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第6話:今日は疲れました
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「デイジー、そろそろ帰ろう。クラウディオ殿下、申し訳ございませんが、デイジーは意識が戻ったばかりでして。あまり長い時間の外出は、体にも負担がかかるでしょうし」
そう言って私を迎えに来てくれたのは、お父様だ。優しいお父様、嬉しくてついお父様に飛びついた。
「デイジーはまだまだ甘えん坊だな。私の可愛いデイジー」
いつもの様にお父様が私を甘やかす。そんなお父様が、私は大好きなのだが、でも、お父様のこの行動が、私の我が儘を助長させたのよね。漫画を読んでいた時は、お父様の事を本当にバカな親だと思っていたが、そんなバカな親にしたのは、私のせいでもあるだろう。
だからこそ、絶対にお父様を不幸にはさせない。お父様の笑顔を見て、改めてそう思った。
「それでは殿下、私はこれで失礼いたします。楽しいお茶の時間を、ありがとうございました」
「僕の方こそ、今日は君の事を色々と知れてよかった。僕たちは少し遠回りをしてしまった様だけれど、これからはもっとお互いの事を知っていこう」
そう言って私のほほ笑む殿下。この人は何を言っているのだろう。あなたはもうすぐ運命の令嬢と出会い、私の事が邪魔になるのだから。でも、もし私が邪魔になったら、無駄に真面目な殿下の事だ。
無下に婚約破棄出来ないという事で、私とお父様を亡き者にしようとしないかしら?ルイーダ様を手に入れる為に、時に残酷で強引な手段を使うクラウディオ殿下の姿を知っている。その為、どうしても警戒してしまうのだ。
とにかく、彼にはやはりあまり近づかない様にしよう。そして1年後、殿下とルイーダ様の仲が深まったところで、婚約者候補を辞退しよう。
婚約者候補を辞退したら、あとはルイーダ様が何とかしてくれるだろう。
「デイジー、黙り込んでどうしたんだい?せっかくだから、門まで送るよ」
笑顔で手を差し伸べてくれるクラウディオ殿下に気が付かないふりをして、スッとお父様の手を握った。そして
「殿下、わざわざ送って下さらなくても大丈夫ですわ。私達はもう、婚約者ではないのですから。それでは失礼いたします」
何も知らない、悪意はありませんと言った無邪気な笑顔をみせ、殿下にそう伝えた。そう、もう私たちは婚約者という呪縛から、解き放たれたのだ。この国では、婚約者と婚約者候補では、天と地ほど扱いが違う。ちなみに殿下は婚約者候補を何人でも持つことが出来る代わりに、候補者たちは途中で辞退する事が出来る、比較的自由な制度なのだ。正し、婚約者候補になってから、1年は辞退できないが。その点は仕方がないだろう。
それに、婚約者から婚約者候補になるという事は、世間一般で言うと、ある意味婚約を破棄したと言っても過言ではない。わざわざ候補にするという事は、そういう事なのだ。きっと貴族界では、私と殿下が結婚する事はないという見解で纏まるはずだ。
「デイジー、確かに君は僕の婚約者候補に下がってしまったが、それでも候補であることは変わりない。だから、僕に送らせて欲しい」
今日のクラウディオ殿下、どうしてこうも食い下がってくるのかしら?面倒ね。仕方がない、これ以上押し問答をしていても仕方がないし、送ってもらいましょうか。
「分かりましたわ、ではお願いします」
にっこり微笑みお父様の手をギュッと握って歩き始めた。でもなぜか、私の反対側の手をスッと握った殿下。何なの、このおかしな光景は…
隣で色々と殿下が話しかけてくる。一体どうしたのだろう?今までは全く私に話し掛けてくることもなかったのに…私がまあリにもまともになったから、興味を持ったとか?要するに、興味本位という事ね。
まあいいわ。
そんな事を考えているうちに、門に着いた。
「殿下、送って下さり、ありがとうございます。それでは私はこれで失礼いたしますわ」
「ああ、今日はわざわざ来てくれてありがとう。また…その、王宮にもいつでも遊びに来て欲しい」
「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」
お父様と一緒に、馬車に乗り込んだ。なんだか今日は疲れたわ。私はどうしても、病んだ殿下のイメージが強いのよね。不敵な笑みを浮かべ、ルイーダ様を監禁するクラウディオ殿下の姿が脳裏に浮かぶ。
その瞬間、背筋がぞくっとした。いずれルイーダ様と殿下が結ばれるとわかっていても、やっぱりこれ以上は殿下には関わらない方がよさそうだ。
「デイジー、大丈夫かい?そんなにぐったりとして、可哀そうに。病み上がりなのに殿下に連れまわされて、疲れたのだろう。それにしてもあの男、デイジーよりも別の令嬢を庇ったくせに、デイジーとの婚約破棄を拒むだなんて図々しい。大丈夫だよ、デイジー、婚約者候補は、1年経てば解消できるんだ。1年後、すぐに解消すればいい!」
「ありがとうございます、お父様。ぜひそうさせていただきますわ。ただ、殿下も今まで色々と私の事で苦労したのでしょう。ですから、あまり殿下を悪く言わないであげて下さい」
「あんな男を庇うのかい?デイジーは優しいな。とにかく1年後、すぐに婚約者候補を辞退しよう。大丈夫だ、お父様がデイジーに合う殿方を探してあげるからね」
そう言ってほほ笑んでくれたお父様。お父様もそう言ってくれているし、きっと大丈夫だろう。それに私には、1年後に婚約者候補を辞められるという、最強のカードを手に入れたのだから…
そう言って私を迎えに来てくれたのは、お父様だ。優しいお父様、嬉しくてついお父様に飛びついた。
「デイジーはまだまだ甘えん坊だな。私の可愛いデイジー」
いつもの様にお父様が私を甘やかす。そんなお父様が、私は大好きなのだが、でも、お父様のこの行動が、私の我が儘を助長させたのよね。漫画を読んでいた時は、お父様の事を本当にバカな親だと思っていたが、そんなバカな親にしたのは、私のせいでもあるだろう。
だからこそ、絶対にお父様を不幸にはさせない。お父様の笑顔を見て、改めてそう思った。
「それでは殿下、私はこれで失礼いたします。楽しいお茶の時間を、ありがとうございました」
「僕の方こそ、今日は君の事を色々と知れてよかった。僕たちは少し遠回りをしてしまった様だけれど、これからはもっとお互いの事を知っていこう」
そう言って私のほほ笑む殿下。この人は何を言っているのだろう。あなたはもうすぐ運命の令嬢と出会い、私の事が邪魔になるのだから。でも、もし私が邪魔になったら、無駄に真面目な殿下の事だ。
無下に婚約破棄出来ないという事で、私とお父様を亡き者にしようとしないかしら?ルイーダ様を手に入れる為に、時に残酷で強引な手段を使うクラウディオ殿下の姿を知っている。その為、どうしても警戒してしまうのだ。
とにかく、彼にはやはりあまり近づかない様にしよう。そして1年後、殿下とルイーダ様の仲が深まったところで、婚約者候補を辞退しよう。
婚約者候補を辞退したら、あとはルイーダ様が何とかしてくれるだろう。
「デイジー、黙り込んでどうしたんだい?せっかくだから、門まで送るよ」
笑顔で手を差し伸べてくれるクラウディオ殿下に気が付かないふりをして、スッとお父様の手を握った。そして
「殿下、わざわざ送って下さらなくても大丈夫ですわ。私達はもう、婚約者ではないのですから。それでは失礼いたします」
何も知らない、悪意はありませんと言った無邪気な笑顔をみせ、殿下にそう伝えた。そう、もう私たちは婚約者という呪縛から、解き放たれたのだ。この国では、婚約者と婚約者候補では、天と地ほど扱いが違う。ちなみに殿下は婚約者候補を何人でも持つことが出来る代わりに、候補者たちは途中で辞退する事が出来る、比較的自由な制度なのだ。正し、婚約者候補になってから、1年は辞退できないが。その点は仕方がないだろう。
それに、婚約者から婚約者候補になるという事は、世間一般で言うと、ある意味婚約を破棄したと言っても過言ではない。わざわざ候補にするという事は、そういう事なのだ。きっと貴族界では、私と殿下が結婚する事はないという見解で纏まるはずだ。
「デイジー、確かに君は僕の婚約者候補に下がってしまったが、それでも候補であることは変わりない。だから、僕に送らせて欲しい」
今日のクラウディオ殿下、どうしてこうも食い下がってくるのかしら?面倒ね。仕方がない、これ以上押し問答をしていても仕方がないし、送ってもらいましょうか。
「分かりましたわ、ではお願いします」
にっこり微笑みお父様の手をギュッと握って歩き始めた。でもなぜか、私の反対側の手をスッと握った殿下。何なの、このおかしな光景は…
隣で色々と殿下が話しかけてくる。一体どうしたのだろう?今までは全く私に話し掛けてくることもなかったのに…私がまあリにもまともになったから、興味を持ったとか?要するに、興味本位という事ね。
まあいいわ。
そんな事を考えているうちに、門に着いた。
「殿下、送って下さり、ありがとうございます。それでは私はこれで失礼いたしますわ」
「ああ、今日はわざわざ来てくれてありがとう。また…その、王宮にもいつでも遊びに来て欲しい」
「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」
お父様と一緒に、馬車に乗り込んだ。なんだか今日は疲れたわ。私はどうしても、病んだ殿下のイメージが強いのよね。不敵な笑みを浮かべ、ルイーダ様を監禁するクラウディオ殿下の姿が脳裏に浮かぶ。
その瞬間、背筋がぞくっとした。いずれルイーダ様と殿下が結ばれるとわかっていても、やっぱりこれ以上は殿下には関わらない方がよさそうだ。
「デイジー、大丈夫かい?そんなにぐったりとして、可哀そうに。病み上がりなのに殿下に連れまわされて、疲れたのだろう。それにしてもあの男、デイジーよりも別の令嬢を庇ったくせに、デイジーとの婚約破棄を拒むだなんて図々しい。大丈夫だよ、デイジー、婚約者候補は、1年経てば解消できるんだ。1年後、すぐに解消すればいい!」
「ありがとうございます、お父様。ぜひそうさせていただきますわ。ただ、殿下も今まで色々と私の事で苦労したのでしょう。ですから、あまり殿下を悪く言わないであげて下さい」
「あんな男を庇うのかい?デイジーは優しいな。とにかく1年後、すぐに婚約者候補を辞退しよう。大丈夫だ、お父様がデイジーに合う殿方を探してあげるからね」
そう言ってほほ笑んでくれたお父様。お父様もそう言ってくれているし、きっと大丈夫だろう。それに私には、1年後に婚約者候補を辞められるという、最強のカードを手に入れたのだから…
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