42 / 55
第42話:あの女の思い通りにはさせませんわ~カーラ視点~
しおりを挟む
「それで一体、何があったのだい?まあ、カーラが僕の事を忘れるくらいだから、きっとリリアナ嬢に関係する事だろうね」
さすがカシス様、私の事を熟知していらっしゃるわ。
「はい、実は…」
今日令嬢たちから聞いた事を、カシス様に話した。話をしている途中、怒りがこみあげてきて、つい感情的になってしまった事は仕方がない。
「なるほど、もしかしたら証言している令息たちは、イザベル嬢と関係を持っているのかもしれないね。実は僕も以前、イザベル嬢に誘われた事があってね。僕にはカーラがいるから、もちろん断ったが、不愉快極まりなかったよ」
「まあ、カシス様を誘うだなんて、これは私に喧嘩を売っているという事ですね!増々イザベル嬢が許せなくなってきましたわ!」
確かにカシス様はお優しいし見た目も素敵だし、勉学も武術も優れている完璧な方だ。でも、私という婚約者がいるのに、カシス様を誘うだなんて!
「カーラが僕の為に怒っているなんて、嬉しいな。僕はカーラ一筋だから安心して欲しい。でも、あの女、確かに許せないね。リリアナ嬢には僕もお世話になっているし、何よりも可愛いカーラをこんなに怒らせるだなんて。学院に撮影機を付けるのもいいが、もっと確実にあの女の悪事を暴く事が出来るよ」
にっこり笑ってそう言ったカシス様。
「それは一体、どうすればよろしいのですか?教えてください、カシス様」
「そんなの簡単さ。あの女にスパイを付けさせればいいだけだ。僕に当てがあるあるから、任せてもらってもいいかな?」
「まあ、その様な当てがあるのですか?さすがカシス様ですわ。ですが、これ以上リリアナ様の評判を落とす訳にはいきません。早急にお願いしたいのですが」
「任せておいて、今日中に手配するよ。という訳で、この撮影機はもう必要ないね。さあ、僕の家に着いたよ。2人でゆっくり過ごそう」
いつの間にか、カシス様の家に到着していた。確かにカシス様がスパイを手配してくださるという事だから、撮影機はいらないか…
それにしてもあの女、私のカシス様にまでちょっかいを出していただなんて。絶対に許しませんわ!
増々闘志がわいて来た。
こうして私は、カシス様の協力の元、あの女の悪事を暴く事にしたのだった。
そして数日後。
「聞きましたか、カーラ様。今度はリリアナ様がイザベル様に水を掛けたそうですわ。お可哀そうに、びしょぬれで泣きながら令息と私たちの元にやって来たのですよ。令息も止められなかったと、後悔していらして…」
「私はリリアナ様が、イザベル様を鞄で殴ったと伺いましたわ。お可哀そうに、顔が腫れておられましたわ。どうやら令息と一緒にいるところを殴られた様で、止められなかったと令息が嘆いておられました」
「まあ、イザベル様は随分と色々な令息と仲が良いそうですね。そうそう、私、面白い映像を入手いたしましたの。ご覧になられますか?」
にっこり笑って令嬢たちに話しかけた。
「まあ、どんな映像ですか?是非見せて下さい」
「それではまずはこちらをご覧ください」
食いついて来た令嬢たちに、ある映像を見せた。その映像には、自分で水を被っているイザベルの姿が。さらに令息に
“リリアナ様に水をかけらえたという事にして下さいね。お願いします”
そう言うと、笑顔で令息に口づけをしたのだ。すっかりメロメロになった令息が、嬉しそうに頷いている。
「次はこちらですわ」
今度はイザベルが自分の顔を思いっきり殴ったのだ。
“痛いわ…でもこれで、殴られた様に見えるでしょう?あなたはリリアナ様に殴られたところを目撃した、止めようと思ったけれど止められなかったと証言して頂戴ね”
そう言って、またまた別の令息に口づけをしたのだ。こちらの令息もメロメロで、嬉しそうに頷いている。
