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第21話:もっとジャック様と仲良くなりたいです
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貴族学院に入学してから、3ヶ月が過ぎた。入学式後の食事会のお陰で、私はすっかりクラスに溶け込んだ。特にミーナ様達令嬢とはかなりの仲良しで、たまに街にお買い物に行ったり、食事をしたりして楽しい毎日を過ごしている。
そして気になるルイーダ様とクラウディオ殿下だが、今のところあまり進展がない様だ。ただ、漫画でもよくデイジーに隠れて2人で会っていたので、もしかしたら私の知らないところで、会っているのかもしれない。
2人が密会しているところをぜひ拝見したいのだが、あまり付きまとってクラウディオ殿下に敵認定されても面倒なので、泣く泣く2人を追いかける事は諦めている。
そして最近の目標は、推しのジャック様と仲良くなることだ。私はクラウディオ殿下の婚約者候補を辞退したら、ジャック様と婚約したいと考えている。ただ、婚約者候補は1年は辞退できないため、今はとりあえずジャック様と仲良くなることを目指しているのだが…
「デイジー、今日のお昼も一緒に食べよう。今日は君の好きな、果物をたくさん使ったケーキを持ってきたよ」
なぜかルイーダ様と少しずつ愛を育んでいるはずのクラウディオ殿下が、私に絡んでくるのだ。多分、まともになった私を婚約者候補に留めておいたにも関わらず、自分が別の令嬢に恋をしてしまった事を申し訳なく思っているのだろう。
そんな気遣い不要なのだが…でも、さすがに無下にも出来ない。
「ありがとうございます。それでは、皆で頂きましょう。皆様、一緒に昼食にしましょう」
私が声を掛けると、皆が集まって来た。もちろん、ジャック様もだ。
「僕はデイジーと2人きりで食事がしたかったのに…」
「ん?殿下、何か言いましたか?」
「いや、何でもないよ」
皆でテラスに移動し、広めの机の周りにそれぞれが座る。さりげなくジャック様の横をキープ出来た。やったわ!
早速ジャック様のお弁当をチェックする。さすが公爵家のお弁当、かなり豪華ね。まあ、あの大きなエビ、美味しそうね。あっちのお肉も。
「デイジー嬢、そんなに私のお弁当が気になるかい?」
苦笑いしながらこっちを見ているジャック様。しまった、さすがに見すぎたわ。
「その…あの…この大きなエビが、とても美味しそうだなっと思いまして」
「このエビかい?そんなに気になるなら、あげるよ」
「まあ、よろしいのですか!」
まさかジャック様から、お弁当のおかずがいただけるだなんて。こんなに嬉しい事はないわ。
「それでは、私も領地で大切に育てた、牛肉のステーキをどうぞ。柔らかくてとても美味しいのですよ」
そっとジャック様のお弁当にお肉を入れた。早速頂いたエビを頬張る。何なの、このエビ。甘くてとても美味しいわ。伊勢エビみたいな感じかしら?本当に美味しいわね。
「デイジー嬢は本当に美味しそうに食べるね。そんなにそのエビが気に入ったのかい?」
「はい、こんなにも甘くてプリプリしたエビは、初めて食べましたわ。本当に美味しいですわ」
ジャック様に頂いたエビだからか、なおさら美味しいのだろう。
「デイジーはそんなにエビが好きなのかい?それなら、今度好きなだけエビを準備してあげるよ。ほら、デイジー、僕も君の好きなフルーツソースのサラダを持ってきたよ」
いつの間にか反対隣に座っていたクラウディオ殿下。笑顔でサラダを差し出している。
このサラダ、確かに私の大好物だわ。せっかく殿下が準備をしてくれたのだから、有難く頂こう。
「ありがとうございます、殿下。このドレッシング、とっても美味しいのですよね。そうだわ、ジャック様もよかったらどうぞ。このソース、とても美味しいのですよ」
「デイジー、ジャックにはあげなくても…」
「フルーツのソースか、それじゃあ、頂こうかな」
嬉しそうにジャック様が、サラダを食べている。やっぱりジャック様って、とてもカッコいいわ。後3ヶ月もすれば、私もクラウディオ殿下の婚約者候補を辞退する事が出来るようになる。
3ヶ月後、早速辞退して、ジャック様と婚約を結び直したいと思っているのだ。既にクラウディオ殿下とルイーダ様はいい感じになっているだろうし、ちょうどいい頃よね。まさに円満辞退だわ。
「デイジー、随分と嬉しそうな顔をしているね。何がそんなに嬉しいんだい?」
耳元で恐ろしいほど低い声が聞こえる。なんだか物凄く背筋が凍る様な気持ちになるのだが…
ゆっくりと振り返ると、そこにはクラウディオ殿下の姿が…でも、どうしてそんな顔をしているの?
