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第41話:クラウディオ様との距離が縮まっている気がします
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元気になった翌日。
「デイジー、これを付けてくれるかい?この鎖は特殊な素材でできていて、君の肌を傷つける事はないんだよ。それに、ハート形で可愛いだろう」
そう言って私の腕に付けたのは、ハートの形をした可愛らしい鎖だ。こんな可愛らしい鎖があるのね。でも、どうして鎖を付けられたのかしら?
疑問に思っていると、そのまま抱きかかえられた。もしかして、お外に出してもらえるのかしら?こんなに早い段階で?
最低でも半年、下手したら1年後の結婚式まで出してもらえないのではと思っていたのだ。
そのまま部屋から出ると、なぜか護衛たちが下を向いている。
「デイジー、あまり他の人間を見ないでくれるかい?彼らにも君を見ない様にきつく伝えてあるんだ」
なるほど、それで皆が下を向いているのね。そのまま廊下を進み、中庭に出て来た。久しぶりに吸う外の空気、美味しいわ。それに太陽がまぶしい。
しばらく進むと、ベンチに降ろしてくれた。
「医者が、太陽の光を浴びさせろと言っていたからね。今日から少しだけ、外に出してあげるよ。ただし、僕がいるときだけだけれどね」
どうやら先日体調を崩した時に、女医さんに言われた言葉を気にしていた様だ。なんだかんだ言って、クラウディオ様は私の事を考えてくれている。
「ありがとうございます、クラウディオ様。空気が美味しいですわ。それに、お花のいい匂い」
「ここは、君の為に作ったんだよ。子供の頃、君はパンジーが好きだと言っていただろう。それで…」
「そう言えば、昔はパンジーが好きでしたわ。亡くなったお母様が好きだった花で、公爵家にもたくさん咲いておりましたの。そんな昔の事を、覚えていて下さっていたのですね」
私が昔呟いた言葉を覚えてくれていたことが、なんだか嬉しい。
「僕はね、初めて君に会った時から、君に好意を抱いていたんだ。だから、すぐにこのパンジー園を作った。でも…デイジーは日に日に…その…」
「分かっておりますわ。日に日に傲慢で我が儘になっていきましたから。せっかく私の為にパンジー園を作ってくださいましたのに、中々見に来られずに申し訳ございません」
「その事はいいんだ。それにデイジーは、僕が好きだった時のデイジーに戻ってくれたし。僕は君が傍にいてくれるだけで、幸せなんだ。だから今この時間が、僕にとってはかけがえのない宝物なんだ」
クラウディオ様…
そうか、彼はずっと、私を見てくれていたのね。それなのに私は、漫画のお話しばかりに気を取られて、彼の気持ちに全く向き合ってこなかった。
私は漫画の呪縛に、ずっと囚われていたのだ。
その時だった。
ふと木の根元に目をやると、小鳥が小さな羽をバタバタさせている姿が目に入る。
スッと立ち上がり、小鳥の元へと急ぐ。
「デイジー、どうしてまた僕から逃げようとするのだ!」
急に声を荒げたクラウディオ様に、腕を掴まれた。
「申し訳ございません。ただ、この子が見えたので…」
すっと小鳥を救い上げ、クラウディオ様に見せた。
「小鳥?デイジー、もしかして」
「ええ、もちろん、この子を助けますわ」
「そう言うと思ったよ」
そう言ってほほ笑んだクラウディオ様。その後2人で部屋に戻り、小鳥を医者に見せ世話をする事にした。
「デイジー、覚えているかい?子供の頃、同じように小鳥を拾った君は、今みたいに一生懸命育てていたね」
「そうでしたわね。ピッピとなづけて、可愛がっていましたわ。せっかくなので、この子の名前はピッピにしましょう」
先生の話では、ピッピは羽を怪我している為、飛べるようになるまで、半月程度かかるらしい。
その日から私とクラウディオ様は、ピッピを一生懸命お世話した。そして2週間後。
「すっかりピッピは飛べるようになったね。デイジー、この部屋の窓は開かないから、ピッピが逃げる心配はないね」
「その事なのですが、怪我も治りましたし、ピッピは逃がそうと思っているのです」
ピッピを拾った時から考えていた事。それは怪我が治ったら、ピッピを逃がしてあげる事だ。
「でも…せっかくデイジーが一生懸命面倒を見たのに…」
「私の事はいいのです。きっとピッピも、こんな狭い鳥かごよりも、自由に外を飛び回りたいでしょうし」
「デイジーは優しいね。分かったよ、それじゃあ、今から逃がしに行こうか」
クラウディオ様と一緒に、ピッピを逃がしに行く。この2週間で、外に出るときも自分の足で歩く事が許されている。ピッピの入った鳥かごをしっかり抱き、2人で中庭にやって来た。
「さあ、ピッピ、仲間のところに行って。あなたはもう自由よ」
鳥かごから出してあげたピッピを、そのまま空に放つ。
「ピピッ」
様子を伺いながら私たちの周りを飛んでいるピッピ。でもそのうち、大空へと飛び立って行った。どうか自由に生きてね。
ピッピが飛び立っていく姿を見ながら、そっと心の中で呟いたのだった。
「デイジー、これを付けてくれるかい?この鎖は特殊な素材でできていて、君の肌を傷つける事はないんだよ。それに、ハート形で可愛いだろう」
そう言って私の腕に付けたのは、ハートの形をした可愛らしい鎖だ。こんな可愛らしい鎖があるのね。でも、どうして鎖を付けられたのかしら?
疑問に思っていると、そのまま抱きかかえられた。もしかして、お外に出してもらえるのかしら?こんなに早い段階で?
最低でも半年、下手したら1年後の結婚式まで出してもらえないのではと思っていたのだ。
そのまま部屋から出ると、なぜか護衛たちが下を向いている。
「デイジー、あまり他の人間を見ないでくれるかい?彼らにも君を見ない様にきつく伝えてあるんだ」
なるほど、それで皆が下を向いているのね。そのまま廊下を進み、中庭に出て来た。久しぶりに吸う外の空気、美味しいわ。それに太陽がまぶしい。
しばらく進むと、ベンチに降ろしてくれた。
「医者が、太陽の光を浴びさせろと言っていたからね。今日から少しだけ、外に出してあげるよ。ただし、僕がいるときだけだけれどね」
どうやら先日体調を崩した時に、女医さんに言われた言葉を気にしていた様だ。なんだかんだ言って、クラウディオ様は私の事を考えてくれている。
「ありがとうございます、クラウディオ様。空気が美味しいですわ。それに、お花のいい匂い」
「ここは、君の為に作ったんだよ。子供の頃、君はパンジーが好きだと言っていただろう。それで…」
「そう言えば、昔はパンジーが好きでしたわ。亡くなったお母様が好きだった花で、公爵家にもたくさん咲いておりましたの。そんな昔の事を、覚えていて下さっていたのですね」
私が昔呟いた言葉を覚えてくれていたことが、なんだか嬉しい。
「僕はね、初めて君に会った時から、君に好意を抱いていたんだ。だから、すぐにこのパンジー園を作った。でも…デイジーは日に日に…その…」
「分かっておりますわ。日に日に傲慢で我が儘になっていきましたから。せっかく私の為にパンジー園を作ってくださいましたのに、中々見に来られずに申し訳ございません」
「その事はいいんだ。それにデイジーは、僕が好きだった時のデイジーに戻ってくれたし。僕は君が傍にいてくれるだけで、幸せなんだ。だから今この時間が、僕にとってはかけがえのない宝物なんだ」
クラウディオ様…
そうか、彼はずっと、私を見てくれていたのね。それなのに私は、漫画のお話しばかりに気を取られて、彼の気持ちに全く向き合ってこなかった。
私は漫画の呪縛に、ずっと囚われていたのだ。
その時だった。
ふと木の根元に目をやると、小鳥が小さな羽をバタバタさせている姿が目に入る。
スッと立ち上がり、小鳥の元へと急ぐ。
「デイジー、どうしてまた僕から逃げようとするのだ!」
急に声を荒げたクラウディオ様に、腕を掴まれた。
「申し訳ございません。ただ、この子が見えたので…」
すっと小鳥を救い上げ、クラウディオ様に見せた。
「小鳥?デイジー、もしかして」
「ええ、もちろん、この子を助けますわ」
「そう言うと思ったよ」
そう言ってほほ笑んだクラウディオ様。その後2人で部屋に戻り、小鳥を医者に見せ世話をする事にした。
「デイジー、覚えているかい?子供の頃、同じように小鳥を拾った君は、今みたいに一生懸命育てていたね」
「そうでしたわね。ピッピとなづけて、可愛がっていましたわ。せっかくなので、この子の名前はピッピにしましょう」
先生の話では、ピッピは羽を怪我している為、飛べるようになるまで、半月程度かかるらしい。
その日から私とクラウディオ様は、ピッピを一生懸命お世話した。そして2週間後。
「すっかりピッピは飛べるようになったね。デイジー、この部屋の窓は開かないから、ピッピが逃げる心配はないね」
「その事なのですが、怪我も治りましたし、ピッピは逃がそうと思っているのです」
ピッピを拾った時から考えていた事。それは怪我が治ったら、ピッピを逃がしてあげる事だ。
「でも…せっかくデイジーが一生懸命面倒を見たのに…」
「私の事はいいのです。きっとピッピも、こんな狭い鳥かごよりも、自由に外を飛び回りたいでしょうし」
「デイジーは優しいね。分かったよ、それじゃあ、今から逃がしに行こうか」
クラウディオ様と一緒に、ピッピを逃がしに行く。この2週間で、外に出るときも自分の足で歩く事が許されている。ピッピの入った鳥かごをしっかり抱き、2人で中庭にやって来た。
「さあ、ピッピ、仲間のところに行って。あなたはもう自由よ」
鳥かごから出してあげたピッピを、そのまま空に放つ。
「ピピッ」
様子を伺いながら私たちの周りを飛んでいるピッピ。でもそのうち、大空へと飛び立って行った。どうか自由に生きてね。
ピッピが飛び立っていく姿を見ながら、そっと心の中で呟いたのだった。
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