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第16話:アリアを利用するあの男から引き離そう!~ワイアット視点~
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さて、どうやってあの男からアリアを引き離そうか。残念ながら、アリアはあの男に夢中だ。説得したところできっと聞かないだろう。
自室に戻って、アリアの姿絵を眺める。そう、俺は絵師にアリアの姿絵を何枚も書かせているのだ。さすがにその絵を部屋に飾る事は出来ないので、こうやって毎日こっそり眺めている。にっこり微笑むアリアの姿絵を見ている時が、一番幸せだ。
「アリア、必ず君を手に入れる!待っていてね」
アリアの姿絵に口付けをした。早く本物を手に入れたい…アリア、愛しているよ…
ただ、いい作戦が思いつかないまま月日が流れ、俺は貴族学院3年になった。このまま行けば、貴族学院を卒業する1年後には、アリアの姿を見られる回数は格段に減る。とにかく、何とかしてカーターからアリアを引き離さないと!
そんなある日、母上が妹のスカーレットの婚約者を探すと言い出した。そう言えば、スカーレットは14歳だ。そろそろ婚約者を作ってもいい年頃だ。
正直言うと、俺は妹があまり好きではない。母上に見た目がよく似ているスカーレットは、父上の寵愛を受けて育った。そのせいで、物凄く我が儘で傲慢な性格をしている。ちょこちょこ令嬢と揉めて、そのたびに父上がもみ消しているトラブルメーカーなのだ。
そうだ、こいつをカーターの婚約者にすればいいんだ。早速スカーレットの元へと向かった。
「スカーレット、お前も婚約者を決めろと、母上に言われているんだろ?気に入った令息は見つかったかい?」
「あらお兄様。それが見つからないのよね!どいつもこいつも、平凡な男ばかりで嫌になるわ」
「それなら、サンテェルム侯爵家のカーターはどうだ。あいつは見た目もそれなりに美しいし、それに聡明で優秀と聞く」
「カーター?ああ、美しく聡明なアリア嬢が夢中になっている男ね。確かに悪くはないわね。それに、完璧令嬢と名高いアリア嬢がお熱をあげている男を私の婚約者にしたら、私の格もグンと上がるわね。お兄様、珍しく良い提案をしてくれたわね。早速カーターに婚約を申し込むわ」
ニヤリと笑ったスカーレット。相変わらず性格の悪い女だ。でもスカーレットは見た目だけは美しいし、身分も高い。あのカーターならきっとこの話に食いつくだろう。
俺の予想通り、カーターはスカーレットと婚約を結ぶことを約束した。早速貴族中に使いを出させ、2人が婚約を結ぶ事を報告した。
アリアはきっと悲しむだろうな。でも、これは俺と幸せになる為の試練なんだ。可哀そうだが、どうか耐えてくれ!
案の定、アリアはショックのあまり、学院を休んでいる。さすがにアリアが可哀そうだ!そうだ!俺はある人物を呼び出した。そう、古くからの友人でもあるアルフレッドだ。アルフレッドにある人物を連れて来てもらう為に!
