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第2章
第24話:メイソン様、ありがとうございます。でも…
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しばらく泣いた後、キーキは妖精界に戻って行った。本当はずっと一緒にいたい。でも、そんな事は出来ないのだ。
その後、数日滞在したカサブランカ様とルルが帰って行った。
「カサブランカ様、ルル、来てくれて本当にありがとうございます」
「こちらこそ、何もできなくてごめんなさい。ローラお姉ちゃんとアーサー様が困っている時に…」
悲しそうにカサブランカ様が、私の方を見ている。
「とんでもありませんわ。カサブランカ様が来てくださったお陰で、ルルやキーキに会えたのです。本当にありがとうございます」
「ローラお姉ちゃん…ありがとう。きっとアーサー様の目もすぐに覚ましますわ。私、アーサー様にこっそり伝えたの。“まだお兄様は、ローラお姉ちゃんを諦めていないわよ”って。あんなに嫉妬深いのですもの、すぐに飛び起きてきますわ」
カサブランカ様ったら、そんな事を言っていたなんて…
「だから、安心して元気な赤ちゃん、産んでね。また産まれたら見に来るわ」
「ええ、お待ちしております」
最後にカサブランカ様とルルを抱きしめ、船に乗り込んでいく一人と一匹を見送る。
カサブランカ様、ルル、本当にありがとう。そっと心の中で、お礼を言ったのであった。
そして月日は流れ、妊娠八ヶ月を迎えた。残念ながら、まだアーサー様は目覚めない。お医者様の話しでは、時間が経てば経つ程目覚めにくくなるとの事。その為、もう目覚めない可能性が高いらしい。
正直その話を聞いた時は、とてもショックだった。もう二度と、アーサー様は目覚めないかもしれない。そう思うと、涙が込み上げて来た。
「アーサー様、お腹の赤ちゃんは、もうこんなにも元気に動くようになって来ましたわ。だからそろそろ目を覚まして下さい」
アーサー様の手を自分のお腹にあてて、そう話しかける。もちろん、返事はない。
その時だった。
「ローラ、アーサー兄さんの様子はどうだい?」
部屋に入って来たのは、メイソン様だ。基本的にメイソン様は、あまりこの部屋に入ってこない。特に私がいる時は。そんなメイソン様が、珍しくここにやって来たのだ。一体どうしたのかしら?
「ええ、いつも通りですわ」
「そうか…実はね、そろそろ国に帰ろうかなって思っているんだ。母上も帰って来いってうるさいしね…」
「まあ、そうですの。それはまた寂しくなりますわね…」
一年近く一緒に過ごしたメイソン様。既に私にとっては、家族の様な存在。そんな彼が国に帰ると言うのだ。やっぱり寂しい。
「あのさ、ローラ。アーサー兄さんは、もう目覚めない可能性が高いんだよね。だったら、俺と結婚しないかい?もちろんローラが望むなら、俺はこの屋敷にずっと住み続ける。アーサー兄さんの分も、お腹の子供を大切にするよ。ローラが俺と結婚してくれるのなら、バーエンス公爵家に養子に入っても良いと思っている。ローラ、俺は君を愛している。いつ目覚めるか分からない男を思い続けるのは、君も辛いだろう。俺と一緒に新しい未来を歩んで欲しい」
私の目を見て、はっきりとそう告げたメイソン様。この瞳、フェイズ殿下に告白されたときの殿下の瞳とよく似ている。
私ったら、また相手の気持ちに気づかなかったのね…
自分の鈍さが、本当に嫌になる。
そういえばアーサー様がいつも言っていたわ。“ローラは鈍すぎる”て。
本当にその通りね…
「メイソン様、ありがとうございます。でも私が愛しているのは、アーサー様ただ一人です。たとえアーサー様が一生目覚めなかったとしても、私はずっとアーサー様の傍にいたい、そう思っております。ですので、メイソン様の気持ちには答えられません。ごめんなさい」
深々とメイソン様に頭を下げた。ゆっくりと目を閉じ、一呼吸して瞼を上げたメイソン様。
「本当はローラの気持ちは分かっていた。自分でも最低な提案をしているという事も、分かっていたんだ!それでも、どうしてもローラに気持ちを伝えたかった。こんな自分勝手な俺にも、誠実に対応してくれてありがとう」
そう言って、メイソン様が寂しそうに笑った。
「メイソン様、きっとあなた様にも、素敵な女性が現れますわ。ですから、どうか女性というだけで拒否せず、少しずつ交流を持って見てください」
「ああ、有難い事に、ローラのおかげで随分女性に対する考え方が変わった。正直まだ女性は嫌いだが、ローラの様な女性もいるという事が分かったからね。少しずつ、克服していけるように頑張るよ」
きっと近い将来、メイソン様だけを見て下さる、素敵な女性が現れるはず。メイソン様の姿を見ていたら、なんだかそんな気がした。
その後、数日滞在したカサブランカ様とルルが帰って行った。
「カサブランカ様、ルル、来てくれて本当にありがとうございます」
「こちらこそ、何もできなくてごめんなさい。ローラお姉ちゃんとアーサー様が困っている時に…」
悲しそうにカサブランカ様が、私の方を見ている。
「とんでもありませんわ。カサブランカ様が来てくださったお陰で、ルルやキーキに会えたのです。本当にありがとうございます」
「ローラお姉ちゃん…ありがとう。きっとアーサー様の目もすぐに覚ましますわ。私、アーサー様にこっそり伝えたの。“まだお兄様は、ローラお姉ちゃんを諦めていないわよ”って。あんなに嫉妬深いのですもの、すぐに飛び起きてきますわ」
カサブランカ様ったら、そんな事を言っていたなんて…
「だから、安心して元気な赤ちゃん、産んでね。また産まれたら見に来るわ」
「ええ、お待ちしております」
最後にカサブランカ様とルルを抱きしめ、船に乗り込んでいく一人と一匹を見送る。
カサブランカ様、ルル、本当にありがとう。そっと心の中で、お礼を言ったのであった。
そして月日は流れ、妊娠八ヶ月を迎えた。残念ながら、まだアーサー様は目覚めない。お医者様の話しでは、時間が経てば経つ程目覚めにくくなるとの事。その為、もう目覚めない可能性が高いらしい。
正直その話を聞いた時は、とてもショックだった。もう二度と、アーサー様は目覚めないかもしれない。そう思うと、涙が込み上げて来た。
「アーサー様、お腹の赤ちゃんは、もうこんなにも元気に動くようになって来ましたわ。だからそろそろ目を覚まして下さい」
アーサー様の手を自分のお腹にあてて、そう話しかける。もちろん、返事はない。
その時だった。
「ローラ、アーサー兄さんの様子はどうだい?」
部屋に入って来たのは、メイソン様だ。基本的にメイソン様は、あまりこの部屋に入ってこない。特に私がいる時は。そんなメイソン様が、珍しくここにやって来たのだ。一体どうしたのかしら?
「ええ、いつも通りですわ」
「そうか…実はね、そろそろ国に帰ろうかなって思っているんだ。母上も帰って来いってうるさいしね…」
「まあ、そうですの。それはまた寂しくなりますわね…」
一年近く一緒に過ごしたメイソン様。既に私にとっては、家族の様な存在。そんな彼が国に帰ると言うのだ。やっぱり寂しい。
「あのさ、ローラ。アーサー兄さんは、もう目覚めない可能性が高いんだよね。だったら、俺と結婚しないかい?もちろんローラが望むなら、俺はこの屋敷にずっと住み続ける。アーサー兄さんの分も、お腹の子供を大切にするよ。ローラが俺と結婚してくれるのなら、バーエンス公爵家に養子に入っても良いと思っている。ローラ、俺は君を愛している。いつ目覚めるか分からない男を思い続けるのは、君も辛いだろう。俺と一緒に新しい未来を歩んで欲しい」
私の目を見て、はっきりとそう告げたメイソン様。この瞳、フェイズ殿下に告白されたときの殿下の瞳とよく似ている。
私ったら、また相手の気持ちに気づかなかったのね…
自分の鈍さが、本当に嫌になる。
そういえばアーサー様がいつも言っていたわ。“ローラは鈍すぎる”て。
本当にその通りね…
「メイソン様、ありがとうございます。でも私が愛しているのは、アーサー様ただ一人です。たとえアーサー様が一生目覚めなかったとしても、私はずっとアーサー様の傍にいたい、そう思っております。ですので、メイソン様の気持ちには答えられません。ごめんなさい」
深々とメイソン様に頭を下げた。ゆっくりと目を閉じ、一呼吸して瞼を上げたメイソン様。
「本当はローラの気持ちは分かっていた。自分でも最低な提案をしているという事も、分かっていたんだ!それでも、どうしてもローラに気持ちを伝えたかった。こんな自分勝手な俺にも、誠実に対応してくれてありがとう」
そう言って、メイソン様が寂しそうに笑った。
「メイソン様、きっとあなた様にも、素敵な女性が現れますわ。ですから、どうか女性というだけで拒否せず、少しずつ交流を持って見てください」
「ああ、有難い事に、ローラのおかげで随分女性に対する考え方が変わった。正直まだ女性は嫌いだが、ローラの様な女性もいるという事が分かったからね。少しずつ、克服していけるように頑張るよ」
きっと近い将来、メイソン様だけを見て下さる、素敵な女性が現れるはず。メイソン様の姿を見ていたら、なんだかそんな気がした。
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