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第2章
第26話:奇跡が起きました
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モカラが私の隣で必死に叫んでいる。でもしばらくすると、また痛みが落ち着いた。
「モカラ、びっくりさせてごめんね、もう痛くないわ」
「ローラ様、いつから陣痛が始まったのですか?その痛み様では、かなり前から陣痛が来ていたのではないですか?とにかく、隣の部屋へ」
そう言って、別の部屋に連れて行こうとするモカラ。
「待って、モカラ。お願い、アーサー様の側で産ませて!ほら、その為にあそこにベッドも準備しているし」
そう、私は最初からこの部屋で出産できるよう、予めベッドを準備しておいたのだ。
「あのベッドは出産する為の物だったのですか。はぁ、ローラ様はもう…分かりました、とにかく…」
「イタタタタタタ」
モカラと話しをしている間に、再び陣痛に襲われる。今度もかなり痛みが強い。そして、どうやら破水した様だ。
「ローラ様!」
モカラの叫び声で、今度はダリアが飛んできた。
「ローラ様、大丈夫ですか?次の陣痛と陣痛の合間に、隣のベッドに移動しましょう。それから、破水しておりますね。モカラ、すぐにローラ様の着替えを準備して。あなた達、お湯と清潔なタオルをありったけ準備するのよ」
モカラと本家から来ているメイドたちに指示を出すダリア。さすが孫まで育てているだけの事はある。安心感が半端ない。
しばらくすると、陣痛が落ちついた。
「さあ、ローラ様、今のうちにベッドへ」
急いでベッドに移動しようとした時だった。無意識に繋いでいたアーサー様の手を離そうとした時、ふいに掴まれるような感触に襲われる。
もしかして…
ゆっくりアーサー様の方を見ると、瞳を閉じたまま。気のせい?そう思い、ベッドに移動しようとしたのだが、またしても手を掴まれる感触が…
再びアーサー様を見ると、ゆっくりと瞼が上がり、美しい水色の瞳と目が合った。
「ローラ…」
「アーサー様、目が覚められたのですね!」
嬉しくて、アーサー様に抱き着こうとした瞬間
「イタタタタタタ」
再び陣痛に襲われる。そんな私を見たアーサー様が
「おい、どうしたんだ!なぜローラがこんなにも苦しんでいるんだ。一体何が起こっているのだ。ローラ、しっかりしろ。すぐに医者を!」
隣で怒鳴りまくっていた。お願い…怒鳴らないで…それにしても、痛すぎる…
「アーサー様、意識が戻られたのですね。ローラ様はアーサー様の子供を身ごもっておられまして、そして今まさに出産しようとされております」
「何だって!ローラが俺の子を?いつの間にそんな事になっているんだ。とにかくベッドに寝かせろ」
その瞬間、再び痛みが和らいだ。
「アーサー様、目が覚めたのですね、良かったです」
アーサー様に抱き着こうとした瞬間
「ローラ様、今はとにかく出産に集中して下さい。さあ、あちらのベッドに。あなた達、すぐにローラ様の着替えを!」
急いでベッドに移動し、着替えを済ます。ただ、その間にやはり陣痛に襲われる。何とか着替えを済ませた頃、お医者様が到着した。
「おい、ローラが子供を産もうとしているらしい。一体どういう事だ!子供は大丈夫なのか?おい!聞いているのか、医者!」
「少しお黙り下さい!今から診察を行いますので。とにかくこの男を一旦外に」
お医者様の指示で外に出されるアーサー様。それにしても、五ヶ月近く寝ていたのに、既に動いている。凄い生命力ね…
「おい、なぜ俺を外に出す?俺はローラの夫だぞ。今すぐ入れろ!」
アーサー様が、ドンドンとドアを叩いている。しばらくすると、静かになった。
「そう言えば、公爵令息様は魔物討伐で大怪我を負い、意識が無くなっていたと伺いましたが…意識が戻られたのですね」
冷静に呟くお医者様。
「そんな事よりも赤ちゃんよね。う~ん、まだ産れそうにないですわね。今日の夜中くらいかしら?」
え?結構いたいのですが、夜中にしか産れないの?次の瞬間、また陣痛に襲われる。
「イタタタタタタ」
「ローラ、大丈夫か。俺が付いているから、安心して欲しい。ローラ、すまない。お前が妊娠中、俺は巨大コブラの毒のせいでずっと寝ていたらしい。本当に何て事だ!すまない、ローラ」
どうやら執事に色々と聞いていた様だ。ものすごい勢いで、アーサー様が話をする。アーサー様が目覚めてくれたのは嬉しいが、今はそれどころではない。
その後、どんどん強くなる陣痛に悶絶し、そんな私を見たアーサー様がお医者様に詰め寄って怒られていた。
そして明け方
「ホンギャーーー」
やっと産まれた。
「ローラ、産まれたぞ。俺たちの子供が!」
隣で執事の手を取り、大喜びしているアーサー様。そんなアーサー様の姿を見たら、嬉しくて涙が込み上げて来た。
「元気な男の子ですよ」
そう言って私の隣に寝かせてくれた。美しい金髪をした男の子だ。その時、瞼を持ち上げた赤ちゃん。その瞳の色は、まさかの水色だった。そう、髪の色も瞳の色も、アーサー様と同じ、まるで私が作ったぬいぐるみの様に…
「この子が俺の子か。それにしても、俺にそっくりだな」
そう言って嬉しそうに笑ったアーサー様。そんなアーサー様の笑顔を見たら、自然と私の顔も緩む。出産の疲れとアーサー様が目覚めた安堵感からか、そのまま意識を失ったのであった。
「モカラ、びっくりさせてごめんね、もう痛くないわ」
「ローラ様、いつから陣痛が始まったのですか?その痛み様では、かなり前から陣痛が来ていたのではないですか?とにかく、隣の部屋へ」
そう言って、別の部屋に連れて行こうとするモカラ。
「待って、モカラ。お願い、アーサー様の側で産ませて!ほら、その為にあそこにベッドも準備しているし」
そう、私は最初からこの部屋で出産できるよう、予めベッドを準備しておいたのだ。
「あのベッドは出産する為の物だったのですか。はぁ、ローラ様はもう…分かりました、とにかく…」
「イタタタタタタ」
モカラと話しをしている間に、再び陣痛に襲われる。今度もかなり痛みが強い。そして、どうやら破水した様だ。
「ローラ様!」
モカラの叫び声で、今度はダリアが飛んできた。
「ローラ様、大丈夫ですか?次の陣痛と陣痛の合間に、隣のベッドに移動しましょう。それから、破水しておりますね。モカラ、すぐにローラ様の着替えを準備して。あなた達、お湯と清潔なタオルをありったけ準備するのよ」
モカラと本家から来ているメイドたちに指示を出すダリア。さすが孫まで育てているだけの事はある。安心感が半端ない。
しばらくすると、陣痛が落ちついた。
「さあ、ローラ様、今のうちにベッドへ」
急いでベッドに移動しようとした時だった。無意識に繋いでいたアーサー様の手を離そうとした時、ふいに掴まれるような感触に襲われる。
もしかして…
ゆっくりアーサー様の方を見ると、瞳を閉じたまま。気のせい?そう思い、ベッドに移動しようとしたのだが、またしても手を掴まれる感触が…
再びアーサー様を見ると、ゆっくりと瞼が上がり、美しい水色の瞳と目が合った。
「ローラ…」
「アーサー様、目が覚められたのですね!」
嬉しくて、アーサー様に抱き着こうとした瞬間
「イタタタタタタ」
再び陣痛に襲われる。そんな私を見たアーサー様が
「おい、どうしたんだ!なぜローラがこんなにも苦しんでいるんだ。一体何が起こっているのだ。ローラ、しっかりしろ。すぐに医者を!」
隣で怒鳴りまくっていた。お願い…怒鳴らないで…それにしても、痛すぎる…
「アーサー様、意識が戻られたのですね。ローラ様はアーサー様の子供を身ごもっておられまして、そして今まさに出産しようとされております」
「何だって!ローラが俺の子を?いつの間にそんな事になっているんだ。とにかくベッドに寝かせろ」
その瞬間、再び痛みが和らいだ。
「アーサー様、目が覚めたのですね、良かったです」
アーサー様に抱き着こうとした瞬間
「ローラ様、今はとにかく出産に集中して下さい。さあ、あちらのベッドに。あなた達、すぐにローラ様の着替えを!」
急いでベッドに移動し、着替えを済ます。ただ、その間にやはり陣痛に襲われる。何とか着替えを済ませた頃、お医者様が到着した。
「おい、ローラが子供を産もうとしているらしい。一体どういう事だ!子供は大丈夫なのか?おい!聞いているのか、医者!」
「少しお黙り下さい!今から診察を行いますので。とにかくこの男を一旦外に」
お医者様の指示で外に出されるアーサー様。それにしても、五ヶ月近く寝ていたのに、既に動いている。凄い生命力ね…
「おい、なぜ俺を外に出す?俺はローラの夫だぞ。今すぐ入れろ!」
アーサー様が、ドンドンとドアを叩いている。しばらくすると、静かになった。
「そう言えば、公爵令息様は魔物討伐で大怪我を負い、意識が無くなっていたと伺いましたが…意識が戻られたのですね」
冷静に呟くお医者様。
「そんな事よりも赤ちゃんよね。う~ん、まだ産れそうにないですわね。今日の夜中くらいかしら?」
え?結構いたいのですが、夜中にしか産れないの?次の瞬間、また陣痛に襲われる。
「イタタタタタタ」
「ローラ、大丈夫か。俺が付いているから、安心して欲しい。ローラ、すまない。お前が妊娠中、俺は巨大コブラの毒のせいでずっと寝ていたらしい。本当に何て事だ!すまない、ローラ」
どうやら執事に色々と聞いていた様だ。ものすごい勢いで、アーサー様が話をする。アーサー様が目覚めてくれたのは嬉しいが、今はそれどころではない。
その後、どんどん強くなる陣痛に悶絶し、そんな私を見たアーサー様がお医者様に詰め寄って怒られていた。
そして明け方
「ホンギャーーー」
やっと産まれた。
「ローラ、産まれたぞ。俺たちの子供が!」
隣で執事の手を取り、大喜びしているアーサー様。そんなアーサー様の姿を見たら、嬉しくて涙が込み上げて来た。
「元気な男の子ですよ」
そう言って私の隣に寝かせてくれた。美しい金髪をした男の子だ。その時、瞼を持ち上げた赤ちゃん。その瞳の色は、まさかの水色だった。そう、髪の色も瞳の色も、アーサー様と同じ、まるで私が作ったぬいぐるみの様に…
「この子が俺の子か。それにしても、俺にそっくりだな」
そう言って嬉しそうに笑ったアーサー様。そんなアーサー様の笑顔を見たら、自然と私の顔も緩む。出産の疲れとアーサー様が目覚めた安堵感からか、そのまま意識を失ったのであった。
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