「ワイアット、お前が俺を呼び出すなんて珍しいな。ほら、モカを連れて来たぞ。でもこれだけは覚えておけよ!モカは俺の大切な婚約者だ!奪おうとしてもダメだからな!」
「その心配はない。今日はバービレス嬢にお願いがあってね」
「私にですか?」
不安そうな顔でこちらを見ているバービレス嬢。伯爵令嬢の彼女が、王太子でもある俺に呼び出されたのだ。緊張するなと言う方が無理だろう。
「単刀直入に言おう。アリアがあの男のせいで随分傷ついている。君はアリアの親友だろう?一度屋敷を訪ねて慰めてあげて欲しい」
俺の言葉でかなり動揺しているバービレス嬢。それもそうだろう。俺の口から親友の名前が出たのだから。
「あ…あの…アリアと王太子殿下は顔見知りなのですか?どういったご関係で?」
「ただの片思いだよ!俺はずっとアリアが好きなんだ。だからアリアがあんな薄情な男の為に涙を流すのが、耐えられないんだ!ほとぼりが冷めたら、いずれアリアを俺の婚約者にしようと思っている」
俺の話を聞き、まだ動揺しているバービレス嬢だか、彼女もかなり優秀だ。状況がのみ込めた様で
「分かりました。私にとってもアリアは大切な友人です。正直、私もこのままではアリアはずっとカーター様に縛られ、幸せになれないのではないかと心配しておりましたから…それに、私もアリアの力になりたいと思っていたのです。屋敷に何度も足を運ぼうと思ったものの、なんと声を掛けていいのかわからず、二の足を踏んでおりました。でも殿下の言葉で、私も決心がつきましたわ。今からアリアの元に向かいます」
「ありがとう、もちろん、褒美は弾むよ」
「褒美など要りません!そんなものを受け取ってしまったら、アリアとの友情が壊れてしまいますわ!そもそも、アリアにはアルフレッド様の件でかなり世話になっております。アリアが背中を押してくれなければ、きっとアルフレッド様と婚約は出来ませんでしたので。今度は私がアリアの幸せを手助けする番です!」
そうはっきり言い切ったバービレス嬢。
「俺も協力するよ。アリア嬢には本当に世話になったんだ」
「ありがとう、とにかく今はアリアのケアに全力を尽くそう。悪いがバービレス嬢、頼めるかい?」
「もちろんです!早速今からアリアの元に行って参りますわ!それでは、失礼します!」
物凄い勢いで出て行こうとするバービレス嬢。
「ちょっと待って!俺とバービレス嬢が繋がっているという事は、アリアには内緒にしておいて欲しい」
「もちろんです!それでは急ぎますので!」
翌日、バービレス嬢に連れられ、学院にやって来たアリア。少しやつれている姿を見るのはやっぱり辛いが、バービレス嬢を始め、クラスの令嬢たちがアリアを気に掛けてくれているみたいだ。
どうやらアリアは、ただカーターに熱を上げていただけでなく、他の令嬢たちの世話もせっせと焼いていたらしい。そのおかげで
「アリアが傷ついている今、私たちがしっかりサポートしましょう!」
と、かなり令嬢たちが強くまとまっているとバービレス嬢が教えてくれた。よし、土台は整った。後は俺とアリアが婚約を結べば完璧だ。
自室に戻って、アリアの姿絵を眺める。そう、俺は絵師にアリアの姿絵を何枚も書かせているのだ。さすがにその絵を部屋に飾る事は出来ないので、こうやって毎日こっそり眺めている。にっこり微笑むアリアの姿絵を見ている時が、一番幸せだ。
「アリア、必ず君を手に入れる!待っていてね」
アリアの姿絵に口付けをした。早く本物を手に入れたい…アリア、愛しているよ…
ただ、いい作戦が思いつかないまま月日が流れ、俺は貴族学院3年になった。このまま行けば、貴族学院を卒業する1年後には、アリアの姿を見られる回数は格段に減る。とにかく、何とかしてカーターからアリアを引き離さないと!
そんなある日、母上が妹のスカーレットの婚約者を探すと言い出した。そう言えば、スカーレットは14歳だ。そろそろ婚約者を作ってもいい年頃だ。
正直言うと、俺は妹があまり好きではない。母上に見た目がよく似ているスカーレットは、父上の寵愛を受けて育った。そのせいで、物凄く我が儘で傲慢な性格をしている。ちょこちょこ令嬢と揉めて、そのたびに父上がもみ消しているトラブルメーカーなのだ。
そうだ、こいつをカーターの婚約者にすればいいんだ。早速スカーレットの元へと向かった。
「スカーレット、お前も婚約者を決めろと、母上に言われているんだろ?気に入った令息は見つかったかい?」
「あらお兄様。それが見つからないのよね!どいつもこいつも、平凡な男ばかりで嫌になるわ」
「それなら、サンテェルム侯爵家のカーターはどうだ。あいつは見た目もそれなりに美しいし、それに聡明で優秀と聞く」
「カーター?ああ、美しく聡明なアリア嬢が夢中になっている男ね。確かに悪くはないわね。それに、完璧令嬢と名高いアリア嬢がお熱をあげている男を私の婚約者にしたら、私の格もグンと上がるわね。お兄様、珍しく良い提案をしてくれたわね。早速カーターに婚約を申し込むわ」
ニヤリと笑ったスカーレット。相変わらず性格の悪い女だ。でもスカーレットは見た目だけは美しいし、身分も高い。あのカーターならきっとこの話に食いつくだろう。
俺の予想通り、カーターはスカーレットと婚約を結ぶことを約束した。早速貴族中に使いを出させ、2人が婚約を結ぶ事を報告した。
アリアはきっと悲しむだろうな。でも、これは俺と幸せになる為の試練なんだ。可哀そうだが、どうか耐えてくれ!
