家族の為に嫁いだのですが…いつの間にか旦那様に溺愛されていました

Karamimi

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第33話:戸惑う事ばかりです

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「う~ん…」

 瞼を上げると、豪華な天井が目に飛び込んできた。ここは?

 体を起こそうとすると

「奥様、起き上がってはダメです。あなた様は絶対安静なのですから」

 私の元に飛んできたのは、マーサだ。

「やだ、マーサ、奥様だなんて止めて頂戴。私はそんな柄ではないわ。いつも通り、アンネリアと呼んで頂戴」

 そう伝えると、少し困った顔をしたマーサが

「アンネリア様、あなた様はあの女に刺され、重傷を負っていらっしゃるのです。絶対安静ですので、動かないで下さい。動くと傷口が開いてしまいますよ」

「そうだったわね。私、奥様に刺されたのだったわ。奥様は収容施設に収容されたと聞いたけれど…」

 罪を犯した者が入る収容施設。我が国では平民が貴族を傷つけた場合、酷い目に遭うと聞いたことがある。私はこれでも一応貴族だ。そう考えると…

「アンネリア様、あの女の事を気にかけているのですか?あの女は、嫉妬に狂い逆恨みをした結果、あろう事かアンネリア様を傷つけたのです。自業自得ですわ。それに私たちも今、物凄く仕事がしやすいのですよ。本当にあの女がいなくなってよかったわ」

「マーサ…あなたって子は…それよりも、その他人行儀な話し方、何とかならないの?せっかくお友達が出来たと思ったのに…」

「アンネリア様、私は平民、あなた様は侯爵夫人。これからはしっかり線引きをしていかなければいけないのです。それでも私は、アンネリア様の事を大切に思っておりますわ。あなた様が辛いときは、傍におりますし、アドバイスも致します。ですので、そうかそんな悲しそうな顔をしないで下さい」

 すっと私の手を握ったマーサ。

「あなたの気持ちは分かったわ。でも私、元気になったら以前の様にバリバリ働くつもりよ。だから、その時は前みたいに接してね」

 私は名ばかりの侯爵夫人なのだ。そんな思いでマーサに話しかけた。ただ、なぜかマーサは苦笑いをしている。一体どうしたのかしら?

 その時だった。

「アンネリア嬢、目が覚めたのだね。痛みはどうだい?すぐに医者に診てもらおう。診察が終わったら、夕食にしよう。たくさん食べないと、怪我の治りも悪くなってしまうからね」

 私の部屋にやって来たのは、侯爵様だ。同時にお医者様もやって来て、治療を受けた。そしてまた、高そうな薬を置いていくではないか。

「お医者様、私にはこのような高価な薬は…」

「私は奥様に必要な薬しか処方しておりませんよ。それに薬を拒むと、治りも悪くなりますので、我が儘を言わずに飲んでください」

 笑顔でそう言われてしまった。我が儘で言っている訳ではないのだが…

「アンネリア嬢、薬の事は気にしなくてもいいよ。そんなに気になるのなら、君の個人財産から薬代は支払えばいい」

 個人財産?その様な物を私が持っている訳がないわ。

「侯爵様、私には個人財産など…」

「奥様には毎月侯爵夫人としての手当てが1000万ゼニー程支給されております。全く使用されておりませんでしたので、既に3000万ゼニーほどの貯金がございますよ。さらに今回、慰謝料として1憶ゼニーが支給されましたので、薬代なら余裕で払えますね」

 何ですって?そんな手当てが出ているですって?

「そんなお手当てをもらう訳にはいきませんわ。すぐにお返しをいたします」

「何をいっているのだい?結婚する時の契約書にも書いてあるだろう?ほらここに。このお金は、君が侯爵夫人としてこの屋敷にいてくれるための契約金だ。いわば君が働いて稼いだお金。働いた者には、正当な賃金を支払う義務があるのだよ。そうだろう?ガウン」

「もちろんです。これを奥様にお渡ししておきますね。どうぞお好きにお使いください」

 執事から書類を渡された。確かにそこには、私の残高が1憶3000万あることになっている。こんな大金、一体どうやって使えばいいの?そもそも、ここにいるだけで月1千万だなんて…

 頭がくらくらしてきた。

「奥様、これは貴族に嫁いだ奥様の権利なのです。本来侯爵夫人となれば、もっともらってもおかしくはないのですよ。それなのに、あなた様のお父様が謙遜されて。それでこんなお安い金額になったのです」

 これでお安い金額ですって?やはり侯爵家は、住む世界が違うのだろう。めまいがして来た。

「アンネリア嬢、大丈夫かい?やはり傷が痛むのだろう。すぐに薬を。いや、その前に食事だ。さあ、アンネリア嬢、沢山食べてくれ」

 すかさず私の口元に食べ物を運んでくれる侯爵様。食べやすい様に、小さく切ってくれている。お昼といい夜といい、侯爵様に食べさせてもらうだなんて、申し訳なさすぎる。

 でも、何だか拒むことが出来ないのだ。この人は一体、何を考えているのだろう。戸惑いながらも、美味しい食事を頂いたのだった。
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