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第83話:アデル様がいる幸せ
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「すっかり話し込んでしまったわね。アデル様、今日はお疲れでしょう。3日も馬車に揺られて。どうかしばらく家でゆっくりして行ってくださいね。お部屋はローズちゃんの隣を準備いたしますわ」
アリサお義姉様がそう言ってくれたのだが…
「どうして家で泊めないといけないのだい?ホテルにでも泊まってもらった方がいいだろう」
すかさずお兄様が反論する。
「ローランド、わざわざローズを迎えに来てくださったのだよ。それにこの方は、ローズの恩人でもあるのです。丁重にもてなさないと。すぐにアデル様のお荷物を、ローズの部屋の隣に運んであげてくれるかい?」
近くにいたメイドに指示を出す。
「ありがとうございます、おばあ様。でも、荷物はこれだけなので。実は、一刻も早くローズに会いたくて、早馬で来たので。でも、安心して欲しい。後で馬車が来ることになっているから。明後日くらいには馬車が到着するだろう。ローズの兄上、義姉上、おばあ様、それまでどうかお世話になります」
そう言って頭を下げたアデル様。て、早馬で来たの?
「アデル様、まさか私が熱を出した夜に、出発されたのですか?」
「そうだよ、ローズが心配だったからね。こっちに来て本当によかったよ。君の家族にも挨拶が出来たしね。そうだ、せっかくだから、グラシュ国の街を見て回ろう。自国ではいつも、マイケルやティーナに邪魔されてばかりだったからね。帰国したら、きっとこっちの迷惑も考えずに、付きまとうだろうし」
マイケル様だけでなく、ティーナ様まで邪魔者扱い。本当に昔のアデル様からは、考えられない。
「まあ、よかったわね。ローズちゃん。せっかくだから、明日街に出掛けたらどう?」
すかさずアリサお義姉様が提案してくれた。
「そうですわね。アデル様、明日グラシュ国の街を見に行きませんか?」
「そうだね、そうしよう。それから、これからは頻繁にグラシュ国に来ようね。おばあ様が寂しくない様に。まずはローランド殿と義姉上の結婚式だね。再来月にはまたグラシュ国に来ないといけないな。もちろん、僕も一緒来るからね」
寂しそうに俯いていたおばあ様に向かい、アデル様がにっこり笑ってそう言った。どうやら、おばあ様に気を使ってくれた様だ。
「そうだね、また再来月、ローズとアデル様に会えるんだね。そう考えると、寂しさも吹っ飛ぶね」
そう言っておばあ様も嬉しそうに笑ってくれている。そうか、これからは頻繁に私がグラシュ国にこればいいんだ。私ったら、頑なにグラシュ国に来ることを拒んでいたいものね。どうしてあんなに来るのを拒んでいたのかしら?私が頻繁に来ていたら、きっとおばあ様も寂しい思いをしなかったのに。
それもこれも、アデル様がグラシュ国に来てくれたお陰だ。
「アデル様、お部屋の準備が整った様ですわ。長旅でお疲れでしょう。どうか今日は、ゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます、義姉上。それでは、僕たちはこれで。さあ、ローズも一緒においで。1ヶ月も離れ離れになっていたのだ。もう1秒も離れたくはないからね」
「おい、ローズはまだ嫁入り前なんだ。絶対に手を出すなよ」
お兄様が急に割り込んできた。
「ちょっとお兄様、アデル様は紳士的なのですよ。そんな暴言を吐くのはお止めください!」
「いいんだよ、ローズ。きっとローランド殿、いいや、もうローズは僕の婚約者になるのだから、義兄上と呼ばせてもらおう。義兄上も心配なんだろう。ね、義兄上」
「何度も義兄上と呼ばないでくれ。とにかく、君たちは学生なんだ。その事だけは忘れないでくれ」
なぜか顔を赤くして去って行ったお兄様。きっと義兄上と呼ばれたのが恥ずかしかったのだろう。
「さあ、ローズ、行こうか」
「はい」
2人で手を繋いで、アデル様の部屋へと向かった。部屋に着くなり、アデル様に抱きしめられる。
「ローズ、この1ヶ月、本当に寂しかったんだよ。会いたくてたまらなかった」
「私もですわ。ずっとアデル様の事を考えていたのですよ。あっ、そうですわ。ちょっと待っていて下さいね」
一旦部屋に戻り、あるものを持ってきた。
「アデル様、これ、アデル様へのプレゼントです。アリサお義姉様と初めて街に行った時に、買いましたの」
「これを僕にかい?開けてもいいかい?」
「ええ、もちろんですわ」
ゆっくり包み紙を開けるアデル様。気に入ってくれるかしら?
「これは真珠かい?初めて見たよ、綺麗だね。ローズがくれた初めてのプレゼントだ。宝物にするよ。ありがとう、ローズ」
「喜んで貰えてよかったですわ。そうですわ、今からお庭をお散歩しませんか?せっかくグラシュ国に来てくださったのですもの。せっかくなら、この家も紹介したいですし」
「そうだね、もう少しローズを堪能したら、行こうか」
そう言うと、一気に唇を塞がれた。久しぶりに感じる、アデル様の唇。温かくて柔らかい。何度も何度も唇を重ねる。そして、ゆっくりと離れた。
その後も何度も唇を重ねる。結局この日は、ずっと部屋でイチャイチャしていた。アデル様と一緒にいると、あっという間に時間が過ぎていく。アデル様が傍にいてくれるだけで、私は幸せなのだ。改めて、そう思ったのだった。
アリサお義姉様がそう言ってくれたのだが…
「どうして家で泊めないといけないのだい?ホテルにでも泊まってもらった方がいいだろう」
すかさずお兄様が反論する。
「ローランド、わざわざローズを迎えに来てくださったのだよ。それにこの方は、ローズの恩人でもあるのです。丁重にもてなさないと。すぐにアデル様のお荷物を、ローズの部屋の隣に運んであげてくれるかい?」
近くにいたメイドに指示を出す。
「ありがとうございます、おばあ様。でも、荷物はこれだけなので。実は、一刻も早くローズに会いたくて、早馬で来たので。でも、安心して欲しい。後で馬車が来ることになっているから。明後日くらいには馬車が到着するだろう。ローズの兄上、義姉上、おばあ様、それまでどうかお世話になります」
そう言って頭を下げたアデル様。て、早馬で来たの?
「アデル様、まさか私が熱を出した夜に、出発されたのですか?」
「そうだよ、ローズが心配だったからね。こっちに来て本当によかったよ。君の家族にも挨拶が出来たしね。そうだ、せっかくだから、グラシュ国の街を見て回ろう。自国ではいつも、マイケルやティーナに邪魔されてばかりだったからね。帰国したら、きっとこっちの迷惑も考えずに、付きまとうだろうし」
マイケル様だけでなく、ティーナ様まで邪魔者扱い。本当に昔のアデル様からは、考えられない。
「まあ、よかったわね。ローズちゃん。せっかくだから、明日街に出掛けたらどう?」
すかさずアリサお義姉様が提案してくれた。
「そうですわね。アデル様、明日グラシュ国の街を見に行きませんか?」
「そうだね、そうしよう。それから、これからは頻繁にグラシュ国に来ようね。おばあ様が寂しくない様に。まずはローランド殿と義姉上の結婚式だね。再来月にはまたグラシュ国に来ないといけないな。もちろん、僕も一緒来るからね」
寂しそうに俯いていたおばあ様に向かい、アデル様がにっこり笑ってそう言った。どうやら、おばあ様に気を使ってくれた様だ。
「そうだね、また再来月、ローズとアデル様に会えるんだね。そう考えると、寂しさも吹っ飛ぶね」
そう言っておばあ様も嬉しそうに笑ってくれている。そうか、これからは頻繁に私がグラシュ国にこればいいんだ。私ったら、頑なにグラシュ国に来ることを拒んでいたいものね。どうしてあんなに来るのを拒んでいたのかしら?私が頻繁に来ていたら、きっとおばあ様も寂しい思いをしなかったのに。
それもこれも、アデル様がグラシュ国に来てくれたお陰だ。
「アデル様、お部屋の準備が整った様ですわ。長旅でお疲れでしょう。どうか今日は、ゆっくり休んでくださいね」
「ありがとうございます、義姉上。それでは、僕たちはこれで。さあ、ローズも一緒においで。1ヶ月も離れ離れになっていたのだ。もう1秒も離れたくはないからね」
「おい、ローズはまだ嫁入り前なんだ。絶対に手を出すなよ」
お兄様が急に割り込んできた。
「ちょっとお兄様、アデル様は紳士的なのですよ。そんな暴言を吐くのはお止めください!」
「いいんだよ、ローズ。きっとローランド殿、いいや、もうローズは僕の婚約者になるのだから、義兄上と呼ばせてもらおう。義兄上も心配なんだろう。ね、義兄上」
「何度も義兄上と呼ばないでくれ。とにかく、君たちは学生なんだ。その事だけは忘れないでくれ」
なぜか顔を赤くして去って行ったお兄様。きっと義兄上と呼ばれたのが恥ずかしかったのだろう。
「さあ、ローズ、行こうか」
「はい」
2人で手を繋いで、アデル様の部屋へと向かった。部屋に着くなり、アデル様に抱きしめられる。
「ローズ、この1ヶ月、本当に寂しかったんだよ。会いたくてたまらなかった」
「私もですわ。ずっとアデル様の事を考えていたのですよ。あっ、そうですわ。ちょっと待っていて下さいね」
一旦部屋に戻り、あるものを持ってきた。
「アデル様、これ、アデル様へのプレゼントです。アリサお義姉様と初めて街に行った時に、買いましたの」
「これを僕にかい?開けてもいいかい?」
「ええ、もちろんですわ」
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「これは真珠かい?初めて見たよ、綺麗だね。ローズがくれた初めてのプレゼントだ。宝物にするよ。ありがとう、ローズ」
「喜んで貰えてよかったですわ。そうですわ、今からお庭をお散歩しませんか?せっかくグラシュ国に来てくださったのですもの。せっかくなら、この家も紹介したいですし」
「そうだね、もう少しローズを堪能したら、行こうか」
そう言うと、一気に唇を塞がれた。久しぶりに感じる、アデル様の唇。温かくて柔らかい。何度も何度も唇を重ねる。そして、ゆっくりと離れた。
その後も何度も唇を重ねる。結局この日は、ずっと部屋でイチャイチャしていた。アデル様と一緒にいると、あっという間に時間が過ぎていく。アデル様が傍にいてくれるだけで、私は幸せなのだ。改めて、そう思ったのだった。
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