そう、彼のこの顔は、漫画でルイーダ様がグリズム様と一緒にお茶を楽しんでいた時に、嫉妬に狂ったクラウディオ様が見せた顔とよく似ている。それもこの顔、確か漫画の後半で見せていた顔じゃない。
何でこのタイミングで、こんな顔をしているのよ…
その時だった。ふと遠くの方で、ルイーダ様と令息が話をしている姿が目に入った。なんだ、ルイーダ様が令息と話をしていたから、こんな顔をしていたのね。びっくりした。もう、紛らわしい事をしないで欲しいわ。
「殿下、そんな顔をしないで下さい。はい、このお肉、差し上げますわ。家の領地で大切に育てた牛肉です。とても美味しいのですよ」
美味しいものを食べれば、殿下の気持ちも少しは落ち着くだろう。案の定
「ありがとう、デイジー。このお肉、とても美味しいよ」
そう言って嬉しそうに食べていた。殿下が病むのはまだまだ先のはずなのに、もうあんな顔をするだなんて。
もしかしたら私が思っている以上に、既に話が進んでいるのかもしれない。
※次回、クラウディオ視点です。
そして気になるルイーダ様とクラウディオ殿下だが、今のところあまり進展がない様だ。ただ、漫画でもよくデイジーに隠れて2人で会っていたので、もしかしたら私の知らないところで、会っているのかもしれない。
2人が密会しているところをぜひ拝見したいのだが、あまり付きまとってクラウディオ殿下に敵認定されても面倒なので、泣く泣く2人を追いかける事は諦めている。
そして最近の目標は、推しのジャック様と仲良くなることだ。私はクラウディオ殿下の婚約者候補を辞退したら、ジャック様と婚約したいと考えている。ただ、婚約者候補は1年は辞退できないため、今はとりあえずジャック様と仲良くなることを目指しているのだが…
「デイジー、今日のお昼も一緒に食べよう。今日は君の好きな、果物をたくさん使ったケーキを持ってきたよ」
なぜかルイーダ様と少しずつ愛を育んでいるはずのクラウディオ殿下が、私に絡んでくるのだ。多分、まともになった私を婚約者候補に留めておいたにも関わらず、自分が別の令嬢に恋をしてしまった事を申し訳なく思っているのだろう。
そんな気遣い不要なのだが…でも、さすがに無下にも出来ない。
「ありがとうございます。それでは、皆で頂きましょう。皆様、一緒に昼食にしましょう」
私が声を掛けると、皆が集まって来た。もちろん、ジャック様もだ。
「僕はデイジーと2人きりで食事がしたかったのに…」
「ん?殿下、何か言いましたか?」
「いや、何でもないよ」
皆でテラスに移動し、広めの机の周りにそれぞれが座る。さりげなくジャック様の横をキープ出来た。やったわ!
早速ジャック様のお弁当をチェックする。さすが公爵家のお弁当、かなり豪華ね。まあ、あの大きなエビ、美味しそうね。あっちのお肉も。
「デイジー嬢、そんなに私のお弁当が気になるかい?」
苦笑いしながらこっちを見ているジャック様。しまった、さすがに見すぎたわ。
「その…あの…この大きなエビが、とても美味しそうだなっと思いまして」
「このエビかい?そんなに気になるなら、あげるよ」
「まあ、よろしいのですか!」
まさかジャック様から、お弁当のおかずがいただけるだなんて。こんなに嬉しい事はないわ。
「それでは、私も領地で大切に育てた、牛肉のステーキをどうぞ。柔らかくてとても美味しいのですよ」
そっとジャック様のお弁当にお肉を入れた。早速頂いたエビを頬張る。何なの、このエビ。甘くてとても美味しいわ。伊勢エビみたいな感じかしら?本当に美味しいわね。
「デイジー嬢は本当に美味しそうに食べるね。そんなにそのエビが気に入ったのかい?」
「はい、こんなにも甘くてプリプリしたエビは、初めて食べましたわ。本当に美味しいですわ」
ジャック様に頂いたエビだからか、なおさら美味しいのだろう。
「デイジーはそんなにエビが好きなのかい?それなら、今度好きなだけエビを準備してあげるよ。ほら、デイジー、僕も君の好きなフルーツソースのサラダを持ってきたよ」
いつの間にか反対隣に座っていたクラウディオ殿下。笑顔でサラダを差し出している。
このサラダ、確かに私の大好物だわ。せっかく殿下が準備をしてくれたのだから、有難く頂こう。
「ありがとうございます、殿下。このドレッシング、とっても美味しいのですよね。そうだわ、ジャック様もよかったらどうぞ。このソース、とても美味しいのですよ」
「デイジー、ジャックにはあげなくても…」
「フルーツのソースか、それじゃあ、頂こうかな」
嬉しそうにジャック様が、サラダを食べている。やっぱりジャック様って、とてもカッコいいわ。後3ヶ月もすれば、私もクラウディオ殿下の婚約者候補を辞退する事が出来るようになる。
3ヶ月後、早速辞退して、ジャック様と婚約を結び直したいと思っているのだ。既にクラウディオ殿下とルイーダ様はいい感じになっているだろうし、ちょうどいい頃よね。まさに円満辞退だわ。
「デイジー、随分と嬉しそうな顔をしているね。何がそんなに嬉しいんだい?」
耳元で恐ろしいほど低い声が聞こえる。なんだか物凄く背筋が凍る様な気持ちになるのだが…
ゆっくりと振り返ると、そこにはクラウディオ殿下の姿が…でも、どうしてそんな顔をしているの?
そう、彼のこの顔は、漫画でルイーダ様がグリズム様と一緒にお茶を楽しんでいた時に、嫉妬に狂ったクラウディオ様が見せた顔とよく似ている。それもこの顔、確か漫画の後半で見せていた顔じゃない。
何でこのタイミングで、こんな顔をしているのよ…
その時だった。ふと遠くの方で、ルイーダ様と令息が話をしている姿が目に入った。なんだ、ルイーダ様が令息と話をしていたから、こんな顔をしていたのね。びっくりした。もう、紛らわしい事をしないで欲しいわ。
「殿下、そんな顔をしないで下さい。はい、このお肉、差し上げますわ。家の領地で大切に育てた牛肉です。とても美味しいのですよ」
美味しいものを食べれば、殿下の気持ちも少しは落ち着くだろう。案の定
「ありがとう、デイジー。このお肉、とても美味しいよ」
そう言って嬉しそうに食べていた。殿下が病むのはまだまだ先のはずなのに、もうあんな顔をするだなんて。
もしかしたら私が思っている以上に、既に話が進んでいるのかもしれない。
※次回、クラウディオ視点です。
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