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第1話:前世の記憶を取り戻しました
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「う…ん」
ゆっくり瞼を上げると、物凄く立派なシャンデリアが目に入る。何なの…ここは…ヨーロッパのお城?
「お嬢様、目を覚まされたのですね!よかったですわ。すぐに旦那様をお呼びいたしますね」
近くにいたメイドが、目に涙を浮かべながら出て行った。あの子は確か…私の専属メイドのジェシカだわ。ここは、私の部屋?そう…私は…
「デイジー!あぁ、よかった。私の可愛いデイジーが目を覚ましたんだね。本当によかった!!」
美しい金髪をした男性が、涙を流しながら私を抱きしめている。この人は…私のお父様だ…
「可哀そうに、殿下に階段から突き落とされたと聞いて、本当にびっくりしたよ。あの男、自分の婚約者を階段から突き落とすだなんて、恐ろしい男だ!しっかり抗議をしておいたからな」
殿下に階段から突き落とされた?あれ?私…
「お父様、私は大丈夫よ。ただ、もう少し休みたいの」
「ああ、わかったよ。ゆっくり休みなさい。それじゃあ、私たちは外に出ているから、何かあったらすぐに呼ぶのだよ。私の可愛いデイジー」
“私の可愛いデイジー”この言葉、どこかで聞いたことがあるわ…それに…
近くにあった姿鏡を見る。オレンジ色の髪に少し吊り上がったエメラルドグリーンの瞳…それに、デイジーという名前…あれ?何だろう、この違和感…
そもそも私、どうしてベッドに寝ているのかしら?
混乱する頭を、必死に働かせる。
そうだわ、確か私の15歳の誕生日パーティーの時、私の婚約者でもあるクラウディオ殿下に色目を使っていた令嬢を呼び出して、文句を言っていたのよね。そこにクラウディオ殿下が現れ、彼女たちを庇うものだから、クラウディオ殿下と言い合いになって、それで…
それで階段から落ちたのだわ。それにしても、いくら殿下が好きだからって、近づく令嬢に文句を言うだなんて、性格の悪い女ね。
ん?性格の悪い女?
再び私は、姿鏡を見る。
「この顔…どこかで見た事があるわ…そうよ、クラウディオ殿下に殺される、悪役令嬢のデイジーだわ!という事は…」
そう、私はどうやら階段から落ちて頭を打った時、前世の記憶を取り戻したのだ。そして私は、前世で大好きだった漫画に出てくる、悪役令嬢デイジーに転生している事に気が付いてしまったのだ。
「どうしてよりによって、あの漫画の登場人物に転生するのよ…最悪だわ…」
がっくりと肩を落とす。それもそのはず、私はヒロインでもある子爵令嬢、ルイーダ様を毒殺しようとして、処刑させられてしまうのだ。そしてこの漫画の恐ろしいところは、ヒロインもあるルイーダ様も、ある意味バッドエンドで終わるという点。
そう、クラウディオ殿下が、俗にいうヤンデレなのだ。
漫画の内容はこうだ。
我が儘で傲慢な公爵令嬢で婚約者のデイジーにふりまわされ、毎日辛い思いをしていたクラウディオ殿下。そんな中、子爵令嬢のルイーダ様に出会う。心優しいルイーダ様に次第に惹かれていくクラウディオ殿下。
そんな2人に怒り狂うデイジーは、あの手この手でルイーダ様に嫌がらせをする。最後には父親を巻き込み、ルイーダ様を毒殺しようとするが、既に病んでしまったクラウディオ殿下は常にルイーダ様を監視していた為、あっさりデイジーは捕まる。
さすがに貴族を殺めようとしたという事で、私とお父様は処刑されてしまうのだ。婚約者のデイジーがいなくなったことで、一気に動き出すクラウディオ殿下。あれよあれよという間にルイーダ様は、囚われてしまうというお話しなのだ。
段々とルイーダ様に執着し、病んでいくクラウディオ殿下。見ている分には非常に面白く、囚われていくルイーダ様を見ながら1人ニヤニヤしていたものだ。
まさか自分がその漫画の登場人物に転生するだなんて。それもよりによって悪役令嬢だなんて…
そもそも私は、公爵令息でクラウディオ殿下の親友のジャック様推しだったのよね。いつも冷静で、殿下の事を考えていて、本当に素敵な男性なのだ。まあ、クラウディオ様もなんだかんだ言って、結構好きだったのだが…
て、今はそんな事を考えている場合ではないわ。このままいくと、私もお父様も殺されてしまう。でも待てよ。
私が2人の仲を邪魔しなければ、別に殺される事もないのよね。そもそも私は、クレスティン公爵家の一人娘なのだ。という事は、さっさとクラウディオ殿下と婚約破棄をして、ジャック様と結婚出来たら…
考えただけで、ニヤニヤが止まらない。でも、婚約破棄ってそう簡単に出来る物ではないのよね…
もう、どうして婚約する前に、前世の記憶が戻らなかったのかしら?婚約する前に戻っていたら、殿下と婚約何て…て、私と殿下が婚約をしたのは、私たちが3歳の時。亡くなった私のお母様と王妃様は親友同士で、親友の忘れ形見でもある私と自分の息子を結婚させたいと王妃様が訴えたために、私たちは婚約したのだ。
もう、王妃様ったら。それで大切な親友の忘れ形見が処刑されたら、意味がないじゃない!て、王妃様に怒っても仕方がない。
今私たちは15歳、来年には貴族学院に入学する。そこでヒロインのルイーダ様が登場するのだ。それまでに、出来れば婚約破棄をしたい。
よし、早速行動に移さないと。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いしますm(__)m
ゆっくり瞼を上げると、物凄く立派なシャンデリアが目に入る。何なの…ここは…ヨーロッパのお城?
