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第2章
第6話:いい加減にしなさい!
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メイソン様が怪我をしてから、一週間が経とうとしていた。この一週間、はっきり言ってものすごく大変だった。何が大変って?そう、メイソン様がものすごく我が儘なのだ。忙しい使用人たちを呼びつけては、つまらない用事を頼む。
少しでも遅いと怒鳴りつける等、まあどうしようもない男なのだ。さすがに見かねて旦那様に伝えて怒ってもらったのだが、その場では反省したフリをするのだが、翌日にはまた戻っている。
それどころか私に
「お前、よくもアーサー兄さんにチクったな!」
と、文句を言って来る始末。使用人たちからも苦情が来ているし、本当にどうしようもない。
さらにキーキとの仲も最悪で、私とキーキがお茶をしているところにわざと乱入しては、キーキを挑発するのだ。最初は怒っていたキーキも、相手にするのが面倒になったのか、メイソン様の姿を見ると、さっさと妖精界に帰ってしまう様になった。
私とキーキの貴重な時間も、メイソン様によって奪われてしまったのだ。このままでは本当にマズイ。何とかしないと。
ちなみに今は、お医者様がメイソン様の治療に当たっている。
「腕はまだまだですが、足の方は大分良くなってきましたね。もう歩いても大丈夫ですよ」
そう言ってもらえた。旦那様もホッとしている。
「メイソン、良かったな。もう歩いても良いみたいだぞ。それじゃあ俺は仕事に行って来るから」
そう言うと、旦那様は急いで騎士団に向かった。旦那様を見送った後は、自室でぬいぐるみを作る。
少し疲れたわね、中庭でも散歩しようかしら。早速中庭に向かおうとしたのだが…
「おい、どうしてすぐに飲み物を持ってこないんだ!このノロマ!」
メイソン様の怒鳴り声が聞こえ、こっそり部屋を覗くと、また忙しい使用人を捕まえて文句を言っていた。どうやら使用人に飲み物を掛けた様で、濡れている使用人が頭を下げていた。
その姿をみた瞬間、体中から怒りが込み上げ、がに股でメイソン様の部屋に入って行く。
「また我が儘を言っているのですか!いい加減にしなさい!」
メイソン様に向かって怒鳴りつけた。普段怒鳴る事の無い私が怒鳴ったので、使用人が口をポカンと開けて固まっている。
「何だよ!お前には関係ないだろう。勝手に人の部屋に入って来るな!」
「関係なくありません!そもそも私は、この家の主でもある旦那様の妻です。旦那様が留守の間は、私がこの家を守っているのです。それにしても、使用人を何だと思っているのですか?小さな子供でもあるまいし、最低限の事くらい自分でしたらどうなの?それとも出来ないの?そもそも、誰かに何かをやってもらった時は“ありがとう”の気持ちを伝えるのが常識でしょう!そんな事、五歳の姪でも知っていますわ」
「何なんだよ。お前は何様だ!」
「この家の奥様よ。何か文句があるのですか!」
私の勢いに、たじろぐメイソン様。
「そもそも、あなたは甘やかされすぎです。その甘え切った根性を、私が叩き直してあげますわ!まずは水を掛けた使用人に謝りなさい」
「なんで俺が謝らないといけないんだ!」
「あら、悪い事をしたのに、謝る事も出来ないのですか?うちの姪は五歳ですが、ちゃんとごめんなさいが出来ますわよ。五歳の姪が出来て、十六歳のメイソン様が出来ないなんて、あぁ恥ずかしい」
そう言ってプププっと笑ってやった。
「俺だって謝ることぐらい出来る。さっきは水を掛けて悪かったな。ごめん!」
メイソン様が謝ったのを見て、使用人が固まっている。でも、すぐに我に返り
「大丈夫でございます。お気になさらず」
そう伝えていた。一旦使用人に席を外させた。
「おい、何で使用人を全員外に出した。お前さては俺を襲う気だな!」
「はぁ~、あなたの様な精神年齢の低いおこちゃまを、誰が襲うのですか?五歳の姪が出来る事も出来ないのですよ」
心底呆れた顔でそう伝えた。すると
「う…うるさい!俺も誤っただろう」
と、真っ赤な顔をして怒鳴っている。
「それでは、五歳の姪と同じレベルになれましたね。おめでとうございます」
パチパチと拍手をしてあげた。
「バカにするな!」
そう言って怒っている。そう言えば、そろそろお昼ご飯の時間ね。
「そろそろお昼です。さあ、食堂に行きますよ。もう自分で歩けるでしょう?それとも、まだ歩くのが怖いですか?いつもの様に車いすを準備しますか?」
「バカにするな。俺は一人で歩ける」
ゆっくりとベッドから起き上がり、スッと立ち上がったメイソン様。そのまま食堂へと歩いて向かう。
「あら、上手に歩けましたね。偉いですよ」
「バカにするな」
食堂に着き、席に座った事を確認すると、そのまま私もメイソン様の向かいの席に座った。
「どうして俺が、お前なんかと一緒に食事を摂らないといけないんだ」
「私が見張っていないと、また横暴な態度に出るでしょう?いいですか?あなたが横暴な態度に出ない様、しっかり見張らせて頂きますからね」
真っ赤な顔をして怒るメイソン様に、はっきりと告げた。そして料理が次々と運ばれてくる。
「おい、そこのお前、俺に食べさせろ!」
近くにいる使用人に、メイソン様が怒鳴っている。
「メイソン様、その言い方はなんですか。使用人も私たちと同じ人間です。頼む時は怒鳴らず、旦那様に話す様に言ってください。そもそも、あなたは赤ちゃんですか?左手が使えるのに、どうして食べさせてもらうのですか?」
「俺は、左はうまく使えないんだ」
「使おうとしないからでしょう?スプーンなら使えるはずです」
そう言って左手にスプーンを握らせた。
「おい、俺に触るな!」
「ギャーギャーうるさいですよ!ほら、食べてみて下さい。それともその左手は、ただの飾りですか?」
いちいちうるさい男だ!これは旦那様以上に厄介ね…
それでも私に一喝されたのが気に入らなかったのか、ぎこちないながらも一生懸命スプーンを使って食べている。多少こぼしてはいるが、そこは大目に見てあげよう。
結局なんとか昼食を食べられたメイソン様。
「どうだ、食べられただろう」
と、得意そうな顔をしていたので
「偉かったですね。やれば出来るじゃないですか!」
そう言って頭を撫でてあげたら
「子供扱いするな!」
と、手を振り払われた。体は確かに大人並みに成長しているが、中身は十分子供だ。とにかく、この男を更生させないと!
※五歳の姪はローラの兄の子供です。
少しでも遅いと怒鳴りつける等、まあどうしようもない男なのだ。さすがに見かねて旦那様に伝えて怒ってもらったのだが、その場では反省したフリをするのだが、翌日にはまた戻っている。
それどころか私に
「お前、よくもアーサー兄さんにチクったな!」
と、文句を言って来る始末。使用人たちからも苦情が来ているし、本当にどうしようもない。
さらにキーキとの仲も最悪で、私とキーキがお茶をしているところにわざと乱入しては、キーキを挑発するのだ。最初は怒っていたキーキも、相手にするのが面倒になったのか、メイソン様の姿を見ると、さっさと妖精界に帰ってしまう様になった。
私とキーキの貴重な時間も、メイソン様によって奪われてしまったのだ。このままでは本当にマズイ。何とかしないと。
ちなみに今は、お医者様がメイソン様の治療に当たっている。
「腕はまだまだですが、足の方は大分良くなってきましたね。もう歩いても大丈夫ですよ」
そう言ってもらえた。旦那様もホッとしている。
「メイソン、良かったな。もう歩いても良いみたいだぞ。それじゃあ俺は仕事に行って来るから」
そう言うと、旦那様は急いで騎士団に向かった。旦那様を見送った後は、自室でぬいぐるみを作る。
少し疲れたわね、中庭でも散歩しようかしら。早速中庭に向かおうとしたのだが…
「おい、どうしてすぐに飲み物を持ってこないんだ!このノロマ!」
メイソン様の怒鳴り声が聞こえ、こっそり部屋を覗くと、また忙しい使用人を捕まえて文句を言っていた。どうやら使用人に飲み物を掛けた様で、濡れている使用人が頭を下げていた。
その姿をみた瞬間、体中から怒りが込み上げ、がに股でメイソン様の部屋に入って行く。
「また我が儘を言っているのですか!いい加減にしなさい!」
メイソン様に向かって怒鳴りつけた。普段怒鳴る事の無い私が怒鳴ったので、使用人が口をポカンと開けて固まっている。
「何だよ!お前には関係ないだろう。勝手に人の部屋に入って来るな!」
「関係なくありません!そもそも私は、この家の主でもある旦那様の妻です。旦那様が留守の間は、私がこの家を守っているのです。それにしても、使用人を何だと思っているのですか?小さな子供でもあるまいし、最低限の事くらい自分でしたらどうなの?それとも出来ないの?そもそも、誰かに何かをやってもらった時は“ありがとう”の気持ちを伝えるのが常識でしょう!そんな事、五歳の姪でも知っていますわ」
「何なんだよ。お前は何様だ!」
「この家の奥様よ。何か文句があるのですか!」
私の勢いに、たじろぐメイソン様。
「そもそも、あなたは甘やかされすぎです。その甘え切った根性を、私が叩き直してあげますわ!まずは水を掛けた使用人に謝りなさい」
「なんで俺が謝らないといけないんだ!」
「あら、悪い事をしたのに、謝る事も出来ないのですか?うちの姪は五歳ですが、ちゃんとごめんなさいが出来ますわよ。五歳の姪が出来て、十六歳のメイソン様が出来ないなんて、あぁ恥ずかしい」
そう言ってプププっと笑ってやった。
「俺だって謝ることぐらい出来る。さっきは水を掛けて悪かったな。ごめん!」
メイソン様が謝ったのを見て、使用人が固まっている。でも、すぐに我に返り
「大丈夫でございます。お気になさらず」
そう伝えていた。一旦使用人に席を外させた。
「おい、何で使用人を全員外に出した。お前さては俺を襲う気だな!」
「はぁ~、あなたの様な精神年齢の低いおこちゃまを、誰が襲うのですか?五歳の姪が出来る事も出来ないのですよ」
心底呆れた顔でそう伝えた。すると
「う…うるさい!俺も誤っただろう」
と、真っ赤な顔をして怒鳴っている。
「それでは、五歳の姪と同じレベルになれましたね。おめでとうございます」
パチパチと拍手をしてあげた。
「バカにするな!」
そう言って怒っている。そう言えば、そろそろお昼ご飯の時間ね。
「そろそろお昼です。さあ、食堂に行きますよ。もう自分で歩けるでしょう?それとも、まだ歩くのが怖いですか?いつもの様に車いすを準備しますか?」
「バカにするな。俺は一人で歩ける」
ゆっくりとベッドから起き上がり、スッと立ち上がったメイソン様。そのまま食堂へと歩いて向かう。
「あら、上手に歩けましたね。偉いですよ」
「バカにするな」
食堂に着き、席に座った事を確認すると、そのまま私もメイソン様の向かいの席に座った。
「どうして俺が、お前なんかと一緒に食事を摂らないといけないんだ」
「私が見張っていないと、また横暴な態度に出るでしょう?いいですか?あなたが横暴な態度に出ない様、しっかり見張らせて頂きますからね」
真っ赤な顔をして怒るメイソン様に、はっきりと告げた。そして料理が次々と運ばれてくる。
「おい、そこのお前、俺に食べさせろ!」
近くにいる使用人に、メイソン様が怒鳴っている。
「メイソン様、その言い方はなんですか。使用人も私たちと同じ人間です。頼む時は怒鳴らず、旦那様に話す様に言ってください。そもそも、あなたは赤ちゃんですか?左手が使えるのに、どうして食べさせてもらうのですか?」
「俺は、左はうまく使えないんだ」
「使おうとしないからでしょう?スプーンなら使えるはずです」
そう言って左手にスプーンを握らせた。
「おい、俺に触るな!」
「ギャーギャーうるさいですよ!ほら、食べてみて下さい。それともその左手は、ただの飾りですか?」
いちいちうるさい男だ!これは旦那様以上に厄介ね…
それでも私に一喝されたのが気に入らなかったのか、ぎこちないながらも一生懸命スプーンを使って食べている。多少こぼしてはいるが、そこは大目に見てあげよう。
結局なんとか昼食を食べられたメイソン様。
「どうだ、食べられただろう」
と、得意そうな顔をしていたので
「偉かったですね。やれば出来るじゃないですか!」
そう言って頭を撫でてあげたら
「子供扱いするな!」
と、手を振り払われた。体は確かに大人並みに成長しているが、中身は十分子供だ。とにかく、この男を更生させないと!
※五歳の姪はローラの兄の子供です。
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