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第13話:彼女は何を考えているのだろう~クラウディオ視点~
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デイジーとの居心地の良さを感じる僕とは裏腹に、やはりデイジーは僕と婚約破棄をしたい様で、公爵家を継いで婿を取り、父親を支えたいと言い出したのだ。
今まで見た事もないほど、穏やかな表情で…
婿を取るだって。でも、公爵家は既に養子を迎え入れるという話が出ていたはずだ。それに婿を取ったら、僕と結婚できないじゃないか!混乱する僕に対し、冷静な対応をとり続けるデイジー。さらに
「もし万が一殿下が心から愛する方が現れたら、遠慮せずに教えてください。その時は、私は身を引くつもりでおりますので」
そう言って僕に微笑みかけたのだ。あぁ、この笑顔…僕がずっと求め続けていた笑顔だ…久しぶりにデイジーの笑顔を見たら、なんだか涙が込みあげてきた。
さらに絶妙なタイミングで風が吹き、デイジーの周りを美しい花吹雪が舞う。何なんだ、この神秘的な姿は…
やっぱりデイジーは、美しいな…
ついうっとりと、デイジーを見つめてしまった。今の彼女こそが、僕がずっと求めていたデイジーの姿…いいや、それ以上だ。やっぱり僕には、デイジーしかいない。きっと神様が、僕にもう一度デイジーを愛するチャンスを与えてくれたのだ。
そう思ったら嬉しくてたまらなかった。ただ、なぜか僕を殿下呼びしている事が気になり、いつもの様に“クラウディオ様”と呼んで欲しいと伝えたが、あっさりと断られてしまった。
どうやら変なところで頑固なところは、変わっていない様だ。デイジーに名前呼びを断られてしまったが、まあいいか。でも、いつか昔の様に、名前を呼んでくれると嬉しいな。
その後もデイジーと楽しいお茶の時間を過ごす。終始穏やかな表情でお茶を楽しむデイジーは、やはり美しい。このままずっと、デイジーと一緒にいられたら、そんな思いが、僕を支配する。でも、残念ながら、公爵がデイジーを呼びに来たのだ。
公爵を見た瞬間、それはそれは嬉しそうな顔で公爵に飛びつくデイジー。公爵も嬉しそうにデイジーを抱きしめている。
その瞬間、言いようのない怒りが僕の心を支配していく。デイジーにあんなにも可愛い笑顔を向けられ、さらに抱き着かれて…確かに彼はデイジーの父親だ。でも…
嬉しそうに僕の傍を離れていくデイジーを離したくなくて、無理やり門まで送った。本当はまだ、彼女と離れたくはない。でも、もう帰らせないといけないのだ。分かっていても、名残惜しい。
そんな気持ちを必死でこらえ、笑顔でデイジーを送った。別れ際。僕に向かってほほ笑んでくれるデイジー。その笑顔はやっぱり可愛い。でも僕は、公爵に向けたあの溢れんばかりの笑顔を向けて欲しい。
そう、僕だけに…
て、ぼくはなにを考えているのだろう。あの我が儘で傲慢で、いつも怒鳴っているデイジーが、あんなにも穏やかに、そして僕に笑いかけてくれるようになったのだ。それだけでも喜ぶべきなんだ。そう自分に言い聞かせた。
デイジーを見送った後、自室に戻ろうとすると。
「クラウディオ、あの我が儘で傲慢だったデイジー嬢が、あんなにも令嬢らしくなるなんて、本当に驚いたな。今のデイジー嬢なら、王妃になる事も可能だろう」
「もう、あなた!デイジーちゃんになんて事を言うの。でも…確かにデイジーちゃんは随分と変わったわね。まるでシャリーを見ている様だったわ。もしかしたら天国のシャリーが…いいえ、何でもないわ。それよりも公爵もデイジーちゃん自身も、もうクラウディオと結婚するつもりはないみたいね…きっと1年後、婚約者候補を辞退してくるでしょう…」
婚約者候補を辞退…
確かに今日の2人の様子を見ると、僕の婚約者候補すら辞めてしまうだろう。でも僕は…
「僕たちは婚約者同士だった時、ほとんど会話をする事もありませんでした。でも今日デイジーときちんと話をしてみて、もっと彼女の事が知りたいと感じましたし、何よりも幼かった時のデイジーに戻ったみたいで…なんだか嬉しくて…」
そう、初めて会った時の溢れんばかりの可愛い笑顔を見せてくれた、あの頃のデイジーに…
「要するに、今更ながらクラウディオはデイジー嬢に興味を持ったという事だな。わかったよ、公爵にはそれとなく婚約者候補の辞退は、思いとどまって欲しいとやんわりとお願いしておくよ。ただ、あいつはデイジー嬢の事になると、頑固だからな…」
「シャリーに対しても頑固だったわよ。それにしても、クラウディオがデイジーちゃんに興味を持ってくれて、私は嬉しいわ。私の我が儘で、無理やり2人を婚約者にしたようなものだし。亡きシャリーとの約束の事ばかり考えて、肝心の2人の気持ちを無視してきたのだものね。きっと天国のシャリーにも怒られるわ。今日、デイジーちゃんに言われて、改めて自分の行いを反省したし…」
悲しそうに呟く母上を、父上がそっと抱き寄せている。そう言えば父上は、母上に一目ぼれして、半ば強引に婚約者にしたのだったな。
「クラウディオ、私も母親としてあなたの幸せを願っているわ。あなたがデイジーちゃんに興味があるのなら、私も全力でサポートするから」
全力でサポートか…
「今のところ大丈夫です。とりあえず、僕ももっとデイジーと仲良くなれる様に頑張ります。それではこれで」
自室に戻ると、改めてデイジーの事を考える。
「今日のデイジー、やっぱり可愛かったな…」
彼女は僕の事をどう思っているのだろう…
今日の様子だと、少なくとも好意は抱かれていないだろう。そりゃそうだ、どんな理由であれ、別の令嬢を庇い、自分を階段から突き落とすような男。
でも僕は…
大丈夫だ、まだ挽回できるチャンスはあるはず。まずはデイジーと仲良くなるところから始めないと。
今まで見た事もないほど、穏やかな表情で…
婿を取るだって。でも、公爵家は既に養子を迎え入れるという話が出ていたはずだ。それに婿を取ったら、僕と結婚できないじゃないか!混乱する僕に対し、冷静な対応をとり続けるデイジー。さらに
「もし万が一殿下が心から愛する方が現れたら、遠慮せずに教えてください。その時は、私は身を引くつもりでおりますので」
そう言って僕に微笑みかけたのだ。あぁ、この笑顔…僕がずっと求め続けていた笑顔だ…久しぶりにデイジーの笑顔を見たら、なんだか涙が込みあげてきた。
さらに絶妙なタイミングで風が吹き、デイジーの周りを美しい花吹雪が舞う。何なんだ、この神秘的な姿は…
やっぱりデイジーは、美しいな…
ついうっとりと、デイジーを見つめてしまった。今の彼女こそが、僕がずっと求めていたデイジーの姿…いいや、それ以上だ。やっぱり僕には、デイジーしかいない。きっと神様が、僕にもう一度デイジーを愛するチャンスを与えてくれたのだ。
そう思ったら嬉しくてたまらなかった。ただ、なぜか僕を殿下呼びしている事が気になり、いつもの様に“クラウディオ様”と呼んで欲しいと伝えたが、あっさりと断られてしまった。
どうやら変なところで頑固なところは、変わっていない様だ。デイジーに名前呼びを断られてしまったが、まあいいか。でも、いつか昔の様に、名前を呼んでくれると嬉しいな。
その後もデイジーと楽しいお茶の時間を過ごす。終始穏やかな表情でお茶を楽しむデイジーは、やはり美しい。このままずっと、デイジーと一緒にいられたら、そんな思いが、僕を支配する。でも、残念ながら、公爵がデイジーを呼びに来たのだ。
