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第25話:なぜ私が怒られないといけないのでしょう
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私達の馬車が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれるカーラに、私も手を振り返した。
「随分とカーラ嬢と仲が良いのだね…」
隣に座っていたクリス様が、ポツリと呟いたのだ。この人、いつの間に私の隣に座ったのかしら?普通は向かいに座るものではないのかしら?
明らかに不満そうな顔をしている。
「はい、カーラとは仲良くしてもらっておりますわ。彼女は本当に素敵な令嬢なのです。私の為に、色々と準備をしてくれていた様で。こんなにたくさんのお土産を頂きましたわ」
カーラから貰ったお土産を、クリス様に見せたのだが…
「リリアナ、君は王太子でもある僕の婚約者だ。いずれ王妃になる令嬢なのだよ。それなのに、特定の令嬢と仲良くするのはいかがなものかと。それもあの女は、かなりリリアナに執着している様だし。もしもその執着が、悪い形でリリアナに向かったら大変だ。やはりあの女とは、距離を置くべきだ」
「確かにカーラは少し私に執着しているところもありますが、きっと私が意地悪な兄から彼女を救ったため、恩を感じているのでしょう。それにカーラはまだ10歳ですし。素敵な殿方が出来れば、そちらに気持ちが向くかと…それに何より、私は大切なお友達を失いたくはありませんわ」
漫画のカーラを知っている私に言わせれば、カーラはきっと、今後も私の為に尽くそうとするだろう。実際漫画でも、ろくでなしの兄から救い出してくれたイザベルに執着し、彼女の言う事なら何でも聞いていたし…
執着していたと言えばそうなのだが、カーラの場合、相手の幸せだけを願い行動していた。そんなカーラが、今後私に危害を加えるとは考え難い。それに私は、この世界で初めて腹を割って話せる友人が出来たのだ。
出来ればカーラとは、今後も仲良くしたいと考えている。もちろんイザベルとは、今後一切関わらせたくないし。その為にも、カーラは私の傍に置いておいた方がいい気がするのだ。
「初めて出来た大切な友達か…リリアナ、いくらこちらが大切だと思っていても、時と場合によっては…いいや、何でもないよ」
なぜか切なそうな顔で、何かを言いかけたクリス様。一体何が言いたかったのかしら?
「カーラ嬢とは、今後も節度を保って仲良くする事は認めるよ。ただ、こんな遅い時間まで相手の家にお邪魔するのは、やっぱり良くないよ!そもそも君は、まだ10歳なのだよ。それなのに、暗くなるまで帰ってこないだなんて!その上、夕食までご馳走になって来ようとしていただろう!」
なぜか急に、クリス様が怖い顔で迫って来たのだ。
「えっと…お母様には、今日はもしかしたら遅くなるかもとは伝えてありましたが…」
「遅くなるといっても、夫人は夕方には帰って来ると思っていたみたいだよ。僕も昼前からずっと待っていたのに。いつまでたっても帰ってこないから、本当に心配したのだからね!次からは、ちゃんと時間を決めていく事。分かったね」
そんな事を言われても、勝手に我が家に押しかけてきて、勝手に待っていたのはクリス様だ。それなのに、どうして私が怒られないといけないのだろう。それに、お母様は遅くなってもいいとおっしゃってくれていたし…
「リリアナ、聞いているのかい?」
「ええ、聞いておりますわ。その…帰りが遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。次回からも遅くなりますので、どうか我が家で待っていて下さらなくても大丈夫ですわ。私はこれでも公爵令嬢です。護衛もメイドも連れておりますので、ご安心を」
胸を叩いてそう訴えたのだが…
「リリアナ、君はまだ10歳なのだよ。今後は夕方までには必ず帰ってくる事!夜遅くなるだなんて、絶対にダメだからね。約束が守れないなら、次からカーラ嬢と会う事は認められないよ」
なぜかクリス様が怖い顔で迫って来る。これ以上この人を刺激しない方がいい気がするわ。
「分かりましたわ…次回からは、夕方までに帰るようにいたします。ですので、クリス様もどうか我が家で待っている様な事は、なさらない様にしてくださいね」
きっとお父様もお母様も、迷惑でしょうから。と、都合の悪い事は心の中で呟く。そもそも、この人はこれでも王太子殿下なのだ。我が家で油を売っていないで、しっかり公務に励んで欲しい。と言いたいが、火に油を注ぎそうなので、ここはぐっと堪えた。
「君の行動次第では、今後も公爵家で待たせてもらうよ。君の両親も、僕の気が済むなら好きなだけいてくれていいとおっしゃってくれているしね」
お父様もお母様も、余計な事を言って。
「とにかく、これ以上僕を心配させないでくれ。分かったね?」
「…はい、分かりましたわ」
私はただ、友人の家に遊びに行っただけだ。それもご丁寧に、前日にクリス様にも伝えていたのに、どうして私が怒られないといけないのかしら?
