22 / 43
第22話:早く手を打たないと~クラウディオ視点~
しおりを挟む
貴族学院に入学してから、早3ヶ月。貴族学院に入学すれば、毎日デイジーに会える、それが楽しみで入学を心待ちにしていた。
ただ、すっかり魅力的な女性になったデイジーは、あっという間にクラスの人気者になってしまった。令嬢はもちろん、令息とも毎日楽しそうに話をしている。特に僕の幼馴染でもあるジャックとは仲が良く、よく2人で話をしている。
どうやらデイジーは、ジャックに興味がある様だ。ずっとデイジーを見ている僕にはわかる、ジャックにはやたら話しかけるし、あいつの話をしている時のデイジーは、本当に嬉しそうなのだ。
あんな顔、僕には絶対にしないのに…
どうしてジャックには、あんな嬉しそうな顔を…
候補とはいえ、デイジーは僕の婚約者なのに。やっぱりデイジーが婚約を白紙に戻したいと言ってきた時、何が何でも突っぱねればよかった。そうすれば、今でもデイジーは僕の婚約者だったのに…
悔やんでも仕方がない。きっとデイジーは、婚約者候補になってから1年後に、辞退してくるだろう。既にデイジーの父でもあるクレスティン公爵が、動き出している様だし。
デイジーが婿を取ろうとした時、爵位もある程度ある家の次男や三男を迎え入れたいと考えるだろう。となるとやっぱり…
隣にいるジャックを睨みつける。
「何だよ、そんな怖い顔をして」
「ジャック、君はデイジーの事をどう思っているのだい?最近デイジーと随分仲が良いじゃないか?」
「どうって、人懐っこくて可愛らしい子だなって思っているよ」
「それじゃあ、もしデイジーの家から婿に来て欲しいと言われたら、どうするつもりだい?」
「クレスティン公爵家からかい?そりゃもちろん、婿に行くよ。デイジー嬢はいい子だし、クレスティン公爵家はこの国一番の権力者だし。そう言えば、デイジー嬢がクラウディオの婚約者候補になって、もう9ヶ月経つのか。あと3ヶ月で候補を辞退できる様になるのだね」
そう言ってにっこり笑ったジャック。やっぱりジャックは、クレスティン公爵家から打診があれば、婿養子に行くつもりなのだな。まあ、当然と言えば当然だ!でも僕は!
とにかく、こんな奴に構っている暇はない。
急いで王宮に戻ると、王宮図書館へと向かう。このままいけば、デイジーは間違いなく僕との婚約者候補を辞退してくるだろう。でも僕は、デイジーと結婚したい。
それに、デイジーを他の男なんかに絶対に渡したくはないのだ。だからと言って、今のデイジーが僕に振り向いてくれることもないだろう。だからこそ、まずは婚約者候補を辞退できない状況を作ろうと考えているのだが…
もう一度法律に関する本を読み漁る。婚約者候補を辞退できない何か抜け道の様なものが書かれていないか、必死に探した。
「クソ、特にこれと言った書物は見つからないか…このままだと、3ヶ月後には婚約者候補を辞退されてしまう。何とかしないと!」
その日から僕は、必死に本を読み漁った。さらに公爵についても色々と調べさせた。公爵の弱みを握れば、それを理由に公爵と交渉できると考えたのだ。
我ながら卑怯と言われるかもしれないが、僕はどんな手を使ってでもデイジーを傍に置いておきたいのだ。たとえ嫌われていたとしても…
「クラウディオ、あなたは一体何をしているの?毎日毎日、何かに憑りつかれた様に部屋に籠って…」
デイジーが婚約者候補になって早10ヶ月半、この1ヶ月半、ほぼ部屋に籠っていた僕を心配して訪ねて来たのは母上だ。
「別に何でもありませんよ。ただ…あと少しで僕は、デイジーを失う。だから、なんとしてでも彼女を失わない方法を、今考えているのです」
「クラウディオ、あなたの気持ちもわかるわ。でも、これはルールなのよ。だから、いくら抜け道を探しても、そんなものは見つからないわ。でも…もとはと言えば私が無理やりデイジーちゃんと婚約をさせたせいね。ごめんなさい」
悲しそうに呟く母上。悪いが今は、母上に構っている余裕はない。
「謝ってもらわなくても結構です。ですから、どうか僕には構わないで下さい」
母上を追い出し、再び公爵家についての資料を読み漁る。すると…
「これは…」
ニヤリと笑う。この資料をうまく使えば、公爵を説得できるかもしれない。
「悪いけれどこの情報、もっと詳しく調べてくれるかい?」
「かしこまりました」
デイジーが婚約者候補を辞退できるようになるまで、後1ヶ月。何とかこの資料を使って、公爵に圧が掛けられそうだ。
ただ、すっかり魅力的な女性になったデイジーは、あっという間にクラスの人気者になってしまった。令嬢はもちろん、令息とも毎日楽しそうに話をしている。特に僕の幼馴染でもあるジャックとは仲が良く、よく2人で話をしている。
