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第17話:私がいなくても問題なさそうです
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「ちょっと、どうして子爵令嬢のあなたが、殿下と一緒にホールに来るのよ。まさか子爵令嬢の分際で、殿下に色目を使ったの?」
「そんな…私は…」
始まった始まった。なんだ、私が悪役令嬢を演じなくても、ちゃんと他の令嬢たちが私の代わりをやってくれるのね。
実は少しだけ心配していたのだ。私が悪役令嬢を辞退した場合、きちんとストーリーは進んでいくのかどうかを。ストーリーが上手く進まないと、ルイーダ様とクラウディオ殿下の恋の行方も、うまく行くかどうか分からないものね。
「君たち、変な言いがかりは止めてくれ。彼女は中庭で迷子になっていたから、僕がここまで案内しただけだ」
すかさずルイーダ様を庇うクラウディオ殿下。
「とにかく、変な言いがかりをつけるのはよしてくれ。ルイーダ嬢、ここがホールだよ。席は自由だから、好きな席に座るといい」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼いたします」
ルイーダ様をすぐに令嬢たちから遠ざけるクラウディオ殿下。よしよし、漫画通りね。1人満足していると、なぜかクラウディオ殿下が、真っすぐにこちらにやってきた。そして
「デイジー、さっきからニヤニヤしながら僕たちを見つめてどうしたんだい?もしかしてルイーダ嬢が迷子になっている事を僕に知らせるために、中庭に行けと言ったのかい?僕が中庭に着いた時も、物陰に隠れていたものね」
そう言ってクラウディオ殿下が私に向かってにっこり微笑んだのだ。どうやら私が隠れて2人を盗み見していた事がバレていた様だ。ヤダわ…恥ずかしい。
「あの…殿下、私は別に盗み見なんてするつもりは…」
「分かっているよ。僕がきちんとルイーダ嬢をホールまで連れて行ってくれるか心配していたんだよね。デイジーは優しいな。さあ、一緒に席に着こう」
私の手を取り、そのまま席に着くクラウディオ殿下。なんだかよく分からないが、とりあえず2人の出会いは無事に済んだし、まあいいか。
「今日のデイジー、なんだか嬉しそうだね。今もニコニコしているし」
そりゃそうよ!だって好きな漫画のヒーローとヒロインが出会う瞬間を、この目で見られたのですもの!なんて、本人の前でさすがに言えない。
「ええ…私、貴族学院に入学するのを、楽しみにしておりましたの。2年間、しっかり勉強をしようと思いまして。それに友達も出来たら嬉しいですわ」
今日から私は学生だ。やっぱり学生生活って、楽しいものね。友達とおしゃべりしたり、帰りに街によって買い物や食事をしたり。考えただけで楽しみだわ。
それに今日から、ジャック様にも毎日会えるし。この機会に、仲良くなっておかないと。
「君が嬉しそうな顔をしていると、僕も嬉しいよ。そうだね、2年しかない学生生活だけれど、目いっぱい楽しもう。卒業したら、色々と忙しくなるだろうし」
確かに卒業したら、色々と忙しくなるわね。クラウディオ殿下はルイーダ様を完全に監禁してしまうだろうし、私はジャック様と…
「デイジー、そろそろ始まるよ」
おっといけない、ついニヤ付いてしまったわ。私はこれでも公爵令嬢なのだ、ニヤ付いていてはダメよね。背筋をピンと伸ばす。
最初は学院長先生の挨拶、さらに生徒会長の挨拶、そして新入生代表のクラウディオ殿下の挨拶と続く。挨拶ばかりで退屈ね。でも、あくびなんてはしたない事はしないわよ。背筋をちゃんと伸ばして、話を聞く…ふりをして、周りの人間を観察する。
あら?あの子、確か悪役令嬢デイジーの取り巻きの子だわ。あの人は最後まで殿下とルイーダ様を取り合った、侯爵令息で騎士団期待の星、グリムズ様だわ。こうやって見ると、グリムズ様も素敵ね。