正直不満だが、これ以上クリス様を怒らせて“教育係に頼んで、リリアナの休みはしばらくなしにする”なんて言われたら迷惑なので、ここは大人しくしておくことにした。
今のクリス様なら、言いかねない。
それにしてもこの人、こんなにリリアナにベッタリだったのかしら?漫画の世界では、どちらかというとあまり感情を表さないタイプだった気がする。
その為読者の間でも、クリス殿下はリリアナが好きなのか、イザベルが好きなのか分からないと言った意見も多かったのだ。結局この人は、世間の流れに身を任せるタイプで、自分の婚約者を守ろうともしないのね!
そう思っていたのだが…
この人、本当に漫画の世界と同じ人物なのかしら?そう思うほど、キャラが違っている。
何はもとあれ、こうやって一緒に過ごすことで、クリス様の本来の性格も少しずつ分かって来た。イザベルが登場後、私の言う事を信じてもらえる様に、もっともっと信頼関係を作って行かないとね。
※次回、クリス視点です。
よろしくお願いいたします。
「随分とカーラ嬢と仲が良いのだね…」
隣に座っていたクリス様が、ポツリと呟いたのだ。この人、いつの間に私の隣に座ったのかしら?普通は向かいに座るものではないのかしら?
明らかに不満そうな顔をしている。
「はい、カーラとは仲良くしてもらっておりますわ。彼女は本当に素敵な令嬢なのです。私の為に、色々と準備をしてくれていた様で。こんなにたくさんのお土産を頂きましたわ」
カーラから貰ったお土産を、クリス様に見せたのだが…
「リリアナ、君は王太子でもある僕の婚約者だ。いずれ王妃になる令嬢なのだよ。それなのに、特定の令嬢と仲良くするのはいかがなものかと。それもあの女は、かなりリリアナに執着している様だし。もしもその執着が、悪い形でリリアナに向かったら大変だ。やはりあの女とは、距離を置くべきだ」
「確かにカーラは少し私に執着しているところもありますが、きっと私が意地悪な兄から彼女を救ったため、恩を感じているのでしょう。それにカーラはまだ10歳ですし。素敵な殿方が出来れば、そちらに気持ちが向くかと…それに何より、私は大切なお友達を失いたくはありませんわ」
漫画のカーラを知っている私に言わせれば、カーラはきっと、今後も私の為に尽くそうとするだろう。実際漫画でも、ろくでなしの兄から救い出してくれたイザベルに執着し、彼女の言う事なら何でも聞いていたし…
執着していたと言えばそうなのだが、カーラの場合、相手の幸せだけを願い行動していた。そんなカーラが、今後私に危害を加えるとは考え難い。それに私は、この世界で初めて腹を割って話せる友人が出来たのだ。
出来ればカーラとは、今後も仲良くしたいと考えている。もちろんイザベルとは、今後一切関わらせたくないし。その為にも、カーラは私の傍に置いておいた方がいい気がするのだ。
「初めて出来た大切な友達か…リリアナ、いくらこちらが大切だと思っていても、時と場合によっては…いいや、何でもないよ」
なぜか切なそうな顔で、何かを言いかけたクリス様。一体何が言いたかったのかしら?
