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第2章
第15話:ローラに名前を呼んで欲しい~アーサー視点~
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ローラと本当の夫婦になって以降、俺の誕生日パーティーを開いてくれたり、結婚式をしたり、街に出掛けたりと、楽しい日々を送っている。
そんな中、メイソンが我が家にやって来た。最初は可愛い従兄弟がやって来たと喜んでいたが、次第にローラに懐くようになった。
明らかに好意を抱いているメイソンに対し、全く気が付いていないローラ。相変わらずローラは鈍くて嫌になる。なるべく二人っきりにしたくなくて、キーキを駆り出すことも多い。
あんなに魔力を使う事を嫌だと思っていたが、ローラの事になると話は別だ。それにキーキは、ああ見えていい仕事をするのだ。
そんな中、メイソンの母でもある叔母上が訪ねて来て、母上と一緒にローラを連れまわすという事件が起きた。
モカラの話しでは、随分と叔母上がローラを気に入った様子で
「ローラちゃんをメイソンのお嫁さんに欲しい!」
と母上に詰め寄り、母上が激怒したとの事。本当に叔母上はどうしようもない。
そして今、俺には一つ悩みがある。それはローラが俺の事を“旦那様”と呼ぶことだ。正直名前で呼んで欲しい。でも、名前で呼んで欲しいと中々伝えられないのだ。
「は~~」
つい大きなため息が出てしまう。
「アーサー、今度はどうしたんだ、そんなに大きなため息を付いて」
心底面倒くさそうにそう言ったのは、レオナルドだ。そう、今俺は騎士団の執務室で作業をしているのだ。そうだ、こいつに相談してみるか。
「ローラが俺の事を“旦那様”と呼ぶんだ。だが俺たちは、もう完全に夫婦になった。だから、名前で呼んで欲しいんだ。お前やメイソンの事は名前で呼んでいるのに、どうして俺の事は名前で呼んでくれないんだ!」
「そんな事、俺に怒っても仕方ないだろう。そもそも、ローラちゃんに名前で呼んでくれ。と言えばいい事だろう?」
「確かにそうなのだが…そもそも、なぜ俺だけ名前で呼ばれないんだ!どうしてお前はローラに名前で呼ばれているんだ」
「そんな事、俺が知るか!でもアルフィーの事も“お義兄様”と呼んでいるぞ。お前だけじゃないじゃないか。良かったな」
そう言って俺の肩を叩くレオナルド。こいつ、ふざけているのか!
「何が“良かったな”だ。ふざけるな!とにかく俺はローラに名前で呼ばれたいんだよ。正直ローラが、メイソンの事を名前で呼んでいること自体気に入らない」
「要するに、醜い嫉妬心むき出しって訳だな…とにかく、そんなに呼んで欲しいなら、自分で頼むしかないだろう。散々嫉妬心剥き出しでダサい姿を見せているのだから、今更そんな事で恥ずかしがるな。いいな、分かったな」
そう言うと、がに股で出て行ったレオナルド。本当に役に立たない男だ!こういう時は、やっぱり義姉上か。早速アルフィーに手紙を書き、義姉上との面会を取り付けた。
そう、ものすごく嫉妬深いアルフィーに許可を取らないと、義姉上には会えないのだ。本当に、嫉妬深い男は嫌になる。
早速レーフエス侯爵家に向かい、義姉上に相談した。
「それでしたら、私からローラに話をしますわ」
そう言ってくれた義姉上。さすが義姉上だ!本当に頼りになる。そんな義姉上に水を差したのは、アルフィーだ。
「待てメーラ、お前からローラちゃんに話すのは止めておけ。アーサー、いい歳こいた男が、自分の妻に名前を呼んでもらう事も頼めないのか。情けない。いいか、アーサー、そんな事は自分で頼め!それからくだらん事でメーラに頼るな。メーラ、お前は何もするな、いいな!」
クソ、ケチアルフィーによって、義姉上の助けを受けられなくなった。本当にケチな男で嫌になる。義姉上はとてもモテたと聞くが、どうしてあんなケチ嫉妬男と結婚したんだ?全く理解できない。
悶々としたまま、屋敷に戻った。結局ローラに俺の名前を呼んで欲しいと言えないまま、数日が過ぎた。
そんなある日
「あの、アーサー様…」
恥ずかしそうに俺の名前を呼んだローラ。最初俺の聞き間違いかとも思ったが、確かに今“アーサー様”と言ったよな。
「実は今日、お姉様が来まして“いつまでも旦那様の名前を呼ばないなんておかしいわよ”と、叱られましたの。それで、名前を呼んでみたのですが…駄目でしたか?」
不安そうに、ローラがこちらを見つめる。義姉上が話をしてくれたのか!さすが義姉上だ。嬉しくて、ローラをギューッと抱きしめた。
「ローラ、嬉しいよ。俺はずっとローラに名前を呼んで欲しいと思っていたんだ。もう一度俺の名前を呼んでくれるかい?」
「はい、アーサー様」
恥ずかしそうに俺の名前を呼ぶローラ。あぁ、やっぱりローラは最高だ。その後何度も俺の名前を呼ばせた。ローラから“アーサー様”と呼ばれると、嬉しいし何より興奮する。
「アーサー様、名前で呼んで欲しいのなら、そう言って下さればよかったのに。これからは、私に何かして欲しい事があれば、何でも言ってくださいね」
そう言って微笑んでくれたローラ。そうか、最初から自分で言えばよかったのか。今回は結局義姉上に協力てもらったが、これからはどんどんローラに思った事を伝えていこう。
ローラを抱きしめながら、そう決意したのであった。
そんな中、メイソンが我が家にやって来た。最初は可愛い従兄弟がやって来たと喜んでいたが、次第にローラに懐くようになった。
明らかに好意を抱いているメイソンに対し、全く気が付いていないローラ。相変わらずローラは鈍くて嫌になる。なるべく二人っきりにしたくなくて、キーキを駆り出すことも多い。
あんなに魔力を使う事を嫌だと思っていたが、ローラの事になると話は別だ。それにキーキは、ああ見えていい仕事をするのだ。
そんな中、メイソンの母でもある叔母上が訪ねて来て、母上と一緒にローラを連れまわすという事件が起きた。
モカラの話しでは、随分と叔母上がローラを気に入った様子で
「ローラちゃんをメイソンのお嫁さんに欲しい!」
と母上に詰め寄り、母上が激怒したとの事。本当に叔母上はどうしようもない。
そして今、俺には一つ悩みがある。それはローラが俺の事を“旦那様”と呼ぶことだ。正直名前で呼んで欲しい。でも、名前で呼んで欲しいと中々伝えられないのだ。
「は~~」
つい大きなため息が出てしまう。
「アーサー、今度はどうしたんだ、そんなに大きなため息を付いて」
心底面倒くさそうにそう言ったのは、レオナルドだ。そう、今俺は騎士団の執務室で作業をしているのだ。そうだ、こいつに相談してみるか。
「ローラが俺の事を“旦那様”と呼ぶんだ。だが俺たちは、もう完全に夫婦になった。だから、名前で呼んで欲しいんだ。お前やメイソンの事は名前で呼んでいるのに、どうして俺の事は名前で呼んでくれないんだ!」
「そんな事、俺に怒っても仕方ないだろう。そもそも、ローラちゃんに名前で呼んでくれ。と言えばいい事だろう?」
「確かにそうなのだが…そもそも、なぜ俺だけ名前で呼ばれないんだ!どうしてお前はローラに名前で呼ばれているんだ」
「そんな事、俺が知るか!でもアルフィーの事も“お義兄様”と呼んでいるぞ。お前だけじゃないじゃないか。良かったな」
そう言って俺の肩を叩くレオナルド。こいつ、ふざけているのか!
「何が“良かったな”だ。ふざけるな!とにかく俺はローラに名前で呼ばれたいんだよ。正直ローラが、メイソンの事を名前で呼んでいること自体気に入らない」
「要するに、醜い嫉妬心むき出しって訳だな…とにかく、そんなに呼んで欲しいなら、自分で頼むしかないだろう。散々嫉妬心剥き出しでダサい姿を見せているのだから、今更そんな事で恥ずかしがるな。いいな、分かったな」
そう言うと、がに股で出て行ったレオナルド。本当に役に立たない男だ!こういう時は、やっぱり義姉上か。早速アルフィーに手紙を書き、義姉上との面会を取り付けた。
そう、ものすごく嫉妬深いアルフィーに許可を取らないと、義姉上には会えないのだ。本当に、嫉妬深い男は嫌になる。
早速レーフエス侯爵家に向かい、義姉上に相談した。
「それでしたら、私からローラに話をしますわ」
そう言ってくれた義姉上。さすが義姉上だ!本当に頼りになる。そんな義姉上に水を差したのは、アルフィーだ。
「待てメーラ、お前からローラちゃんに話すのは止めておけ。アーサー、いい歳こいた男が、自分の妻に名前を呼んでもらう事も頼めないのか。情けない。いいか、アーサー、そんな事は自分で頼め!それからくだらん事でメーラに頼るな。メーラ、お前は何もするな、いいな!」
クソ、ケチアルフィーによって、義姉上の助けを受けられなくなった。本当にケチな男で嫌になる。義姉上はとてもモテたと聞くが、どうしてあんなケチ嫉妬男と結婚したんだ?全く理解できない。
悶々としたまま、屋敷に戻った。結局ローラに俺の名前を呼んで欲しいと言えないまま、数日が過ぎた。
そんなある日
「あの、アーサー様…」
恥ずかしそうに俺の名前を呼んだローラ。最初俺の聞き間違いかとも思ったが、確かに今“アーサー様”と言ったよな。
「実は今日、お姉様が来まして“いつまでも旦那様の名前を呼ばないなんておかしいわよ”と、叱られましたの。それで、名前を呼んでみたのですが…駄目でしたか?」
不安そうに、ローラがこちらを見つめる。義姉上が話をしてくれたのか!さすが義姉上だ。嬉しくて、ローラをギューッと抱きしめた。
「ローラ、嬉しいよ。俺はずっとローラに名前を呼んで欲しいと思っていたんだ。もう一度俺の名前を呼んでくれるかい?」
「はい、アーサー様」
恥ずかしそうに俺の名前を呼ぶローラ。あぁ、やっぱりローラは最高だ。その後何度も俺の名前を呼ばせた。ローラから“アーサー様”と呼ばれると、嬉しいし何より興奮する。
「アーサー様、名前で呼んで欲しいのなら、そう言って下さればよかったのに。これからは、私に何かして欲しい事があれば、何でも言ってくださいね」
そう言って微笑んでくれたローラ。そうか、最初から自分で言えばよかったのか。今回は結局義姉上に協力てもらったが、これからはどんどんローラに思った事を伝えていこう。
ローラを抱きしめながら、そう決意したのであった。
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