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第28話:クラウディオ殿下とルイーダ様は順調の様です
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クラウディオ殿下の婚約者候補を辞退できないと話をされてから、早1ヶ月。
早速翌日、殿下に
「どうして僕が贈ったイヤリングを付けてくれないのだい?」
と訴えられたが、あまりにも高価すぎて、学院にはさすがに付けられないと、もっともらしい嘘を付いてごまかしておいた。
そしてこの1ヶ月、必死にお父様の罪になりそうな行為を調べたが、これといった成果はない。お父様の執務室をくまなく調べた。でもそういった資料は一切出てこなかった。もしかしたら、お父様の部屋にあるのかもしれない。
ただ…
薬物の密輸はどんな理由があれ、かなりの重罪だ。やっぱりお父様が薬物を密輸していた事が殿下に知られた可能性が高い。となると、やはり私とお父様は…
考えただけで、寒気がする。はっきり言って、私は死にたくないし、お父様にも死んでほしくない。こうなったら、親子で他国に逃げる事も検討した方がいいかもしれない。
どうせ私達親子は断罪され、爵位はもちろん命まで奪われるのなら、いっその事他国で2人でひっそりと暮らす方が幸せだろう。でも、その事をどうやってお父様に知らせ説得するか、今真剣に考えているが、これと言った答えは出ていない。
こうなったら、クラウディオ殿下に“私はあなた様の邪魔をするつもりはないから、どうか私達親子の命だけは助けて欲しい”と命乞いをした方が早いのかもしれない、そんな事まで考えている。
とにかく私は、今どうやって断罪を乗り越えるかで、頭がいっぱいなのだ。
今日も悶々とした気持ちのまま、学院へと向かう。
すると
「デイジー様、最近元気がないようですが、大丈夫ですか?私でよかったら、相談に乗りますわ」
心配そうな顔で、私の元に駆けつけてくれたのは、ミーナ様だ。
「ありがとうございます、ミーナ様。ちょっと悩みがございまして…」
「クラウディオ殿下の事ですか?殿下はデイジー様に相当入れ込んでいらっしゃいますものね。もしかして、デイジー様が婚約者候補を辞退しないのは、王宮から圧力がかかっているからではございませんか?」
「殿下は私の事など、興味がありませんわ…むしろ、嫌われているはずです」
「えっと…デイジー様はあまり周りが見えないタイプの方かしら?どう見ても殿下は、デイジー様に興味がおありかと…というより、かなりの執着を抱いている様に思えるのですが。ねえ、皆様」
「私もそう思いますわ。殿下はずっとデイジー様を見ていらっしゃいますし。それに…」
殿下が私を見ているのは、きっとルイーダ様に手出しをしないか心配しているのよ。あの人は好きな女性の為なら、どんな事でもする恐ろしい男なのだから。
そう、その恐ろしい男に目を付けられたからには、どんな事をしても我が家を潰して来るだろう。現に、どういう理由かは分からないが、お父様を脅して婚約者候補辞退を阻止しているし。
「とにかく、何か悩みがあるのでしたら、いつでも相談してくださいね」
そう言ってほほ笑んでくれたミーナ様。相変わらず優しいわね。それにしても、皆の目からは殿下は私に興味がある様に映っているのね。もしかして、ルイーダ様との仲がうまく行っていないのかしら?
貴族学院に入学してから、半年以上すぎている。この時期なら、もうある程度仲を深めていてもいい頃のはず…
入学式のイベントしか見届けていないし、今日の放課後にでも、2人がよく会っていた丘に行ってみよう。
そして放課後、初めて行く丘へと向かった。そう、漫画では何度もこの場所で、殿下とルイーダ様が密会していた秘密の場所だ。この場所に悪役令嬢の私が行ってもいいものか、2人の仲を邪魔する結果にならないか心配していたが、どうしても気になったのだ。
そう言えば、悪役令嬢のデイジーにここで2人が会っていることがバレてしまい、しばらくここで会うのを止めたのよね…
て、これ、まずいパターンなんじゃ…
そう、私は仮にも王太子殿下の婚約者候補だ。もちろん私は2人の邪魔をするつもりはない。でも、もしここで私が2人に鉢合わせしたら…
しまった!やっぱり私はここに来るべきではなかったのだわ。急いで丘から去ろうとした時だった。
目の前にはクラウディオ殿下の姿が。
「デイジー、こんなところに来て、どうしたんだい?」
しまった、殿下に見つかってしまったわ。
「えっと…ちょっと学院内を見て回っていたのです。こんなところに、丘があるのですね。初めて知りましたわ」
「本当にそれだけかい?」
ものすごく私を怪しんでいるわ。きっとクラウディオ殿下は、私がルイーダ様との仲を疑って来ていると思っているのだろう。
ふとクラウディオ殿下の後ろを見ると、そこには本を持ったルイーダ様の姿が。私達の姿を見ると、そのままクルリと反対側の方を向き、戻って行った。
どうしよう、ルイーダ様が戻ってしまうわ。
「あの…殿下、申し訳ございません。もう二度とここには来ませんので」
そう伝え、急いで丘を後にする。
「待って、デイジー!」
後ろからクラウディオ殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。悪気はなかったとはいえ、結局私は、漫画のデイジーと同じように、2人の仲を邪魔した形になってしまった。
どうしよう…漫画の通りに話しが進んでしまっているわ。きっと殿下は、私が邪魔しに来たと思っているはず…
今更ながら、自分の浅はかな行動を後悔するのだった。
早速翌日、殿下に
「どうして僕が贈ったイヤリングを付けてくれないのだい?」
と訴えられたが、あまりにも高価すぎて、学院にはさすがに付けられないと、もっともらしい嘘を付いてごまかしておいた。
そしてこの1ヶ月、必死にお父様の罪になりそうな行為を調べたが、これといった成果はない。お父様の執務室をくまなく調べた。でもそういった資料は一切出てこなかった。もしかしたら、お父様の部屋にあるのかもしれない。
ただ…
薬物の密輸はどんな理由があれ、かなりの重罪だ。やっぱりお父様が薬物を密輸していた事が殿下に知られた可能性が高い。となると、やはり私とお父様は…
考えただけで、寒気がする。はっきり言って、私は死にたくないし、お父様にも死んでほしくない。こうなったら、親子で他国に逃げる事も検討した方がいいかもしれない。
どうせ私達親子は断罪され、爵位はもちろん命まで奪われるのなら、いっその事他国で2人でひっそりと暮らす方が幸せだろう。でも、その事をどうやってお父様に知らせ説得するか、今真剣に考えているが、これと言った答えは出ていない。
こうなったら、クラウディオ殿下に“私はあなた様の邪魔をするつもりはないから、どうか私達親子の命だけは助けて欲しい”と命乞いをした方が早いのかもしれない、そんな事まで考えている。
とにかく私は、今どうやって断罪を乗り越えるかで、頭がいっぱいなのだ。
今日も悶々とした気持ちのまま、学院へと向かう。
すると
「デイジー様、最近元気がないようですが、大丈夫ですか?私でよかったら、相談に乗りますわ」
心配そうな顔で、私の元に駆けつけてくれたのは、ミーナ様だ。
「ありがとうございます、ミーナ様。ちょっと悩みがございまして…」
「クラウディオ殿下の事ですか?殿下はデイジー様に相当入れ込んでいらっしゃいますものね。もしかして、デイジー様が婚約者候補を辞退しないのは、王宮から圧力がかかっているからではございませんか?」
「殿下は私の事など、興味がありませんわ…むしろ、嫌われているはずです」
「えっと…デイジー様はあまり周りが見えないタイプの方かしら?どう見ても殿下は、デイジー様に興味がおありかと…というより、かなりの執着を抱いている様に思えるのですが。ねえ、皆様」
「私もそう思いますわ。殿下はずっとデイジー様を見ていらっしゃいますし。それに…」
殿下が私を見ているのは、きっとルイーダ様に手出しをしないか心配しているのよ。あの人は好きな女性の為なら、どんな事でもする恐ろしい男なのだから。
そう、その恐ろしい男に目を付けられたからには、どんな事をしても我が家を潰して来るだろう。現に、どういう理由かは分からないが、お父様を脅して婚約者候補辞退を阻止しているし。
「とにかく、何か悩みがあるのでしたら、いつでも相談してくださいね」
そう言ってほほ笑んでくれたミーナ様。相変わらず優しいわね。それにしても、皆の目からは殿下は私に興味がある様に映っているのね。もしかして、ルイーダ様との仲がうまく行っていないのかしら?
貴族学院に入学してから、半年以上すぎている。この時期なら、もうある程度仲を深めていてもいい頃のはず…
入学式のイベントしか見届けていないし、今日の放課後にでも、2人がよく会っていた丘に行ってみよう。
そして放課後、初めて行く丘へと向かった。そう、漫画では何度もこの場所で、殿下とルイーダ様が密会していた秘密の場所だ。この場所に悪役令嬢の私が行ってもいいものか、2人の仲を邪魔する結果にならないか心配していたが、どうしても気になったのだ。
そう言えば、悪役令嬢のデイジーにここで2人が会っていることがバレてしまい、しばらくここで会うのを止めたのよね…
て、これ、まずいパターンなんじゃ…
そう、私は仮にも王太子殿下の婚約者候補だ。もちろん私は2人の邪魔をするつもりはない。でも、もしここで私が2人に鉢合わせしたら…
しまった!やっぱり私はここに来るべきではなかったのだわ。急いで丘から去ろうとした時だった。
目の前にはクラウディオ殿下の姿が。
「デイジー、こんなところに来て、どうしたんだい?」
しまった、殿下に見つかってしまったわ。
「えっと…ちょっと学院内を見て回っていたのです。こんなところに、丘があるのですね。初めて知りましたわ」
「本当にそれだけかい?」
ものすごく私を怪しんでいるわ。きっとクラウディオ殿下は、私がルイーダ様との仲を疑って来ていると思っているのだろう。
ふとクラウディオ殿下の後ろを見ると、そこには本を持ったルイーダ様の姿が。私達の姿を見ると、そのままクルリと反対側の方を向き、戻って行った。
どうしよう、ルイーダ様が戻ってしまうわ。
「あの…殿下、申し訳ございません。もう二度とここには来ませんので」
そう伝え、急いで丘を後にする。
「待って、デイジー!」
後ろからクラウディオ殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。悪気はなかったとはいえ、結局私は、漫画のデイジーと同じように、2人の仲を邪魔した形になってしまった。
どうしよう…漫画の通りに話しが進んでしまっているわ。きっと殿下は、私が邪魔しに来たと思っているはず…
今更ながら、自分の浅はかな行動を後悔するのだった。
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