「お嬢様、目を覚まされたのですね!よかったですわ。すぐに旦那様をお呼びいたしますね」
近くにいたメイドが、目に涙を浮かべながら出て行った。あの子は確か…私の専属メイドのジェシカだわ。ここは、私の部屋?そう…私は…
「デイジー!あぁ、よかった。私の可愛いデイジーが目を覚ましたんだね。本当によかった!!」
美しい金髪をした男性が、涙を流しながら私を抱きしめている。この人は…私のお父様だ…
「可哀そうに、殿下に階段から突き落とされたと聞いて、本当にびっくりしたよ。あの男、自分の婚約者を階段から突き落とすだなんて、恐ろしい男だ!しっかり抗議をしておいたからな」
殿下に階段から突き落とされた?あれ?私…
「お父様、私は大丈夫よ。ただ、もう少し休みたいの」
「ああ、わかったよ。ゆっくり休みなさい。それじゃあ、私たちは外に出ているから、何かあったらすぐに呼ぶのだよ。私の可愛いデイジー」
“私の可愛いデイジー”この言葉、どこかで聞いたことがあるわ…それに…
近くにあった姿鏡を見る。オレンジ色の髪に少し吊り上がったエメラルドグリーンの瞳…それに、デイジーという名前…あれ?何だろう、この違和感…
そもそも私、どうしてベッドに寝ているのかしら?
混乱する頭を、必死に働かせる。
そうだわ、確か私の15歳の誕生日パーティーの時、私の婚約者でもあるクラウディオ殿下に色目を使っていた令嬢を呼び出して、文句を言っていたのよね。そこにクラウディオ殿下が現れ、彼女たちを庇うものだから、クラウディオ殿下と言い合いになって、それで…
それで階段から落ちたのだわ。それにしても、いくら殿下が好きだからって、近づく令嬢に文句を言うだなんて、性格の悪い女ね。
ん?性格の悪い女?
再び私は、姿鏡を見る。
「この顔…どこかで見た事があるわ…そうよ、クラウディオ殿下に殺される、悪役令嬢のデイジーだわ!という事は…」
そう、私はどうやら階段から落ちて頭を打った時、前世の記憶を取り戻したのだ。そして私は、前世で大好きだった漫画に出てくる、悪役令嬢デイジーに転生している事に気が付いてしまったのだ。
「どうしてよりによって、あの漫画の登場人物に転生するのよ…最悪だわ…」
がっくりと肩を落とす。それもそのはず、私はヒロインでもある子爵令嬢、ルイーダ様を毒殺しようとして、処刑させられてしまうのだ。そしてこの漫画の恐ろしいところは、ヒロインもあるルイーダ様も、ある意味バッドエンドで終わるという点。
そう、クラウディオ殿下が、俗にいうヤンデレなのだ。
漫画の内容はこうだ。
我が儘で傲慢な公爵令嬢で婚約者のデイジーにふりまわされ、毎日辛い思いをしていたクラウディオ殿下。そんな中、子爵令嬢のルイーダ様に出会う。心優しいルイーダ様に次第に惹かれていくクラウディオ殿下。
そんな2人に怒り狂うデイジーは、あの手この手でルイーダ様に嫌がらせをする。最後には父親を巻き込み、ルイーダ様を毒殺しようとするが、既に病んでしまったクラウディオ殿下は常にルイーダ様を監視していた為、あっさりデイジーは捕まる。
さすがに貴族を殺めようとしたという事で、私とお父様は処刑されてしまうのだ。婚約者のデイジーがいなくなったことで、一気に動き出すクラウディオ殿下。あれよあれよという間にルイーダ様は、囚われてしまうというお話しなのだ。
段々とルイーダ様に執着し、病んでいくクラウディオ殿下。見ている分には非常に面白く、囚われていくルイーダ様を見ながら1人ニヤニヤしていたものだ。
まさか自分がその漫画の登場人物に転生するだなんて。それもよりによって悪役令嬢だなんて…
そもそも私は、公爵令息でクラウディオ殿下の親友のジャック様推しだったのよね。いつも冷静で、殿下の事を考えていて、本当に素敵な男性なのだ。まあ、クラウディオ様もなんだかんだ言って、結構好きだったのだが…
て、今はそんな事を考えている場合ではないわ。このままいくと、私もお父様も殺されてしまう。でも待てよ。
私が2人の仲を邪魔しなければ、別に殺される事もないのよね。そもそも私は、クレスティン公爵家の一人娘なのだ。という事は、さっさとクラウディオ殿下と婚約破棄をして、ジャック様と結婚出来たら…
考えただけで、ニヤニヤが止まらない。でも、婚約破棄ってそう簡単に出来る物ではないのよね…
もう、どうして婚約する前に、前世の記憶が戻らなかったのかしら?婚約する前に戻っていたら、殿下と婚約何て…て、私と殿下が婚約をしたのは、私たちが3歳の時。亡くなった私のお母様と王妃様は親友同士で、親友の忘れ形見でもある私と自分の息子を結婚させたいと王妃様が訴えたために、私たちは婚約したのだ。
もう、王妃様ったら。それで大切な親友の忘れ形見が処刑されたら、意味がないじゃない!て、王妃様に怒っても仕方がない。
今私たちは15歳、来年には貴族学院に入学する。そこでヒロインのルイーダ様が登場するのだ。それまでに、出来れば婚約破棄をしたい。
よし、早速行動に移さないと。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いしますm(__)m
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