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第10話:ジャック様のお陰で疲れも吹っ飛びました
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「デイジー、大丈夫かい?令嬢たちに心無い暴言を吐かれていた様だが…」
お父様が心配そうに私の顔を見つめてくる。どうやら私が令嬢たちに何か言われている事を察知したお父様が、助けてくれた様だ。
「ええ、大丈夫ですわ。ただ、少し疲れてしまった様で…」
「そうか、わかったよ。それじゃあ、何か飲み物を持って来るから、デイジーは隅の方で休んでいなさい」
「ありがとうございます、お父様」
私の為に、飲み物を持ってきてくれたお父様と一緒に、少し休憩をする事にした。すると、次から次へと、貴族たちが挨拶に来る。そのたびに私の変わりように、一同が目を丸くするのだ。最初は皆が驚く姿を見て喜んでいたのだが、あまりにも皆が驚くものだから、段々面倒になって来た。
お父様も
「確かにデイジーは少し我が儘なところがあったが、あんなに驚かなくてもいいだろう」
と、怒っていた。でも、それだけ昔の私が酷かったという事だろう。ちなみに、今まで言いがかりをつけていた令嬢たちには一応謝罪をしておいた。ただ、よく考えてみれば公爵令嬢の私と婚約している王太子殿下に絡む様な令嬢たちだ。元々気の強い令嬢ばかり。特に何とも思っていない様だ。
逆に嫌味を言われてしまった。さらに婚約者候補になった事で、自分にもチャンスがあると思い込んでいる令嬢たちから、感謝される事も…
昔の私もそうだってけれど、令嬢ってチヤホヤされて育っているせいか、異常なまでにポジティブ思考の子が多いのよね…
現に今も、クラウディオ殿下に群がっているし…ただ、なぜかクラウディオ殿下は、私のところに逃げてくるのだ。殿下、私はもう以前の様に、気が強く令嬢に文句を言える人間ではなくなったから、逃げて来ても助けてあげられませんよ。そう言いたいが、もちろん言える訳もない。それに、ジャック様とも最初に少しお話ししただけで、全く話せていないし…
せっかく憧れのジャック様に会えたのに、このまま帰るだなんて、なんだか嫌だわ。ふとジャック様の方を見ると、1人で料理を取りに行っている。クラウディオ殿下は、令嬢に捕まっている様だし。よし、今がチャンスだわ。
お父様の傍からすっと抜けると、私も何食わぬ顔をして料理を取りに行くふりをする。そして、すっとジャック様の隣をキープした。
「まあ、どれも美味しそうなお料理です事。ジャック様、公爵家のお料理は、どれがお勧めですか?」
近くにいたジャック様に、それとなく声を掛けた。
「あぁ、デイジー嬢か。君が食べ物に興味を示すなんて、やっぱり随分と変わったんだね。そうだな、このカモ肉のソテーなんて美味しいよ。我が領地では、カモが取れるんだ。それから、この果物たっぷりのタルトもお勧めだよ」
「まあ、カモ肉ですか!それは珍しいですわね。早速頂きますわ。それにタルトも」
早速美味しそうなカモ肉とタルトをお皿に乗せた。本当に美味しそうね、よだれが出そうだわ…て、私は公爵令嬢なのだから、食い意地を張ってはダメよ。つい日本人だった時の自分が出てしまうのよね。
「そんなに嬉しそうな顔で料理を盛りつけてもらえると、私も嬉しいよ。そうだ、このクリームチーズと生ハムも美味しいよ。それから、こっちのプリンは、今朝生んだ卵をふんだんに使っているんだよ」
一生懸命料理の説明をして下さるジャック様。漫画ではいつも冷静な姿しか見た事がなかったけれど、こうやって一生懸命説明してくださる姿、素敵だわ。
「ありがとうございます、早速頂きますわ。それにしても、レクシティーオ公爵家は美味しいものがたくさんあるのですね」
「クレスティン公爵家も酪農が盛んだと聞く。ワインの製造もおこなっている様だし」
「ええ、我が家の領地では、沢山の牛や馬、ヤギ、豚、鳥などを飼育しておりますわ。特に牛の飼育に力を入れておりまして、脂の乗ったとても美味しい牛肉が取れますの。そうですわ、今度我が家で夜会を開いた時、是非ご賞味ください。とても美味しいのですよ」
「なんだかデイジー嬢の口から、領地の話が聞けるなんて思わなかったよ。本当に公爵家を継ぐ気でいるのかい?」
「はい、出来れば継ぎたいと考えておりますわ。母を早くに亡くし、父は男手一つで必死に私を育てて下さいました。そんな父に、昔の私は我が儘ばかり言って…本当にどうしようもない人間だったのです。ですからこれからは、父の力になりたいと思っておりますわ。だから今、領地の勉強もしておりますし、定期的に領地にも足を運んでおりますの」
「そうなんだね。それにしても、人はそんなに変わるものなのか…て、すまない。失礼な事を言ってしまって。それじゃあ、私はこれで失礼するよ。今日は君と話が出来てよかった」
そう言うと、ほほ笑んでくれたジャック様。あのクールなジャック様が、私にほほ笑んでくれるだなんて…これは夢かしら?あぁ、なんて幸せなのかしら?
彼の微笑を見ただけで、一気に疲れなんて吹っ飛んで行ったわ。
その後私は夢見心地のまま、公爵家のお料理を堪能したのだった。
※次回、クラウディオ視点です。
お父様が心配そうに私の顔を見つめてくる。どうやら私が令嬢たちに何か言われている事を察知したお父様が、助けてくれた様だ。
「ええ、大丈夫ですわ。ただ、少し疲れてしまった様で…」
「そうか、わかったよ。それじゃあ、何か飲み物を持って来るから、デイジーは隅の方で休んでいなさい」
「ありがとうございます、お父様」
私の為に、飲み物を持ってきてくれたお父様と一緒に、少し休憩をする事にした。すると、次から次へと、貴族たちが挨拶に来る。そのたびに私の変わりように、一同が目を丸くするのだ。最初は皆が驚く姿を見て喜んでいたのだが、あまりにも皆が驚くものだから、段々面倒になって来た。
お父様も
「確かにデイジーは少し我が儘なところがあったが、あんなに驚かなくてもいいだろう」
と、怒っていた。でも、それだけ昔の私が酷かったという事だろう。ちなみに、今まで言いがかりをつけていた令嬢たちには一応謝罪をしておいた。ただ、よく考えてみれば公爵令嬢の私と婚約している王太子殿下に絡む様な令嬢たちだ。元々気の強い令嬢ばかり。特に何とも思っていない様だ。
逆に嫌味を言われてしまった。さらに婚約者候補になった事で、自分にもチャンスがあると思い込んでいる令嬢たちから、感謝される事も…
昔の私もそうだってけれど、令嬢ってチヤホヤされて育っているせいか、異常なまでにポジティブ思考の子が多いのよね…
現に今も、クラウディオ殿下に群がっているし…ただ、なぜかクラウディオ殿下は、私のところに逃げてくるのだ。殿下、私はもう以前の様に、気が強く令嬢に文句を言える人間ではなくなったから、逃げて来ても助けてあげられませんよ。そう言いたいが、もちろん言える訳もない。それに、ジャック様とも最初に少しお話ししただけで、全く話せていないし…
せっかく憧れのジャック様に会えたのに、このまま帰るだなんて、なんだか嫌だわ。ふとジャック様の方を見ると、1人で料理を取りに行っている。クラウディオ殿下は、令嬢に捕まっている様だし。よし、今がチャンスだわ。
お父様の傍からすっと抜けると、私も何食わぬ顔をして料理を取りに行くふりをする。そして、すっとジャック様の隣をキープした。
「まあ、どれも美味しそうなお料理です事。ジャック様、公爵家のお料理は、どれがお勧めですか?」
近くにいたジャック様に、それとなく声を掛けた。
「あぁ、デイジー嬢か。君が食べ物に興味を示すなんて、やっぱり随分と変わったんだね。そうだな、このカモ肉のソテーなんて美味しいよ。我が領地では、カモが取れるんだ。それから、この果物たっぷりのタルトもお勧めだよ」
「まあ、カモ肉ですか!それは珍しいですわね。早速頂きますわ。それにタルトも」
早速美味しそうなカモ肉とタルトをお皿に乗せた。本当に美味しそうね、よだれが出そうだわ…て、私は公爵令嬢なのだから、食い意地を張ってはダメよ。つい日本人だった時の自分が出てしまうのよね。
「そんなに嬉しそうな顔で料理を盛りつけてもらえると、私も嬉しいよ。そうだ、このクリームチーズと生ハムも美味しいよ。それから、こっちのプリンは、今朝生んだ卵をふんだんに使っているんだよ」
一生懸命料理の説明をして下さるジャック様。漫画ではいつも冷静な姿しか見た事がなかったけれど、こうやって一生懸命説明してくださる姿、素敵だわ。
「ありがとうございます、早速頂きますわ。それにしても、レクシティーオ公爵家は美味しいものがたくさんあるのですね」
「クレスティン公爵家も酪農が盛んだと聞く。ワインの製造もおこなっている様だし」
「ええ、我が家の領地では、沢山の牛や馬、ヤギ、豚、鳥などを飼育しておりますわ。特に牛の飼育に力を入れておりまして、脂の乗ったとても美味しい牛肉が取れますの。そうですわ、今度我が家で夜会を開いた時、是非ご賞味ください。とても美味しいのですよ」
「なんだかデイジー嬢の口から、領地の話が聞けるなんて思わなかったよ。本当に公爵家を継ぐ気でいるのかい?」
「はい、出来れば継ぎたいと考えておりますわ。母を早くに亡くし、父は男手一つで必死に私を育てて下さいました。そんな父に、昔の私は我が儘ばかり言って…本当にどうしようもない人間だったのです。ですからこれからは、父の力になりたいと思っておりますわ。だから今、領地の勉強もしておりますし、定期的に領地にも足を運んでおりますの」
「そうなんだね。それにしても、人はそんなに変わるものなのか…て、すまない。失礼な事を言ってしまって。それじゃあ、私はこれで失礼するよ。今日は君と話が出来てよかった」
そう言うと、ほほ笑んでくれたジャック様。あのクールなジャック様が、私にほほ笑んでくれるだなんて…これは夢かしら?あぁ、なんて幸せなのかしら?
彼の微笑を見ただけで、一気に疲れなんて吹っ飛んで行ったわ。
その後私は夢見心地のまま、公爵家のお料理を堪能したのだった。
※次回、クラウディオ視点です。
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