さらに自分で教科書をびりびりにしている映像や、他の令息とイチャイチャしている映像も合わせえて見せてあげた。
「イザベル様は、随分と演技派なのですね。全て自作自演だっただなんて、驚きですわ。そういえばこちらに映っている男性、あなた様の婚約者ではなかったかしら?」
コテンと首をかしげて、1人の令嬢に問いかけた。
「はい…間違いなくマックス様ですわ…まさかイザベル様と、こんなふしだらな事をしていただなんて…カーラ様、この映像をお借りする事は出来ますか?」
「ええ、もちろんですわ。それにしても、酷い婚約者ですわね。こんなにお可愛らしい婚約者がいるのに、他の令嬢にうつつを抜かすだなんて。でも、誘ったのはイザベル様の様ですわね。随分令息がお好きな様で」
「本当ですわ。まさか令息たちと体の関係を持ち、その男たちに嘘の証言をさせて、リリアナ様を陥れようとするだなんて、信じられませんわ」
「リリアナ様がそんな酷い事をするはずがないのに、私ったらまんまと騙されておりましたわ。なんと恐ろしい方なのでしょう」
「私なんて、婚約者を陰で寝取られていただなんて…」
「カリアン様、しっかりしてください。それにしても、イザベル様、許せませんわ!」
「皆様、落ち着いて下さい。きっとリリアナ様はお優しいので、誤解が解ければいいとお考えですわ。どうかあまり大事になさらずに。ただ、もしまたイザベル様の嘘を信じていらっしゃる方がいらしたら、真実を教えて差し上げて下さいね」
「「「「はい、もちろんですわ」」」」
よほどこの映像にインパクトがあったのか、あの後リリアナ様を悪く言う人はいなくなった。そして密かに、イザベルの評判はがた落ち。
婚約者を寝取られた令嬢に至っては、婚約破棄の事態にまで発展している様だ。
まあ、自業自得ね。リリアナ様を陥れようだなんて、百億年早いのよ。これでやっと、平和に暮らせるかしら?
さすがカシス様、私の事を熟知していらっしゃるわ。
「はい、実は…」
今日令嬢たちから聞いた事を、カシス様に話した。話をしている途中、怒りがこみあげてきて、つい感情的になってしまった事は仕方がない。
「なるほど、もしかしたら証言している令息たちは、イザベル嬢と関係を持っているのかもしれないね。実は僕も以前、イザベル嬢に誘われた事があってね。僕にはカーラがいるから、もちろん断ったが、不愉快極まりなかったよ」
「まあ、カシス様を誘うだなんて、これは私に喧嘩を売っているという事ですね!増々イザベル嬢が許せなくなってきましたわ!」
確かにカシス様はお優しいし見た目も素敵だし、勉学も武術も優れている完璧な方だ。でも、私という婚約者がいるのに、カシス様を誘うだなんて!
「カーラが僕の為に怒っているなんて、嬉しいな。僕はカーラ一筋だから安心して欲しい。でも、あの女、確かに許せないね。リリアナ嬢には僕もお世話になっているし、何よりも可愛いカーラをこんなに怒らせるだなんて。学院に撮影機を付けるのもいいが、もっと確実にあの女の悪事を暴く事が出来るよ」
にっこり笑ってそう言ったカシス様。
「それは一体、どうすればよろしいのですか?教えてください、カシス様」
「そんなの簡単さ。あの女にスパイを付けさせればいいだけだ。僕に当てがあるあるから、任せてもらってもいいかな?」
「まあ、その様な当てがあるのですか?さすがカシス様ですわ。ですが、これ以上リリアナ様の評判を落とす訳にはいきません。早急にお願いしたいのですが」
「任せておいて、今日中に手配するよ。という訳で、この撮影機はもう必要ないね。さあ、僕の家に着いたよ。2人でゆっくり過ごそう」
いつの間にか、カシス様の家に到着していた。確かにカシス様がスパイを手配してくださるという事だから、撮影機はいらないか…
それにしてもあの女、私のカシス様にまでちょっかいを出していただなんて。絶対に許しませんわ!