公爵を見た瞬間、それはそれは嬉しそうな顔で公爵に飛びつくデイジー。公爵も嬉しそうにデイジーを抱きしめている。
その瞬間、言いようのない怒りが僕の心を支配していく。デイジーにあんなにも可愛い笑顔を向けられ、さらに抱き着かれて…確かに彼はデイジーの父親だ。でも…
嬉しそうに僕の傍を離れていくデイジーを離したくなくて、無理やり門まで送った。本当はまだ、彼女と離れたくはない。でも、もう帰らせないといけないのだ。分かっていても、名残惜しい。
そんな気持ちを必死でこらえ、笑顔でデイジーを送った。別れ際。僕に向かってほほ笑んでくれるデイジー。その笑顔はやっぱり可愛い。でも僕は、公爵に向けたあの溢れんばかりの笑顔を向けて欲しい。
そう、僕だけに…
て、ぼくはなにを考えているのだろう。あの我が儘で傲慢で、いつも怒鳴っているデイジーが、あんなにも穏やかに、そして僕に笑いかけてくれるようになったのだ。それだけでも喜ぶべきなんだ。そう自分に言い聞かせた。
デイジーを見送った後、自室に戻ろうとすると。
「クラウディオ、あの我が儘で傲慢だったデイジー嬢が、あんなにも令嬢らしくなるなんて、本当に驚いたな。今のデイジー嬢なら、王妃になる事も可能だろう」
「もう、あなた!デイジーちゃんになんて事を言うの。でも…確かにデイジーちゃんは随分と変わったわね。まるでシャリーを見ている様だったわ。もしかしたら天国のシャリーが…いいえ、何でもないわ。それよりも公爵もデイジーちゃん自身も、もうクラウディオと結婚するつもりはないみたいね…きっと1年後、婚約者候補を辞退してくるでしょう…」
婚約者候補を辞退…
確かに今日の2人の様子を見ると、僕の婚約者候補すら辞めてしまうだろう。でも僕は…
「僕たちは婚約者同士だった時、ほとんど会話をする事もありませんでした。でも今日デイジーときちんと話をしてみて、もっと彼女の事が知りたいと感じましたし、何よりも幼かった時のデイジーに戻ったみたいで…なんだか嬉しくて…」
そう、初めて会った時の溢れんばかりの可愛い笑顔を見せてくれた、あの頃のデイジーに…
「要するに、今更ながらクラウディオはデイジー嬢に興味を持ったという事だな。わかったよ、公爵にはそれとなく婚約者候補の辞退は、思いとどまって欲しいとやんわりとお願いしておくよ。ただ、あいつはデイジー嬢の事になると、頑固だからな…」
「シャリーに対しても頑固だったわよ。それにしても、クラウディオがデイジーちゃんに興味を持ってくれて、私は嬉しいわ。私の我が儘で、無理やり2人を婚約者にしたようなものだし。亡きシャリーとの約束の事ばかり考えて、肝心の2人の気持ちを無視してきたのだものね。きっと天国のシャリーにも怒られるわ。今日、デイジーちゃんに言われて、改めて自分の行いを反省したし…」
悲しそうに呟く母上を、父上がそっと抱き寄せている。そう言えば父上は、母上に一目ぼれして、半ば強引に婚約者にしたのだったな。
「クラウディオ、私も母親としてあなたの幸せを願っているわ。あなたがデイジーちゃんに興味があるのなら、私も全力でサポートするから」
全力でサポートか…
「今のところ大丈夫です。とりあえず、僕ももっとデイジーと仲良くなれる様に頑張ります。それではこれで」
自室に戻ると、改めてデイジーの事を考える。
「今日のデイジー、やっぱり可愛かったな…」
彼女は僕の事をどう思っているのだろう…
今日の様子だと、少なくとも好意は抱かれていないだろう。そりゃそうだ、どんな理由であれ、別の令嬢を庇い、自分を階段から突き落とすような男。
でも僕は…
大丈夫だ、まだ挽回できるチャンスはあるはず。まずはデイジーと仲良くなるところから始めないと。
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