8 / 55
第8話:クリス殿下が訪ねてきました
しおりを挟む
「肌荒れにはこのお化粧水がお勧めですわ。領地から取り寄せているのですが、保湿力が高く、炎症を防止する効果もあるので、カーラ様のお肌にも合うかと。それからこちらのお菓子、甘みがあるのに、とても低カロリーなのですよ。私も甘いものに目がなくて。でも、やはり太るのは嫌でしょう。ですから、いつもこのお菓子を食べておりますの。よかったらどうぞ」
肌荒れに悩むカーラに、私なりにアドバイスをしていく。彼女は侯爵令嬢だ、決して貧乏ではない。むしろ身分も高く、本来ならメイドたちがしっかりケアを行うべきなのだが…
生憎ろくでなしカルロスによって、メイドたちはきちんと仕事をしていなかった為、肌荒れや少しふくよかな体のカーラが出来上がっているのだ。その点を物凄く気にしているカーラに、私のお勧めを紹介しているのだ。
「私の為に、わざわざありがとうございます。私、リリアナ様のお隣に並んでも恥ずかしくない様に、頑張りますわ」
「別に今のカーラ様のままでも、私の隣に並んでも問題ありませんわ。ですが、令嬢として美を意識する事は良い事です。それからカーラ様、メイドはあなた様の最大の味方でなければいけないのです。もちろん、理不尽な要求はいけませんが、あまり横暴なメイドには、毅然とした態度を取ると良いですわ。あなた様は、メイドたちとってのご主人なのですから」
「私が主人…ずっとお兄様から虐げられていた為か、いつしか侯爵令嬢としての振る舞いを忘れておりましたわ。リリアナ様、私の為に本当にありがとうございます。こちら、全て買い取らせていただきますわ」
「これは差し上げますわ。ですから、どうか私の事を裏切らないで下さいね」
多分カーラの性格上大丈夫だと思うが、漫画では敵だったため、まだ警戒心が解けないのだ。
「私がリリアナ様を裏切るだなんて…そんな恩知らずな事は決していたしません。もしリリアナ様に酷い事をする輩がおりましたら、私が全力で成敗いたしますわ」
確かに漫画のカーラは、その言葉通り罪もないリリアナを成敗したものね…
「カーラ様、その様は事をして頂かなくても大丈夫ですわ。どうかこれからも、仲良くしてくださいね」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
少し恥ずかしそうに、カーラが笑った。まだあどけない10歳の少女の笑顔だった。もし彼女もイザベルなんかに出会ってなかったら、令嬢として幸せに暮らせたかもしれない…
ある意味、カーラもイザベルの被害者なのだろう。彼女の笑顔を見ながら、ついそんな事を考えてしまう。
「お嬢様、お取込み中申し訳ございません。クリス殿下がお見えになられているのですが…」
「えっ?クリス殿下が?」
困惑した表情のメイド。そりゃそうだろう、本来王太子でもあるクリス殿下が、正式に婚約を結んでいない令嬢の家を訪ねてくるだなんて。それにたとえ婚約を結んでいたとしても、必ず事前に連絡を入れてから来るはずだ。
もしかしてお父様の方には、連絡が来ていたのかしら?
「本日いらっしゃるという事は、事前に連絡が来ていたのかしら?」
「いえ…どうしてもお嬢様とお話しがしたいと、無理を承知でいらしたそうです」
私とどうしても話がしたい?一体何の話だろう。ただ、わざわざ訪ねてきてくれたクリス殿下を無下にする訳にはいかない。
「分かったわ、王太子でもあるクリス殿下を追いかえすだなんて、さすがに出来ないものね。カーラ様、ごめんなさい。せっかく来ていただいたのに」
「私の事は気にしないで下さい。随分と長い時間、お邪魔させていただいてしまいましたわ。あの…また遊びにお伺いしてもよろしいですか?」
「ええ、もちろんですわ。今度は私が、カーラ様のお宅にお邪魔させていただきますわ。よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。両親も喜びますわ」
「それでは、門までお見送りいたしますね」
カーラと一緒に玄関を出て、門までやって来た。
「今日はわざわざ訪ねて来てくださり、ありがとうございます。それなのに途中で追いかえす形になってしまい、申し訳ございません」
「こちらこそ、突然訪ねてきてしまい、申し訳ございませんでした。次はどうか我が家にも遊びに来てください。あのろくでなしは、本日領地に旅立ちましたし」
「まあ、カーラ様ったら」
2人で声を上げて笑った。まさかあのカーラと、こんな風に笑い合う日が来るだなんてね。
その時だった。
