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第18話:これでいいのでしょうか?
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「殿下、一度ならず二度までも助けて頂き、ありがとうございました」
涙を流しながら頭を下げるルイーダ様。さすがヒロイン、可愛さが半端ないわ。つい笑みが漏れる。
「お礼なら、僕の婚約者のデイジーに言ってくれるかい。彼女はどうやら恥ずかしがり屋の様で、僕に君のピンチを知らせてくれたんだよ」
ん?私?それに今、婚約者って言った?
「あなた様は、クレスティン公爵家のデイジー様ですね。私の為に殿下に働きかけて下さり、本当にありがとうございました。高貴なご身分の方が、私の様なしがない子爵令嬢を気にかけて下さるなんて」
嬉しそうにこちらにやってくるルイーダ様。
「いいえ、私は何もしておりませんわ。お優しい殿下の意思で、あなた様をお助けしたのです。ですから、私にお礼を言う必要はありませんわ」
そう、あなたを助けたのは殿下よ。それに私は悪役令嬢なのだ。だから、悪役令嬢の私に、感謝なんてしないで欲しい。ストーリーがおかしくなってしまうわ。
「まあ、なんて謙虚なのでしょう。デイジー様、王太子殿下、本当にありがとうございました。それでは私はこれで」
そう言って去って行こうとするルイーダ様。そんなルイーダ様を笑顔で見送る殿下…て、なんで笑顔で見送っているのよ。ここはルイーダ様を教室まで送らないと!もう、世話が焼けるわね。
「お待ちください、また令嬢に絡まれると大変です。殿下、どうか彼女を送ってあげて下さい」
殿下の背中を押し、ルイーダ様の方に行くように促す。
「でも…」
「それでは私は、先に教室に行っておりますで。殿下、どうかルイーダ様の事をよろしくお願いいたしますね」
にっこり笑ってそう伝えると、クルリと反対側を向き歩き出した。
とにかく、今日のところ順調ね。ただ、若干殿下の行動が変だが、まあ悪役令嬢の私が漫画通り動いていないのだから、仕方がないのかもしれない。
それでもある程度漫画通りに動いているのだ、きっと2人は結ばれるだろう。でも、もし強制的に漫画通りに話しが進んでいくとしたら、やっぱり私とお父様は…
つい恐ろしい事を考えてしまう。大丈夫よ、私、悪い事をするつもりはないし。お父様だって、きっと大丈夫よ。
一末の不安が頭をよぎる。やっぱりクラウディオ殿下とルイーダ様には、あまり関わらない方がいいわね。どうせ私が何かをしなくても、きっと漫画の筋書き通り、2人はくっ付くのだから。
今日はちょっとお節介を焼いてしまったが、これからはそっとしておこう。あぁ、せっかく好きだった漫画のヒロインとヒーローの恋を見られると思ったのに…
まあ、定期的に隠れてこっそり見ればいいか。
教室に着くと、既にたくさんの生徒が集まっていた。基本的に貴族学院は、爵位に合わせてクラスが分けられている。その為、ヒロインのルイーダ様だけ別のクラスなのだ。
そのせいか、あまりクラスの様子を漫画で描かれることはなかった。
クラスをざっと見渡すと、そこには愛しのジャック様の姿が。さらにクラウディオ殿下の最大の恋敵、グリムズ様の姿も。2人は仲が良いのか、楽しそうに話しをしていた。何、このVIPな2人は。
これは話しかけない訳にはいかないわ。
「こんにちわ、ジャック様、グリムズ様。楽しそうに何の話をされているのですか?」
「やあ、デイジー嬢。あれ?クラウディオは一緒じゃないのかい?」
「はい、令嬢に絡まれていたルイーダ様を、教室まで送り届けていらっしゃいますわ」
「ルイーダ…?もしかして、子爵令嬢のルイーダ嬢かい?クラウディオも物好きだな」
そう言って笑っているジャック様とグリムズ様。あら?なんだかイメージが…特にグリムズ様は、ルイーダ様をあれほど愛していらしたのに…て、グリムズ様とルイーダ様は、2年になってから仲良くなるのだったわ。
確か学院の校舎裏で怪我をしていた鳥を、グリムズ様とルイーダ様が助けたことで、仲良くなるのよね。ルイーダ様は、動物に対しても優しい令嬢なのだ。
鳥と言えば私も昔、王宮で小鳥を拾った事があったな。確か“ピッピ”という名前を付けて可愛がっていたのよね。でも、ピッピは怪我が治り大きくなたら、飛んで行ってしまって。あの時はショックで泣いたな…なんだか懐かしい。
て、物思いにふけっている場合じゃないわ。
「ジャック様、グリムズ様、クラウディオ殿下はお優しい方なのですわ。それにルイーダ様も、とてもお美しいし。2人並んで歩いている姿は本当にお似合いでしたわよ」
さすがヒーローとヒロイン、本当に絵になったわ。
「デイジー、何を訳の分からない事を2人に話しているのだい?彼女は子爵令嬢だよ。それに僕は、君が送れというから送っただけだ。それから、僕がいない間に、ジャックとグリムズと、何を楽しそうに話していたのかな?」
ゾクリとする程美しい笑顔で、私を見つめるクラウディオ殿下。だから、悪役令嬢の私にそんな恐ろしい顔をしないで。私、その顔が苦手なんだってば!
「いえ、ただ挨拶をしていただけですわ。私、今まで散々我が儘に生きておりましたので、あまり友人もおりませんし。あっ、もうすぐ先生がいらっしゃいますわね。席に着かないと」
急いで席に着く。本当に殿下ったら、一体どうしちゃったのかしら?私にあの恐ろしい顔をするだなんて。あの顔は、ルイーダ様だけにして欲しいものだわ。
でも…今のところ2人はうまく行っているみたいだし、まあいいか。
涙を流しながら頭を下げるルイーダ様。さすがヒロイン、可愛さが半端ないわ。つい笑みが漏れる。
「お礼なら、僕の婚約者のデイジーに言ってくれるかい。彼女はどうやら恥ずかしがり屋の様で、僕に君のピンチを知らせてくれたんだよ」
ん?私?それに今、婚約者って言った?
「あなた様は、クレスティン公爵家のデイジー様ですね。私の為に殿下に働きかけて下さり、本当にありがとうございました。高貴なご身分の方が、私の様なしがない子爵令嬢を気にかけて下さるなんて」
嬉しそうにこちらにやってくるルイーダ様。
「いいえ、私は何もしておりませんわ。お優しい殿下の意思で、あなた様をお助けしたのです。ですから、私にお礼を言う必要はありませんわ」
そう、あなたを助けたのは殿下よ。それに私は悪役令嬢なのだ。だから、悪役令嬢の私に、感謝なんてしないで欲しい。ストーリーがおかしくなってしまうわ。
「まあ、なんて謙虚なのでしょう。デイジー様、王太子殿下、本当にありがとうございました。それでは私はこれで」
そう言って去って行こうとするルイーダ様。そんなルイーダ様を笑顔で見送る殿下…て、なんで笑顔で見送っているのよ。ここはルイーダ様を教室まで送らないと!もう、世話が焼けるわね。
「お待ちください、また令嬢に絡まれると大変です。殿下、どうか彼女を送ってあげて下さい」
殿下の背中を押し、ルイーダ様の方に行くように促す。
「でも…」
「それでは私は、先に教室に行っておりますで。殿下、どうかルイーダ様の事をよろしくお願いいたしますね」
にっこり笑ってそう伝えると、クルリと反対側を向き歩き出した。
とにかく、今日のところ順調ね。ただ、若干殿下の行動が変だが、まあ悪役令嬢の私が漫画通り動いていないのだから、仕方がないのかもしれない。
それでもある程度漫画通りに動いているのだ、きっと2人は結ばれるだろう。でも、もし強制的に漫画通りに話しが進んでいくとしたら、やっぱり私とお父様は…
つい恐ろしい事を考えてしまう。大丈夫よ、私、悪い事をするつもりはないし。お父様だって、きっと大丈夫よ。
一末の不安が頭をよぎる。やっぱりクラウディオ殿下とルイーダ様には、あまり関わらない方がいいわね。どうせ私が何かをしなくても、きっと漫画の筋書き通り、2人はくっ付くのだから。
今日はちょっとお節介を焼いてしまったが、これからはそっとしておこう。あぁ、せっかく好きだった漫画のヒロインとヒーローの恋を見られると思ったのに…
まあ、定期的に隠れてこっそり見ればいいか。
教室に着くと、既にたくさんの生徒が集まっていた。基本的に貴族学院は、爵位に合わせてクラスが分けられている。その為、ヒロインのルイーダ様だけ別のクラスなのだ。
そのせいか、あまりクラスの様子を漫画で描かれることはなかった。
クラスをざっと見渡すと、そこには愛しのジャック様の姿が。さらにクラウディオ殿下の最大の恋敵、グリムズ様の姿も。2人は仲が良いのか、楽しそうに話しをしていた。何、このVIPな2人は。
これは話しかけない訳にはいかないわ。
「こんにちわ、ジャック様、グリムズ様。楽しそうに何の話をされているのですか?」
「やあ、デイジー嬢。あれ?クラウディオは一緒じゃないのかい?」
「はい、令嬢に絡まれていたルイーダ様を、教室まで送り届けていらっしゃいますわ」
「ルイーダ…?もしかして、子爵令嬢のルイーダ嬢かい?クラウディオも物好きだな」
そう言って笑っているジャック様とグリムズ様。あら?なんだかイメージが…特にグリムズ様は、ルイーダ様をあれほど愛していらしたのに…て、グリムズ様とルイーダ様は、2年になってから仲良くなるのだったわ。
確か学院の校舎裏で怪我をしていた鳥を、グリムズ様とルイーダ様が助けたことで、仲良くなるのよね。ルイーダ様は、動物に対しても優しい令嬢なのだ。
鳥と言えば私も昔、王宮で小鳥を拾った事があったな。確か“ピッピ”という名前を付けて可愛がっていたのよね。でも、ピッピは怪我が治り大きくなたら、飛んで行ってしまって。あの時はショックで泣いたな…なんだか懐かしい。
て、物思いにふけっている場合じゃないわ。
「ジャック様、グリムズ様、クラウディオ殿下はお優しい方なのですわ。それにルイーダ様も、とてもお美しいし。2人並んで歩いている姿は本当にお似合いでしたわよ」
さすがヒーローとヒロイン、本当に絵になったわ。
「デイジー、何を訳の分からない事を2人に話しているのだい?彼女は子爵令嬢だよ。それに僕は、君が送れというから送っただけだ。それから、僕がいない間に、ジャックとグリムズと、何を楽しそうに話していたのかな?」
ゾクリとする程美しい笑顔で、私を見つめるクラウディオ殿下。だから、悪役令嬢の私にそんな恐ろしい顔をしないで。私、その顔が苦手なんだってば!
「いえ、ただ挨拶をしていただけですわ。私、今まで散々我が儘に生きておりましたので、あまり友人もおりませんし。あっ、もうすぐ先生がいらっしゃいますわね。席に着かないと」
急いで席に着く。本当に殿下ったら、一体どうしちゃったのかしら?私にあの恐ろしい顔をするだなんて。あの顔は、ルイーダ様だけにして欲しいものだわ。
でも…今のところ2人はうまく行っているみたいだし、まあいいか。
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