悲劇の公爵令嬢に転生したはずなのですが…なぜかヒーローでもある王太子殿下に溺愛されています

Karamimi

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第41話:リリアナ様を陥れる奴は許しませんわ~カーラ視点~

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「それではリリアナ様。また明日」

「ええ、また明日ね」

 貴族学院に入学して早3ヶ月。クリス殿下に邪魔される事も多いが、それでも毎日リリアナ様と過ごせるとあって、楽しくてたまらない。今日もリリアナ様と放課後のお茶を楽しんだ後、それぞれ馬車に乗り込む。

 私は今から、婚約者でもあるカシス様の元に向かう予定になっているのだ。カシス様との関係も良好で、学院内でもカシス様と2人で過ごすことも多い。

 何分リリアナ様には、あの嫉妬深い男、クリス殿下がベッタリとくっ付いている為、私との時間は中々作れないのだ。それでも今日、私とお茶をして下さったリリアナ様には、感謝しかない。

 馬車に乗り込み、帰ろうとした時だった。

「いけない、リリアナ様からお借りした大切な小説を、教室に忘れてきてしまったわ。急いで取りに行かないと!」

 リリアナ様が私の為に貸してくださった、大切な恋愛小説。万が一失くしたら大変だ。

 急いで教室へと向かうと

「聞きましたか?リリアナ様がイザベル様の教科書を、ズタズタに切り裂いたそうですわよ」

「私もイザベル様から聞きましたわ。酷いですわよね、確かに最近、イザベル様はクリス殿下とよく話をされていますが、だからってあのような事をなさるだなんて」

 えっ?どういう事?リリアナ様がイザベル様の教科書を?あり得ないわ、心のお優しいリリアナ様が、そんな事をするだなんて…

「皆様、今の話、本当ですか?」

 我慢できなくなって、話しの輪に加わった。

「まあ、カーラ様…あの、その…」

「リリアナ様には言いませんので、詳しく教えてくださいませんか?」

 極力笑顔で令嬢たちに話しかけた。

「実は昨日、リリアナ様に教科書をズタズタにされたと、泣きながらイザベル様から相談を受けまして…本当に教科書は酷い状態だったのです。どうかリリアナ様には言わないで欲しい、きっと自分が殿下に近づいたのが悪いのだからと、泣きながら訴えられて」

「確かにイザベル様はよく殿下と話をされておりますが、だからってあのような事をなさるだなんて…酷いですわよね」

「えっと、1つお伺いしたいのですが、その教科書は、どうしてリリアナ様が破いたと言えるのですか?」

「イザベル様が、破られるところを見たとの事なのです。それに、他の令息たちも見たという人たちが何人かいて…」

「そうだったのですね。ちなみに目撃者を名乗っている令息の名前も、教えていただけますか?」

 令嬢たちに目撃者の名前も教えてもらい、メモを取った。

「色々と教えていただき、ありがとうございます。では私はこれで」

 極力笑顔で令嬢たちに挨拶をし、その場を後にする。

「イザベル・ルミリオン!あの女、絶対に許さないわ!私の大切なリリアナ様を陥れようとするだなんて」

 体中から湧き上がる怒りを抑える事が出来ない。確かあの女、入学した初日、リリアナ様を恐ろしい形相で睨んでいたわ。それにクリス殿下にも、やたらちょっかいを出しているし!

 あの男もあの男よ!普段あれだけ“リリアナは僕が守る”と豪語しているくせに、全然守れていないじゃない。とはいえ、あんな男にリリアナ様を守られてたまるものですか。怒りに震える中、馬車に乗り込んだ。

 あの女、目に物を見せてやるわ!私の目が黒いうちは、あの女の好き勝手にはさせない。すぐに家に帰ると、大至急使用人にあるものを手配する様に依頼した。

「お願い、今すぐどうしても必要なの。至急手配してくれるかしら?」

「承知いたしました。すぐに手配いたします」

 急いで部屋から出ていく使用人を見送った。しばらくすると

「お嬢様、お待たせいたしました。急遽準備をしたため、少し性能は落ちますが、見た目はとても小さくバレにくいです」

「ありがとう、助かったわ。ちょっと学院に行ってくるわね」

「えっ?今からですか?」

「ええ、今からよ。すぐに戻るから」

 善は急げだ。早速屋敷を出て馬車に乗り込もうとした時だった。

 カシス様の家の馬車が我が家に入って来た。しまった、今日カシス様のお宅にお邪魔する予定になっていたのだわ。頭に血が上ってしまい、すっかり忘れていた。

 馬車から降りて来たのは、やはりカシス様だった。

「カーラ、ずっと待っていてもなかなか君がやってこないから、心配したよ。学院にもいないし、家に帰っていたのだね。よかった、無事で」

「カシス様、ごめんなさい。ちょっと色々ありまして。今から貴族学院に向かわないといけないので、これで失礼いたします。戻り次第、カシス様のお宅にお邪魔いたしますわ」

「待って、僕も行くよ」

 我が家の馬車に乗り込んできたカシス様と一緒に、学院へと向かったのだった。
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