16 / 43
第16話:貴族学院の入学式当日を迎えました
しおりを挟む
ジャック様の家の夜会に参加してから、早3ヶ月が過ぎた。どうやら私のあまりの変わりように、貴族たちの間ではかなり話題になっている様だ。
“デイジーは今回の夜会で、話題の的になっているよ。もちろん、いい意味でな。それにデイジーが公爵家を継ぐのではという噂が一気に広まっていてね。デイジーと結婚したいと考えている令息たちが、私に近づこうと必死だよ。さすが私の可愛いデイジーだ”
そう言ってお父様が笑っていた。ただ私は、一応かたち上は、クラウディオ殿下の婚約者候補だ。ただ、貴族たちの間では、私が婚約者候補を辞退すると思われているらしい。
確かに私もいずれは婚約者候補を辞退して、ジャック様と結婚する予定だけれどね。
そして今日は、貴族学院の入学式。ちなみにこの国では、ある程度勉強は個人が家庭教師を雇って行っている為、貴族学院では主に人脈作りを目的にしているらしい。その為、入学月齢が比較的高い段階で入学するのだ。
そして、いよいよ漫画のストーリーが今日から始まるのだ。まずは今日、貴族学院で迷子になったルイーダ様を、クラウディオ殿下が助けるというイベントがある。
まあ、オープニングよね。ここで2人は出会うのだ。せっかく好きだった漫画のお話しが今日から始まるのだ。出来れば2人の出会いを見届けたいと思っている。
なんだか楽しみになって来たわ。
真新しい制服に袖を通し、鏡に映る自分を見る。
そうよ、この姿。悪役令嬢のデイジーそのものだわ。なんだかドキドキしてきた。
早速馬車に乗り込み、学院を目指す。馬車から降りると、なぜかクラウディオ殿下が待っていた。
「おはよう、デイジー。3ヶ月ぶりだね。会いたかったよ」
笑顔で私の方に向かってくる、クラウディオ殿下。
「おはようございます、殿下。それでは私はこの辺で失礼いたしますわ」
私は今から、ヒロインのルイーダ様とヒーローのクラウディオ殿下の出会いをこの目で見届けなければいけないのだ。こんなところで、殿下に構っている暇はない…て、どうしてクラウディオ殿下がこんなところにいるのよ!
確か殿下は、婚約者のデイジーや気の強い令嬢たちに会いたくなくて、中庭で1人ベンチに座っているはずなのに。
「殿下、どうしてこんなところにいらっしゃるのですか?早く中庭に向かってください!」
あなたがここにいたら、誰が迷子になったルイーダ様を助けるのよ!
「えっと…デイジーは何を言っているのだい?今日の入学式の会場はホールだろう?訳の分からない事を言っていないで、早くホールに向かおう」
スッと私の手を取り、歩き出そうとしている。ちょっと、あなたはヒーローなのよ!もう、世話が焼けるわね。
「殿下、私は少し用事がありますので、これで失礼いたします。殿下はどうか、中庭に向かってください。いいですね、絶対に向かってくださいよ!」
そう伝え、急いでその場を後にする。
「待ってくれ、デイジー」
後ろで殿下の叫び声が聞こえるが、無視して小走りで中庭へと向かう。本当に殿下は、一体何を考えているのかしら?あなたが心から愛する、ルイーダ様が中庭で困っているというのに。
確かここらへんで、殿下とルイーダ様が出会うのよね。よし、この辺に隠れておこう。
ニヤニヤしながら、近くの茂みに隠れる。まさか好きだった漫画が、現実世界で見られるだなんて。想像しただけで、ニヤニヤが止まらない。
しばらく待っていると、来た!ルイーダ様だわ。不安そうに辺りを見渡しながら歩いている。あぁ、やっぱりルイーダ様は可愛いわ。ピンク色のフワフワの髪。それに宝石の様な緑色の瞳。さすがヒロイン、ダメだ、鼻血が出そうなくらい可愛い。
そこに、やって来た。クラウディオ殿下だ!よしよし、いいぞいいぞ、ここで2人が初めて出会うのよね。
「あの…すみません、私、迷子になってしまった様で。ホールにはどう行ったらいいのでしょうか?」
目に涙を浮かべ、クラウディオ殿下に助けを求めるルイーダ様。あぁ、なんて可愛らしいの。漫画でもとても可愛かったけれど、現実で見ると破壊力抜群ね。
「君は確か…サメロ子爵家のルイーダ嬢だったね。迷子になってしまったのかい?仕方ないな…僕がホールまで案内してあげるよ。さあ、行こうか」
ん?なんだかちょっとセリフが違う様な…まあいいわ、これが2人の運命の出会いなのだ。こうやってヒロインとヒーローが並んでいる姿を、この目で見られるだなんて!