どうやらデイジーは、ジャックに興味がある様だ。ずっとデイジーを見ている僕にはわかる、ジャックにはやたら話しかけるし、あいつの話をしている時のデイジーは、本当に嬉しそうなのだ。
あんな顔、僕には絶対にしないのに…
どうしてジャックには、あんな嬉しそうな顔を…
候補とはいえ、デイジーは僕の婚約者なのに。やっぱりデイジーが婚約を白紙に戻したいと言ってきた時、何が何でも突っぱねればよかった。そうすれば、今でもデイジーは僕の婚約者だったのに…
悔やんでも仕方がない。きっとデイジーは、婚約者候補になってから1年後に、辞退してくるだろう。既にデイジーの父でもあるクレスティン公爵が、動き出している様だし。
デイジーが婿を取ろうとした時、爵位もある程度ある家の次男や三男を迎え入れたいと考えるだろう。となるとやっぱり…
隣にいるジャックを睨みつける。
「何だよ、そんな怖い顔をして」
「ジャック、君はデイジーの事をどう思っているのだい?最近デイジーと随分仲が良いじゃないか?」
「どうって、人懐っこくて可愛らしい子だなって思っているよ」
「それじゃあ、もしデイジーの家から婿に来て欲しいと言われたら、どうするつもりだい?」
「クレスティン公爵家からかい?そりゃもちろん、婿に行くよ。デイジー嬢はいい子だし、クレスティン公爵家はこの国一番の権力者だし。そう言えば、デイジー嬢がクラウディオの婚約者候補になって、もう9ヶ月経つのか。あと3ヶ月で候補を辞退できる様になるのだね」
そう言ってにっこり笑ったジャック。やっぱりジャックは、クレスティン公爵家から打診があれば、婿養子に行くつもりなのだな。まあ、当然と言えば当然だ!でも僕は!
とにかく、こんな奴に構っている暇はない。
急いで王宮に戻ると、王宮図書館へと向かう。このままいけば、デイジーは間違いなく僕との婚約者候補を辞退してくるだろう。でも僕は、デイジーと結婚したい。
それに、デイジーを他の男なんかに絶対に渡したくはないのだ。だからと言って、今のデイジーが僕に振り向いてくれることもないだろう。だからこそ、まずは婚約者候補を辞退できない状況を作ろうと考えているのだが…
もう一度法律に関する本を読み漁る。婚約者候補を辞退できない何か抜け道の様なものが書かれていないか、必死に探した。
「クソ、特にこれと言った書物は見つからないか…このままだと、3ヶ月後には婚約者候補を辞退されてしまう。何とかしないと!」
その日から僕は、必死に本を読み漁った。さらに公爵についても色々と調べさせた。公爵の弱みを握れば、それを理由に公爵と交渉できると考えたのだ。
我ながら卑怯と言われるかもしれないが、僕はどんな手を使ってでもデイジーを傍に置いておきたいのだ。たとえ嫌われていたとしても…
「クラウディオ、あなたは一体何をしているの?毎日毎日、何かに憑りつかれた様に部屋に籠って…」
デイジーが婚約者候補になって早10ヶ月半、この1ヶ月半、ほぼ部屋に籠っていた僕を心配して訪ねて来たのは母上だ。
「別に何でもありませんよ。ただ…あと少しで僕は、デイジーを失う。だから、なんとしてでも彼女を失わない方法を、今考えているのです」
「クラウディオ、あなたの気持ちもわかるわ。でも、これはルールなのよ。だから、いくら抜け道を探しても、そんなものは見つからないわ。でも…もとはと言えば私が無理やりデイジーちゃんと婚約をさせたせいね。ごめんなさい」
悲しそうに呟く母上。悪いが今は、母上に構っている余裕はない。
「謝ってもらわなくても結構です。ですから、どうか僕には構わないで下さい」
母上を追い出し、再び公爵家についての資料を読み漁る。すると…
「これは…」
ニヤリと笑う。この資料をうまく使えば、公爵を説得できるかもしれない。
「悪いけれどこの情報、もっと詳しく調べてくれるかい?」
「かしこまりました」
デイジーが婚約者候補を辞退できるようになるまで、後1ヶ月。何とかこの資料を使って、公爵に圧が掛けられそうだ。
24
お気に入りに追加
2,717
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
あなたを忘れる魔法があれば
七瀬美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
悪役令嬢に転生して主人公のメイン攻略キャラである王太子殿下に婚約破棄されましたので、張り切って推しキャラ攻略いたしますわ
奏音 美都
恋愛
私、アンソワーヌは婚約者であったドリュー子爵の爵士であるフィオナンテ様がソフィア嬢に心奪われて婚約破棄され、傷心……
いいえ、これでようやく推しキャラのアルモンド様を攻略することができますわ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる