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第8話:ジャック様とご対面です
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「デイジー、公爵家に着いたよ。それじゃあ、行こうか」
「はい」
お父様の腕にそっと手を添えた。
「デイジー、まさかお父様と一緒に入場してくれるのかい?いつも私との入場を嫌がっていたのに」
「あの時は…ごめんなさい。でもこれからは、お父様と一緒に参加するときは、お父様と入場しますわ。私はもう、殿下の正式な婚約者ではなくなった事ですし…」
「なんて嬉しい事を言ってくれるんだ。私はずっと、デイジーと一緒に入場する事が夢だったんだよ。ありがとう、デイジー。それじゃあ、行こうか」
それはそれは嬉しそうに微笑むお父様と一緒に、入場していく。
「クレスティン公爵殿、デイジー嬢、ご入場です」
私たちの入場のアナウンスが流れるや否や、一斉にこちらを振り向く貴族たち。見たければ見ればいいわ。生まれ変わった私の姿をね。背筋をまっすぐと伸ばし、堂々とお父様と一緒に入場する。どうだ、私の堂々たる入場、参ったか!
「やはり皆デイジーを見ているね。大丈夫かい?」
「あら、それだけ私を皆注目してくださっている事でしょう?特に問題ありませんわ。さあ、お父様、レクシティーオ公爵家の皆様に挨拶に行きましょう」
「…ああ、そうだな。行こうか」
お父様と一緒に、レクシティーオ公爵家の皆様の元に挨拶に行く。そこには、居た!ジャック様だわ。漫画とほぼ同じ姿のジャック様が、ご両親とお兄様たちと一緒にいらっしゃったのだ。
あぁ…なんて素敵なのかしら。あの燃える様な赤い髪、騎士団で鍛えられた腹筋、やっぱりカッコいいわ…私、彼のお嫁さんになりたい…
「レクシティーオ公爵、夫人、それにご子息殿、本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「クレスティン公爵殿、よく来てくださった。お隣にいらっしゃるのは」
「デイジー・クレスティンでございます。今回は夜会にお招きいただき、ありがとうございます」
渾身のカーテシーを決める。この3ヶ月、貴族令嬢としての最低限のマナーを再度叩き込んだのだ。どうだ、私のカーテシーは、すごいだろう!
「えっと…ご丁寧にありがとう、デイジー嬢。その…なんと言いますか…なんだか雰囲気が随分変わりましたね…昔はもっと…その…」
レクシティーオ公爵が言いにくそうにそう呟いた。ジャック様のお母様やお兄様たち、当のジャック様、さらに周りにいた貴族たちも、口を開けて固まっている。
「実はデイジーは、階段から落ちて頭を打ったせいで、人格が変わってしまった様で…それですっかり昔の面影が無くなってしまいまして…かつての行いを悔い恥じたデイジーが、陛下たちに頼んで、婚約を白紙に戻してもらう様に頼んだのですが…色々あって婚約者候補に落ち着いた次第です」
お父様がここぞとばかりに、嬉しそうにレクシティーオ公爵に経緯を話している。
「なるほど。確かに急に王族との婚約を白紙に戻すのは難しいですからね。それで一旦、婚約者候補に落ち着いたという事なのですね」
「そういう事です。ただ、デイジーは我が公爵家を継ぎたいと申しておりまして…いずれ殿下とは…おっと、これ以上いらん事は話すべきではありませんな。私はついおしゃべりなところがありまして」
お父様、その割には随分と大きな声で話されておりますが。よほど私が貴族界で悪く言われていたのが気に入らなかったのだろう。
婚約を白紙に戻したいと言ったのは、我が公爵家からという事を強調するだなんて。でも、あまりベラベラと話すのは、いかがなものかと…一応王族にも、プライドというものがあるでしょうし…
「そうだったのですね。確かに公爵家はデイジー嬢しかいらっしゃらないから、婿を取りたいと考えるのも無理はありません。どうです?家の次男か三男を養子にするのは」
冗談ぽくレクシティーオ公爵がお父様に話しをしている。まあ、公爵の方からそんな嬉しい話をして下さるだなんて。嬉しいわ。
「そうですな。まあ、デイジーもまだ15歳ですし、何よりまだ王太子殿下の婚約者候補ではありますから」
そう言って笑っているお父様。ちょっと、せっかくジャック様のお父様が、素敵な話を提案してくれたのに。お父様ったら!て、さすがにお父様に文句は言えないわよね。そうだわ、この際だから、ジャック様と仲良くなっておきましょう。
スッとお父様から離れると、ジャック様の方へと向かった。
「あの、ジャック様。もしよろしければ…」
「王太子殿下のご入場です」
私が話をしようとした瞬間、間の悪い事に、クラウディオ殿下が入場してきたのだ。そうか、クラウディオ殿下とジャック様は、幼馴染で親友だものね。親友の家のパーティーに参加するのは普通か。
そう言えば私が婚約者候補に格下げ下げたことで、他にも候補になりたい令嬢が沢山名乗り出ていると聞いた。きっと今回も、令嬢たちに囲まれるのだろう。
案の定、殿下が入場するや否や、一気に令嬢に囲まれていた。凄い人気ね。でもあなた達、いくら彼に媚を売っても、クラウディオ殿下はルイーダ様と運命的な出会いをはたすのだから、無駄よ。
何て言える訳がない。とにかく私は、これ以上彼に関わる気はないのだ。
「はい」
お父様の腕にそっと手を添えた。
「デイジー、まさかお父様と一緒に入場してくれるのかい?いつも私との入場を嫌がっていたのに」
「あの時は…ごめんなさい。でもこれからは、お父様と一緒に参加するときは、お父様と入場しますわ。私はもう、殿下の正式な婚約者ではなくなった事ですし…」
「なんて嬉しい事を言ってくれるんだ。私はずっと、デイジーと一緒に入場する事が夢だったんだよ。ありがとう、デイジー。それじゃあ、行こうか」
それはそれは嬉しそうに微笑むお父様と一緒に、入場していく。
「クレスティン公爵殿、デイジー嬢、ご入場です」
私たちの入場のアナウンスが流れるや否や、一斉にこちらを振り向く貴族たち。見たければ見ればいいわ。生まれ変わった私の姿をね。背筋をまっすぐと伸ばし、堂々とお父様と一緒に入場する。どうだ、私の堂々たる入場、参ったか!
