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第3話:王宮へ向かいます
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翌日、ドレスに着替え、お父様と一緒に馬車に乗り込んだ。
するとなぜかお父様が私を見て嬉しそうな顔をしている。
「お父様、どうしたのですか?」
「イヤ…その、そうやって落ち着いて座っていると、デイジーの亡くなった母親を思い出すよ。君の母親は、いつも落ち着いているタイプの女性でね。それでいて誰にでも優しくて、芯の通ったとても素敵な女性だったんだ」
「そうだったのですね。そう言えばお父様がお母様の話をするのは、今日が初めてですわね」
今までの私は、あまり人の話しを聞くタイプではなかった為、お父様もお母様の話をする機会がなかったのだろう。お母様は私が1歳の時に、病気で亡くなってしまった。だから、肖像画でしか見た事がないが、今の私によく似ているのだ。
「そうだね、デイジー、君は本当に母親によく似ている。今のデイジーを見ていると、亡くなったシャリーを思い出すよ」
そう言ってお父様が寂しそうに笑った。最愛のお母様を亡くし、悲しんでいる暇もなく必死に私を育ててくれたお父様。そんなお父様を、私の我が儘のせいで殺すわけにはいかない!
お父様の手をそっと握った。
「お父様、私を今まで大切に育てて下さり、ありがとうございます。今まで沢山我が儘を言い、困らせてきましたが、これからは私がお父様を支えますわ」
「あぁ…デイジー。なんて嬉しい事を言ってくれるんだ!私の可愛いデイジー」
涙をポロポロ流しながら、私を抱きしめてくれるお父様。私のたった1人の肉親。私の大切な人、お父様を悲しませないためにも、やはり私が公爵家を継ごう。そして、ジャック様と結婚…なんて、つい都合のいい事を考えてしまう。
とにかく、まずは婚約を白紙に戻してもらわないと。白紙にさえ戻してしまえば、後はクラウディオ殿下とルイーダ様は勝手にくっ付くだろう。そして私は…
ついニヤニヤが止まらない。
そうしている間に、王宮に着いた。
「さあ、お父様、着きましたよ。いつまでも泣いていないで、参りましょう」
お父様にハンカチを渡し、馬車から降りた。
「あぁ…神様。いいや、シャリー、きっと君が、我が儘だったデイジーの心を入れ替えてくれたんだね。ありがとう…本当にありがとう」
なぜかお父様が、天に向かって拝んでいる。お父様も私が我が儘だと思っていたのね…まあ、確かに我が儘だったけれど…何とも言えない気持ちになった。
「お父様、そろそろ行きましょう」
「ああ、そうだな。行こうか」
満面の笑みを浮かべたお父様と一緒に、王族が待つ部屋へと向かう。そして部屋に入ると、そこには陛下と王妃様、さらにクラウディオ殿下が待っていた。
「デイジーちゃん、怪我はもう大丈夫なの?クラウディオが本当にごめんなさい。でも、あの子もわざとあなたを階段から突き落としたわけではないのよ。だから、婚約を白紙に戻したいだなんて、そんな事を言わないで」
目に涙をたっぷり溜めた王妃様が、私の手を握り必死に訴えかけてくる。
「王妃様、落ち着いて下さい。今回の件は、私が令嬢たちに言いがかりをつけた事がすべてもの原因なのです。あの様な公の場で醜くも嫉妬心を晒した私が、このままクラウディオ殿下の婚約者にいていい訳がないのです。どうか、一度婚約を白紙に戻してくださいませんでしょうか?お願いいたします」
王妃様に頭を下げる。
「…」
あら?返事がないわね。おかしいと思い、ゆっくりと頭を上げると、目を大きく見開き、口をポカンと開けている王妃様の姿が。奥では同じ様に目を見開き、口を開けて固まっている陛下とクラウディオ殿下の姿も目に入った。
「王族の皆様、デイジーは階段から落ちて頭を打ったはずみで、人格が変わってしまった様で…昨日医者に調べてもらいましたが、そういう事もあるのだとか…」
「何と!それでデイジー嬢が敬語を。それに、謝罪の言葉を述べたのだな。それにしても、信じられないな…」
あり得ないと言った表情で呟く陛下。確かに記憶を取り戻す前の私は酷かったが、そんなに驚かなくても…
「とにかく、私は嫉妬に狂い醜い姿を晒してしまった事を、恥じております。ですので、一旦婚約を白紙に戻してください。どうかお願いします。きっと天国にいる母も、私と同じ気持ちだと思います。母はきっと、誰よりも私の事を一番に考えてくれていると思いますので」
あえて王妃様の前で、お母様の話を出した。
「でも…」
渋い顔をする王妃様。
「王妃殿下、確かにシャリーとあなた様は、お互いの子供を結婚させようという話をしていたことは知っております。でも、それはお互い独身の時の話でしょう?我が妻シャリーは亡くなる寸前、私にこう言いました。“どうかデイジーを…お願いします…母親がいない分、あなたが幸せにしてあげて下さい”と。ですから私は、デイジーの幸せを願い、彼女の気持ちを尊重したいのです」
「王妃様、私は一旦自分を見つめ直す時間が欲しいのです。それにクラウディオ殿下も、私の事を嫌っているのではありませんか?お互い愛していないのに、本当に私たちが幸せになれるとお思いですか?お母様がそれを望んでいるとでも?」
必死にお父様と一緒に、王妃様に訴えかける。
「確かに、デイジーちゃんの言う通りね。私、あなた達を結婚させる事ばかり考えていて、肝心のあなた達の気持ちを考えていなかったわ…」
よし、王妃様の心が動いたわ。これで婚約破棄出来そうね。
するとなぜかお父様が私を見て嬉しそうな顔をしている。
「お父様、どうしたのですか?」
「イヤ…その、そうやって落ち着いて座っていると、デイジーの亡くなった母親を思い出すよ。君の母親は、いつも落ち着いているタイプの女性でね。それでいて誰にでも優しくて、芯の通ったとても素敵な女性だったんだ」
「そうだったのですね。そう言えばお父様がお母様の話をするのは、今日が初めてですわね」
今までの私は、あまり人の話しを聞くタイプではなかった為、お父様もお母様の話をする機会がなかったのだろう。お母様は私が1歳の時に、病気で亡くなってしまった。だから、肖像画でしか見た事がないが、今の私によく似ているのだ。
「そうだね、デイジー、君は本当に母親によく似ている。今のデイジーを見ていると、亡くなったシャリーを思い出すよ」
そう言ってお父様が寂しそうに笑った。最愛のお母様を亡くし、悲しんでいる暇もなく必死に私を育ててくれたお父様。そんなお父様を、私の我が儘のせいで殺すわけにはいかない!
お父様の手をそっと握った。
「お父様、私を今まで大切に育てて下さり、ありがとうございます。今まで沢山我が儘を言い、困らせてきましたが、これからは私がお父様を支えますわ」
「あぁ…デイジー。なんて嬉しい事を言ってくれるんだ!私の可愛いデイジー」
涙をポロポロ流しながら、私を抱きしめてくれるお父様。私のたった1人の肉親。私の大切な人、お父様を悲しませないためにも、やはり私が公爵家を継ごう。そして、ジャック様と結婚…なんて、つい都合のいい事を考えてしまう。
とにかく、まずは婚約を白紙に戻してもらわないと。白紙にさえ戻してしまえば、後はクラウディオ殿下とルイーダ様は勝手にくっ付くだろう。そして私は…
ついニヤニヤが止まらない。
そうしている間に、王宮に着いた。
「さあ、お父様、着きましたよ。いつまでも泣いていないで、参りましょう」
お父様にハンカチを渡し、馬車から降りた。
「あぁ…神様。いいや、シャリー、きっと君が、我が儘だったデイジーの心を入れ替えてくれたんだね。ありがとう…本当にありがとう」
なぜかお父様が、天に向かって拝んでいる。お父様も私が我が儘だと思っていたのね…まあ、確かに我が儘だったけれど…何とも言えない気持ちになった。
「お父様、そろそろ行きましょう」
「ああ、そうだな。行こうか」
満面の笑みを浮かべたお父様と一緒に、王族が待つ部屋へと向かう。そして部屋に入ると、そこには陛下と王妃様、さらにクラウディオ殿下が待っていた。
「デイジーちゃん、怪我はもう大丈夫なの?クラウディオが本当にごめんなさい。でも、あの子もわざとあなたを階段から突き落としたわけではないのよ。だから、婚約を白紙に戻したいだなんて、そんな事を言わないで」
目に涙をたっぷり溜めた王妃様が、私の手を握り必死に訴えかけてくる。
「王妃様、落ち着いて下さい。今回の件は、私が令嬢たちに言いがかりをつけた事がすべてもの原因なのです。あの様な公の場で醜くも嫉妬心を晒した私が、このままクラウディオ殿下の婚約者にいていい訳がないのです。どうか、一度婚約を白紙に戻してくださいませんでしょうか?お願いいたします」
王妃様に頭を下げる。
「…」
あら?返事がないわね。おかしいと思い、ゆっくりと頭を上げると、目を大きく見開き、口をポカンと開けている王妃様の姿が。奥では同じ様に目を見開き、口を開けて固まっている陛下とクラウディオ殿下の姿も目に入った。
「王族の皆様、デイジーは階段から落ちて頭を打ったはずみで、人格が変わってしまった様で…昨日医者に調べてもらいましたが、そういう事もあるのだとか…」
「何と!それでデイジー嬢が敬語を。それに、謝罪の言葉を述べたのだな。それにしても、信じられないな…」
あり得ないと言った表情で呟く陛下。確かに記憶を取り戻す前の私は酷かったが、そんなに驚かなくても…
「とにかく、私は嫉妬に狂い醜い姿を晒してしまった事を、恥じております。ですので、一旦婚約を白紙に戻してください。どうかお願いします。きっと天国にいる母も、私と同じ気持ちだと思います。母はきっと、誰よりも私の事を一番に考えてくれていると思いますので」
あえて王妃様の前で、お母様の話を出した。
「でも…」
渋い顔をする王妃様。
「王妃殿下、確かにシャリーとあなた様は、お互いの子供を結婚させようという話をしていたことは知っております。でも、それはお互い独身の時の話でしょう?我が妻シャリーは亡くなる寸前、私にこう言いました。“どうかデイジーを…お願いします…母親がいない分、あなたが幸せにしてあげて下さい”と。ですから私は、デイジーの幸せを願い、彼女の気持ちを尊重したいのです」
「王妃様、私は一旦自分を見つめ直す時間が欲しいのです。それにクラウディオ殿下も、私の事を嫌っているのではありませんか?お互い愛していないのに、本当に私たちが幸せになれるとお思いですか?お母様がそれを望んでいるとでも?」
必死にお父様と一緒に、王妃様に訴えかける。
「確かに、デイジーちゃんの言う通りね。私、あなた達を結婚させる事ばかり考えていて、肝心のあなた達の気持ちを考えていなかったわ…」
よし、王妃様の心が動いたわ。これで婚約破棄出来そうね。
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