案の定、アリアはショックのあまり、学院を休んでいる。さすがにアリアが可哀そうだ!そうだ!俺はある人物を呼び出した。そう、古くからの友人でもあるアルフレッドだ。アルフレッドにある人物を連れて来てもらう為に!
「ワイアット、お前が俺を呼び出すなんて珍しいな。ほら、モカを連れて来たぞ。でもこれだけは覚えておけよ!モカは俺の大切な婚約者だ!奪おうとしてもダメだからな!」
「その心配はない。今日はバービレス嬢にお願いがあってね」
「私にですか?」
不安そうな顔でこちらを見ているバービレス嬢。伯爵令嬢の彼女が、王太子でもある俺に呼び出されたのだ。緊張するなと言う方が無理だろう。
「単刀直入に言おう。アリアがあの男のせいで随分傷ついている。君はアリアの親友だろう?一度屋敷を訪ねて慰めてあげて欲しい」
俺の言葉でかなり動揺しているバービレス嬢。それもそうだろう。俺の口から親友の名前が出たのだから。
「あ…あの…アリアと王太子殿下は顔見知りなのですか?どういったご関係で?」
「ただの片思いだよ!俺はずっとアリアが好きなんだ。だからアリアがあんな薄情な男の為に涙を流すのが、耐えられないんだ!ほとぼりが冷めたら、いずれアリアを俺の婚約者にしようと思っている」
俺の話を聞き、まだ動揺しているバービレス嬢だか、彼女もかなり優秀だ。状況がのみ込めた様で
「分かりました。私にとってもアリアは大切な友人です。正直、私もこのままではアリアはずっとカーター様に縛られ、幸せになれないのではないかと心配しておりましたから…それに、私もアリアの力になりたいと思っていたのです。屋敷に何度も足を運ぼうと思ったものの、なんと声を掛けていいのかわからず、二の足を踏んでおりました。でも殿下の言葉で、私も決心がつきましたわ。今からアリアの元に向かいます」
「ありがとう、もちろん、褒美は弾むよ」
「褒美など要りません!そんなものを受け取ってしまったら、アリアとの友情が壊れてしまいますわ!そもそも、アリアにはアルフレッド様の件でかなり世話になっております。アリアが背中を押してくれなければ、きっとアルフレッド様と婚約は出来ませんでしたので。今度は私がアリアの幸せを手助けする番です!」
そうはっきり言い切ったバービレス嬢。
「俺も協力するよ。アリア嬢には本当に世話になったんだ」
「ありがとう、とにかく今はアリアのケアに全力を尽くそう。悪いがバービレス嬢、頼めるかい?」
「もちろんです!早速今からアリアの元に行って参りますわ!それでは、失礼します!」
物凄い勢いで出て行こうとするバービレス嬢。
「ちょっと待って!俺とバービレス嬢が繋がっているという事は、アリアには内緒にしておいて欲しい」
「もちろんです!それでは急ぎますので!」
翌日、バービレス嬢に連れられ、学院にやって来たアリア。少しやつれている姿を見るのはやっぱり辛いが、バービレス嬢を始め、クラスの令嬢たちがアリアを気に掛けてくれているみたいだ。
どうやらアリアは、ただカーターに熱を上げていただけでなく、他の令嬢たちの世話もせっせと焼いていたらしい。そのおかげで
「アリアが傷ついている今、私たちがしっかりサポートしましょう!」
と、かなり令嬢たちが強くまとまっているとバービレス嬢が教えてくれた。よし、土台は整った。後は俺とアリアが婚約を結べば完璧だ。
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