増々闘志がわいて来た。
こうして私は、カシス様の協力の元、あの女の悪事を暴く事にしたのだった。
そして数日後。
「聞きましたか、カーラ様。今度はリリアナ様がイザベル様に水を掛けたそうですわ。お可哀そうに、びしょぬれで泣きながら令息と私たちの元にやって来たのですよ。令息も止められなかったと、後悔していらして…」
「私はリリアナ様が、イザベル様を鞄で殴ったと伺いましたわ。お可哀そうに、顔が腫れておられましたわ。どうやら令息と一緒にいるところを殴られた様で、止められなかったと令息が嘆いておられました」
「まあ、イザベル様は随分と色々な令息と仲が良いそうですね。そうそう、私、面白い映像を入手いたしましたの。ご覧になられますか?」
にっこり笑って令嬢たちに話しかけた。
「まあ、どんな映像ですか?是非見せて下さい」
「それではまずはこちらをご覧ください」
食いついて来た令嬢たちに、ある映像を見せた。その映像には、自分で水を被っているイザベルの姿が。さらに令息に
“リリアナ様に水をかけらえたという事にして下さいね。お願いします”
そう言うと、笑顔で令息に口づけをしたのだ。すっかりメロメロになった令息が、嬉しそうに頷いている。
「次はこちらですわ」
今度はイザベルが自分の顔を思いっきり殴ったのだ。
“痛いわ…でもこれで、殴られた様に見えるでしょう?あなたはリリアナ様に殴られたところを目撃した、止めようと思ったけれど止められなかったと証言して頂戴ね”
そう言って、またまた別の令息に口づけをしたのだ。こちらの令息もメロメロで、嬉しそうに頷いている。
さらに自分で教科書をびりびりにしている映像や、他の令息とイチャイチャしている映像も合わせえて見せてあげた。
「イザベル様は、随分と演技派なのですね。全て自作自演だっただなんて、驚きですわ。そういえばこちらに映っている男性、あなた様の婚約者ではなかったかしら?」
コテンと首をかしげて、1人の令嬢に問いかけた。
「はい…間違いなくマックス様ですわ…まさかイザベル様と、こんなふしだらな事をしていただなんて…カーラ様、この映像をお借りする事は出来ますか?」
「ええ、もちろんですわ。それにしても、酷い婚約者ですわね。こんなにお可愛らしい婚約者がいるのに、他の令嬢にうつつを抜かすだなんて。でも、誘ったのはイザベル様の様ですわね。随分令息がお好きな様で」
「本当ですわ。まさか令息たちと体の関係を持ち、その男たちに嘘の証言をさせて、リリアナ様を陥れようとするだなんて、信じられませんわ」
「リリアナ様がそんな酷い事をするはずがないのに、私ったらまんまと騙されておりましたわ。なんと恐ろしい方なのでしょう」
「私なんて、婚約者を陰で寝取られていただなんて…」
「カリアン様、しっかりしてください。それにしても、イザベル様、許せませんわ!」
「皆様、落ち着いて下さい。きっとリリアナ様はお優しいので、誤解が解ければいいとお考えですわ。どうかあまり大事になさらずに。ただ、もしまたイザベル様の嘘を信じていらっしゃる方がいらしたら、真実を教えて差し上げて下さいね」
「「「「はい、もちろんですわ」」」」
よほどこの映像にインパクトがあったのか、あの後リリアナ様を悪く言う人はいなくなった。そして密かに、イザベルの評判はがた落ち。
婚約者を寝取られた令嬢に至っては、婚約破棄の事態にまで発展している様だ。
まあ、自業自得ね。リリアナ様を陥れようだなんて、百億年早いのよ。これでやっと、平和に暮らせるかしら?
980
お気に入りに追加
2,390
あなたにおすすめの小説

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる