悪役令嬢は退散したいのに…まずい方向に進んでいます

Karamimi

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第20話:友達が沢山出来ました

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「デイジー様は、その…本当に随分と雰囲気が変わられたのですね。何かあったのですか?」

チラチラこちらを見ながら、言いにくそうに聞いてくるミーナ様。

「実は階段から落ちた拍子に、強く頭を打った様で…それで、人格が変わってしまった様なのです。お医者様の話では、稀にその様な事があるのだとか…昔の私は、なんと申しますか、自分でも恥ずかしくなるくらい我が儘でしたので。あの…自分で言うのも何ですが、随分とまともになりました。ですので、どうか私と仲良くしてくださいますか?」

改めてミーナ様に友達になって欲しい旨を伝えた。

「ええ、もちろんですわ。私でよろしければ、お願いします。今日は私の仲良しの友人たちも来ておりますので、デイジー様を紹介いたしますわ。きっと皆、喜びますわ」

そう言ってほほ笑んでくれたミーナ様。よかった、他の令嬢のお友達も紹介してくれる様だ。これで私の学院ライフも、楽しいものになりそうね。

そんな話をしているうちに、会場に着いた。どうやらホテルのホールで食事をする様だ。夜会などと同じように、ビュッフェスタイルみたいね。

「せっかくクラスの皆が来てくださったので、色々な人とお話しできる様、ビュッフェスタイルにしましたの。ですから、どうかデイジー様も、皆と仲良くなっていってくださいね。もちろん、私とも」

「ええ、分かりましたわ。ありがとうございます」

早速開いている席に座ると、隣にミーナ様が座ってくれた。

「皆、デイジー様を連れて来たわ。私達とお友達になって下さるそうよ」

「まあ、デイジー様が。それは嬉しいわ。デイジー様、どうかよろしくお願いしますね」

早速ミーナ様が、近くにいた令嬢たちに声を掛けてくれた。

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。皆様もご存じの通り、昔の私は我が儘で傲慢でしたので、お友達がいなくて。どうか仲良くしてください」

ペコリと頭を下げる。

「本当にデイジー様は変わられたのですね。さあ、早速お料理を取りに行きましょう。ここのホテルは、ミーナ様の婚約者が経営しているホテルなのですよ。お料理がとても美味しいのですよ」

「まあ、そうなのですね。ミーナ様の婚約者は、確かヴィクショナル侯爵令息様でしたよね。お若いのに、ホテル経営だなんて凄いですわ」

「大したことはございませんわ。彼はこういった経営が好きなので。私も少しでもお手伝いしたいと思って、こうやって宣伝しているのです」

少し恥ずかしそうにミーナ様が呟いた。婚約者の為に、こうやってホテルを宣伝するだなんて、素敵ね。

「ミーナ様は婚約者を本当に大切に思っていらっしゃいますものね。仲睦まじくて、羨ましいですわ」

「本当ですわね。私も早く、素敵な殿方が現れないかしら」

なるほど、ミーナ様と婚約者の方は、仲睦まじいのか。それは確かに羨ましいわ。私もいつかジャック様と…

「もう、皆さまったら。さあ、お料理を頂きに行きましょう」

早速令嬢たちと一緒に、お料理を取りに行く。どのお料理も手が込んでいて、とても美味しそうだ。早速席に戻って1口。

「このお肉、お口の中で溶けてしまいましたわ。なんて美味しいのかしら?このサラダのソース、絶品ですわね。これならどれだけでも食べられますわ。こっちのお魚も、美味しいわ」

あまりの美味しさに、次々と言葉が出る。そう、前世の私は食べる事が大好きで、色々なお店を食べ歩いていたくらいの食いしん坊。記憶が戻ってからは、食いしん坊がまた目覚めたのだ。

そんな私を見て、なぜか令嬢たちがクスクスと笑っている。一体どうしたのかしら?こてんと首をかしげていると。

「ごめんなさい。あまりにもデイジー様が美味しそうにお料理を食べるものだから。なんだか可笑しくて。公爵令嬢でも、こんな風にお料理を美味しそうに食べるのですね」

どうやら私があまりにも必死に食事をしていたから、笑われてしまった様だ。しまった、私はこれでも公爵令嬢なのに…なんだか恥ずかしいわ。

「ごめんなさい、つい美味しくて」

「どうしてデイジー様が謝るのですか?逆に親近感が湧きましたわ。それに、お料理を美味しい美味しいと食べてもらえると、嬉しいのです。デイジー様、他にもおすすめのお料理があるので、是非食べて下さいね」

そう言ってミーナ様が、お勧めのお料理を教えてくれた。せっかくなので、他のお料理も頂く。さらに令嬢たちともたくさんお話をした。貴族と言ってもやはり年頃の女の子たち。こうやって皆で話をしていると、まるで学生時代を思い出すわ。

ふとクラウディオ殿下を見ると、どうやら強引に令嬢たちに捕まっている様で、全く身動きが取れない様だ。なんだかお気の毒だが、私にはどうする事も出来ないし、そっとしておこう。

そして盛り上がる私たちの元に、ジャック様含めた男性陣も加わる。

「このホテルの料理、本当に美味しいな。俺、もう3皿目だぜ」

「私も3皿目ですわ。本当に美味しくて。今度父と一緒に、お邪魔したいので、ミーナ様、その時はよろしくお願いしますわ」

「ええ、もちろんですわ。婚約者もきっと喜びます」

嬉しそうに微笑むミーナ様。

「そう言えば、家の夜会に参加した時も、デイジー嬢は料理を嬉しそうに食べていたね。君は食べる事が大好きなんだね」

そう言って笑っているのは、ジャック様だ。ヤダ、ジャック様に笑われてしまったわ。恥ずかしい。でも…こうやって皆でわいわい騒げるのは、やっぱり楽しい。今日誘ってくれたミーナ様には本当に感謝ね。

この日を境に、すっかりクラスの皆と仲良くなった私は、楽しい学院ライフをスタートさせたのだった。
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