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第15話:デイジーに抱くこの気持ちは…~クラウディオ視点~
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その後公爵が、デイジーを連れ去って行った。珍しく眉間に皺が寄っていたから、令嬢たちの心無い言葉を聞き、娘を助けに来たのだろう。
でも、デイジーは僕が助けるから、父親でもある公爵が首を突っ込まなくてもよかったのに!
“クラウディオ、君が言った通り、本当にデイジー嬢は変わったんだね。まるで別人の様だ”
僕の耳元で、そっと呟くのはジャックだ。
「だから言っただろう。デイジーは変わったって。君たちも、デイジーの姿を見ただろう?何度も言っている様に、婚約破棄はデイジーから言い出した事だ。そんなデイジーを僕が必死に説得して、何とか婚約者候補に留まってくれているのだよ。だからこれ以上、ありもしない嘘の噂を流すのは止めてくれ!それでは僕は失礼する。行こう、ジャック」
ジャックを連れ、一旦その場を後にした。
「クラウディオ、大丈夫か?君は完全にデイジー嬢に惚れている様だね。でも、彼女はあまりクラウディオに興味がないみたいだね。殿下なんて呼ばれているし…公爵家を継ぎたいとも言っていたな」
「そうなんだよ、デイジーはもう、僕の事は眼中に無いようなんだ。でも僕は…デイジーの事が、気になって仕方がないんだ。それにまだ僕たちは15才だろう。来年には、貴族学院にも入学するし。貴族学院に入学すれば、毎日デイジーに会える。だから、とりあえず焦らずに行こうと思っている」
「あんなにデイジー嬢の傲慢さや我が儘さにうんざりしていたクラウディオが、今度は追いかける立場になるだなんて。人生何が起きるか分からないな。でも、今の彼女なら、私も結婚したいよ。私は公爵家の三男だしな」
そう言ってジャックが笑っている。こいつ、何を言っているんだ?でも、確かにデイジーが公爵家を継ぎたいと考えているのなら、嫡男ではない貴族の令息たちがデイジーを狙うかもしれない…
もしそいつらに、デイジーを取られたら…
ふとデイジーの方を見る。すると、楽しそうに他の貴族と話をしていた。元々整った顔をしているデイジー、ああやって穏やかな表情で話をしている姿は、とても美しい。何より彼女は、この国で一番権力を持っている貴族、クレスティン公爵家の令嬢だ。
それに彼女は今回の夜会で、いずれ公爵家を継ぎたいと公言している。という事は、貴族たちはいずれ僕との婚約者候補を辞退して、どこかの貴族を婿として迎え入れると勘ぐるのが普通だろう。
きっと昔のデイジーなら、皆頼まれても婿になる事を断るだろう。でも今のデイジーなら…
「ジャック、悪いが僕にはライバルが多そうだ。もちろん、君もだ。こうしちゃいられない、デイジーに近づく男たちを追い払わないと!」
そう思い、デイジーの元へと向かう。でも、僕がデイジーの元に向かうたびに、どこからともなくやって来た令嬢たちに邪魔されるのだ。そして、いつの間にかデイジーは姿を消す。
どうして令嬢たちは、僕の邪魔をするんだ!僕はデイジーと話がしたいのに。そんな僕の心とは裏腹に、何度撒いてもあざとく見つけ出し、僕の周りを囲む令嬢たち。
くそ、これじゃあデイジーに近づけないじゃないか。ふとデイジーの方を見ると、ジャックと楽しそうに話しをしていた。ジャックの奴、早速デイジーに近づいて!
笑顔をジャックに向けるデイジーの姿を見ていたら、何とも言えない感情が湧いて来た。その可愛い笑顔を、どうして他の男に向けるんだい?その笑顔は、僕だけに向けて欲しいのに…
どうしようもない黒い感情が、僕の心を襲う。
僕は何を考えているのだろう。きっと今回の主催者でもあるレクシティーオ公爵家の令息のジャックに、気を使って話しかけているだけなのだろう。そうだ、そうに違いない。
それにしてもジャックの奴、あんなに嬉しそうに話をして!
