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第12話:デイジーが…~クラウディオ視点~
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それからずっと、デイジーは眠り続けた。そして事故から2週間後、デイジーが目覚めたとの連絡が入った。さらに公爵からは
「デイジーは別の令嬢を庇い婚約者の自分のないがしろにする殿下とは、結婚したくないと申しております。どうか婚約を白紙に戻してください!」
そう言われたのだ。まさか公爵家から婚約破棄を申し出てくるなんて…
とにかく、一度デイジーに会って話がしたい旨を伝えた。きっとまた、かなきり声で僕に文句を言うのだろう。でも…
たとえそう言われたとしても、僕は婚約者を傷つけたのだ。婚約破棄をするにしろ、一度きちんと会って謝るのが筋だろう。そう考えたのだ。ただ母上は、僕たちの婚約破棄だけは絶対避けたい様で、必死に公爵に訴えていたのだ。さすがの公爵も、母上の涙に負けた様で、明日デイジーを連れてくるという事で話がまとまった。
「よかったな、クラウディオ、向こうから婚約破棄を提案してきてくれるだなんて。大丈夫だよ、母さんは私が説得するから。とにかく、今のデイジー嬢では王妃は務まらん。明日、婚約破棄をする方向で話を進めよう」
「…分かりました、父上。ただ、デイジーを傷つけてしまった事は事実ですので、しっかり謝罪と慰謝料を支払いたいと思います」
「ああ、分かっている。一応公爵には、慰謝料の話しはしてある。クランディオ、母さんの我が儘のせいで、お前にも随分と苦労させてしまったな。次はお前が良いと思う令嬢と、婚約を結びなさい」
そう言って僕の肩を叩いて去っていく父上。
どうやら父上の中で、僕たちの婚約破棄は決定事項の様だ。まあ、公爵家からも婚約破棄をしたいと言っているのだから、特に問題ないだろう。僕も、さすがにデイジーの我が儘には疲れた…
いつかデイジーが、昔の様に僕に笑顔を向けてくれる日が来るのではないかと、淡い期待を抱いていた。でもそんな期待も、当の昔に消え去っていたのかもしれない。僕はもう、彼女の醜い顔を見たくない。
ただ明日は、明日だけは、彼女の歪んだ顔を見なければいけないのだな。でもこれが最後だと思えば、どうって事はない。
そう自分に言い聞かせた。
そして、翌日。
公爵と一緒に部屋に入ってくるデイジー。あれ?いつものデイジーの顔じゃない。いつも眉間に皺をよせ、不機嫌そうな顔をしているデイジーが、今日は穏やかな表情をしているぞ。一体どういう事だ?
さらに、公の場で嫉妬を丸出しにし、令嬢に言いがかりをつけた自分が悪い。こんな自分が王妃にはなれない、どうか婚約は白紙に戻して欲しいと訴えたのだ。
傲慢で自分が常に正しいと思っているデイジーが、まさか自分の非を認めるなんて…あり得ない状況に、僕たち全員が固まる。すると公爵が
「デイジーは階段から落ちて頭を打ったはずみで、人格が変わってしまった様で…昨日医者に調べてもらいましたが、そういう事もあるのだとか…」
そう教えてくれたのだ。まさか頭を打ったはずみで、人格が変わるだなんて。そんな事があるのか?でも、今のデイジーは、明らかにおかしい。
なんだか昔に戻った様だ…て、昔ももう少し我が儘だったな。
とにかくこうやって穏やかに話しが出来るだなんて…嬉しくてつい頬が緩む。
そんな僕の気持ちとは裏腹に、必死に母上に婚約破棄をしたいと訴えるデイジー、さすがの母上も、僕たちの婚約破棄を認めた。
ちょっと待ってくれ!せっかくデイジーがまともになってくれたのに、このまま婚約破棄をするなんて!そんな思いから、婚約破棄をするのは待って欲しいと訴えた。
ただデイジーも、一度自分の気持ちをリセットしたい、それでもし自分が僕の婚約者にふさわしいなら、再度婚約を結び直せばいいと訴えたのだ。でも、僕は知っている。
一度婚約破棄をすると、そう簡単に婚約を結び直せないという事を…だからこそ、婚約破棄は慎重にしたいのだ。そんな思いから、必死に訴えた。
その結果、僕の婚約者候補でいるという事で落ち着いたのだ。でも、本当は婚約者候補に何てしたくなかった。婚約者候補になれば、デイジーから候補を辞退する事が出来るからだ。
さらに婚約者から婚約者候補に格下げされるという事は、実質この人はもう王妃になる事はないと、皆に発表している様なものだ。それでも何らかの対応をとらないと、今のデイジーは引き下がらないと思ったのだ。
とりあえず婚約破棄は回避できた…て、どうして僕はこんなに婚約破棄をする事を拒んでいるのだろう。昨日までは、あんなにデイジーと婚約破棄をしたかったのに。
でも…
もしかしたら今のデイジーなら、僕が好きだった頃のデイジーに戻ってくれるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてしまったのだ。
そしてその後、帰ろうとするデイジーを誘い、中庭にやって来た。そう言えば僕は、あまりデイジーと話をしてこなかった。早速デイジーと話をした。終始穏やかな表情で僕と話をするデイジー。なんだろう、この居心地の良さ…デイジーって、こんなに居心地のいい子だったかな。そう思うほど、僕の心は穏やかだったのだ。
「デイジーは別の令嬢を庇い婚約者の自分のないがしろにする殿下とは、結婚したくないと申しております。どうか婚約を白紙に戻してください!」
そう言われたのだ。まさか公爵家から婚約破棄を申し出てくるなんて…
とにかく、一度デイジーに会って話がしたい旨を伝えた。きっとまた、かなきり声で僕に文句を言うのだろう。でも…
たとえそう言われたとしても、僕は婚約者を傷つけたのだ。婚約破棄をするにしろ、一度きちんと会って謝るのが筋だろう。そう考えたのだ。ただ母上は、僕たちの婚約破棄だけは絶対避けたい様で、必死に公爵に訴えていたのだ。さすがの公爵も、母上の涙に負けた様で、明日デイジーを連れてくるという事で話がまとまった。
「よかったな、クラウディオ、向こうから婚約破棄を提案してきてくれるだなんて。大丈夫だよ、母さんは私が説得するから。とにかく、今のデイジー嬢では王妃は務まらん。明日、婚約破棄をする方向で話を進めよう」
「…分かりました、父上。ただ、デイジーを傷つけてしまった事は事実ですので、しっかり謝罪と慰謝料を支払いたいと思います」
「ああ、分かっている。一応公爵には、慰謝料の話しはしてある。クランディオ、母さんの我が儘のせいで、お前にも随分と苦労させてしまったな。次はお前が良いと思う令嬢と、婚約を結びなさい」
そう言って僕の肩を叩いて去っていく父上。
どうやら父上の中で、僕たちの婚約破棄は決定事項の様だ。まあ、公爵家からも婚約破棄をしたいと言っているのだから、特に問題ないだろう。僕も、さすがにデイジーの我が儘には疲れた…
いつかデイジーが、昔の様に僕に笑顔を向けてくれる日が来るのではないかと、淡い期待を抱いていた。でもそんな期待も、当の昔に消え去っていたのかもしれない。僕はもう、彼女の醜い顔を見たくない。
ただ明日は、明日だけは、彼女の歪んだ顔を見なければいけないのだな。でもこれが最後だと思えば、どうって事はない。
そう自分に言い聞かせた。
そして、翌日。
公爵と一緒に部屋に入ってくるデイジー。あれ?いつものデイジーの顔じゃない。いつも眉間に皺をよせ、不機嫌そうな顔をしているデイジーが、今日は穏やかな表情をしているぞ。一体どういう事だ?
さらに、公の場で嫉妬を丸出しにし、令嬢に言いがかりをつけた自分が悪い。こんな自分が王妃にはなれない、どうか婚約は白紙に戻して欲しいと訴えたのだ。
傲慢で自分が常に正しいと思っているデイジーが、まさか自分の非を認めるなんて…あり得ない状況に、僕たち全員が固まる。すると公爵が
「デイジーは階段から落ちて頭を打ったはずみで、人格が変わってしまった様で…昨日医者に調べてもらいましたが、そういう事もあるのだとか…」
そう教えてくれたのだ。まさか頭を打ったはずみで、人格が変わるだなんて。そんな事があるのか?でも、今のデイジーは、明らかにおかしい。
なんだか昔に戻った様だ…て、昔ももう少し我が儘だったな。
とにかくこうやって穏やかに話しが出来るだなんて…嬉しくてつい頬が緩む。
そんな僕の気持ちとは裏腹に、必死に母上に婚約破棄をしたいと訴えるデイジー、さすがの母上も、僕たちの婚約破棄を認めた。
ちょっと待ってくれ!せっかくデイジーがまともになってくれたのに、このまま婚約破棄をするなんて!そんな思いから、婚約破棄をするのは待って欲しいと訴えた。
ただデイジーも、一度自分の気持ちをリセットしたい、それでもし自分が僕の婚約者にふさわしいなら、再度婚約を結び直せばいいと訴えたのだ。でも、僕は知っている。
一度婚約破棄をすると、そう簡単に婚約を結び直せないという事を…だからこそ、婚約破棄は慎重にしたいのだ。そんな思いから、必死に訴えた。
その結果、僕の婚約者候補でいるという事で落ち着いたのだ。でも、本当は婚約者候補に何てしたくなかった。婚約者候補になれば、デイジーから候補を辞退する事が出来るからだ。
さらに婚約者から婚約者候補に格下げされるという事は、実質この人はもう王妃になる事はないと、皆に発表している様なものだ。それでも何らかの対応をとらないと、今のデイジーは引き下がらないと思ったのだ。
とりあえず婚約破棄は回避できた…て、どうして僕はこんなに婚約破棄をする事を拒んでいるのだろう。昨日までは、あんなにデイジーと婚約破棄をしたかったのに。
でも…
もしかしたら今のデイジーなら、僕が好きだった頃のデイジーに戻ってくれるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてしまったのだ。
そしてその後、帰ろうとするデイジーを誘い、中庭にやって来た。そう言えば僕は、あまりデイジーと話をしてこなかった。早速デイジーと話をした。終始穏やかな表情で僕と話をするデイジー。なんだろう、この居心地の良さ…デイジーって、こんなに居心地のいい子だったかな。そう思うほど、僕の心は穏やかだったのだ。
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