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第35話:侯爵様が甲斐甲斐しくお世話をしてくれます
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「う…ん」
何だか体が熱い。それに体中が鉛を付けられた様に重い。息がしづらい、苦しい。
「アンネリア、大丈夫?大変、凄い熱だわ。すぐにお医者様を呼んでくるわね」
「リアナ…」
私の異変に気が付いたリアナが、バタバタと部屋から出て行った。私、熱が出てしまったのね。体が熱くてたまらないわ。お水が飲みたい。
「アンネリア嬢、熱を出したのだって?物凄い汗をかいているじゃないか。すぐに濡れたタオルを持ってきてくれ。これだけ汗をかいているのだ。喉が渇いているだろう。さあ、ゆっくり飲んで」
私を抱き起すと、冷たい水を飲ませてくれた。
「奥様、熱が出たとお伺いしました。一度傷口を確認いたしますので、旦那様は一旦お部屋の外に出て下さい」
旦那様が部屋から出ていくのを確認すると、お医者様が私の傷口を確認している。
「特に化膿などはしていないですね。念のため、薬を塗っておきましょう。熱のせいでかなりの汗をかいていらっしゃるようですので、こまめに包帯を替え、水分補給を行ってください。怪我のせいで熱が出ている様なので、痛み止めと化膿止めのみ薬を出しておきますね。それから、免疫力を高める点滴を打ちましょう」
よくわからないが、傷口には問題ない様だ。ただ、何やら点滴を打たれるらしい。腕にチクリと痛みを感じた。
「アンネリア嬢、大丈夫かい?医者はこれだけしか薬を出さなかった様だね。こんなに苦しんでいるのに。一体何を考えているのだか」
「侯爵様、私は大丈夫ですわ…夜中に呼び出してしまい、申し訳…」
「どうして君が謝ろうとしているのだい?君が謝る必要はないよ。それにしても凄い汗だ」
自ら濡れタオルを絞り、私のおでこに乗せてくれたのだ。さらに、首元や顔などを丁寧に拭いてくれる。この人、本当に侯爵様なのかしら?私の残した料理を食べたり、私のお世話をしたりするだなんて。
薬も侯爵様が飲ませてくれた。薬と点滴の効果なのか、再び眠気に襲われ、そのまま眠りについた。その後も熱が高いせいか、何度も何度も目が覚める。そのたびに侯爵様が私のお世話をしてくれるのだ。
私の熱が下がるまで、ずっと続いたのだった。
そして翌日の午後。
「すっかり熱が下がった様で、よかったよ。さあ、お昼ご飯にしよう。栄養満点の野菜とお肉のスープを持ってきたよ。後果物も」
「侯爵様、昨日の夜からずっと私の看病をして下さっていたのですよね。私はもう平気ですので、どうかお部屋に戻って休んでください」
夜通し私の傍に付き添い、看病をしてくれたのだ。きっとかなりお疲れだろう。これ以上、侯爵様の手を煩わせる訳にはいかない。そう思ったのだが…
「僕が君の傍にいたいのだよ。さあ、食べて。たくさん食べないとね。この果物は、免疫力を高める効果があるのだよ」
笑顔で私の口に食べ物を運んでくれる侯爵様。こんな風にお世話をされるだなんて、子供の頃以来ね。なぜだろう、なんだか嬉しい。
「旦那様、いい加減王宮に向かわないと。王太子殿下から催促が来ております」
「ガウン、今その話はしなくてもいい。キースなんて、待たしておけばいいんだ。今はアンネリア嬢の方が大事なんだ」
待って、今王太子殿下と言った?私の為に、王太子殿下を待たせているですって…
「侯爵様、私はもうすっかり元気になりましたわ。沢山汗をかいたので、着替えもしたいので、どうか王宮に向かってください。あなた様を、王太子殿下がお待ちなのでしょう?」
「ほらみろ、アンネリア嬢が気にしているではないか。アンネリア嬢、大した用事ではないから、気にしなくていいのだよ」
「本当に私は大丈夫ですわ。もうすっかり元気です。どうか王太子殿下の元へ。用事が済んだら、またここにいて下されば嬉しいですわ」
別に来てもらわなくてもいいが、なぜか私の部屋に来たがる侯爵様には、こう言うのが一番いいのだろう。
「分かったよ。それじゃあ、さっさと用事を済ませてくるから、待っていて欲しい。君たち、アンネリア嬢を、頼んだよ」
「「「承知いたしました」」」
急ぎ足で部屋から出ていく侯爵様を、笑顔で見送る。
「奥様、着替えを行いましょう。シーツも新しいものに替えさせていただきますね」
使用人たちが、手際よく着替えさせてくれ、シーツも取り替えてくれた。さらに頭も綺麗に洗ってもらう。
「いつもありがとう。あなた達のお陰で、いつも快適よ」
傍にいたメイドにお礼を伝える。すると
「私共は、当たり前の事をしているだけですわ。ですが、こうやってお礼を言って頂けると、私共の励みになります」
そう言って嬉しそうに笑ったのだ。マーサとリアナ、メイド長以外はあまり関わった事のない使用人たちだが、今後は彼女たちとも仲良く出来たらいいな、そう思っている。
さて、侯爵様もお出掛けした事だし、少しゆっくりするか。そう思っていたのだが…
