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第20話:クリス様はカーラが嫌いな様です
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「リリアナ、明日は王妃教育がお休みの日だろう。君はこの3ヶ月、休みなしで本当によく頑張ったよ。それでね、明日は2人で街に出よう。リリアナが好きな物を、好きなだけ買ってもいいよ。リリアナが頑張ったご褒美だ」
クリス様の婚約者になってから、早3ヶ月。この3ヶ月、毎日王宮に通い、王妃教育を受けて来た。家でも必死に勉強をしていたおかげか、思ったよりも進み具合が良いという事で、明日お休みをもらえる事になったのだ。
でも明日は…
「あの…クリス様、申し訳ございません。明日は久しぶりに、友人に会いに行こうと思っておりまして…」
「友人って、一体誰だい?」
「カーラですわ」
「カーラ嬢だって?」
そう、お茶会以来、すっかり私に懐いたカーラ。毎日手紙のやり取りをしているし、早朝わざわざ会いに来てくれたりしているのだ。
この3ヶ月で、カーラもかなり努力した様で、肌も見違えるように綺麗になり、随分痩せてきた。私も見習わないといけないくらい、努力の塊のような令嬢なのだ。
確か漫画でも“イザベル様の傍にいられる様、綺麗になる”と頑張ろうとしたカーラに、今のままのカーラでいい。と、イザベルが言ったのだったわね。そもそもイザベルは、カーラを傍に置くつもりはなく、都合のいいときに利用していただけ。
現に普段は、2人は一緒にいる事はなかった。あれほどまでにイザベルに尽くしていたカーラなのに…カーラもイザベルと出会わなければ、もっと幸せな人生を送れたのかもしれない。最近そんな事を考えてしまうのだ。
話はそれてしまった。
「実は以前からカーラのお家に遊びに行くという話をしていたのですが、ずっと忙しくてなかなかお伺いできなくて。それで明日、お休みを頂いた話をカーラに話したら“ぜひ遊びに来てください”と言ってくれたので。それで明日、カーラのお宅に遊びに行こうかと」
笑顔でクリス様に話しをしたのだが…
「あの女の家に行くだって?それは危険だ!あの女は…いいや、何でもない。とにかく、僕も行くよ。君1人だと心配だからね」
クリス様も付いてくるですって。それはさすがに迷惑だわ。
「クリス様、さすがに婚約者でもない令嬢のお宅に、王太子殿下でもあるあなた様がお伺いするのは、いかがなものかと。それに、クリス様が急に来られたら、カーラもご家族もびっくりしてしまいますわ」
「それならすぐに、ミュースト侯爵家に使いを出そう。それに僕は、カーラ嬢の事なんて全く興味がないよ。ただ、リリアナが心配なだけだ!とにかくあの女の家に1人で行くだなんて、僕は反対だ」
どうしてそこまで、私がカーラの家に行く事を反対するのだろう。もしかして、カーラとクリス様の間に何かあった?いいえ、その様な話はなかったはずよ。もしかしてクリス様は私と同じ、転生者なの?
よく考えてみたら、クリス様の言動には、気になる点がいくつもあった。だとすると、やっぱり。
「どうしてそこまで、カーラを嫌うのですか?もしかしてクリス様も、日本という国をご存じで?」
「僕は別に、カーラ嬢を嫌っている訳ではないよ。ただ…なんというか、危険そうな雰囲気を醸し出しているだろう?万が一リリアナに何かしでかしたら、そう思うと心配なだけだよ。それから、にほん?という国は聞いたことがないな。隣国にもそんな国はないし。もしかして、王妃教育で習ったのかい?君が望むなら、僕が連れて行ってあげるよ」
日本を知らないというなら、クリス様は転生者ではない様ね。それにしても、危険な雰囲気って…確かに漫画に出て来たカーラは、不気味な空気を漂わせていた。それに昔のカーラは、少し暗い印象があったけれど、今は随分と明るくなったのだけれど。
「いえ、私は別に日本に行きたい訳ではありませんので、今の話は忘れて下さい。カーラの事ですが、今は見違えるように明るくなったのですよ。ですので、ご安心ください」
そう教えてあげたのだが…
「随分とカーラ嬢と仲が良い様だね。君はこの3ヶ月、ずっと王宮に来ていたのに、どうしてカーラ嬢が明るくなったことを知っているのだい?それに明日休みの事を、彼女に話したと言っていたし。もしかして、隠れて会っていたのかい?」
「隠れて会っていただなんて、そんな人聞きの悪い事を言わないで下さい。カーラは友人なのですよ。毎日手紙のやり取りをしていたのと、たまに早朝、カーラがわざわざ会いに来てくれていたのです。ただそれだけですわ」
「朝会いに来ていただって!油断も隙も無い女だな!それに毎日手紙だなんて…」
なぜかクリス様が、頭を抱えてしまったのだ。本当にどうしてしまわれたのだろう。
「あの…クリス様、本当にカーラは悪い子ではないので、安心してください。それにカーラは、侯爵令嬢なのです。あなた様の婚約者でもある私に危害を加える事は、考えにくいかと」
漫画の世界ではガンガンリリアナに危害を加えていたが、それは全て自分を助けてくれたイザベルの為。今回は偶然ではあるが、私がカーラを助けたのだ。きっと今のカーラなら、イザベルの言いなりになり、私に危害を加えるとは考えづらい。
「クリス様、お願いします。3ヶ月ぶりにゆっくり友人と話すチャンスなのです。この3ヶ月、私は必死に王妃教育をこなしました。ですから、どうかお願いします」
改めてクリス様に頭を下げた。
クリス様の婚約者になってから、早3ヶ月。この3ヶ月、毎日王宮に通い、王妃教育を受けて来た。家でも必死に勉強をしていたおかげか、思ったよりも進み具合が良いという事で、明日お休みをもらえる事になったのだ。
でも明日は…
「あの…クリス様、申し訳ございません。明日は久しぶりに、友人に会いに行こうと思っておりまして…」
「友人って、一体誰だい?」
「カーラですわ」
「カーラ嬢だって?」
そう、お茶会以来、すっかり私に懐いたカーラ。毎日手紙のやり取りをしているし、早朝わざわざ会いに来てくれたりしているのだ。
この3ヶ月で、カーラもかなり努力した様で、肌も見違えるように綺麗になり、随分痩せてきた。私も見習わないといけないくらい、努力の塊のような令嬢なのだ。
確か漫画でも“イザベル様の傍にいられる様、綺麗になる”と頑張ろうとしたカーラに、今のままのカーラでいい。と、イザベルが言ったのだったわね。そもそもイザベルは、カーラを傍に置くつもりはなく、都合のいいときに利用していただけ。
現に普段は、2人は一緒にいる事はなかった。あれほどまでにイザベルに尽くしていたカーラなのに…カーラもイザベルと出会わなければ、もっと幸せな人生を送れたのかもしれない。最近そんな事を考えてしまうのだ。
話はそれてしまった。
「実は以前からカーラのお家に遊びに行くという話をしていたのですが、ずっと忙しくてなかなかお伺いできなくて。それで明日、お休みを頂いた話をカーラに話したら“ぜひ遊びに来てください”と言ってくれたので。それで明日、カーラのお宅に遊びに行こうかと」
笑顔でクリス様に話しをしたのだが…
「あの女の家に行くだって?それは危険だ!あの女は…いいや、何でもない。とにかく、僕も行くよ。君1人だと心配だからね」
クリス様も付いてくるですって。それはさすがに迷惑だわ。
「クリス様、さすがに婚約者でもない令嬢のお宅に、王太子殿下でもあるあなた様がお伺いするのは、いかがなものかと。それに、クリス様が急に来られたら、カーラもご家族もびっくりしてしまいますわ」
「それならすぐに、ミュースト侯爵家に使いを出そう。それに僕は、カーラ嬢の事なんて全く興味がないよ。ただ、リリアナが心配なだけだ!とにかくあの女の家に1人で行くだなんて、僕は反対だ」
どうしてそこまで、私がカーラの家に行く事を反対するのだろう。もしかして、カーラとクリス様の間に何かあった?いいえ、その様な話はなかったはずよ。もしかしてクリス様は私と同じ、転生者なの?
よく考えてみたら、クリス様の言動には、気になる点がいくつもあった。だとすると、やっぱり。
「どうしてそこまで、カーラを嫌うのですか?もしかしてクリス様も、日本という国をご存じで?」
「僕は別に、カーラ嬢を嫌っている訳ではないよ。ただ…なんというか、危険そうな雰囲気を醸し出しているだろう?万が一リリアナに何かしでかしたら、そう思うと心配なだけだよ。それから、にほん?という国は聞いたことがないな。隣国にもそんな国はないし。もしかして、王妃教育で習ったのかい?君が望むなら、僕が連れて行ってあげるよ」
日本を知らないというなら、クリス様は転生者ではない様ね。それにしても、危険な雰囲気って…確かに漫画に出て来たカーラは、不気味な空気を漂わせていた。それに昔のカーラは、少し暗い印象があったけれど、今は随分と明るくなったのだけれど。
「いえ、私は別に日本に行きたい訳ではありませんので、今の話は忘れて下さい。カーラの事ですが、今は見違えるように明るくなったのですよ。ですので、ご安心ください」
そう教えてあげたのだが…
「随分とカーラ嬢と仲が良い様だね。君はこの3ヶ月、ずっと王宮に来ていたのに、どうしてカーラ嬢が明るくなったことを知っているのだい?それに明日休みの事を、彼女に話したと言っていたし。もしかして、隠れて会っていたのかい?」
「隠れて会っていただなんて、そんな人聞きの悪い事を言わないで下さい。カーラは友人なのですよ。毎日手紙のやり取りをしていたのと、たまに早朝、カーラがわざわざ会いに来てくれていたのです。ただそれだけですわ」
「朝会いに来ていただって!油断も隙も無い女だな!それに毎日手紙だなんて…」
なぜかクリス様が、頭を抱えてしまったのだ。本当にどうしてしまわれたのだろう。
「あの…クリス様、本当にカーラは悪い子ではないので、安心してください。それにカーラは、侯爵令嬢なのです。あなた様の婚約者でもある私に危害を加える事は、考えにくいかと」
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「クリス様、お願いします。3ヶ月ぶりにゆっくり友人と話すチャンスなのです。この3ヶ月、私は必死に王妃教育をこなしました。ですから、どうかお願いします」
改めてクリス様に頭を下げた。
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