事は、許してあげたらどうだい?」
私達の元にやって来たのは、何とクリス殿下だ。この男、一体何を言っているの?この女を許すですって?
「クリス殿下、リリアナ様が不貞を働いたと、嘘の証言をされたのですよ。要するに、リリアナ様はふしだら者だと言われた様なもの。その上カシス様まで、ふしだら男と言われて、さすがに黙ってはいられませんわ!」
「僕もカーラの意見に同意です。この様な虚偽が与える影響力を考えると、このまま見過ごすことなど出来ません」
すかさずカシス様も、援護してくれた。
「まあまあ、落ち着ていくれ。イザベル嬢、ここは僕が治めておくから、君はもう帰っていいよ。それから、もう虚偽はやめてくれ」
「はい、申し訳ございませんでした。それから、ありがとうございました。このご恩は忘れませんわ。それでは、失礼いたします」
足早に去っていくイザベル。
本当にこの男は、何を考えているの?
「クリス殿下、あなた様は一体何を考えているのですか?何が“リリアナを守る”ですか?イザベル嬢を守るつもりなら、さっさとリリアナ様と婚約を解消してくださいませ!」
怒りに身を任せ、クリス殿下に文句を言った。まさかあの女を庇うだなんて。もしかしてクリス殿下も、あの女の虜になってしまったのかしら?それなら、さっさとリリアナ様と婚約を解消してもらいたいわ。
「カーラ嬢、落ち着いてくれ。僕だってあの女のやった事は、到底許せることではない。ただ、今ルミリオン侯爵家に抗議をしたところで、あの女は大した罪には問われない。最悪、両親に怒られて終わりだ。リリアナにとって、イザベル嬢は排除しなければいけない有害因子。今回は泳がせておくのが得策だと考えたんだ。リリアナの幸せのためには、あの女を確実に排除しないといけないのだよ」
今までに見たことがないほど、真剣な表情のクリス殿下。確実に排除しないといけない?それって…
「クリス殿下がそうおっしゃるのなら、僕たちはあなた様の指示に従います。僕もリリアナ嬢の為には、イザベル嬢を確実に排除しておいた方がいいかと思います」
「さすがカシス殿だね。ありがとう。とにかく、今回の件は大事にしないでくれ。頼む」
珍しくクリス殿下が、私たちに頭を下げたのだ。
正直私は、何度もリリアナ様の名誉を傷つける行いを繰り返すイザベルに、いい加減嫌気がさしているが、今回はカシス様に免じて見逃してやろう。
ただ…
「クリス殿下、今回はあなた様の言う通りにいたします。ですが、次はありませんから。私はどんな些細な事でも、イザベル様がリリアナ様を傷つけようとしたら、その時は容赦しません。それでは、失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、その場を後にする。
クリス殿下、一体何を考えているのだろう。あの男があの女を庇った事が、どうしても気に入らない。
もし万が一、あの男がリリアナ様を裏切るような事があれば、その時は容赦しないのだから!
※次回、クリス視点です。
よろしくお願いします。
隠れているであろうカシス様に向かって、大きな声で叫んだ。すると、ゆっくり姿を現すカシス様。
そして
「僕は3日前の放課後、調べ物をするために、1人で図書館にいたよ。司書に色々と質問していたから、彼に聞けばわかると思うよ。それから、僕はリリアナ嬢と2人で会った事はない。本当に僕とリリアナ嬢が、口づけをしていたのを見たのかい?」
今まで聞いたことがないほど低い声で呟くカシス様。いつも笑顔のカシス様が、鋭い眼差しでイザベルを睨んでいる。
「えっと…その…間違いだったかもしれませんわ…」
「間違い?イザベル嬢、リリアナ嬢は王太子殿下の婚約者だ。王太子殿下の婚約者に手を出したら、国家反逆罪で厳罰に処される事もある。それを間違いでしたで済ませるのかい?さすがに見逃せないな」
「あの…申し訳ございません。私、カーラ様がお気の毒だと思って、その…」
「私の何がお気の毒なのかしら?さすがにこの件は、黙っている訳にはいきませんわ。そもそもリリアナ様は、王太子殿下の婚約者なのですよ。それなのに、不貞を働いたという虚偽をおっしゃるだなんて。さすがに大問題です。今回の件は、正式にルミリオン侯爵家に抗議をさせていただきますわ」
「僕からも抗議をさせてもらうよ。さすがに許せない」
「そんな…あの…本当にごめんなさい。私の勘違いだったのです。どうか許してください」
必死に頭を下げるイザベル。いくら謝られても、許すつもりはない。
その時だった。
「カシス殿、カーラ嬢、イザベル嬢も勘違いだと言っているのだ。今回の事は、許してあげたらどうだい?」
私達の元にやって来たのは、何とクリス殿下だ。この男、一体何を言っているの?この女を許すですって?
「クリス殿下、リリアナ様が不貞を働いたと、嘘の証言をされたのですよ。要するに、リリアナ様はふしだら者だと言われた様なもの。その上カシス様まで、ふしだら男と言われて、さすがに黙ってはいられませんわ!」
「僕もカーラの意見に同意です。この様な虚偽が与える影響力を考えると、このまま見過ごすことなど出来ません」
すかさずカシス様も、援護してくれた。
「まあまあ、落ち着ていくれ。イザベル嬢、ここは僕が治めておくから、君はもう帰っていいよ。それから、もう虚偽はやめてくれ」
「はい、申し訳ございませんでした。それから、ありがとうございました。このご恩は忘れませんわ。それでは、失礼いたします」
足早に去っていくイザベル。
本当にこの男は、何を考えているの?
「クリス殿下、あなた様は一体何を考えているのですか?何が“リリアナを守る”ですか?イザベル嬢を守るつもりなら、さっさとリリアナ様と婚約を解消してくださいませ!」
怒りに身を任せ、クリス殿下に文句を言った。まさかあの女を庇うだなんて。もしかしてクリス殿下も、あの女の虜になってしまったのかしら?それなら、さっさとリリアナ様と婚約を解消してもらいたいわ。
「カーラ嬢、落ち着いてくれ。僕だってあの女のやった事は、到底許せることではない。ただ、今ルミリオン侯爵家に抗議をしたところで、あの女は大した罪には問われない。最悪、両親に怒られて終わりだ。リリアナにとって、イザベル嬢は排除しなければいけない有害因子。今回は泳がせておくのが得策だと考えたんだ。リリアナの幸せのためには、あの女を確実に排除しないといけないのだよ」
今までに見たことがないほど、真剣な表情のクリス殿下。確実に排除しないといけない?それって…
「クリス殿下がそうおっしゃるのなら、僕たちはあなた様の指示に従います。僕もリリアナ嬢の為には、イザベル嬢を確実に排除しておいた方がいいかと思います」
「さすがカシス殿だね。ありがとう。とにかく、今回の件は大事にしないでくれ。頼む」
珍しくクリス殿下が、私たちに頭を下げたのだ。
正直私は、何度もリリアナ様の名誉を傷つける行いを繰り返すイザベルに、いい加減嫌気がさしているが、今回はカシス様に免じて見逃してやろう。
ただ…
「クリス殿下、今回はあなた様の言う通りにいたします。ですが、次はありませんから。私はどんな些細な事でも、イザベル様がリリアナ様を傷つけようとしたら、その時は容赦しません。それでは、失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、その場を後にする。
クリス殿下、一体何を考えているのだろう。あの男があの女を庇った事が、どうしても気に入らない。
もし万が一、あの男がリリアナ様を裏切るような事があれば、その時は容赦しないのだから!
※次回、クリス視点です。
よろしくお願いします。
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