転生した時はショックで倒れそうだったけれど、転生も悪くはないわね。それにしてもルイーダ様の庇護欲をそそるか弱さ。私も見習いたいわ。あんなにもお可愛らしい令嬢を目の前にしたら、そりゃクラウディオ殿下もルイーダ様を監禁したくなるわよね。
ニヤニヤしたまま、2人の後を付ける。そして無事、ルイーダ様をホールまで連れて来た殿下。でも2人が一緒に入場してきたことで、悪役令嬢のデイジーを始め、他の令嬢が激怒するのよね。
ニヤニヤしながら辺りを見渡す…て、デイジーは私か。という事は、私がルイーダ様に文句を言わないといけないの?あのお可愛らしいルイーダ様に?そんな可哀そうな事、出来ないわ。
でも、私が文句を言わないと始まらないし…そう思っていると、別の令嬢たちがやって来たのだ。
“デイジーは今回の夜会で、話題の的になっているよ。もちろん、いい意味でな。それにデイジーが公爵家を継ぐのではという噂が一気に広まっていてね。デイジーと結婚したいと考えている令息たちが、私に近づこうと必死だよ。さすが私の可愛いデイジーだ”
そう言ってお父様が笑っていた。ただ私は、一応かたち上は、クラウディオ殿下の婚約者候補だ。ただ、貴族たちの間では、私が婚約者候補を辞退すると思われているらしい。
確かに私もいずれは婚約者候補を辞退して、ジャック様と結婚する予定だけれどね。
そして今日は、貴族学院の入学式。ちなみにこの国では、ある程度勉強は個人が家庭教師を雇って行っている為、貴族学院では主に人脈作りを目的にしているらしい。その為、入学月齢が比較的高い段階で入学するのだ。
そして、いよいよ漫画のストーリーが今日から始まるのだ。まずは今日、貴族学院で迷子になったルイーダ様を、クラウディオ殿下が助けるというイベントがある。
まあ、オープニングよね。ここで2人は出会うのだ。せっかく好きだった漫画のお話しが今日から始まるのだ。出来れば2人の出会いを見届けたいと思っている。
なんだか楽しみになって来たわ。
真新しい制服に袖を通し、鏡に映る自分を見る。
そうよ、この姿。悪役令嬢のデイジーそのものだわ。なんだかドキドキしてきた。
早速馬車に乗り込み、学院を目指す。馬車から降りると、なぜかクラウディオ殿下が待っていた。
「おはよう、デイジー。3ヶ月ぶりだね。会いたかったよ」
笑顔で私の方に向かってくる、クラウディオ殿下。
「おはようございます、殿下。それでは私はこの辺で失礼いたしますわ」
私は今から、ヒロインのルイーダ様とヒーローのクラウディオ殿下の出会いをこの目で見届けなければいけないのだ。こんなところで、殿下に構っている暇はない…て、どうしてクラウディオ殿下がこんなところにいるのよ!
確か殿下は、婚約者のデイジーや気の強い令嬢たちに会いたくなくて、中庭で1人ベンチに座っているはずなのに。
「殿下、どうしてこんなところにいらっしゃるのですか?早く中庭に向かってください!」
あなたがここにいたら、誰が迷子になったルイーダ様を助けるのよ!
「えっと…デイジーは何を言っているのだい?今日の入学式の会場はホールだろう?訳の分からない事を言っていないで、早くホールに向かおう」
スッと私の手を取り、歩き出そうとしている。ちょっと、あなたはヒーローなのよ!もう、世話が焼けるわね。
「殿下、私は少し用事がありますので、これで失礼いたします。殿下はどうか、中庭に向かってください。いいですね、絶対に向かってくださいよ!」
そう伝え、急いでその場を後にする。
「待ってくれ、デイジー」
後ろで殿下の叫び声が聞こえるが、無視して小走りで中庭へと向かう。本当に殿下は、一体何を考えているのかしら?あなたが心から愛する、ルイーダ様が中庭で困っているというのに。
確かここらへんで、殿下とルイーダ様が出会うのよね。よし、この辺に隠れておこう。
ニヤニヤしながら、近くの茂みに隠れる。まさか好きだった漫画が、現実世界で見られるだなんて。想像しただけで、ニヤニヤが止まらない。
しばらく待っていると、来た!ルイーダ様だわ。不安そうに辺りを見渡しながら歩いている。あぁ、やっぱりルイーダ様は可愛いわ。ピンク色のフワフワの髪。それに宝石の様な緑色の瞳。さすがヒロイン、ダメだ、鼻血が出そうなくらい可愛い。
そこに、やって来た。クラウディオ殿下だ!よしよし、いいぞいいぞ、ここで2人が初めて出会うのよね。
「あの…すみません、私、迷子になってしまった様で。ホールにはどう行ったらいいのでしょうか?」
目に涙を浮かべ、クラウディオ殿下に助けを求めるルイーダ様。あぁ、なんて可愛らしいの。漫画でもとても可愛かったけれど、現実で見ると破壊力抜群ね。
「君は確か…サメロ子爵家のルイーダ嬢だったね。迷子になってしまったのかい?仕方ないな…僕がホールまで案内してあげるよ。さあ、行こうか」
ん?なんだかちょっとセリフが違う様な…まあいいわ、これが2人の運命の出会いなのだ。こうやってヒロインとヒーローが並んでいる姿を、この目で見られるだなんて!
転生した時はショックで倒れそうだったけれど、転生も悪くはないわね。それにしてもルイーダ様の庇護欲をそそるか弱さ。私も見習いたいわ。あんなにもお可愛らしい令嬢を目の前にしたら、そりゃクラウディオ殿下もルイーダ様を監禁したくなるわよね。
ニヤニヤしたまま、2人の後を付ける。そして無事、ルイーダ様をホールまで連れて来た殿下。でも2人が一緒に入場してきたことで、悪役令嬢のデイジーを始め、他の令嬢が激怒するのよね。
ニヤニヤしながら辺りを見渡す…て、デイジーは私か。という事は、私がルイーダ様に文句を言わないといけないの?あのお可愛らしいルイーダ様に?そんな可哀そうな事、出来ないわ。
でも、私が文句を言わないと始まらないし…そう思っていると、別の令嬢たちがやって来たのだ。
24
お気に入りに追加
2,718
あなたにおすすめの小説
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~
犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる