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第2章
第19話:皆がお見舞いに来てくれました
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早速モカラが果物を沢山持って来てくれた。
「さあ、ローラ様、食べられるものはありますか?」
確かに果物なら食べやすそうね。ブドウを1粒取り、口に入れた。さっぱりしていて、食べやすい。その後ブドウを5粒ほど食べたところで、なんだかもう要らなくなってしまった。
「ごめんなさい、もう食べられないわ…」
「大丈夫ですよ、また食べたくなったらいつでも申し付けてください。一応ここに果物を置いておきますので」
有難い事に、いつでも食べられるようにと、果物を置いておいてくれた。
「それじゃあ、私たちは帰るわね。また来るわ。とにかく無理をしないようにね」
「今日は色々とありがとうございました。また来てください」
ベッドの中でお姉様とミラ様に挨拶をした。本当は玄関まで見送りたいところだが、今日はここでお見送りだ。
「ローラ様、少しお休みになって下さい」
そう言って布団を掛けてくれたモカラ。せっかくなので、お言葉に甘えて少し休む事にした。
ゆっくりと目を閉じた時だった。バタバタという足音が。
ん?なんだか騒がしいわね。
「ローラちゃん、赤ちゃんが出来たのですって」
ものすごい勢いで入って来たのは、お義母様だ。後ろからお義父様が申し訳なさそうに入って来た。
「ローラ、すまない。今日の今日では迷惑だろうと言ったのだが、こいつが聞かなくて!」
申し訳なさそうに頭を下げるお義父様。
「わざわざ来て下さったのですか?お気遣いいただきありがとうございます」
とにかく、ベッドの中では申し訳ない。慌ててベッドから出ようとしたのだが…
「ローラちゃん、無理は良くないわ」
そう言って、お義母様が再びベッドに寝かせてくれた。
「それにしても、ローラちゃんが妊娠したっていうのに、アーサーは魔物を倒しに行っているなんて!本当に早く騎士団を辞めてくれないかしら?ねえあなた、早くアーサーに公爵を譲って下さい。子供も出来たのですよ!そうすれば、きっとアーサーも騎士団を辞めますわ」
凄い勢いで、お義父様に詰め寄っているお義母様。
「確かに子供が出来たのだから、そろそろ公爵をアーサーに譲る方向で進めよう。早速アーサーが討伐から帰ってきたら、話をするよ。ただ、騎士団を辞めるかどうかは何とも言えんな。爵位を引き継いでも、騎士団で働き続ける者もいるし」
「何をおっしゃっているのですか!とにかく、一刻も早く公爵をアーサーに引き渡してください。あの子ももう22歳なのだから」
「分かった…とにかく静かにしなさい。ローラ、こいつがうるさくてすまない。とにかく今すぐ連れて帰るから、ゆっくり休んでくれ。くれぐれも無理をするなよ」
「ありがとうございます。お義父様」
「あら、来たばかりなのにもう帰るの?もう少し話がしたいわ」
「バカ、ローラの事をもっと考えろ!それじゃあ、こいつは連れて行くから」
お義父様がお義母様の腕を無理やり引っ張り、帰って行った。そして夜ご飯は、私が食べやすいようにと、冷製スープを作ってくれた。どうやら温かい食べ物よりも冷えた食べ物のほうが食べやすいからと、お姉様がアドバイスをしていったらしい。確かに温かい食べ物よりも、冷たい食べ物のほうが食べやすい。
そして翌日
今度は家の両親とお兄様、お義姉様と子供たちも来てくれた。ちなみにお義姉様も妊婦さんだ。
「ローラ、おめでとう。ついにアーサー様の子を身ごもったのですってね。つわりは大丈夫?ゼリーとシャーベットを持ってきたわ。口当たりがよくて食べやすいから、後で食べなさい」
「ありがとうございます、お母様。お義姉様も、身重なのにわざわざ来てくれて、ありがとうございます!」
「何言っているの。当たり前でしょう?しばらくつわりで辛いだろうけれど、くれぐれも無理はしないでね。旦那様が留守で不安だったら、いつでも伯爵家に帰って来てもいいのよ。その方が、ローラちゃんも安心でしょう?」
「ローラおねえちゃんがくるの、ヤッター!!」
「ローラおねえちゃん、いつくるの?きょう?あした?」
お義姉様の言葉を聞き、はしゃぎだした甥や姪たち。
「お義姉様、お気遣いありがとうございます。でも、私はこの屋敷でアーサー様が帰って来るのを待ちますわ」
やっぱりここでアーサー様を待ちたい。きっと私が妊娠したと聞いたら、飛びあがるほど喜んでくれるだろう。
「そう、わかったわ。それなら定期的に様子を見に来るわね。それからあなた達、ローラちゃんのお腹には、赤ちゃんがいるのよ!少しは静かにしなさい」
甥や姪を叱りつけるお義姉様。その後は私のお腹を優しく撫でてくれた甥と姪。どうやらいつもお義姉様のお腹も、こうやって撫でているとの事。
「それじゃあ、私たちは帰るわね。ローラ、体調がいい時は少し散歩をしなさい。ずっと部屋の中で寝ていては、気分も滅入ってしまうわ。とにかく、気分転換も大事よ。また近いうちに様子を見に来るからね」
そう言って皆帰って行った。一気に静かになった。なんだか寂しい。でも、皆が私とアーサー様の赤ちゃんを喜んでくれている。それがなんだか嬉しくてたまらないのだ。
そっとお腹を撫でてみる。もちろん、まだぺったんこだが、それでも愛おしくてたまらない。早くアーサー様、帰ってこないかしら。
「さあ、ローラ様、食べられるものはありますか?」
確かに果物なら食べやすそうね。ブドウを1粒取り、口に入れた。さっぱりしていて、食べやすい。その後ブドウを5粒ほど食べたところで、なんだかもう要らなくなってしまった。
「ごめんなさい、もう食べられないわ…」
「大丈夫ですよ、また食べたくなったらいつでも申し付けてください。一応ここに果物を置いておきますので」
有難い事に、いつでも食べられるようにと、果物を置いておいてくれた。
「それじゃあ、私たちは帰るわね。また来るわ。とにかく無理をしないようにね」
「今日は色々とありがとうございました。また来てください」
ベッドの中でお姉様とミラ様に挨拶をした。本当は玄関まで見送りたいところだが、今日はここでお見送りだ。
「ローラ様、少しお休みになって下さい」
そう言って布団を掛けてくれたモカラ。せっかくなので、お言葉に甘えて少し休む事にした。
ゆっくりと目を閉じた時だった。バタバタという足音が。
ん?なんだか騒がしいわね。
「ローラちゃん、赤ちゃんが出来たのですって」
ものすごい勢いで入って来たのは、お義母様だ。後ろからお義父様が申し訳なさそうに入って来た。
「ローラ、すまない。今日の今日では迷惑だろうと言ったのだが、こいつが聞かなくて!」
申し訳なさそうに頭を下げるお義父様。
「わざわざ来て下さったのですか?お気遣いいただきありがとうございます」
とにかく、ベッドの中では申し訳ない。慌ててベッドから出ようとしたのだが…
「ローラちゃん、無理は良くないわ」
そう言って、お義母様が再びベッドに寝かせてくれた。
「それにしても、ローラちゃんが妊娠したっていうのに、アーサーは魔物を倒しに行っているなんて!本当に早く騎士団を辞めてくれないかしら?ねえあなた、早くアーサーに公爵を譲って下さい。子供も出来たのですよ!そうすれば、きっとアーサーも騎士団を辞めますわ」
凄い勢いで、お義父様に詰め寄っているお義母様。
「確かに子供が出来たのだから、そろそろ公爵をアーサーに譲る方向で進めよう。早速アーサーが討伐から帰ってきたら、話をするよ。ただ、騎士団を辞めるかどうかは何とも言えんな。爵位を引き継いでも、騎士団で働き続ける者もいるし」
「何をおっしゃっているのですか!とにかく、一刻も早く公爵をアーサーに引き渡してください。あの子ももう22歳なのだから」
「分かった…とにかく静かにしなさい。ローラ、こいつがうるさくてすまない。とにかく今すぐ連れて帰るから、ゆっくり休んでくれ。くれぐれも無理をするなよ」
「ありがとうございます。お義父様」
「あら、来たばかりなのにもう帰るの?もう少し話がしたいわ」
「バカ、ローラの事をもっと考えろ!それじゃあ、こいつは連れて行くから」
お義父様がお義母様の腕を無理やり引っ張り、帰って行った。そして夜ご飯は、私が食べやすいようにと、冷製スープを作ってくれた。どうやら温かい食べ物よりも冷えた食べ物のほうが食べやすいからと、お姉様がアドバイスをしていったらしい。確かに温かい食べ物よりも、冷たい食べ物のほうが食べやすい。
そして翌日
今度は家の両親とお兄様、お義姉様と子供たちも来てくれた。ちなみにお義姉様も妊婦さんだ。
「ローラ、おめでとう。ついにアーサー様の子を身ごもったのですってね。つわりは大丈夫?ゼリーとシャーベットを持ってきたわ。口当たりがよくて食べやすいから、後で食べなさい」
「ありがとうございます、お母様。お義姉様も、身重なのにわざわざ来てくれて、ありがとうございます!」
「何言っているの。当たり前でしょう?しばらくつわりで辛いだろうけれど、くれぐれも無理はしないでね。旦那様が留守で不安だったら、いつでも伯爵家に帰って来てもいいのよ。その方が、ローラちゃんも安心でしょう?」
「ローラおねえちゃんがくるの、ヤッター!!」
「ローラおねえちゃん、いつくるの?きょう?あした?」
お義姉様の言葉を聞き、はしゃぎだした甥や姪たち。
「お義姉様、お気遣いありがとうございます。でも、私はこの屋敷でアーサー様が帰って来るのを待ちますわ」
やっぱりここでアーサー様を待ちたい。きっと私が妊娠したと聞いたら、飛びあがるほど喜んでくれるだろう。
「そう、わかったわ。それなら定期的に様子を見に来るわね。それからあなた達、ローラちゃんのお腹には、赤ちゃんがいるのよ!少しは静かにしなさい」
甥や姪を叱りつけるお義姉様。その後は私のお腹を優しく撫でてくれた甥と姪。どうやらいつもお義姉様のお腹も、こうやって撫でているとの事。
「それじゃあ、私たちは帰るわね。ローラ、体調がいい時は少し散歩をしなさい。ずっと部屋の中で寝ていては、気分も滅入ってしまうわ。とにかく、気分転換も大事よ。また近いうちに様子を見に来るからね」
そう言って皆帰って行った。一気に静かになった。なんだか寂しい。でも、皆が私とアーサー様の赤ちゃんを喜んでくれている。それがなんだか嬉しくてたまらないのだ。
そっとお腹を撫でてみる。もちろん、まだぺったんこだが、それでも愛おしくてたまらない。早くアーサー様、帰ってこないかしら。
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