「カーラ・ミュースト、どうして貴様がここにいるのだ!まさかリリアナに、何か酷い事をしにきたのか?僕がそんな事はさせないぞ!」
ん?この声は、まさか…
肌荒れに悩むカーラに、私なりにアドバイスをしていく。彼女は侯爵令嬢だ、決して貧乏ではない。むしろ身分も高く、本来ならメイドたちがしっかりケアを行うべきなのだが…
生憎ろくでなしカルロスによって、メイドたちはきちんと仕事をしていなかった為、肌荒れや少しふくよかな体のカーラが出来上がっているのだ。その点を物凄く気にしているカーラに、私のお勧めを紹介しているのだ。
「私の為に、わざわざありがとうございます。私、リリアナ様のお隣に並んでも恥ずかしくない様に、頑張りますわ」
「別に今のカーラ様のままでも、私の隣に並んでも問題ありませんわ。ですが、令嬢として美を意識する事は良い事です。それからカーラ様、メイドはあなた様の最大の味方でなければいけないのです。もちろん、理不尽な要求はいけませんが、あまり横暴なメイドには、毅然とした態度を取ると良いですわ。あなた様は、メイドたちとってのご主人なのですから」
「私が主人…ずっとお兄様から虐げられていた為か、いつしか侯爵令嬢としての振る舞いを忘れておりましたわ。リリアナ様、私の為に本当にありがとうございます。こちら、全て買い取らせていただきますわ」
「これは差し上げますわ。ですから、どうか私の事を裏切らないで下さいね」
多分カーラの性格上大丈夫だと思うが、漫画では敵だったため、まだ警戒心が解けないのだ。
「私がリリアナ様を裏切るだなんて…そんな恩知らずな事は決していたしません。もしリリアナ様に酷い事をする輩がおりましたら、私が全力で成敗いたしますわ」
確かに漫画のカーラは、その言葉通り罪もないリリアナを成敗したものね…
「カーラ様、その様は事をして頂かなくても大丈夫ですわ。どうかこれからも、仲良くしてくださいね」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
少し恥ずかしそうに、カーラが笑った。まだあどけない10歳の少女の笑顔だった。もし彼女もイザベルなんかに出会ってなかったら、令嬢として幸せに暮らせたかもしれない…
ある意味、カーラもイザベルの被害者なのだろう。彼女の笑顔を見ながら、ついそんな事を考えてしまう。
「お嬢様、お取込み中申し訳ございません。クリス殿下がお見えになられているのですが…」
「えっ?クリス殿下が?」
困惑した表情のメイド。そりゃそうだろう、本来王太子でもあるクリス殿下が、正式に婚約を結んでいない令嬢の家を訪ねてくるだなんて。それにたとえ婚約を結んでいたとしても、必ず事前に連絡を入れてから来るはずだ。
もしかしてお父様の方には、連絡が来ていたのかしら?
「本日いらっしゃるという事は、事前に連絡が来ていたのかしら?」
「いえ…どうしてもお嬢様とお話しがしたいと、無理を承知でいらしたそうです」
私とどうしても話がしたい?一体何の話だろう。ただ、わざわざ訪ねてきてくれたクリス殿下を無下にする訳にはいかない。
「分かったわ、王太子でもあるクリス殿下を追いかえすだなんて、さすがに出来ないものね。カーラ様、ごめんなさい。せっかく来ていただいたのに」
「私の事は気にしないで下さい。随分と長い時間、お邪魔させていただいてしまいましたわ。あの…また遊びにお伺いしてもよろしいですか?」
「ええ、もちろんですわ。今度は私が、カーラ様のお宅にお邪魔させていただきますわ。よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。両親も喜びますわ」
「それでは、門までお見送りいたしますね」
カーラと一緒に玄関を出て、門までやって来た。
「今日はわざわざ訪ねて来てくださり、ありがとうございます。それなのに途中で追いかえす形になってしまい、申し訳ございません」
「こちらこそ、突然訪ねてきてしまい、申し訳ございませんでした。次はどうか我が家にも遊びに来てください。あのろくでなしは、本日領地に旅立ちましたし」
「まあ、カーラ様ったら」
2人で声を上げて笑った。まさかあのカーラと、こんな風に笑い合う日が来るだなんてね。
その時だった。
「カーラ・ミュースト、どうして貴様がここにいるのだ!まさかリリアナに、何か酷い事をしにきたのか?僕がそんな事はさせないぞ!」
ん?この声は、まさか…
1,188
お気に入りに追加
2,391
あなたにおすすめの小説


至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる