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第2章
第11話:メイソン様の快気祝いを行います
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メイソン様が我が家にやって来てから、早三ヶ月。月日が流れるのはものすごく早い。この三ヶ月、メイソン様とも随分と打ち解けた。
最近では、私に色々と頼って来てくれるようになった。なんだか弟が出来たみたいで、ものすごく嬉しい。ただ旦那様は私とメイソン様が仲良くするのが気に入らない様で、事ある事に私とメイソン様を二人きりにしない様に気を付けている様だ。
特にここ一ヶ月はかなり気に掛けている様で、ついにキーキが出動する事態にまで発展した。どうやら魔力を与える事を条件に、キーキにお願いしたらしい。
「魔力をくれるのは嬉しいけれど、最近のアーサーは妖精使いが荒くて困るわ」
と、キーキがプリプリと怒っていた。あれほどまで魔力を使う事を嫌っていた旦那様が、こんなくだらない事で魔力を乱用するなんて…
正直旦那様が何を考えているのか、よくわからない。ただ、私としてはキーキと一緒にいられるので、悪くはない。キーキも、すっかり大人しくなったメイソン様に対して苦手意識が消えたのか、普通に接している。
ただ…たまに言い合いの喧嘩をする事もあるが、その点は多めに見ておこう。
そして今日は、メイソン様の骨折した腕をお医者様に診てもらう日だ。
「もう完全に治っておりますね。普段通りに生活してもらっても、大丈夫ですよ」
どうやら完治した様だ。
「よしメイソン、早速騎士団の稽古に行くぞ。これで思いっきり稽古が出来るな」
嬉しそうにメイソン様に話しかける旦那様。
「アーサー兄さんの稽古は厳しいからな…お手柔らかに頼むよ」
そんな旦那様に、メイソン様は苦笑いだ。
「メイソン様、そんな弱気な発言をしていてどうするのですか!そんな事では強くはなれませんよ」
また口うるさい事を言ってしまった。言った後に後悔したのだが…
「そうだな。ローラの言う通りだ。いつも俺に色々と激を飛ばしてくれてありがとう。それじゃあ、早速騎士団に向かおう。ほら、アーサー兄さん、行くよ!」
そう言って元気に歩き出したメイソン様。本当に人という者は、変わるものだ!びっくりするくらい素直になった。
「あの男、本当に変わったわね…ローラ、ずっと思っていたのだけれど、あの男にどんな魔法をかけたの?」
キーキも同じことを思ったのか、目を丸くして問いかけてくる。
「私もよく分からないの。でも、いい風に変わったのだから、まあいいじゃない。ねえ、キーキ、せっかくメイソン様の怪我が完治したのですもの。せっかくならお祝いをしない?」
「まあ、楽しそうね。いいわよ。やりましょう」
キーキも乗り気だ。早速使用人を集め、メイソン様の快気祝いをする事を伝えた。皆二つ返事でOKしてくれたので、準備開始だ。
まずはマテオの元に行き、お花を見繕ってもらう。
「ローラ様、今はポピーが奇麗に咲いていますよ。他にもヒヤシンスやラナンキュラスなども奇麗です」
「それじゃあ、それらの花を摘んでいきましょう」
早速お花をマテオに摘んでもらい、それを受け取る。ついでにキーキの頭にも、お花を付けてあげた。
次は料理ね。メイソン様はああ見えて、意外と甘いお菓子が好きなのだ。沢山のお菓子を準備してもらう事にした。
「ローラ、私の為にこんなに沢山のお菓子を準備してくれたのね。嬉しいわ」
と、なぜかキーキが勘違いしていた。
「キーキ、メイソン様もお菓子が好きなの。だから、お菓子を沢山準備したの。今日はつまみ食いをしてはダメだからね」
既にお菓子を狙っているキーキにくぎを刺した。
「もう、失礼ね。つまみ食いなんてしないわよ」
そう言ってプイっとあちらの方向を向いてしまった。旦那様のお誕生日パーティーの時、散々つまみ食いをしていたことを、忘れてしまったのかしら?まあ、今回はああ言っているし、大丈夫だろう。
全ての準備が整った。後は旦那様とメイソン様が帰って来るのを待つだけだ。
しばらく待っていると、やっと二人を乗せた馬車が屋敷に入って来た。
「お帰りなさいませ、旦那様、メイソン様」
「「ただいま、ローラ」」
2人の声が重なった。この二人、やっぱりよく似ているわね。二人が着替えに行っている間に、私も急いで食堂に向かう。どうやらキーキも、つまみ食いを我慢している様だ。キーキったら、やれば出来るじゃない。
しばらく待っていると、二人がやって来た。
「「「「メイソン様、怪我の完治、おめでとうございます」」」」
「うわぁ、びっくりした!もしかしてこれ、俺の為に準備してくれたのか?」
「はい、ローラ様が使用人に声を掛けて下さったのですよ」
「ローラ、ありがとう。俺の為にここまでしてくれるなんて!」
そう言うと、メイソン様に抱きしめられた。旦那様以外の男性に抱きしめられるなんて…
「メイソン、ローラから離れろ。ローラ、なぜ顔が赤いんだ!」
すぐに旦那様に引き離された。旦那様以外に免疫のない私が、旦那様以外に抱きしめられたのだ。恥ずかしくて顔が赤くなってしまうのは、自然現象の一種なのだが…
「ローラ。答えろ。まさかメイソンの事が!」
「いいえ、そんな事は決してありません。旦那様以外の男性に抱きしめられたので、恥ずかしかっただけです。さあ、せっかくのお料理が冷めてしまいますわ。食べましょう。」
旦那様の言葉を遮り、早速料理を取り分ける。まだ鬼の形相でこちらを睨んでいるが、見ない方がよさそうね。こういう時、キーキが助けてくれるのだけれど…
チラリとキーキの方を見ると、お菓子に夢中で私の事など、全く眼中に無い様だ…
その後、なんとか旦那様をなだめ、メイソン様の快気祝いをした。もちろん、使用人たちも一緒だ。
「こんなにも沢山の人に、俺の怪我が完治した事を祝ってもらえるなんて。これもローラのおかげだ!ありがとう!」
そう言って、私の頬に口付けをするメイソン様。ちょっと、何してくれるのよ!反射的に顔が赤くなる。
「貴様、ローラに何て事をするんだ!ローラ、なぜまた赤くなるんだ。ふざけているのか!」
その後怒り狂う旦那様もよそに、涼しい顔で自室に戻って行ったメイソン様。これは面倒な事になると思ったキーキも、両腕にお菓子を抱え、妖精界に戻ってしまった。
結局私と使用人で、必死に旦那様の怒りを落ち着かせたのであった。
最近では、私に色々と頼って来てくれるようになった。なんだか弟が出来たみたいで、ものすごく嬉しい。ただ旦那様は私とメイソン様が仲良くするのが気に入らない様で、事ある事に私とメイソン様を二人きりにしない様に気を付けている様だ。
特にここ一ヶ月はかなり気に掛けている様で、ついにキーキが出動する事態にまで発展した。どうやら魔力を与える事を条件に、キーキにお願いしたらしい。
「魔力をくれるのは嬉しいけれど、最近のアーサーは妖精使いが荒くて困るわ」
と、キーキがプリプリと怒っていた。あれほどまで魔力を使う事を嫌っていた旦那様が、こんなくだらない事で魔力を乱用するなんて…
正直旦那様が何を考えているのか、よくわからない。ただ、私としてはキーキと一緒にいられるので、悪くはない。キーキも、すっかり大人しくなったメイソン様に対して苦手意識が消えたのか、普通に接している。
ただ…たまに言い合いの喧嘩をする事もあるが、その点は多めに見ておこう。
そして今日は、メイソン様の骨折した腕をお医者様に診てもらう日だ。
「もう完全に治っておりますね。普段通りに生活してもらっても、大丈夫ですよ」
どうやら完治した様だ。
「よしメイソン、早速騎士団の稽古に行くぞ。これで思いっきり稽古が出来るな」
嬉しそうにメイソン様に話しかける旦那様。
「アーサー兄さんの稽古は厳しいからな…お手柔らかに頼むよ」
そんな旦那様に、メイソン様は苦笑いだ。
「メイソン様、そんな弱気な発言をしていてどうするのですか!そんな事では強くはなれませんよ」
また口うるさい事を言ってしまった。言った後に後悔したのだが…
「そうだな。ローラの言う通りだ。いつも俺に色々と激を飛ばしてくれてありがとう。それじゃあ、早速騎士団に向かおう。ほら、アーサー兄さん、行くよ!」
そう言って元気に歩き出したメイソン様。本当に人という者は、変わるものだ!びっくりするくらい素直になった。
「あの男、本当に変わったわね…ローラ、ずっと思っていたのだけれど、あの男にどんな魔法をかけたの?」
キーキも同じことを思ったのか、目を丸くして問いかけてくる。
「私もよく分からないの。でも、いい風に変わったのだから、まあいいじゃない。ねえ、キーキ、せっかくメイソン様の怪我が完治したのですもの。せっかくならお祝いをしない?」
「まあ、楽しそうね。いいわよ。やりましょう」
キーキも乗り気だ。早速使用人を集め、メイソン様の快気祝いをする事を伝えた。皆二つ返事でOKしてくれたので、準備開始だ。
まずはマテオの元に行き、お花を見繕ってもらう。
「ローラ様、今はポピーが奇麗に咲いていますよ。他にもヒヤシンスやラナンキュラスなども奇麗です」
「それじゃあ、それらの花を摘んでいきましょう」
早速お花をマテオに摘んでもらい、それを受け取る。ついでにキーキの頭にも、お花を付けてあげた。
次は料理ね。メイソン様はああ見えて、意外と甘いお菓子が好きなのだ。沢山のお菓子を準備してもらう事にした。
「ローラ、私の為にこんなに沢山のお菓子を準備してくれたのね。嬉しいわ」
と、なぜかキーキが勘違いしていた。
「キーキ、メイソン様もお菓子が好きなの。だから、お菓子を沢山準備したの。今日はつまみ食いをしてはダメだからね」
既にお菓子を狙っているキーキにくぎを刺した。
「もう、失礼ね。つまみ食いなんてしないわよ」
そう言ってプイっとあちらの方向を向いてしまった。旦那様のお誕生日パーティーの時、散々つまみ食いをしていたことを、忘れてしまったのかしら?まあ、今回はああ言っているし、大丈夫だろう。
全ての準備が整った。後は旦那様とメイソン様が帰って来るのを待つだけだ。
しばらく待っていると、やっと二人を乗せた馬車が屋敷に入って来た。
「お帰りなさいませ、旦那様、メイソン様」
「「ただいま、ローラ」」
2人の声が重なった。この二人、やっぱりよく似ているわね。二人が着替えに行っている間に、私も急いで食堂に向かう。どうやらキーキも、つまみ食いを我慢している様だ。キーキったら、やれば出来るじゃない。
しばらく待っていると、二人がやって来た。
「「「「メイソン様、怪我の完治、おめでとうございます」」」」
「うわぁ、びっくりした!もしかしてこれ、俺の為に準備してくれたのか?」
「はい、ローラ様が使用人に声を掛けて下さったのですよ」
「ローラ、ありがとう。俺の為にここまでしてくれるなんて!」
そう言うと、メイソン様に抱きしめられた。旦那様以外の男性に抱きしめられるなんて…
「メイソン、ローラから離れろ。ローラ、なぜ顔が赤いんだ!」
すぐに旦那様に引き離された。旦那様以外に免疫のない私が、旦那様以外に抱きしめられたのだ。恥ずかしくて顔が赤くなってしまうのは、自然現象の一種なのだが…
「ローラ。答えろ。まさかメイソンの事が!」
「いいえ、そんな事は決してありません。旦那様以外の男性に抱きしめられたので、恥ずかしかっただけです。さあ、せっかくのお料理が冷めてしまいますわ。食べましょう。」
旦那様の言葉を遮り、早速料理を取り分ける。まだ鬼の形相でこちらを睨んでいるが、見ない方がよさそうね。こういう時、キーキが助けてくれるのだけれど…
チラリとキーキの方を見ると、お菓子に夢中で私の事など、全く眼中に無い様だ…
その後、なんとか旦那様をなだめ、メイソン様の快気祝いをした。もちろん、使用人たちも一緒だ。
「こんなにも沢山の人に、俺の怪我が完治した事を祝ってもらえるなんて。これもローラのおかげだ!ありがとう!」
そう言って、私の頬に口付けをするメイソン様。ちょっと、何してくれるのよ!反射的に顔が赤くなる。
「貴様、ローラに何て事をするんだ!ローラ、なぜまた赤くなるんだ。ふざけているのか!」
その後怒り狂う旦那様もよそに、涼しい顔で自室に戻って行ったメイソン様。これは面倒な事になると思ったキーキも、両腕にお菓子を抱え、妖精界に戻ってしまった。
結局私と使用人で、必死に旦那様の怒りを落ち着かせたのであった。
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