「カーラ嬢とは、今後も節度を保って仲良くする事は認めるよ。ただ、こんな遅い時間まで相手の家にお邪魔するのは、やっぱり良くないよ!そもそも君は、まだ10歳なのだよ。それなのに、暗くなるまで帰ってこないだなんて!その上、夕食までご馳走になって来ようとしていただろう!」
なぜか急に、クリス様が怖い顔で迫って来たのだ。
「えっと…お母様には、今日はもしかしたら遅くなるかもとは伝えてありましたが…」
「遅くなるといっても、夫人は夕方には帰って来ると思っていたみたいだよ。僕も昼前からずっと待っていたのに。いつまでたっても帰ってこないから、本当に心配したのだからね!次からは、ちゃんと時間を決めていく事。分かったね」
そんな事を言われても、勝手に我が家に押しかけてきて、勝手に待っていたのはクリス様だ。それなのに、どうして私が怒られないといけないのだろう。それに、お母様は遅くなってもいいとおっしゃってくれていたし…
「リリアナ、聞いているのかい?」
「ええ、聞いておりますわ。その…帰りが遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。次回からも遅くなりますので、どうか我が家で待っていて下さらなくても大丈夫ですわ。私はこれでも公爵令嬢です。護衛もメイドも連れておりますので、ご安心を」
胸を叩いてそう訴えたのだが…
「リリアナ、君はまだ10歳なのだよ。今後は夕方までには必ず帰ってくる事!夜遅くなるだなんて、絶対にダメだからね。約束が守れないなら、次からカーラ嬢と会う事は認められないよ」
なぜかクリス様が怖い顔で迫って来る。これ以上この人を刺激しない方がいい気がするわ。
「分かりましたわ…次回からは、夕方までに帰るようにいたします。ですので、クリス様もどうか我が家で待っている様な事は、なさらない様にしてくださいね」
きっとお父様もお母様も、迷惑でしょうから。と、都合の悪い事は心の中で呟く。そもそも、この人はこれでも王太子殿下なのだ。我が家で油を売っていないで、しっかり公務に励んで欲しい。と言いたいが、火に油を注ぎそうなので、ここはぐっと堪えた。
「君の行動次第では、今後も公爵家で待たせてもらうよ。君の両親も、僕の気が済むなら好きなだけいてくれていいとおっしゃってくれているしね」
お父様もお母様も、余計な事を言って。
「とにかく、これ以上僕を心配させないでくれ。分かったね?」
「…はい、分かりましたわ」
私はただ、友人の家に遊びに行っただけだ。それもご丁寧に、前日にクリス様にも伝えていたのに、どうして私が怒られないといけないのかしら?
正直不満だが、これ以上クリス様を怒らせて“教育係に頼んで、リリアナの休みはしばらくなしにする”なんて言われたら迷惑なので、ここは大人しくしておくことにした。
今のクリス様なら、言いかねない。
それにしてもこの人、こんなにリリアナにベッタリだったのかしら?漫画の世界では、どちらかというとあまり感情を表さないタイプだった気がする。
その為読者の間でも、クリス殿下はリリアナが好きなのか、イザベルが好きなのか分からないと言った意見も多かったのだ。結局この人は、世間の流れに身を任せるタイプで、自分の婚約者を守ろうともしないのね!
そう思っていたのだが…
この人、本当に漫画の世界と同じ人物なのかしら?そう思うほど、キャラが違っている。
何はもとあれ、こうやって一緒に過ごすことで、クリス様の本来の性格も少しずつ分かって来た。イザベルが登場後、私の言う事を信じてもらえる様に、もっともっと信頼関係を作って行かないとね。
※次回、クリス視点です。
よろしくお願いいたします。
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