ジャックがデイジーから離れたのを確認し、すぐにジャックの元へと向かった。
「ジャック、デイジーと何の話をしていたのだい?随分と楽しそうに話しをしていたね」
いつもの王子スマイルを作り、ジャックに話しかけた。
「クラウディオ、君は僕に嫉妬をしているのかい。その怒っていますオーラ全開で、ほほ笑みながらやってくるなんて、ある意味恐怖だから止めてくれ」
こいつ、小さい頃からずっと一緒にいるせいか、僕の性格を熟知しているんだよな。
「別に怒っていないよ。それで、何の話をしていたんだい?」
「食べ物の話だよ。せっかくだから公爵家の美味しいものを頂きたいと言ってね。それにしても、デイジー嬢はああ見えて、食べる事が好きなんだね。それに、自分の家の領地の事もよく勉強している様で感心したよ。本当にデイジー嬢は変わったんだな」
食べ物の話か。
ふとデイジーの方を見ると、嬉しそうに料理を頬張っていた。あんなに幸せそうに料理を食べるだなんて、なんだか可愛いな。そうか、デイジーは食べる事が好きなのか。
「クラウディオ、顔がにやけているぞ。いつも隙を見せない君らしくないね。それにしてもデイジー嬢、本当に美味しそうに食べるね。可愛いなぁ」
ジャックがデイジーを見つめながらほほ笑んでいる。
そんな目でデイジーを見るな!
「ジャック、デイジーを見つめるのは止めてくれ。デイジーは僕の…」
「僕のものとでも言いたいのかい?残念ながら、いくら婚約者候補でも、世間ではもう、そう思われていない様だね。クラウディオ、君も色々と大変だね。それじゃあ、私はもう行くよ」
そう言って去っていくジャック。あいつ、絶対僕をからかっている。でも、確かに世間ではもう、デイジーは…
そう考えると、言いようのない不安が僕を襲う。
もしもデイジーを誰かに取られたら…
考えただけで、頭痛がしそうだ…
どうやら僕は、デイジーを本気で好きになってしまった様だ。
それと同時に、デイジーの笑顔を自分のものだけにしたい、デイジーを閉じ込めたいという黒い感情が生まれる。
僕は一体何を考えているのだ。そんな事をしたら、増々デイジーに嫌われるではないか。とにかく、もっとデイジーに近づいて、少しでも僕を好きになってもらう様に頑張らないと!
※次回、デイジー視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
でも、デイジーは僕が助けるから、父親でもある公爵が首を突っ込まなくてもよかったのに!
“クラウディオ、君が言った通り、本当にデイジー嬢は変わったんだね。まるで別人の様だ”
僕の耳元で、そっと呟くのはジャックだ。
「だから言っただろう。デイジーは変わったって。君たちも、デイジーの姿を見ただろう?何度も言っている様に、婚約破棄はデイジーから言い出した事だ。そんなデイジーを僕が必死に説得して、何とか婚約者候補に留まってくれているのだよ。だからこれ以上、ありもしない嘘の噂を流すのは止めてくれ!それでは僕は失礼する。行こう、ジャック」
ジャックを連れ、一旦その場を後にした。
「クラウディオ、大丈夫か?君は完全にデイジー嬢に惚れている様だね。でも、彼女はあまりクラウディオに興味がないみたいだね。殿下なんて呼ばれているし…公爵家を継ぎたいとも言っていたな」
「そうなんだよ、デイジーはもう、僕の事は眼中に無いようなんだ。でも僕は…デイジーの事が、気になって仕方がないんだ。それにまだ僕たちは15才だろう。来年には、貴族学院にも入学するし。貴族学院に入学すれば、毎日デイジーに会える。だから、とりあえず焦らずに行こうと思っている」
「あんなにデイジー嬢の傲慢さや我が儘さにうんざりしていたクラウディオが、今度は追いかける立場になるだなんて。人生何が起きるか分からないな。でも、今の彼女なら、私も結婚したいよ。私は公爵家の三男だしな」
そう言ってジャックが笑っている。こいつ、何を言っているんだ?でも、確かにデイジーが公爵家を継ぎたいと考えているのなら、嫡男ではない貴族の令息たちがデイジーを狙うかもしれない…
もしそいつらに、デイジーを取られたら…
ふとデイジーの方を見る。すると、楽しそうに他の貴族と話をしていた。元々整った顔をしているデイジー、ああやって穏やかな表情で話をしている姿は、とても美しい。何より彼女は、この国で一番権力を持っている貴族、クレスティン公爵家の令嬢だ。
それに彼女は今回の夜会で、いずれ公爵家を継ぎたいと公言している。という事は、貴族たちはいずれ僕との婚約者候補を辞退して、どこかの貴族を婿として迎え入れると勘ぐるのが普通だろう。
きっと昔のデイジーなら、皆頼まれても婿になる事を断るだろう。でも今のデイジーなら…
「ジャック、悪いが僕にはライバルが多そうだ。もちろん、君もだ。こうしちゃいられない、デイジーに近づく男たちを追い払わないと!」
そう思い、デイジーの元へと向かう。でも、僕がデイジーの元に向かうたびに、どこからともなくやって来た令嬢たちに邪魔されるのだ。そして、いつの間にかデイジーは姿を消す。
どうして令嬢たちは、僕の邪魔をするんだ!僕はデイジーと話がしたいのに。そんな僕の心とは裏腹に、何度撒いてもあざとく見つけ出し、僕の周りを囲む令嬢たち。
くそ、これじゃあデイジーに近づけないじゃないか。ふとデイジーの方を見ると、ジャックと楽しそうに話しをしていた。ジャックの奴、早速デイジーに近づいて!
笑顔をジャックに向けるデイジーの姿を見ていたら、何とも言えない感情が湧いて来た。その可愛い笑顔を、どうして他の男に向けるんだい?その笑顔は、僕だけに向けて欲しいのに…
どうしようもない黒い感情が、僕の心を襲う。
僕は何を考えているのだろう。きっと今回の主催者でもあるレクシティーオ公爵家の令息のジャックに、気を使って話しかけているだけなのだろう。そうだ、そうに違いない。
それにしてもジャックの奴、あんなに嬉しそうに話をして!
ジャックがデイジーから離れたのを確認し、すぐにジャックの元へと向かった。
「ジャック、デイジーと何の話をしていたのだい?随分と楽しそうに話しをしていたね」
いつもの王子スマイルを作り、ジャックに話しかけた。
「クラウディオ、君は僕に嫉妬をしているのかい。その怒っていますオーラ全開で、ほほ笑みながらやってくるなんて、ある意味恐怖だから止めてくれ」
こいつ、小さい頃からずっと一緒にいるせいか、僕の性格を熟知しているんだよな。
「別に怒っていないよ。それで、何の話をしていたんだい?」
「食べ物の話だよ。せっかくだから公爵家の美味しいものを頂きたいと言ってね。それにしても、デイジー嬢はああ見えて、食べる事が好きなんだね。それに、自分の家の領地の事もよく勉強している様で感心したよ。本当にデイジー嬢は変わったんだな」
食べ物の話か。
ふとデイジーの方を見ると、嬉しそうに料理を頬張っていた。あんなに幸せそうに料理を食べるだなんて、なんだか可愛いな。そうか、デイジーは食べる事が好きなのか。
「クラウディオ、顔がにやけているぞ。いつも隙を見せない君らしくないね。それにしてもデイジー嬢、本当に美味しそうに食べるね。可愛いなぁ」
ジャックがデイジーを見つめながらほほ笑んでいる。
そんな目でデイジーを見るな!
「ジャック、デイジーを見つめるのは止めてくれ。デイジーは僕の…」
「僕のものとでも言いたいのかい?残念ながら、いくら婚約者候補でも、世間ではもう、そう思われていない様だね。クラウディオ、君も色々と大変だね。それじゃあ、私はもう行くよ」
そう言って去っていくジャック。あいつ、絶対僕をからかっている。でも、確かに世間ではもう、デイジーは…
そう考えると、言いようのない不安が僕を襲う。
もしもデイジーを誰かに取られたら…
考えただけで、頭痛がしそうだ…
どうやら僕は、デイジーを本気で好きになってしまった様だ。
それと同時に、デイジーの笑顔を自分のものだけにしたい、デイジーを閉じ込めたいという黒い感情が生まれる。
僕は一体何を考えているのだ。そんな事をしたら、増々デイジーに嫌われるではないか。とにかく、もっとデイジーに近づいて、少しでも僕を好きになってもらう様に頑張らないと!
※次回、デイジー視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
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