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第2章
第3話:メイソン様は旦那様級に女性が嫌いな様です
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食後は三人で居間に向かい、お茶を飲む事にした。
「うわ、この部屋にもぬいぐるみがいっぱいいる。こんな部屋では落ち着いてお茶も飲めない!」
私の作ったぬいぐるみたちを、それはそれは嫌そうに睨みつけるメイソン様。
「あの、どうしてそんなにぬいぐるみがお嫌いなのですか?」
ふと疑問に思ったので聞いてみた。
「どうしてって、ぬいぐるみは女が持っている事が多いだろう。俺は女が死ぬほど嫌いなんだ。もちろん、お前もな!」
私を指さして、はっきりと言いきったメイソン様。そもそも、人に指をさすのは良くないと教えてもらっていないのかしら。本当にこの男は!
「すまん、ローラ。メイソンも子供の頃から女性たちに言い寄られて嫌な思いをしていてな。ある時、メイソンより十歳以上も年上の王女に気に入られて、無理やり結婚させられそうになったんだ。その時、療養と嘘を付いて急遽家に身を寄せていた時期があったんだ。他にも令嬢に監禁されそうになったり、メイドに襲われそうになったりと、本当にメイソンは苦労していて。そのせいで、とにかく女が嫌いなんだよ」
なるほど、まるで幼少期の旦那様の様な状況だったのね。
「まあ、そうだったのですか?それは大変でしたね。でも大丈夫です。私はメイソン様の事なんて、これっぽっちも興味がありませんので」
「そんな言葉は信用できない。俺に言い寄る女共の中には、お前の様に俺に興味が無いふりをして近づいて来た奴もいた。とにかく、油断はできないんだ。もし俺に指一本触れようとしたら、命の保証はないからな」
目を血走らせ、鬼の形相で詰め寄ったメイソン様。本当に昔の旦那様にそっくりだ…
「はいはい、別にあなたに触れませんから安心して下さい。それでは私はぬいぐるみ作りがありますのでこれで」
昔の旦那様級に面倒な男と、これ以上関わりたくはない。さっさと自室に戻り、湯あみを済ませるとぬいぐるみを作り始めた。
しばらくすると、旦那様が訪ねて来た。
「ローラ、メイソンの事で色々と嫌な思いをさせてしまって、すまなかったな」
「別に私は大丈夫ですわ。昔の旦那様で慣れていますので」
私の言葉を聞き、何だ様が苦笑いしている。
「それで、もうぬいぐるみ作りは終わったかい?そろそろ一緒に寝ようか」
「今ちょうどきりが付いたところですわ」
早速片付けを済ませ、旦那様と一緒に寝室へと向かう。いつもの様に旦那様と一緒にベッドに入った。
「ローラ、今日はずっとメイソンが居たから、こうやってローラに触れられなかったから寂しかったよ」
そう言って、旦那様がギューッと抱きしめてくれた。
「私も寂しかったですわ」
私もギューッと旦那様に抱き着いた。そのままどちらともなく顔が近づき、唇に温かい感触が…どんどん深くなっていく。
その後は夜遅くまで、愛し合ったのであった。
翌日
「アーサー兄さん、おはよう。今日から、騎士団に連れて行って欲しいんだけれど」
朝食を食べに旦那様と一緒に食堂に向かうと、メイソン様が飛んできた。そしてさりげなく私と旦那様の間に入る。その際、私を怖い顔で睨んだ。
「メイソン、おはよう。そうだな、今日は俺と一緒に行くか」
「やった!ありがとう、アーサー兄さん」
嬉しそうに笑うメイソン様。と、次の瞬間
「お前とこの屋敷で2人きりだなんて、死んでも御免だからな」
私だけに聞こえる様に呟いてきた。こっちだって、あんたみたいな性悪と一緒なんて御免よ!そう言いたいが、心の中で呟いておいた。
食後、嬉しそうに馬車に乗り込んでいくメイソン様を笑顔で見送った。とにかくとっとと行って欲しい。そしてやっと馬車が走り出した。
旦那様とメイソン様を見送った後、一人でぬいぐるみ作りを開始する。すると、お義母様がやって来た。
「ローラちゃん、昨日は本当にごめんなさい。メイソンはその後どう?ローラちゃんに迷惑をかけていないかしら?」
お義母様が心配そうな顔をして尋ねて来た。
「…ええ、旦那様には懐いていらっしゃる様ですし。それに昼間は旦那様と一緒に騎士団に行くようですので、特に問題はありませんわ」
さすがに昔の旦那様のお陰で、こういった扱いは慣れているとは言えない。
「そう、それならいいのだけれど。もし嫌な事があったら、すぐに言ってね。あなたは私の大切な義娘なのだから」
「ありがとうございます、お義母様。そうだわ、せっかく来てくださったのですもの。昼食を召し上がって行きませんか?」
「ええ、もちろんよ。頂いていくわ」
お義母様と一緒に、美味しい昼食を頂いた。やっぱり誰かと食べる食事は美味しいわ。昨日から変なのと一緒に食べているものね…
「それじゃあローラちゃん、私はもう帰るけれど、万が一メイソンが何かしでかしたらすぐに教えて頂戴ね。決して無理はしないでね」
「はい、ありがとうございます」
まだ心配そうな顔のお義母様を、笑顔で見送った。
さあ、ぬいぐるみ作りを進めないと。
そう思い、自室に戻ろうとした時だった。玄関がなんだか騒がしい。再び玄関に向かうと、騎士団員の肩を借り、足を引きずりながら帰って来たメイソン様の姿が。腕にも包帯を巻いている。
「まあ、メイソン様!大丈夫ですか?」
急いで駆け寄った。
「うるさいな!大したことはない。あっちに行け!」
相変わらず感じが悪いわね!でも、このまま放っておく訳にはいかない。
「騎士団の方ですよね。家まで送っていただき、ありがとうございました」
「いいえ、団長がどうしても手が離せなかったもので、急遽つれて帰って来ただけですので。それでは俺はこれで」
メイソン様を使用人たちに預けると、騎士団員は帰って行った。結婚式に見た騎士団員の姿からは想像できない程、礼儀正しかった。もしかして、結婚式には参加していなかった方かしら?
…今はそんな事、どうでもいいわよね。とにかくメイソン様を部屋に連れて行かないと!
「うわ、この部屋にもぬいぐるみがいっぱいいる。こんな部屋では落ち着いてお茶も飲めない!」
私の作ったぬいぐるみたちを、それはそれは嫌そうに睨みつけるメイソン様。
「あの、どうしてそんなにぬいぐるみがお嫌いなのですか?」
ふと疑問に思ったので聞いてみた。
「どうしてって、ぬいぐるみは女が持っている事が多いだろう。俺は女が死ぬほど嫌いなんだ。もちろん、お前もな!」
私を指さして、はっきりと言いきったメイソン様。そもそも、人に指をさすのは良くないと教えてもらっていないのかしら。本当にこの男は!
「すまん、ローラ。メイソンも子供の頃から女性たちに言い寄られて嫌な思いをしていてな。ある時、メイソンより十歳以上も年上の王女に気に入られて、無理やり結婚させられそうになったんだ。その時、療養と嘘を付いて急遽家に身を寄せていた時期があったんだ。他にも令嬢に監禁されそうになったり、メイドに襲われそうになったりと、本当にメイソンは苦労していて。そのせいで、とにかく女が嫌いなんだよ」
なるほど、まるで幼少期の旦那様の様な状況だったのね。
「まあ、そうだったのですか?それは大変でしたね。でも大丈夫です。私はメイソン様の事なんて、これっぽっちも興味がありませんので」
「そんな言葉は信用できない。俺に言い寄る女共の中には、お前の様に俺に興味が無いふりをして近づいて来た奴もいた。とにかく、油断はできないんだ。もし俺に指一本触れようとしたら、命の保証はないからな」
目を血走らせ、鬼の形相で詰め寄ったメイソン様。本当に昔の旦那様にそっくりだ…
「はいはい、別にあなたに触れませんから安心して下さい。それでは私はぬいぐるみ作りがありますのでこれで」
昔の旦那様級に面倒な男と、これ以上関わりたくはない。さっさと自室に戻り、湯あみを済ませるとぬいぐるみを作り始めた。
しばらくすると、旦那様が訪ねて来た。
「ローラ、メイソンの事で色々と嫌な思いをさせてしまって、すまなかったな」
「別に私は大丈夫ですわ。昔の旦那様で慣れていますので」
私の言葉を聞き、何だ様が苦笑いしている。
「それで、もうぬいぐるみ作りは終わったかい?そろそろ一緒に寝ようか」
「今ちょうどきりが付いたところですわ」
早速片付けを済ませ、旦那様と一緒に寝室へと向かう。いつもの様に旦那様と一緒にベッドに入った。
「ローラ、今日はずっとメイソンが居たから、こうやってローラに触れられなかったから寂しかったよ」
そう言って、旦那様がギューッと抱きしめてくれた。
「私も寂しかったですわ」
私もギューッと旦那様に抱き着いた。そのままどちらともなく顔が近づき、唇に温かい感触が…どんどん深くなっていく。
その後は夜遅くまで、愛し合ったのであった。
翌日
「アーサー兄さん、おはよう。今日から、騎士団に連れて行って欲しいんだけれど」
朝食を食べに旦那様と一緒に食堂に向かうと、メイソン様が飛んできた。そしてさりげなく私と旦那様の間に入る。その際、私を怖い顔で睨んだ。
「メイソン、おはよう。そうだな、今日は俺と一緒に行くか」
「やった!ありがとう、アーサー兄さん」
嬉しそうに笑うメイソン様。と、次の瞬間
「お前とこの屋敷で2人きりだなんて、死んでも御免だからな」
私だけに聞こえる様に呟いてきた。こっちだって、あんたみたいな性悪と一緒なんて御免よ!そう言いたいが、心の中で呟いておいた。
食後、嬉しそうに馬車に乗り込んでいくメイソン様を笑顔で見送った。とにかくとっとと行って欲しい。そしてやっと馬車が走り出した。
旦那様とメイソン様を見送った後、一人でぬいぐるみ作りを開始する。すると、お義母様がやって来た。
「ローラちゃん、昨日は本当にごめんなさい。メイソンはその後どう?ローラちゃんに迷惑をかけていないかしら?」
お義母様が心配そうな顔をして尋ねて来た。
「…ええ、旦那様には懐いていらっしゃる様ですし。それに昼間は旦那様と一緒に騎士団に行くようですので、特に問題はありませんわ」
さすがに昔の旦那様のお陰で、こういった扱いは慣れているとは言えない。
「そう、それならいいのだけれど。もし嫌な事があったら、すぐに言ってね。あなたは私の大切な義娘なのだから」
「ありがとうございます、お義母様。そうだわ、せっかく来てくださったのですもの。昼食を召し上がって行きませんか?」
「ええ、もちろんよ。頂いていくわ」
お義母様と一緒に、美味しい昼食を頂いた。やっぱり誰かと食べる食事は美味しいわ。昨日から変なのと一緒に食べているものね…
「それじゃあローラちゃん、私はもう帰るけれど、万が一メイソンが何かしでかしたらすぐに教えて頂戴ね。決して無理はしないでね」
「はい、ありがとうございます」
まだ心配そうな顔のお義母様を、笑顔で見送った。
さあ、ぬいぐるみ作りを進めないと。
そう思い、自室に戻ろうとした時だった。玄関がなんだか騒がしい。再び玄関に向かうと、騎士団員の肩を借り、足を引きずりながら帰って来たメイソン様の姿が。腕にも包帯を巻いている。
「まあ、メイソン様!大丈夫ですか?」
急いで駆け寄った。
「うるさいな!大したことはない。あっちに行け!」
相変わらず感じが悪いわね!でも、このまま放っておく訳にはいかない。
「騎士団の方ですよね。家まで送っていただき、ありがとうございました」
「いいえ、団長がどうしても手が離せなかったもので、急遽つれて帰って来ただけですので。それでは俺はこれで」
メイソン様を使用人たちに預けると、騎士団員は帰って行った。結婚式に見た騎士団員の姿からは想像できない程、礼儀正しかった。もしかして、結婚式には参加していなかった方かしら?
…今はそんな事、どうでもいいわよね。とにかくメイソン様を部屋に連れて行かないと!
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