「やはり皆デイジーを見ているね。大丈夫かい?」
「あら、それだけ私を皆注目してくださっている事でしょう?特に問題ありませんわ。さあ、お父様、レクシティーオ公爵家の皆様に挨拶に行きましょう」
「…ああ、そうだな。行こうか」
お父様と一緒に、レクシティーオ公爵家の皆様の元に挨拶に行く。そこには、居た!ジャック様だわ。漫画とほぼ同じ姿のジャック様が、ご両親とお兄様たちと一緒にいらっしゃったのだ。
あぁ…なんて素敵なのかしら。あの燃える様な赤い髪、騎士団で鍛えられた腹筋、やっぱりカッコいいわ…私、彼のお嫁さんになりたい…
「レクシティーオ公爵、夫人、それにご子息殿、本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「クレスティン公爵殿、よく来てくださった。お隣にいらっしゃるのは」
「デイジー・クレスティンでございます。今回は夜会にお招きいただき、ありがとうございます」
渾身のカーテシーを決める。この3ヶ月、貴族令嬢としての最低限のマナーを再度叩き込んだのだ。どうだ、私のカーテシーは、すごいだろう!
「えっと…ご丁寧にありがとう、デイジー嬢。その…なんと言いますか…なんだか雰囲気が随分変わりましたね…昔はもっと…その…」
レクシティーオ公爵が言いにくそうにそう呟いた。ジャック様のお母様やお兄様たち、当のジャック様、さらに周りにいた貴族たちも、口を開けて固まっている。
「実はデイジーは、階段から落ちて頭を打ったせいで、人格が変わってしまった様で…それですっかり昔の面影が無くなってしまいまして…かつての行いを悔い恥じたデイジーが、陛下たちに頼んで、婚約を白紙に戻してもらう様に頼んだのですが…色々あって婚約者候補に落ち着いた次第です」
お父様がここぞとばかりに、嬉しそうにレクシティーオ公爵に経緯を話している。
「なるほど。確かに急に王族との婚約を白紙に戻すのは難しいですからね。それで一旦、婚約者候補に落ち着いたという事なのですね」
「そういう事です。ただ、デイジーは我が公爵家を継ぎたいと申しておりまして…いずれ殿下とは…おっと、これ以上いらん事は話すべきではありませんな。私はついおしゃべりなところがありまして」
お父様、その割には随分と大きな声で話されておりますが。よほど私が貴族界で悪く言われていたのが気に入らなかったのだろう。
婚約を白紙に戻したいと言ったのは、我が公爵家からという事を強調するだなんて。でも、あまりベラベラと話すのは、いかがなものかと…一応王族にも、プライドというものがあるでしょうし…
「そうだったのですね。確かに公爵家はデイジー嬢しかいらっしゃらないから、婿を取りたいと考えるのも無理はありません。どうです?家の次男か三男を養子にするのは」
冗談ぽくレクシティーオ公爵がお父様に話しをしている。まあ、公爵の方からそんな嬉しい話をして下さるだなんて。嬉しいわ。
「そうですな。まあ、デイジーもまだ15歳ですし、何よりまだ王太子殿下の婚約者候補ではありますから」
そう言って笑っているお父様。ちょっと、せっかくジャック様のお父様が、素敵な話を提案してくれたのに。お父様ったら!て、さすがにお父様に文句は言えないわよね。そうだわ、この際だから、ジャック様と仲良くなっておきましょう。
スッとお父様から離れると、ジャック様の方へと向かった。
「あの、ジャック様。もしよろしければ…」
「王太子殿下のご入場です」
私が話をしようとした瞬間、間の悪い事に、クラウディオ殿下が入場してきたのだ。そうか、クラウディオ殿下とジャック様は、幼馴染で親友だものね。親友の家のパーティーに参加するのは普通か。
そう言えば私が婚約者候補に格下げ下げたことで、他にも候補になりたい令嬢が沢山名乗り出ていると聞いた。きっと今回も、令嬢たちに囲まれるのだろう。
案の定、殿下が入場するや否や、一気に令嬢に囲まれていた。凄い人気ね。でもあなた達、いくら彼に媚を売っても、クラウディオ殿下はルイーダ様と運命的な出会いをはたすのだから、無駄よ。
何て言える訳がない。とにかく私は、これ以上彼に関わる気はないのだ。
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