確かグリムズ様を諦めさせるために、グリムズ様のお父様に依頼して、別の侯爵令嬢を彼に嫁がせるように仕向けるのよね。泣く泣くルイーダ様を諦めたグリムズ様。1人ルイーダ様の幸せを願って男泣きする姿、思い出しても涙が出るわ。
本当にクラウディオ殿下は、やる事が汚いのよ。新入生代表の挨拶から戻ってきたクラウディオ殿下を、ジト目で睨む。
「どうしたんだい?デイジー。僕の挨拶、何かまずいところがあったかい?」
「いいえ、そんな事はありませんわ」
プイっとあっちらの方を向いた。いくらヒーローだからって、何をやっても許されると思ったら大間違いよ。
「さっきまでニコニコしていたと思ったら、今度はプイっとあっちの方向を向いて。本当にデイジーはコロコロ表情が変わって見ていて飽きないよ。さあ、入学式が終わったよ。教室に向かおう」
なぜか笑顔で私に手を差し伸べてくるクラウディオ殿下、もちろん手を握る訳がない。すっと立ち上がり、そのまま歩き出す。
クラウディオ殿下が、急いで後を付けてくる。もう、着いてこないでよ…て、方向が一緒なのよね。だって同じクラスなのだから…
なんだかんだいって、一緒に教室に向かっている時だった。
「ちょっとあなた、子爵令嬢の分際で、クラウディオ殿下にちょっかいをだそうだなんて、図々しいのよ」
ん?この声は…
声の方に向かうと、令嬢たちが公衆の面前でルイーダ様を囲って文句を言っている。これは…確か漫画でもあったわ。入学式後、公衆の面前でルイーダ様に文句を言うデイジー率いる、悪役軍団たち。
相変わらず私がいなくても、しっかりと仕事をしてくれる令嬢たち。今にも泣きそうな顔のルイーダ様。可哀そうに!皆も見て見ぬふりをするだなんて、酷いわね。今すぐ助けに行きたいところだが、ここは…
チラリとクラウディオ殿下の方を見る。すると目が合った。私を見ていないで、早く彼女を助けなさいよ!そう言わんばかりに、クラウディオ殿下に目で合図を送る。すると
「君たち、何をやっているのだい?貴族学院で爵位の低い子に言いがかりをつけるだなんて!」
「殿下…別に言いがかりなど…」
「とにかく、こんなところで令嬢を虐めていないで、すぐに教室に向かうんだ」
殿下の言葉で、不満そうな顔をしつつも、退散していく令嬢たち。よしよし、それでいいのよ。
「そんな…私は…」
始まった始まった。なんだ、私が悪役令嬢を演じなくても、ちゃんと他の令嬢たちが私の代わりをやってくれるのね。
実は少しだけ心配していたのだ。私が悪役令嬢を辞退した場合、きちんとストーリーは進んでいくのかどうかを。ストーリーが上手く進まないと、ルイーダ様とクラウディオ殿下の恋の行方も、うまく行くかどうか分からないものね。
「君たち、変な言いがかりは止めてくれ。彼女は中庭で迷子になっていたから、僕がここまで案内しただけだ」
すかさずルイーダ様を庇うクラウディオ殿下。
「とにかく、変な言いがかりをつけるのはよしてくれ。ルイーダ嬢、ここがホールだよ。席は自由だから、好きな席に座るといい」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼いたします」
ルイーダ様をすぐに令嬢たちから遠ざけるクラウディオ殿下。よしよし、漫画通りね。1人満足していると、なぜかクラウディオ殿下が、真っすぐにこちらにやってきた。そして
「デイジー、さっきからニヤニヤしながら僕たちを見つめてどうしたんだい?もしかしてルイーダ嬢が迷子になっている事を僕に知らせるために、中庭に行けと言ったのかい?僕が中庭に着いた時も、物陰に隠れていたものね」
そう言ってクラウディオ殿下が私に向かってにっこり微笑んだのだ。どうやら私が隠れて2人を盗み見していた事がバレていた様だ。ヤダわ…恥ずかしい。
「あの…殿下、私は別に盗み見なんてするつもりは…」
「分かっているよ。僕がきちんとルイーダ嬢をホールまで連れて行ってくれるか心配していたんだよね。デイジーは優しいな。さあ、一緒に席に着こう」
私の手を取り、そのまま席に着くクラウディオ殿下。なんだかよく分からないが、とりあえず2人の出会いは無事に済んだし、まあいいか。
「今日のデイジー、なんだか嬉しそうだね。今もニコニコしているし」
そりゃそうよ!だって好きな漫画のヒーローとヒロインが出会う瞬間を、この目で見られたのですもの!なんて、本人の前でさすがに言えない。
「ええ…私、貴族学院に入学するのを、楽しみにしておりましたの。2年間、しっかり勉強をしようと思いまして。それに友達も出来たら嬉しいですわ」
今日から私は学生だ。やっぱり学生生活って、楽しいものね。友達とおしゃべりしたり、帰りに街によって買い物や食事をしたり。考えただけで楽しみだわ。
それに今日から、ジャック様にも毎日会えるし。この機会に、仲良くなっておかないと。
「君が嬉しそうな顔をしていると、僕も嬉しいよ。そうだね、2年しかない学生生活だけれど、目いっぱい楽しもう。卒業したら、色々と忙しくなるだろうし」
確かに卒業したら、色々と忙しくなるわね。クラウディオ殿下はルイーダ様を完全に監禁してしまうだろうし、私はジャック様と…
「デイジー、そろそろ始まるよ」
おっといけない、ついニヤ付いてしまったわ。私はこれでも公爵令嬢なのだ、ニヤ付いていてはダメよね。背筋をピンと伸ばす。
最初は学院長先生の挨拶、さらに生徒会長の挨拶、そして新入生代表のクラウディオ殿下の挨拶と続く。挨拶ばかりで退屈ね。でも、あくびなんてはしたない事はしないわよ。背筋をちゃんと伸ばして、話を聞く…ふりをして、周りの人間を観察する。
あら?あの子、確か悪役令嬢デイジーの取り巻きの子だわ。あの人は最後まで殿下とルイーダ様を取り合った、侯爵令息で騎士団期待の星、グリムズ様だわ。こうやって見ると、グリムズ様も素敵ね。
確かグリムズ様を諦めさせるために、グリムズ様のお父様に依頼して、別の侯爵令嬢を彼に嫁がせるように仕向けるのよね。泣く泣くルイーダ様を諦めたグリムズ様。1人ルイーダ様の幸せを願って男泣きする姿、思い出しても涙が出るわ。
本当にクラウディオ殿下は、やる事が汚いのよ。新入生代表の挨拶から戻ってきたクラウディオ殿下を、ジト目で睨む。
「どうしたんだい?デイジー。僕の挨拶、何かまずいところがあったかい?」
「いいえ、そんな事はありませんわ」
プイっとあっちらの方を向いた。いくらヒーローだからって、何をやっても許されると思ったら大間違いよ。
「さっきまでニコニコしていたと思ったら、今度はプイっとあっちの方向を向いて。本当にデイジーはコロコロ表情が変わって見ていて飽きないよ。さあ、入学式が終わったよ。教室に向かおう」
なぜか笑顔で私に手を差し伸べてくるクラウディオ殿下、もちろん手を握る訳がない。すっと立ち上がり、そのまま歩き出す。
クラウディオ殿下が、急いで後を付けてくる。もう、着いてこないでよ…て、方向が一緒なのよね。だって同じクラスなのだから…
なんだかんだいって、一緒に教室に向かっている時だった。
「ちょっとあなた、子爵令嬢の分際で、クラウディオ殿下にちょっかいをだそうだなんて、図々しいのよ」
ん?この声は…
声の方に向かうと、令嬢たちが公衆の面前でルイーダ様を囲って文句を言っている。これは…確か漫画でもあったわ。入学式後、公衆の面前でルイーダ様に文句を言うデイジー率いる、悪役軍団たち。
相変わらず私がいなくても、しっかりと仕事をしてくれる令嬢たち。今にも泣きそうな顔のルイーダ様。可哀そうに!皆も見て見ぬふりをするだなんて、酷いわね。今すぐ助けに行きたいところだが、ここは…
チラリとクラウディオ殿下の方を見る。すると目が合った。私を見ていないで、早く彼女を助けなさいよ!そう言わんばかりに、クラウディオ殿下に目で合図を送る。すると
「君たち、何をやっているのだい?貴族学院で爵位の低い子に言いがかりをつけるだなんて!」
「殿下…別に言いがかりなど…」
「とにかく、こんなところで令嬢を虐めていないで、すぐに教室に向かうんだ」
殿下の言葉で、不満そうな顔をしつつも、退散していく令嬢たち。よしよし、それでいいのよ。
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