ものの2時間で帰ってきたと思ったら、その後はずっと私の部屋で、甲斐甲斐しくお世話をして下さった侯爵様なのだった。
何だか体が熱い。それに体中が鉛を付けられた様に重い。息がしづらい、苦しい。
「アンネリア、大丈夫?大変、凄い熱だわ。すぐにお医者様を呼んでくるわね」
「リアナ…」
私の異変に気が付いたリアナが、バタバタと部屋から出て行った。私、熱が出てしまったのね。体が熱くてたまらないわ。お水が飲みたい。
「アンネリア嬢、熱を出したのだって?物凄い汗をかいているじゃないか。すぐに濡れたタオルを持ってきてくれ。これだけ汗をかいているのだ。喉が渇いているだろう。さあ、ゆっくり飲んで」
私を抱き起すと、冷たい水を飲ませてくれた。
「奥様、熱が出たとお伺いしました。一度傷口を確認いたしますので、旦那様は一旦お部屋の外に出て下さい」
旦那様が部屋から出ていくのを確認すると、お医者様が私の傷口を確認している。
「特に化膿などはしていないですね。念のため、薬を塗っておきましょう。熱のせいでかなりの汗をかいていらっしゃるようですので、こまめに包帯を替え、水分補給を行ってください。怪我のせいで熱が出ている様なので、痛み止めと化膿止めのみ薬を出しておきますね。それから、免疫力を高める点滴を打ちましょう」
よくわからないが、傷口には問題ない様だ。ただ、何やら点滴を打たれるらしい。腕にチクリと痛みを感じた。
「アンネリア嬢、大丈夫かい?医者はこれだけしか薬を出さなかった様だね。こんなに苦しんでいるのに。一体何を考えているのだか」
「侯爵様、私は大丈夫ですわ…夜中に呼び出してしまい、申し訳…」
「どうして君が謝ろうとしているのだい?君が謝る必要はないよ。それにしても凄い汗だ」
自ら濡れタオルを絞り、私のおでこに乗せてくれたのだ。さらに、首元や顔などを丁寧に拭いてくれる。この人、本当に侯爵様なのかしら?私の残した料理を食べたり、私のお世話をしたりするだなんて。
薬も侯爵様が飲ませてくれた。薬と点滴の効果なのか、再び眠気に襲われ、そのまま眠りについた。その後も熱が高いせいか、何度も何度も目が覚める。そのたびに侯爵様が私のお世話をしてくれるのだ。
私の熱が下がるまで、ずっと続いたのだった。
そして翌日の午後。
「すっかり熱が下がった様で、よかったよ。さあ、お昼ご飯にしよう。栄養満点の野菜とお肉のスープを持ってきたよ。後果物も」
「侯爵様、昨日の夜からずっと私の看病をして下さっていたのですよね。私はもう平気ですので、どうかお部屋に戻って休んでください」
夜通し私の傍に付き添い、看病をしてくれたのだ。きっとかなりお疲れだろう。これ以上、侯爵様の手を煩わせる訳にはいかない。そう思ったのだが…
「僕が君の傍にいたいのだよ。さあ、食べて。たくさん食べないとね。この果物は、免疫力を高める効果があるのだよ」
笑顔で私の口に食べ物を運んでくれる侯爵様。こんな風にお世話をされるだなんて、子供の頃以来ね。なぜだろう、なんだか嬉しい。
「旦那様、いい加減王宮に向かわないと。王太子殿下から催促が来ております」
「ガウン、今その話はしなくてもいい。キースなんて、待たしておけばいいんだ。今はアンネリア嬢の方が大事なんだ」
待って、今王太子殿下と言った?私の為に、王太子殿下を待たせているですって…
「侯爵様、私はもうすっかり元気になりましたわ。沢山汗をかいたので、着替えもしたいので、どうか王宮に向かってください。あなた様を、王太子殿下がお待ちなのでしょう?」
「ほらみろ、アンネリア嬢が気にしているではないか。アンネリア嬢、大した用事ではないから、気にしなくていいのだよ」
「本当に私は大丈夫ですわ。もうすっかり元気です。どうか王太子殿下の元へ。用事が済んだら、またここにいて下されば嬉しいですわ」
別に来てもらわなくてもいいが、なぜか私の部屋に来たがる侯爵様には、こう言うのが一番いいのだろう。
「分かったよ。それじゃあ、さっさと用事を済ませてくるから、待っていて欲しい。君たち、アンネリア嬢を、頼んだよ」
「「「承知いたしました」」」
急ぎ足で部屋から出ていく侯爵様を、笑顔で見送る。
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「いつもありがとう。あなた達のお陰で、いつも快適よ」
傍にいたメイドにお礼を伝える。すると
「私共は、当たり前の事をしているだけですわ。ですが、こうやってお礼を言って頂けると、私共の励みになります」
そう言って嬉しそうに笑ったのだ。マーサとリアナ、メイド長以外はあまり関わった事のない使用人たちだが、今後は彼女たちとも仲良く出来たらいいな、そう思っている。
さて、侯爵様もお出掛けした事だし、少しゆっくりするか。そう思っていたのだが…
ものの2時間で帰ってきたと思ったら、その後はずっと私の部屋で、甲斐甲斐しくお世話をして下さった侯爵様なのだった。
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