12 / 55
第12話:愚かだったあの時の僕~クリス視点~
しおりを挟む
僕がマーデンに調査を依頼してから1週間、早速調査結果が上がって来たのだ。
「クリス、落ち着いて聞いてくれ。俺が調べた結果、イザベル嬢の言っている事は、全部本当だった。リリアナ嬢は、陰でかなり酷い事をイザベル嬢にしている様だ」
そう言うと、今までリリアナがイザベルにしていたとされる悪事が、ずらりと並んでいた。
「こんな酷い事を、リリアナは…」
あんなに優しかったリリアナが、こんな酷い事をするだなんて…でも、マーデンが調べたのだから、本当なのだろう。
いくら何でも、酷すぎる。僕はすぐにリリアナに調査報告書を叩きつけた。
「リリアナ、一体どういうつもりだい?こんな酷い事を、イザベル嬢にしていたのかい?」
「これは一体…事実無根ですわ。私はこのような事は…」
「言い訳は聞きたくはないよ。この件は、僕から君の父親にも、しっかり抗議させてもらう。これ以上、僕を失望させるような事はしないでくれ!もしまたイザベル嬢に何かしたら、その時は婚約破棄も視野に入れさせてもらうから!」
そうはっきりと、リリアナに告げた。するとリリアナは悲しそうな顔で…
「クリス様は、イザベル様を愛していらっしゃるのですか?だから私の話は聞いて下さらないのですか?私はこのような酷い事は、何1つしておりません。信じて下さい、私は…」
「これは第三者に調べてもらったものだ!君がなんと言おうと、事実なんだよ。これ以上、僕を失望させないでくれ。話は終わりだ、早く出て行ってくれ」
「分かりましたわ…失礼いたします」
僕に頭を下げると、悲しそうに部屋から出て行ったリリアナ。その顔を見た瞬間、胸がチクリと痛んだ。僕だって、あんな酷い事を言いたい訳ではない。今でもリリアナを愛している。だからこそ、罪もないイザベルに酷い仕打ちをしたリリアナを、僕は許すことが出来ないのだ。どうしてリリアナは、そんな人間になってしまったのだろう…
落ちこむ僕を慰めてくれたのは、イザベルだった。
「クリス様、ごめんなさい。私のせいで、大切な婚約者のリリアナ様と不仲になってしまわれたと聞きましたわ。私でよければ、お慰めいたしますわ」
そう言うと、イザベルはゆっくりと僕に近づいてきたのだ。そして、唇が触れそうになった時…
「悪いが僕には、一応まだ婚約者がいる。そういった事は、控えてくれ」
そう伝えた。
そして決定的な事件が起こったのだ。
何とリリアナがイザベルを毒殺しようとした罪で、捕まったのだ。どうやらイザベルが飲もうとしていたお茶に、毒が入っていたらしい。その毒を入れる様に指示したのがリリアナだと、メイドが泣きながら自白したのだ。
リリアナのカバンから、毒も見つかった。
まさかリリアナが、イザベルを毒殺しようとするだなんて…そこまでリリアナは地に落ちたのか…
さらにリリアナがイザベルのお茶に毒を入れる様に指示をしている姿を、目撃したという人物まで現れたのだ。そう、侯爵令嬢のカーラ・ミューストだ。我が国では貴族を裁くとき、虚偽の証言をした場合は、極刑に処される事もあるため、誰も虚偽の証言をするものはいない。
それくらい、皆発言には慎重になるのだ。そんな中、侯爵令嬢でもあるカーラがその様な証言をしたため、カーラの証言はかなり信ぴょう性があると判断された。その結果、リリアナはイザベル嬢毒殺未遂の罪で、毒による極刑が言い渡されたのだ。
まさか僕の婚約者が、罪もない侯爵令嬢を毒殺しようとするだなんて。リリアナにはしっかり罪を償ってもらおう。
そう思い、最後にリリアナがいる地下牢を訪ねた。食事もろくに食べていないという事で、やせ細り、目もうつろのリリアナがそこにはいた。
「リリアナ、君の処罰が決まったよ。君はイザベル嬢に飲ませようとした毒を飲んで、命を落とすことになった。自分でまいた種だ、しっかり責任は取ってもらう」
僕の言葉を聞き、ゆっくりと顔を上げたリリアナ。
「私は、イザベル様に毒を飲ませようとはしておりませんわ…そう訴えても、あなた様は私の言う事など、信じて下さいませんよね…今までも私の言う事など、信じて下さいませんでしたから…」
そう言って力なく笑ったのだ。
「今更何を言っているのだ。決定的証拠もそろっているのだぞ。それなのに、まだ自分の罪を認めないというのかい?いつからリリアナは、そんな人間になってしまったんだ!僕は…」
「私は、今も昔も変わっておりませんわ。変わってしまわれたのは、あなた様です。ですが、私が何を言っても、無駄ですものね…毒でも何でも飲みますわ。ただ…どうか私の家族だけは、見逃してくださいませ…私の家族は、何も悪くはありませんので」
今にも泣きそうな顔で、リリアナが呟いたのだ。既に死を覚悟しているのだろう。絶望に満ちた目をしているリリアナ。そんな中でも、彼女は最後まで家族の事を心配しているのか?
ダメだ、きっとこれはリリアナの策略だ。とにかく、この場から去らないと。
「それじゃあ、僕はもう行くよ。リリアナ、しっかり罪を償ってくれ」
そう声をかけて、僕は地下牢を後にしたのだった。
「クリス、落ち着いて聞いてくれ。俺が調べた結果、イザベル嬢の言っている事は、全部本当だった。リリアナ嬢は、陰でかなり酷い事をイザベル嬢にしている様だ」
そう言うと、今までリリアナがイザベルにしていたとされる悪事が、ずらりと並んでいた。
「こんな酷い事を、リリアナは…」
あんなに優しかったリリアナが、こんな酷い事をするだなんて…でも、マーデンが調べたのだから、本当なのだろう。
いくら何でも、酷すぎる。僕はすぐにリリアナに調査報告書を叩きつけた。
「リリアナ、一体どういうつもりだい?こんな酷い事を、イザベル嬢にしていたのかい?」
「これは一体…事実無根ですわ。私はこのような事は…」
「言い訳は聞きたくはないよ。この件は、僕から君の父親にも、しっかり抗議させてもらう。これ以上、僕を失望させるような事はしないでくれ!もしまたイザベル嬢に何かしたら、その時は婚約破棄も視野に入れさせてもらうから!」
そうはっきりと、リリアナに告げた。するとリリアナは悲しそうな顔で…
「クリス様は、イザベル様を愛していらっしゃるのですか?だから私の話は聞いて下さらないのですか?私はこのような酷い事は、何1つしておりません。信じて下さい、私は…」
「これは第三者に調べてもらったものだ!君がなんと言おうと、事実なんだよ。これ以上、僕を失望させないでくれ。話は終わりだ、早く出て行ってくれ」
「分かりましたわ…失礼いたします」
僕に頭を下げると、悲しそうに部屋から出て行ったリリアナ。その顔を見た瞬間、胸がチクリと痛んだ。僕だって、あんな酷い事を言いたい訳ではない。今でもリリアナを愛している。だからこそ、罪もないイザベルに酷い仕打ちをしたリリアナを、僕は許すことが出来ないのだ。どうしてリリアナは、そんな人間になってしまったのだろう…
落ちこむ僕を慰めてくれたのは、イザベルだった。
「クリス様、ごめんなさい。私のせいで、大切な婚約者のリリアナ様と不仲になってしまわれたと聞きましたわ。私でよければ、お慰めいたしますわ」
そう言うと、イザベルはゆっくりと僕に近づいてきたのだ。そして、唇が触れそうになった時…
「悪いが僕には、一応まだ婚約者がいる。そういった事は、控えてくれ」
そう伝えた。
そして決定的な事件が起こったのだ。
何とリリアナがイザベルを毒殺しようとした罪で、捕まったのだ。どうやらイザベルが飲もうとしていたお茶に、毒が入っていたらしい。その毒を入れる様に指示したのがリリアナだと、メイドが泣きながら自白したのだ。
リリアナのカバンから、毒も見つかった。
まさかリリアナが、イザベルを毒殺しようとするだなんて…そこまでリリアナは地に落ちたのか…
さらにリリアナがイザベルのお茶に毒を入れる様に指示をしている姿を、目撃したという人物まで現れたのだ。そう、侯爵令嬢のカーラ・ミューストだ。我が国では貴族を裁くとき、虚偽の証言をした場合は、極刑に処される事もあるため、誰も虚偽の証言をするものはいない。
それくらい、皆発言には慎重になるのだ。そんな中、侯爵令嬢でもあるカーラがその様な証言をしたため、カーラの証言はかなり信ぴょう性があると判断された。その結果、リリアナはイザベル嬢毒殺未遂の罪で、毒による極刑が言い渡されたのだ。
まさか僕の婚約者が、罪もない侯爵令嬢を毒殺しようとするだなんて。リリアナにはしっかり罪を償ってもらおう。
そう思い、最後にリリアナがいる地下牢を訪ねた。食事もろくに食べていないという事で、やせ細り、目もうつろのリリアナがそこにはいた。
「リリアナ、君の処罰が決まったよ。君はイザベル嬢に飲ませようとした毒を飲んで、命を落とすことになった。自分でまいた種だ、しっかり責任は取ってもらう」
僕の言葉を聞き、ゆっくりと顔を上げたリリアナ。
「私は、イザベル様に毒を飲ませようとはしておりませんわ…そう訴えても、あなた様は私の言う事など、信じて下さいませんよね…今までも私の言う事など、信じて下さいませんでしたから…」
そう言って力なく笑ったのだ。
「今更何を言っているのだ。決定的証拠もそろっているのだぞ。それなのに、まだ自分の罪を認めないというのかい?いつからリリアナは、そんな人間になってしまったんだ!僕は…」
「私は、今も昔も変わっておりませんわ。変わってしまわれたのは、あなた様です。ですが、私が何を言っても、無駄ですものね…毒でも何でも飲みますわ。ただ…どうか私の家族だけは、見逃してくださいませ…私の家族は、何も悪くはありませんので」
今にも泣きそうな顔で、リリアナが呟いたのだ。既に死を覚悟しているのだろう。絶望に満ちた目をしているリリアナ。そんな中でも、彼女は最後まで家族の事を心配しているのか?
ダメだ、きっとこれはリリアナの策略だ。とにかく、この場から去らないと。
「それじゃあ、僕はもう行くよ。リリアナ、しっかり罪を償ってくれ」
そう声をかけて、僕は地下牢を後にしたのだった。
1,040
お気に入りに追加
2,390
あなたにおすすめの小説

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる