悪役令嬢は退散したいのに…まずい方向に進んでいます

Karamimi

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第27話:自分の愚かさに気が付きました

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私が落ち着くまで、ずっと背中を撫でてくれるジャック様。しばらくすると、随分と涙も落ち着いた。

「ジャック様、ありがとうございます。もう随分落ち着きましたわ」

「それは良かった…」

「ジャック、それにデイジーも。こんなところで何をしているのだい?デイジー、急に走り出して、どうしたんだい?随分君を探していたんだよ」

私達の方にやって来たのは、クラウディオ殿下だ。彼の顔を見た瞬間、恐怖からか無意識にジャック様にしがみついてしまった。

そんな私を見たジャック様が

「クラウディオ、デイジー嬢に何をしたんだい?とにかく私が彼女の事を見ているから、クラウディオは教室に戻ってくれ」

そう言って私をクラウディオ殿下から隠すように、立ってくれたのだ。どうやら、私を庇ってくれている様だ。

「ジャック、君は何か勘違いしているのではないのかい?僕はただ、デイジーに誕生日プレゼントを渡そうとしただけだよ。貴重な宝石で作らせたから、誕生日当日に間に合わなくてね。それに僕とデイジーは、婚約者同士だ。デイジーに気安く触るのは止めてくれるかい?」

クラウディオ殿下が、ジャック様に詰め寄っている。なぜだろう、笑顔なのに、物凄い気迫だ。思わずジャック様も後ずさった。

「デイジー、君は少し、自分の立場を理解した方がいい。たとえ候補であったとしても、君は僕の婚約者なんだよ。他の男と2人きりになるのは、良くない。それに、公爵に聞いただろう。君は婚約者候補を辞退しないと。それがどういう意味か、分かっているよね?」

ニヤリと笑いながら、私に問いかけるクラウディオ殿下。どう答えていいか分からず、俯く。

「ジャック、デイジーは僕の婚約者候補を辞退する事はない。公爵がそう決断したのだからね。いずれ僕とデイジーは、もう一度正式に婚約を結び直すことになるだろう。だからこれ以上、デイジーに近づくのは止めてくれるかい?それじゃあ、僕たちはもう戻るから。行こうか、デイジー」

私の手を掴むと、クラウディオ殿下がそのまま歩き出した。絶対にこの手を離さない!そう言わんばかりに、強く私の手を握っている。そしてしばらく進むと、クルリとこちらを振り返った。

「デイジー、僕は君を少し自由にしすぎたみたいだね。それからこのイヤリング、毎日必ず付けてね。分かったね」

そう言うと、例のイヤリングを私の耳に付けた。これで私の行動を逐一監視するつもりだろう。でも、いくら監視しても、私がルイーダ様を虐める事は、絶対にない。それにこんなイヤリング、誰がずっと身に付けるものですか!

そうよ、泣いてばかりいられないわ。私はこの男に殺されたりなんてしない!絶対に生き残ってやるのだから!

キッと殿下を睨んだ。

「そんな風に僕を睨んでも、全然怖くないよ。さあ、そろそろ教室に戻ろう。早く戻らないと、授業が始まるからね」

再び私の手をギュッと握り、クラウディオ殿下が歩き出した。とにかく、作戦を考えないと。

その日はとにかく大人しく過ごし、授業が終わると急いで屋敷に戻ってきた。すぐにイヤリングを外し、箱の中に入れた。そしてクローゼットの一番奥にしまった。よし、これで私の居場所を特定する事も、会話を聞かれる事もないだろう。

全く、漫画のデイジーは、クラウディオ殿下に貰った誕生日プレゼントを皆に自慢したいが為に、ずっと付けていたものね。本当に、バカな子だわ。でも私は、そんなにバカではない。

いいや…私はやっぱり愚かだわ。
クラウディオ殿下に近づきさえしなければ、全てがうまく行く。前世で推しだったジャック様と結婚して、幸せになれると思っていたのだから。

でも…もうそんなお花畑な事を考えている余裕はない。きっと半年後、私はクラウディオ殿下の婚約者候補として、断罪される可能性が高い。

私がルイーダ様を毒殺しようとしてという事は絶対ないだろうから、一番有力なのは、お父様が何らかの薬物を密輸していた可能性があり、そこから断罪されることだろう。

でも、漫画にはかつての毒の密輸については触れられていなかった。とにかく、お父様が一体どんな薬物を密輸したのか調べる必要があるのだ。

本当は執事に依頼出来たらいいのだが、さすがにお父様の密輸に関する事を執事に調べてもらう事は出来ない。きっとお父様に知られてしまうだろう。その為、こっそりとお父様の執務室に侵入し、証拠となる情報を集めるしかないのだ。

幸い、あそこは情報の宝庫だ。色々と調べたい事があると伝えれば、部屋には入らせてくれる。ただ、お父様も薬物の密輸に関する資料を、目に着きやすいところには絶対にしまっていないはず。

昨日からこっそりと捜索を開始しているが、こちらも一筋縄ではいかなさそうだ。

とにかく今は、私達親子が生き延びる事を考えて行動しないと!
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